自動運転レベルとは?定義や違いは?徹底まとめ

レベル0〜5の6段階、運転主体や走行可能エリアに違い



自動運転レベルは、人(運転手)と車(システム)が担う運転動作の比率や技術到達度、走行可能エリアの限定度合いなどによって、レベル0からレベル5の6段階に分類されている。







自動運転レベルは当初、「米運輸省道路交通安全局」(NHTSA)の定義が世界的によく採用されていた。しかし、NHTSAがアメリカの「自動車技術会」(SAE)が示した基準を2016年に採用したことから、現在はこのSAEの6段階の自動運転レベルの定義が日本を含む世界においての主流となっている。

SAEの6段階の自動運転レベルの定義は2014年1月に初めて示された後、分類の明確化や用語定義の修正などが行われ、現在は2016年9月発行の第2版で示されている内容が最新のものとなっている。今後さらに改訂が行われる可能性もあるが、法整備や開発に混乱を生じさせることも考えられるため、しばらくはこの基準に沿っていくものと思われる。

日本では2018年2月、日本の公益社団法人「自動車技術会」(JSAE)がこの第2版の日本語翻訳版を発行した。運転自動レベルの定義が英語ではなく日本語で説明されていることもあり、日本の政府や業界の間でもこの日本語翻訳版の定義文章がたびたび引用されている。

【参考】SAEの第2版(2016年9月版)は、SAEに無料会員登録すれば「専用ページ」から無料でダウンロードできる。日本のJSAEが公開している2018年2月発行の翻訳版も、JSAEの「専用ページ」から無料で取得することが可能となっている。

この記事では、英文で書かれたSAEの第2版と自動車技術会の日本語翻訳版を見比べつつ、各自動運転レベルの定義について紐解いていきたい。

■各レベルの名称・主体・走行領域

自動運転化レベルの0〜6まで、それぞれレベルの名称と主体、走行領域、口語表現としての定義などが示されている。

段階名称主体走行領域
0運転自動化なし
1運転支援限定的
2部分運転自動化限定的
3条件付き運転自動化限定的
4高度運転自動化限定的
5完全運転自動化限定なし

自動運転レベル0(運転自動化なし)の口語的定義は「運転者が全ての動的運転タスクを実行(予防安全システムによって支援されている場合も含む)」とされている。自動運転機能を有していない従来の自動車がこのレベルに含まれる。

システムが警告を発するだけの予防安全システムなども、自動車の制御についてはドライバー自身が行うためレベル0に含まれるものと解される。

ちなみに自動運転レベル2では「ハンズオフ(手の解放)」、自動運転レベル3では「アイズオフ(目の解放)」、自動運転レベル4以上では「ブレインオフ(脳の解放)」が一定条件化で可能になる。

■自動運転レベル1:システム側が速度かハンドルの制御を担う


自動運転レベル1(運転支援)の口語的定義は「運転自動化システムが動的運転タスクの縦方向又は横方向のいずれか(両方同時ではない)の車両運動制御のサブタスクを特定の限定領域において持続的に実行。この際、運転者は残りの動的運転タスクを実行する事が期待される」とされている。

つまり自動運転レベル1では、アクセルとブレーキ操作による「前後」(加速・減速)の制御、もしくはハンドル操作による「左右」の制御のどちらかの監視・対応をシステム側が担う。残りの監視・対応は運転手が行う。

具体例としては、高速道路などにおいてあらかじめ設定した車速で自動的に加減速を行い、前走車に追従するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などがレベル1にあたる。

■自動運転レベル2:システム側が両方の制御を担う


自動運転レベル2(部分運転自動化)の口語的定義は「運転自動化システムが動的運転タスクの縦方向及び横方向両方の車両運動制御のサブタスクを特定の限定領域において持続的に実行。この際、運転者は動的運転タスクのサブタスクである対象物・事象の検知及び応答を完了し、システムを監督する事が期待される」とされている。

自動運転レベル2では「前後」と「左右」の監視・対応の両方をシステム側が担う。レベル2までは運転手がシステムを常に監督する必要があり、自動運転の主体は「人」ということになる。

