無人タクシー(ロボットタクシー)の仕組み解説と開発企業まとめ 自動運転技術で走行

2019年から主導権争い本格化、実証と実用化が加速





米Waymoの商用サービス実施を皮切りに、現実味を帯びてきた無人タクシー(ロボットタクシー)。ドライバー不在の自動運転タクシーが当たり前のように客を乗せて市街地を走行する光景も、近い将来実現する見込みだ。







では、無人化された自動運転タクシーはどのように運行し、乗車希望者はどのように利用するのか。無人タクシーの仕組みについて掘り下げて考えてみよう。

■無人タクシーの仕組み
乗客にとっては配車アプリ利用時と変わらないサービスに

現在稼働している一般的なタクシーにおいては、配車アプリ対応の車両が増加しており、予約から目的地の告知、決済に至るまで、スマートフォンやタブレットを通して行うことが可能となった。コミュニケーションを必要としない乗客にとって、ドライバーは安全運転業務に従事してくれれば良い存在になったと言えるだろう。

つまり、車両の管理と運転操作以外の必要な業務はスマートフォンなどで賄うことができるようになったのだ。車両の管理は別途必要だが、ドライバーに代わる自動運転レベル4(高度運転自動化)技術が確立されれば、基本的にタクシーは無人で運行することが可能になる。

乗客は、現在の配車アプリ利用時と同様、スマートフォンでタクシーを呼び、乗降場所指定や決済処理の後降車するシンプルな利用方法となる。

料金設定は、サービスの普及促進を考慮すると当面は従来の配車サービスと同等か若干低く設定する可能性も考えられる。高額なイニシャルコスト、研究開発費、人件費削減効果、国土交通省の省令による取り扱いなど、料金を左右する要素はいろいろあるが、社会受容性を高めるためにもまずは利用しやすい環境を作る必要があるはずだ。

なお、サービス開始当初は、安全確保のため乗降場所が一定程度限られる可能性はありそうだ。

遠隔監視システムが要に

無人タクシーには車両そのものに自動運転レベル4以上の技術が搭載され、周囲の状況をAIが判断してアクセルやブレーキ、ハンドルを制御するのはもちろんのこと、より安全性を高めるため遠隔監視システムが導入されることになる。

実証試験を兼ねた現在開発されているレベル4車両には、ドライバーが乗車し手動で制御するシステムを備えているものも多いが、本格的なサービス普及段階に入ると、ハンドルなどを備えないレベル4車両が中心になるものと思われる。普及段階の主なニーズは商用車であり、限定された区域を自動で走行する機能が備わっていれば良いからだ。

車両には緊急停止ボタンなど最低限の手動装置のみが取り付けられることになるが、運行状況の管理や万が一の事態に備える手段として、遠隔監視システムが必須となる。次世代高速通信5Gなどを活用し、管制センターで複数の車両を常時監視し、必要に応じて制御する仕組みだ。

ロボットタクシー開発企業は概ね遠隔監視システムの開発も進めており、ZMPと日の丸交通が日本初となる遠隔型自動運転システムの公道実証実験を2017年12月に行っているほか、日産自動車とDeNAが実証を進める新モビリティ「Easy Ride(イージーライド)」においても、両社は遠隔管制センターを設置し、先進技術を融合させたシステムによる遠隔管制のテストを行っている。

このほか、愛知県でも2019年2月にアイサンテクノロジーやティアフォー、名古屋大学などが共同で5Gを活用した複数台の遠隔監視型自動運転の実証実験を行うなど、他業種協同のもと開発が進められている。

【参考】愛知県における遠隔システム実証実験については「国内初!5G車両を含む2台の遠隔監視型自動運転の実証実験 愛知県一宮市で実施」も参照。

当面は自動運転レベル4で運用

自動運転タクシーは、しばらくの間レベル4車両による時代が続く。レベル4は走行区域が限定されるため、区域内から区域外への移動ニーズに対しては、乗り換えが必要となる。こうした需要にスムーズにこたえられるシステムなども必要となる。

また、予約を待つ間、待機するステーションなども必要となる。EV(電気自動車)の場合、ワイヤレス充電設備により待機中に自動で充電するシステムをステーションに配備するなど、さまざまなアイデアが生まれそうだ。

■開発企業
Waymo:世界初の商用サービススタート

Google系の米Waymo(ウェイモ)は2018年12月5日、米アリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの有料商用サービス「ウェイモワン」を世界で初めて開始した。

乗客は過去の実証実験参加者らに限定し、安全のため運転席に専用のスタッフが同乗した状態で運行するなど慎重に慎重を重ね取り組んでいる様子だが、レベル4技術の確立と車両の量産体制は着実に進んでおり、近くエリアを拡大するなど次の段階に移行するものと思われる。

【参考】Waymoの自動運転タクシーについては「グーグル系ウェイモの自動運転タクシー、米アリゾナ州で商用サービス開始」も参照。

GM×Cruise Automation:2019年内にサービス提供予定

米自動車メーカー大手のゼネラル・モーターズ、及び傘下のCruise Automation(クルーズ・オートメーション)は、2019年にも米国の複数都市で自動運転タクシー事業に着手し、先行するウェイモを追いかける計画だ。

