【2024年9月の自動運転ラボ10大ニュース】Google、トヨタを採用せず

Uberは開発各社とのネットワークを強化



出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

グーグル系Waymoが第6世代目の「Waymo Driver」の概要を発表した。ティザー画像に写っているのは中国系メーカーのモデルで、トヨタが採用されることはなかったようだ。

海外では、配車サービス大手Uberが自動運転開発事業者と次々とパートナーシップを交わすなど、自動運転タクシー事業が本格化し始めている。日本企業もこうした商機を見逃さずしっかり対応していきたいところだろう。


2024年9月の10大ニュースとともに、業界の動向を振り返っていこう。

編集部おすすめサービス<PR>
米国株投資ならmoomoo証券(株式投資)
自動運転関連株への投資なら!各銘柄の分析情報が充実
タクシーアプリなら「GO」(配車アプリ)
クーポン超充実!「実質無料」のチャンスも!
頭金0円!定額カルモくん(車のカーリース)
「貯金ゼロ」でも車が持てる!コミコミ1万円から!
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり)
「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今!
編集部おすすめモビリティサービス<PR>
LUUP(電動モビリティシェア)
電動サイクル・キックボード エリア拡大中!
GO(タクシー配車アプリ)
最大5,000円分のクーポン配布中!

■堀江氏「こいつすげえ!」。4足歩行ロボ、蹴っても立ち上がる 自動運転配送でも活躍!?(2024年9月3日付)

実業家の堀江貴文氏のYouTubeチャンネル「ホリエモンチャンネル」で、未来のラストマイル配送を担えそうなものすごいロボット技術が紹介された。千葉工業大学未来ロボット技術研究センター「fuRo」が開発を進める4足歩行ロボットだ。

ベースとなるロボットは中国製で、その基本性能も目を見張るものがあるが、効果的にAIを鍛えることでその運動性能をフルに発揮できるようになっており、センサーなどの目を使わず前進したり階段を上ったりすることを可能にしている。

LiDARを活用した自動運転歩行もお披露目している。段差をものともしないその走破能力は、これまでのタイヤベースの自動配送ロボットではなしえないラストマイル配送を可能にしそうだ。タイヤベースではやや大きめの段差や階段に対応できないため、配送先のドアまで到達できない場面が多いものと思われるが、4足歩行ロボットであればギリギリまで近づくことができる。砂利道なども問題なしだ。


災害シーンなど、こうしたロボットが活躍する場面は今後どんどん拡大していくものと思われる。今のうちに開発動向をしっかりチェックしておきたいところだ。

堀江氏「こいつすげえ!」。4足歩行ロボ、蹴っても立ち上がる 自動運転配送でも活躍!?


■第6世代のGoogleタクシー、トヨタ採用されず!中国製Zeekrを起用(2024年9月9日付)

グーグル系Waymoが第6世代となる自動運転システム「Waymo Driver」の概要を発表した。新たに自動運転タクシーフリートに採用されるのは、中国Geely系のEVブランドZeekrの新モデルのようだ。

フリートに正式採用されるモデルとしては、Pacifica(FCA)、I-PACE(ジャガー・ランドローバー)に次ぐ3車種目となる。日本勢はなかなか採用されないようだ。

グーグルは自動運転開発当初、トヨタの2代目プリウスをメインに使用していた実績を持つが、トヨタ車の採用には至っていない。そもそも交渉の有無なども不明だ。

プリウスやレクサス車は世界各地で自動運転実証に用いられているが、トヨタと直接関係を持つMay MobilityやPony.ai以外特に本採用している例は見当たらない。

近い将来本格化するだろう自動運転タクシー市場を見据えた商用車の開発も今後重要となりそうだが、トヨタはAutono-MaaS専用車両「シエナ」をプッシュする戦略と思われる。北米仕様の大型バンだ。

ただ、Waymoに象徴されるように、BEVを条件とする企業が増加する可能性が高い。商用車とBEVの相性は非常に高いため、今後、トヨタのBEV戦略に商用車が加わる可能性も高そうだ。

第6世代のGoogleタクシー、トヨタ採用されず!中国製Zeekrを起用

■物流トラック、一般道は「手動」、高速道は「自動運転」へ!国交省、3.1億円予算計上(2024年9月10日付)

自動運転トラックによる幹線輸送実現に向け、国土交通省物流・自動車局が2025年度予算案の概算要求として3億1,300万円を計上したようだ。

具体的な事業としては、「物流拠点間の幹線道路における自動運転トラックによるピストン輸送の実証」や、「自動運転トラックの活用に資する物流拠点 の整備・最適化」が挙げられている。

自動運転トラック関連では、2024 年度に新東名高速道路の駿河湾沼津~浜松間約100キロの区間において、深夜時間帯に自動運転車用レーンを設定し、自動運転トラックの運行を支援する取り組みに着手する予定で、2025年度以降には東北自動車道などへ拡大していく方針だ。