【参考】自動運転レベル2については「【最新版】自動運転レベル2の要件や定義、機能を解説」も参照。

ちなみに一般的にレベル2相当と言われるADAS(先進運転支援システム)については、各社が独自ブランドでシステムを展開している。

トヨタ:Toyota Safety Sense

Toyota Safety Senseは、高速道路や夜間の走行、駐車・発進・停車など多彩な運転シーンに合わせた予防安全の機能パッケージだ。

ウインカー操作を伴わない車線逸脱を警告する「レーンディパーチャーアラート」や車線を中央走行するようハンドル操作をサポートする「レーントレーシングアシスト」、一定の車間距離を保った追従走行を可能とする「レーダークルーズコントロール」、衝突が予測される場合に警報を発する「プリクラッシュセーフティ」などで構成される。

レクサス:Lexus Safety System

レクサスに搭載されているLexus Safety Systemは、クルマのさまざまな安全システムを連携し、安全性を高めていくという「結合安全コンセプト」に基づき開発された「予防安全パッケージ」。全車速追従機能付のレーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシスト、レーンチェンジアシスト機能などを備えている。

レクサス:Teammate

レクサスに搭載されているTeammateは、自動運転に対するトヨタ自動車独自の考え方「Mobility Teammate Concept」に基づき開発された、AI技術搭載の高度運転支援技術だ。

「Advanced Drive」では自動車専用道路での速度調整や車線維持、車間維持や分岐などの運転支援が安全に行われ、ドライバーはその間ハンドル操作から解放される。「Advanced Park」は高度駐車支援技術であり、直感的なスイッチ操作で高度駐車支援を行ってくれる。駐車時のアクセルやブレーキ、シフトチェンジなどが全て自動で制御されるという。

日産:プロパイロット

日産自動車のADASと言えばプロパイロット。第1世代では一定速度域でインテリジェントクルーズコントロールやハンドル支援を行うことで話題になり、2019年9月に発売されたスカイラインには第2世代のプロパイロット2.0が搭載され、一定条件下においては高速道路の同一車線内でハンズオフ(手放し)運転が可能となった。

プロパイロット2.0では、ナビゲーションシステムで目的地を設定するとアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で制御し、ルート上にある高速道路の出口まで運転支援が行われる。

ホンダ:Honda SENSING

ホンダのADASはHonda SENSING。予め設定した速度で定速走行、また先行車と適切な車間距離を維持しつつ自動的に加減速を行う「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」や、先行車や歩行者との衝突を回避することができる「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」、車線のはみ出しを防ぎながらステアリング操作を支援する「路外逸脱抑制機能」などを備えていることで知られる。

スバル:アイサイトシリーズ

スバルのADASとしては、高速道路などでアクセル・ブレーキ・ステアリング操作を自動でアシストする「アイサイト・ツーリングアシスト」や、最新の高度運転支援システムである「アイサイトX」などがある。アイサイトXを搭載した新型レヴォーグは「渋滞時ハンズオフアシスト」や「渋滞時発進アシスト」などを実現している。

マツダ:i-ACTIVSENSE

マツダのADASとしては、ミリ波レーダーやカメラなど検知デバイスを使用したi-ACTIVSENSEがあり、ドライバーの安全運転をサポートする「アクティブセーフティ技術」と、衝突回避など事故のリスクを軽減する「プリクラッシュセーフティ技術」で構成されている。

自動で走行速度をコントロールする「マツダレーダークルーズコントロール(MRCC)」やドライバーのステアリング操作をサポートする「レーンキープアシストシステム」、アクセルの踏み間違いによる急発進を防ぐ「AT誤発進抑制制御」などを備えている。

■自動運転レベル3:緊急時を除き主体はシステム側に


自動運転レベル3から自動運転を担う主体は一定条件下で「システム」側に移る。

レベル3(条件付き運転自動化)の口語的定義は「運転自動化システムが全ての動的運転タスクを限定領域において持続的に実行。この際、作動継続が困難な場合への応答準備ができている利用者は、他の車両のシステムにおける動的運転タスク実行システムに関連するシステム故障だけでなく、自動運転システムが出した介入の要求を受け容れ、適切に応答することが期待される」とされている。

自動運転レベル3は簡単に言えば、一定条件下において全ての運転操作をシステム側が行うものの、緊急時には運転手が運転操作を担うという状態のことを指す。レベル2との大きな違いは、原則的にはシステム側の責任において全ての自動運転が行われるという点だ。

日本においては、道路交通法と道路運送車両法の改正で、2020年4月にレベル3が解禁された。法改正でレベル3のシステムを市販化モデルに搭載できることとなり、まずは高速道路などでの走行に限定した自動運転レベル3のシステムを各社が開発するとみられている。

