Waymoの年表!自動運転タクシーのフロンティア、Googleから分社

2016年の設立から4年半、トップランナーの軌跡



出典:背景画像はWaymoプレスリリース/公式ブログより

自動運転開発で世界をリードするGoogle系Waymoは2021年6月、25億ドル(約2,800億円)の最新の投資ラウンドを発表した。昨年のラウンドに続く大型の資金調達だが、CEO(最高経営責任者)交代の報など同社を取り巻く環境は大きく変りつつあるようだ。

グーグル系企業としてトップを走り続ける同社のこれまでの軌跡を年代順になぞり、今後の展望に迫ってみよう。







■2016年5月:FCAと提携 パシフィカ100台をフリートに

Waymoと大手自動車メーカーとの協業は、グーグル時代にパートナーシップを結んだFCA(現ステランティス)に始まる。それまでは自社開発したオリジナル車両「Firefly」が実証の中心だったが、100台のクライスラーパシフィカを納入して自動運転車に改造し、公道実証用のフリートに追加した。

FCAとの提携はその後も拡大しており、2017年のアーリーライダープログラムに合わせて500台を追加したほか、2020年7月には、FCAの自動運転技術開発における独占的パートナーにWaymoが選ばれた。

モノの配送向けに完全自動運転技術「WaymoDriver」をFCAのラム「プロマスター」に統合することも目標に据え、Waymo Viaを含む配送用小型商用自動運転車の開発とテストにおいて優先パートナーとして協力していく方針を掲げている。

【参考】FCAとの提携については「Google系ウェイモの自動運転レベル4技術、欧米FCAが採用」も参照。

■2016年12月:Waymo誕生

グーグルの自動運転開発は2009年にスタートし、当初はトヨタプリウスの改造車両を使用していた。2015年にはテキサス州オースティンの公道でオリジナルの自動運転車「Firefly」を使用し初の自動運転走行を実現した。

2016年12月に開発部門を分社化し、Waymoが誕生した。翌2017年から公道実証を交えた研究開発を本格化させていく。

■2017年4月:アーリーライダープログラムに着手

Waymoはアリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーのアーリーライダープログラムを開始した。2017年初頭から公道実証に使用していた100台のフリートに500台を追加し、乗客から多くのフィードバックを得ながら公道実証を加速しており、2018年2月に走行距離500万マイル、同年10月には1,000万マイルを超えたことを発表している。

このプログラムの成果が世界初の商用タクシーサービスへとつながっていくのだ。

■2018年3月:ジャガーランドローバーと提携

WaymoとJaguar Land Roverが新たなパートナーシップを結んだと発表した。ジャガーのプレミアムEV「I-PACE」を自動運転化し、フリートの一部に組み込むという。

■2018年12月:世界初の商用タクシーサービス開始

Waymoは、世界初となる自動運転車を活用した有料の商用タクシーサービス「WaymoOne」を、アリゾナ州フェニックスで一部ユーザーを対象に開始した。

当初はセーフティドライバー同乗のもとサービスを提供していたが、2019年末ごろに一部ユーザーを対象にドライバーレスのサービスを導入し、2020年10月ごろには対象を一般ユーザーに拡大している。

■2019年1月:自動運転車の製造工場建設へ

Waymoがミシガン州経済開発公社(MEDC)から自動運転車を製造する承認を得たことを発表した。パートナー企業から納入した車両をレベル4自動運転車に改良する工場だ。

Waymoは自動運転システムを構成するハードウェアとソフトウェアを自社開発しており、これをFCAやジャガーランドローバーなどフリート用に購入した車両に統合し、効果的に自動運転車を大量生産していくとしている。

■2019年3月:自社開発したLiDARをパートナー企業に提供

Waymoは自社開発した「レーザーベアハニカム」と呼ばれる3D-LiDARセンサーを、ロボット工学やセキュリティ開発など自動運転以外の研究開発を進める企業に提供すると発表した。

自動運転開発初期は他社製LiDARを使用していたが、2011年に3種類のLiDARを含む独自のセンサーセットの研究に着手し、開発を進めてきた。

レーザーベアハニカムは車両のバンパー周辺に取り付けるタイプで、垂直FOV95°、水平FOV360°の広い視野を確保している。

■2019年5月:Lyftとパートナーシップ提携

Waymoと配車サービス大手のLyftが提携し、今後数カ月で10台のWaymo車両をLyftに配備すると発表した。エリアはアリゾナ州フェニックスで、Lyftのユーザー向けに、Lyftアプリから直接Waymoを選択するオプションが設けられる。