必要なインフラ要件や高速道路直結の物流拠点の在り方など、今後どのように事業が進んでいくことになるのか。T2やティアフォー、TuSimpleといった自動運転トラック開発勢の動向と合わせ、要注目だ。

物流トラック、一般道は「手動」、高速道は「自動運転」へ!国交省、3.1億円予算計上

■違う企業が「一緒に配送」!その実現へ「物流ビッグデータ」共有へ(2024年9月10日付)

物流ソリューション開発などを手掛けるHacobuが、企業間で物流ビッグデータを共有・分析し共同輸配送を目指す「物流ビッグデータラボ」の創設を発表した。第1陣として、アスクルやキリンビバレッジら5社が参画するようだ。

2024年問題に象徴されるように物流クライシスが叫ばれているが、解決策の一つに共同配送が挙げられる。個別に行っている各企業の配送において、トラックやコンテナを共同利用することで一台当たりの積載率を高め、ドライバー不足などの課題に貢献する。

この共同配送にも課題がある。貨物量は都度変動するため、固定的な座組では変化に対応しづらいという。イレギュラーな事態が発生しても、他企業と共同しているため柔軟に対応することも難しいようだ。

こうした課題に立ち向かうのがHacobuだ。同社は物流情報プラットフォームを構築し、物流ビッグデータを蓄積している。この蓄積してきたトランザクションデータを有効活用することで、効果的な共同輸配送を実現しよう――というのが今回の取り組みだ。

物流最適化に向けては、データ共有など業界が連携した取り組みが必須となる。Havobuの取り組みはその一端として今後注目度を高めていきそうだ。

違う企業が「一緒に配送」!その実現へ「物流ビッグデータ」共有へ

■小泉進次郎氏、公約に「ライドシェア全面解禁」 日本でもウーバー利用可能に(2024年9月12日付)

過去最多の9人が立候補した自民党総裁選が熱を帯びているが、一部候補はライドシェア解禁も公約に掲げ、その実現に注力するようだ。

総裁選の争点にはなっていないものの、その是非が分かれがちなライドシェア。候補の中では、小泉氏のほか河野氏や茂木氏もライドシェアの全面解禁に意欲的だ。

小泉氏は、イノベーションが起こりにくい日本の体質に関して「既存企業が既得権益を守るため新規参入を阻もうとしている」とし、その例としてライドシェアを挙げた。いわば、タクシー事業者らを既得権益者と位置付けたわけだ。

これは、小泉氏が一政治家としてのスタンスを明確にした格好となる。仮に総裁になれずとも、影響力のある小泉氏がこうした姿勢を明確にすることで業界を巻き込む形で議論は活発化する。

総裁選後、ライドシェア解禁の是非をめぐる議論はどのように動いていくのか。要注目だ。

小泉進次郎氏、公約に「ライドシェア全面解禁」 日本でもウーバー利用可能に

■ホンダの自動運転レベル3、「3年前の1車種」のみで開発中止か(2024年9月17日付)

ホンダ自動運転レベル3を社会実装してから丸3年以上が経過した。自動運転開発において3年半は結構なスパンで、バージョンが二つ三つ上がってもおかしくはない期間だ。しかし、レベル3を搭載したモデルは以後ホンダから発売されておらず、開発に関する詳報もない。

制限速度を満たす拡張版レベル3の開発に手間取っているのか、あるいはビジネス面を考慮してレベル4開発にシフトしたか……など推測されるが、果たしてどのような状況なのだろうか。

高速道路渋滞時限定のレベル3は、現実問題として需要は乏しいだろう。それはホンダも最初から分かっていたことで、制限速度を満たす拡張を前提に開発を継続しているはずだ。

しかし、ソニー・ホンダモビリティの立ち上げや、GM勢とのレベル4サービス計画、日産とのパートナーシップなどさまざまな動きが出ており、戦略が変更された可能性も十分考えられる。

現状のレベル3は実需に見合わず、将来を見越した中長期の戦略が必須となるが、ホンダのロードマップにはどのように位置付けられているのか。これはメルセデスやBMWなど他社も同様だ。

自家用車向けのレベル4含め、開発トレンドはどのような方向に向かっていくのか、要注目だ。

ホンダの自動運転レベル3、「3年前の1車種」のみで開発中止か

■トヨタe-Paletteの「お蔵入り説」は嘘だった。自動運転シャトル、徐々に表舞台に(2024年9月17日付)

余りトピックに上がらなくなったトヨタのe-Palette。開発が停滞しているのか?――との懸念が浮かぶところだが、地道に実証を継続しているようだ。

トヨタイムズによると、トヨタ自動車九州の宮田工場敷地内で自動運転移動サービスやオンデマンドサービス、物販などさまざまな実証が行われているという。さまざまな観点からモビリティの可能性を追求しているようだ。