市販化モデルでは独アウディが「A8」で先陣

市販化モデルにおけるレベル3は、独アウディが2017年に発売したフラッグシップセダン「Audi A8」が先陣を切った。高速道路や中央分離帯のある片道2車線以上の道路で、時速60キロメートル以下の低速で交通が流れている場合に、ドライバーに代わってシステムが全ての運転操作を引き受ける「Audi AIトラフィックジャムパイロット」を搭載可能としている。

ただし、公道利用には各国の法整備を要することなどから、実際にはレベル2に相当するADASを実装して販売しているのが現状だ。

日本メーカーではホンダがレベル3搭載車で先陣か

レベル3の市販化モデルではアウディのA8が先陣を切ったが、2019年12月にホンダがレベル3の搭載車両を販売する計画を明らかにし、広く話題になった。

ホンダはその後の2020年11月、国土交通省からレベル3システム「Traffic Jam Pilot(トラフィック・ジャム・パイロット)=TJP=」の型式指定を取得したことを発表し、TJP搭載のフラッグシップモデル「レジェンド」を2020年度中に発売する予定だと明らかにしている。

中国におけるレベル3車両の先陣は?

中国では、レベル3搭載車の一般市場参入への競争が加速している。中国のEV(電気自動車)スタートアップであるHuman Horizonsは、2020年末から生産を開始する完全電動車両「HiPhi X」に自動運転レベル3を搭載すると豪語している。2017年に創業したHuman Horizonsの自動運転技術については未知数な部分も多いが、OTA(Over The Air)によるソフトウェアアップデートで、最新のソフトウェアを保てることが特徴のようだ。

レベル3には「罠」も

こうした動きに対し、静観する動きもある。スウェーデンのボルボカーズは、レベル3を安全上「不確実」な技術とし、一段飛び越してレベル4の開発を進めている。米フォードもレベル3技術はレベル4と同程度に困難であると判断し、同様にレベル4の開発に注力しているようだ。

こうした背景には、レベル3に内在する人的要因がある。一定条件下において自動運転を可能とするレベル3は、システムから手動運転の要請があった際、ドライバーは速やかに運転操作を行わなければならないが、過信や慢心などにより手動運転が行われない可能性があるからだ。こうした点は「レベル3の罠」として知られている。

レベル3ではなくレベル2車両だが、米テスラ車のオーナーがシステムからの要請を無視して引き起こした交通事故などが、まさにこの懸念を象徴している。

こうした事態を避けるべく、ドライバーが要請に応じない場合に路肩へ安全に車両を停止させるなど被害を最小限に抑えるミニマル・リスク・マヌーバー(MRM)技術や、システムの作動状況を的確にドライバーらに知らせるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)技術、ドライバーの状況をシステムが監視するドライバーモニタリング技術などが求められている。

【参考】テスラ車の事故については「テスラ自動運転車の交通事故・死亡事故まとめ 原因や責任は?」も参照。

自動運転レベル3の国際基準が成立

日本では既に2020年4月から自動運転レベル3の車両の公道走行が解禁されているが、2020年6月には国連WP29(自動車基準調和世界フォーラム)において日本のレベル3と同等の国際基準が成立された。

成立された国際基準は、「乗用車の自動運行装置」と「サイバーセキュリティとソフトウェアアップデート」に分けられる。

自動運行装置(定義:高速道路等における60km/h以下の渋滞時等において作動する車線維持機能に限定した自動運転システム)に求められる主な要件としては、「自動運転システムが作動中、乗車人員及び他の交通の安全を妨げるおそれがないことについて、注意深く有能な運転者と同等以上のレベルであること」や「運転者が運転操作を引き継げる状態にあることを監視するためのドライバーモニタリングを搭載すること」などが挙げられている。

サイバーセキュリティとソフトウェアアップデートについては、「サイバーセキュリティ及びソフトウェアアップデートの適切さを担保するための業務管理システムを確保すること」などが挙げられている。

■自動運転レベル4:限定エリア内で運転手が不要に


自動運転レベル4(高度運転自動化)の口語的定義は「運転自動化システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において持続的に実行。作動継続が困難な場合、利用者が介入の要求に応答することは期待されない」とされている。