Lyftを通じ、より多くの人に自動運転を体験してもらう機会を創出する狙いがあるようだ。なお、両社は2017年から自動運転分野において提携関係にある。

■2019年6月:日産、ルノーとパートナーシップ締結

仏ルノーと日産が、フランスと日本でWaymoと人とモノの運搬を対象にした無人モビリティサービスの展開に向け検討を開始すると発表した。

3社は独占契約のもと、市場機会の分析やドライバーレス・モビリティサービスに関係する商業的・法規面における課題を共同調査し、より知見を高めることを目指す。取り組みはフランスと日本のほか、将来的には中国を除く他の市場にも拡大する可能性があるとしている。

【参考】ルノー・日産とのパートナーシップについては「日産とルノー、自動運転分野でグーグル系ウェイモと独占契約」も参照。

■2019年8月:自動運転開発向けのデータセット公開

Waymoは、これまでの公道走行で収集した自動運転用の高品質マルチモーダルセンサーデータセット「Waymo Open Dataset」を研究者向けにリリースした。

アリゾナ州フェニックスやカリフォルニア州サンフランシスコなどの走行時に収集したLiDARやカメラによる1,000の運転セグメントからのデータが含まれており、密集した都市環境や郊外環境における昼や夜、天候などさまざまな運転条件を網羅している。

データはその後も更新し続けており、2021年3月までに10万3,354セグメントの3Dマップで構成されるモーションデータセットなども追加されている。

【参考】データセットについては「グーグル系ウェイモ、自動運転走行のデータセットを開放」も参照。

■2020年3月:第5世代Waymo Driver発表

Waymoは最新となる第5世代のWaymo Driverを発表した。300メートル超の範囲を360度カバーする高解像度LiDARや、歩行者や500メートル以上離れた標識などを識別可能な長距離カメラと360ビジョンシステムなどが搭載され、より高い精度で物体の検知・認識を可能にしている。

■2020年3月:初の外部資金調達で30億ドルオーバーを調達

Waymoは、シルバーレイク、カナダ年金制度投資委員会、ムバダラ投資会社が主導する同社初の外部投資ラウンドで22.5億ドル(約2,400億円)を調達したと発表した。

投資家には、持ち株会社のアルファベットをはじめ、カナダの自動車部品メーカーMagna Internationalなどが含まれている。

ジョン・クラフチックCEOは当時、「世界中のWaymo Driverの展開をサポートするため、従業員、テクノロジー、および運用への投資を深める」としている。

なお、総額は2020年7月30日時点で32億ドル(約3,500億円)に更新されている。

■2020年6月:ボルボ・カーズと提携

WaymoはVolvo Car Groupとレベル4技術の開発に向け戦略的パートナーシップを結んだと発表した。ボルボが移動サービス用に設計した新たなEVプラットフォームにWaymo Driverを統合していく計画で、ボルボの自動運転技術開発の独占的パートナーになるとしている。

■2020年10月:ダイムラートラックと提携

WaymoとDaimler Trucksが広範囲に及ぶグローバルな戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。Waymo Driverをダイムラートラックのフレイトライナー「カスケディア」に搭載し、数年のうちに米国で利用可能にするほか、将来的には他の地域やブランドへの拡大を検討していく。

2017年に取り組み始めた自動運転技術を物流分野に生かす「Waymo Via」のフリートに将来採用される可能性も考えられる。今後の動向に注目だ。

■2021年4月:ジョン・クラフチックCEOが退任を発表

2016年からWaymoを率いてきたジョン・クラフチックCEOが退任の意を表明した。今後は、ドミトリ・ドルゴブCTOとテケドラ・マワカナCOOが共同CEOとして指揮をとる。クラフチック氏は引き続きアドバイザーの任を担う。

クラフチック氏はフォードやヒュンダイなどを経て2015年にグーグルの自動運転開発部門に加わり、Waymo立ち上げから同社をけん引してきた。

自動運転業界においてもリーダー格の人物であることは間違いない。リフレッシュ期間を楽しみにしつつ新しい冒険を始めるとしており、今後の動向に要注目だ。

【参考】ジョン・クラフチック氏については「米ブルームバーグの「2018年の50人」、ウェイモのジョン・クラフチックCEOら選出」も参照。

■2021年6月:25億ドルの資金調達実施

Waymoは2020年の資金調達に続き、25億ドル(約2700億円)の最新の投資ラウンドを発表した。投資家には、前回に引き続きアルファベットやマグナなどが名を連ねている。

■【まとめ】新たなステージへのステップアップに注目

着実に技術開発とサービス実証を進め、パートナーシップも広がっている様子がよくわかる。中国系スタートアップらが猛烈な追い上げを見せているが、業界のトップランナーはまだまだ先頭を譲る気はなさそうだ。

また、昨年からの資金調達やCEOの交代は、新たなステージへのステップアップを予感させる。同社の動向からますます目が離せなくなりそうだ。

(初稿更新日:2021年6月23日/最終更新日:2021年7月31日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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