もしかしたら、他の工場でも同様の取り組みが進められているかもしれない。規模が大きいだけに、膨大な知見を蓄積することができそうだ。2025年には、Woven Cityでの実証も始まる見込みだ。

しっかりと前進していたe-Paletteだが、自動運転技術の向上にはやはり一般公道実証も必要と思われる。多くの人の目に触れる場で活躍する日はいつごろ訪れるのか、要注目だ。

トヨタe-Paletteの「お蔵入り説」は嘘だった。自動運転シャトル、徐々に表舞台に

■ウーバー、自動運転タクシーの配車ビジネスで「日本参入」も 米国で着々と事業拡大(2024年9月18日付)

Waymoをはじめとした自動運転開発企業とタッグを組み、自社プラットフォームでの自動運転タクシーサービスを拡大し始めたUber Technologies。自動運転サービスは今のところ米国内でしか扱っていないが、将来的には日本をはじめとした世界各国で導入を促進していく可能性が高い。

Uberはもともと自社で自動運転開発を進めていたが断念し、現在はAurora InnovationやWaymo、Cruise、Wayveといった開発企業とのパートナーシップを拡大中だ。おそらく、世界各国でこの路線を歩み、自動運転サービスを取り込んでいくものと思われる。

自動運転開発各社は基本的に自社で配車プラットフォーム・アプリも開発し、独自サービスとして提供しているが、将来、こうした独立したプラットフォームはUberのような総合配車サービスプラットフォームに統合されていくのかもしれない。

ウーバー、自動運転タクシーの配車ビジネスで「日本参入」も 米国で着々と事業拡大

■テスラ、10月10日起点の「自動運転バブル」で株価180倍超えも ロボタクシー発表へ(2024年9月19日付)

EV大手テスラの自動運転タクシー発表会が近づいてきた。新興EVメーカーとして異例の躍進を遂げてきた同社だが、さらなる躍進には次のフェーズへの移行が欠かせない。この新たなフェーズを自動運転技術が担う――といった内容の記事だ。

イーロン・マスク氏は先進技術への関心・意欲が高く、単純なEVメーカーとしてテスラを育てる気は毛頭ないはずだ。テクノロジー企業としてビジネスを成立させるため、さまざまな展開を見据えているはずだ。

その代表格が自動運転技術だろう。マスク氏はこれまでもたびたび自動運転に触れ、自社技術のポテンシャルを喧伝し続けてきた。その成果を象徴するFSDは一定の精度に達した。そして、新たなサービス・ビジネス領域として10月に発表する予定なのが自動運転タクシーだ。

先行するWaymoなどとどのような差別化を図り、自動運転ビジネスを成立させていくのか。この発表次第でテスラ株が大きく上下する可能性があるだけに、注視しなければならない。

テスラ、10月10日起点の「自動運転バブル」で株価180倍超えも ロボタクシー発表へ

■京セラ、自動運転宅配ロボに「中国製」使用か 車体写真が酷似(2024年9月21日付)

国内で恐らく唯一となる中速・中型の自動配送ロボットの実証を進める京セラコミュニケーションシステム(KCCS)。その成果に大きな期待が寄せられるところだ。

一方、中速・中型のロボット開発は国内では進んでいないのが現状で、KCCSも中国製の導入を余儀なくされているのでは……という内容だ。

中速・中型ロボットは低速・小型ロボットよりも大きく、主に車道を時速15~40キロほどで走行することが想定される。走行ルールや規格は現在進行形で議論が進められており、2024年度中に一定の取りまとめが行われる予定だ。

低速・小型ロボットと同じラストマイル配送がメインになるものと思われるが、クイックデリバリーや宅配便など、サービス内容で棲み分けが可能だ。

どのようなルールが策定されるか、また、国内からも開発に着手する事業者が出てくるか、今後の動向に要注目だ。

京セラ、自動運転宅配ロボに「中国製」使用か 車体写真が酷似

■【まとめ】国内では物流関連の取り組みが加速中

海外ではWaymoが自動運転システムのバージョンアップを近々図りそうだ。Uberも自動運転の導入を推進し始めており、着実にサービスが拡大していきそうだ。来月10月にはテスラの自動運転タクシーの発表も予定されている。これがカンフル剤となり、各社の取り組みがいっそう加速することも考えられる。

一方、国内では大きな動きは出ていないものの、物流面でデータの活用や中速・中型自動配送ロボットの実証、高速道路における自動運転トラック実証などに力が入り始めた感を受ける。

総裁選が終わり、解散総選挙が直ちに行われるのか、猶予が持たれるのか不明だが、いずれにしろ自動運転実用化に向けた取り組みが潰えることなく継続されることに期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事