レベル4の特徴は、レベル3とは違って緊急時にも運転手が対応せず、全てシステム側が自動運転の主体として責任を持つことにある。つまり運転手は運転操作に参加することは想定されていない。ただ、レベル4の定義は「限定領域内」での自動運転とされているため、領域外で走行する場合に備えハンドルやアクセルを搭載したタイプと、領域内のみを走行するように特化したタイプの2種類が想定される。

前者は、手動運転も可能とした汎用性の高いタイプとなり、自家用車への導入の道も開けるが、より高度な技術とコストがかかることになる。

一方、後者はあらかじめ定まった経路を走行するバスや空港内など特定のエリア内で走行する送迎車、タクシーなどに向いており、商用性もあることからレベル4の中心はバスやタクシーといった移動サービスに向けられる可能性が高い。

米ウェイモがレベル4の自動運転タクシーで一歩リード

レベル4の実用化においては、グーグル系の米ウェイモが2018年12月、セーフティドライバーが同乗する形での自動運転タクシーサービスを有償で開始している。2020年10月にはセーフティドライバーなしでのサービス提供も一般向けに一部で開始しており、この領域で他社を一歩リードしている印象だ。

中国ではネット検索大手の百度(バイドゥ)が2020年9月、中国・重慶で自動運転レベル4搭載のバスを中国で初めてデビューさせたことが話題になった。ライドシェア最大手の滴滴出行(Didi Chuxing/ディディ)もすでに上海で自動運転レベル4のタクシーサービスの検証を開始している。

このほか、ダイムラーとボッシュが共同開発した自動バレーパーキングは、「駐車場」という限定領域化でレベル4を実用化しており、すでにメルセデス・ベンツ博物館の駐車場で導入されているほか、ドイツ国内の空港でも営業運用を開始する見込みとなっている。

自動バレーパーキングに関しては、中国ではHuman Horizonsが完全電動車両「HiPhi X」に世界初であるレベル4自動バレーパーキングシステムを搭載すると2020年9月に発表している。

国内では、DeNAと日産がレベル4技術を搭載した自動運転タクシーによる新しい交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を進めているほか、ロボットベンチャーのZMPも実証を重ねている。

自動運転ソフトウェアを開発するティアフォーやタクシー配車アプリを提供するMobility Technologiesなどが参加する実証実験も2020年11月に実施された。

■自動運転レベル5:どこででも自動走行が可能に


自動運転レベル5(完全運転自動化)の口語的定義は「運転自動化システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を持続的かつ無制限に(すなわち、限定領域内ではない)実行。作動継続が困難な場合、利用者が介入の要求に応答することは期待されない」とされている。

レベル5は運転手を必要とせず、走行エリアも限定されずにどんな場所の道路でも自動運転で走行が可能な状態のことを指す。そのため、ハンドルやアクセル、ブレーキなども必要とせず、車内の空間デザインの自由度も格段に増す。レベル4からレベル5に到達するためには、国・政府側の自動運転に対する法整備などのルール作りが必須になる。

車両設計の自由度が増すことで、ウィンドウが大型ディスプレイ化やボディとの一体化が進められるなど、室内空間は従来のクルマの概念にとらわれないものへと大きく変化する。移動が可能な一つの部屋、空間として認知されるようになり、日常生活の一部やあらゆるサービスが車内で行われるようになる。

なお、いかなる状況下においても自動運転を可能とするシステムに関しては、一部専門家から実現不可とする声も出ているが、レベル4におけるODD(運行設計領域)を少しずつ拡大していく形で、地道にレベル5の確立を目指す開発競争が続いていくものと思われる。

■【まとめ】市販車の主力がレベル2からまもなくレベル3へ

自家用車においては、現在は日本においても世界においても自動運転レベル2の技術を搭載した車両が最先端となっているが、まもなくレベル3の実用化が始まり、高級車種や戦略車種から導入が進み始める。導入状況によっては、MRMやHMIなどのより厳格な装備基準が定められるなど法改正の動きもありそうだ。

一方、レベル2は、ファミリーカーや軽自動車などへの標準装備化が進むとともに、限定条件が緩和されたより高度なレベル2へと進化していく。

商用車においては、レベル4の実用実証が加速し、これらの成果を踏まえ新たな法改正などの動きにつながっていくものと考えられる。

レベル3、レベル4とも本格的な普及はこれからだが、技術水準とともに法整備やインフラ整備も徐々に整ってきており、開発各メーカー、そして各国間の主導権争いはまだまだ続きそうだ。

(初稿:2018年4月9日/最終更新日:2020年11月15日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
登壇情報









関連記事