事業参入に備え、サンフランシスコの湾岸沿いの駐車施設に18基の急速充電器を設置したほか、独自の配車アプリ・車両管理システム「クルーズ・エニウエア」の試験を行っていることなどが2018年夏ごろ、複数の関係者により明らかにされている。

2018年10月には、ホンダと自動運転技術を活用したモビリティの変革に向け協業を行うことを発表しており、タクシー分野においてもホンダが関わってくる可能性は十分考えられそうだ。

2019年に入ってから関連するニュースは出ていないが、近く大ニュースが飛び出すかもしれない。

ZMP×日の丸交通:日本国内初となる2020年実現目指す

自動運転タクシーの開発に向け2017年6月に協業を開始したロボットベンチャーのZMPとタクシー事業者の日の丸交通。遠隔型自動運転システムの公道実証実験のほか、2018年8月には営業実証実験を行うなど、2020年の実現に向け着実に歩みを進めている。

2019年4月には、この取り組みがAPEC(アジア太平洋経済協力会議)参加国におけるエネルギー構想に基づいた先進的な取り組みや実施例などを選考する「ESCIベスト・プラクティス・アワード」で、スマート・トランスポート部門においてベスト5に選出されるなど、世界的にも注目が高まっているようだ。

日産自動車×DeNA:新モビリティ実用化へ前進

無人運転車両を活用した新しい交通サービス「Easy Ride」を共同開発する日産とDeNA。「もっと自由な移動を」をコンセプトに、誰でもどこからでも好きな場所へ自由に移動できる交通サービスで、移動手段の提供にとどまらず、地域の魅力に出会える体験の提供を目指し、2020年代早期の実現に向け開発を進めている。

2018年2月に一般モニターを対象に神奈川県横浜市で実証実験を実施。2019年2月には、事前予約方式からオンデマンド配車方式に変えるなど、より実際のサービスに近い形で実証実験を行った。

Navya:6人乗りの「AUTONOM CAB」製品化

仏スタートアップのNavyaは、完全自動運転タクシー「AUTONOM CAB(オートノムキャブ)」を開発し、2018年に製品化したようだ。ハンドルやブレーキなどを備えない6人乗りの車両で、ライダーやカメラ、レーダーなどで周囲を監視するほか、非常停止ボタンや緊急時のハンドブレーキなども備えている。

同社の自動運転EVバス「NAVYA ARMA(ナビヤ・アルマ)」はすでに世界各国で走行しており、オートノムキャブも世界各地の企業が実証や実用化に向け活用する場面が増えそうだ。

百度:自動運転タクシー市場の急先鋒に、2019年後半の実用化目指す

中国メディアによると、中国ネット検索最大手の百度(バイドゥ)も、自動運転タクシーの運用開始を目指しており、2019年下半期にも実用化する見込みのようだ。

世界の自動車関連各社とアポロ計画で手を組む同社。自動運転タクシー関連では、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ・カーと製造開発を視野に入れた取り組みを進めている。実証を行いやすい中国で、協力各社の豊富な技術を取り入れながら開発を進めることで、自動運転タクシー市場の急先鋒に躍り出る可能性も十分考えられそうだ。

【参考】百度の取り組みについては「ウェイモに続く自動運転タクシーの商用化、「百度」が浮上」も参照。

ダイムラー×ボッシュ×エヌビディア:2019年実証実験着手、高い技術力で先行勢を脅かす存在に

技術開発力の高さで注目すべきなのが、独自動車大手のダイムラーと独自動車部品大手のボッシュ、米半導体大手エヌビディアの協業だ。3社は2019年にも米シリコンバレーで無人の配車サービスを試験的に開始する方針を打ち出している。

ダイムラーはこのほか、独BMWとモビリティサービス分野での共同事業やレベル4相当の自動運転車の共同開発などを発表しており、今後、無人配車サービスにBMWも絡んでくる可能性は極めて高い。世界有数の一大グループ形成により、先行勢を脅かす存在として今後の動向に注目が集まる。

【参考】ダイムラーとBMWの協業については「ダイムラーとBMW、レベル4級の自動運転車を共同開発」も参照。ダイムラーなどの取り組みについては「ダイムラーの自動運転戦略まとめ 計画や提携状況を解説」も参照。

■【まとめ】自動運転タクシー市場 2019年から2020年にかけ主導権争い本格化

このほかにも開発と実証を進める企業は多く、自動運転タクシー市場は2019年から2020年にかけて大きく動き出す見込みだ。限定条件付きで実証と実用化が始まり、技術の向上と法規制の改正に合わせる形で徐々に条件が解除され、自由な移動が拡大していくことになるだろう。

国内においてはZMPと日の丸交通、日産とDeNAの2グループが先行しているが、今後、例えばティアフォーが開発するパーソナルモビリティを活用する形で共同企業体が類似のサービスを展開する可能性なども考えられるだろう。海外においてはテスラがロボットタクシーサービスを2020年からスタートさせるという計画も報じられている。

無人運転が実現し、各移動サービスに自動運転技術が搭載されれば、ライドシェアはもとよりカーシェアなども次第に境界線があいまいになり、移動サービス体系が再構築されることになる。

こうした新しい時代がすぐ目の前まで迫っているのだ。

【参考】関連記事としては「ロボットタクシーとは?自動運転技術で無人化、テスラなど参入」も参照。







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