ダイナミックマップとは?(2022年最新版) 自動運転向け地図、トヨタの動きは?

マップデータの構造や開発企業など解説



自動運転業界では、一定条件下で自動運転が可能なレベル3の市販車が発売され、いよいよ自動運転時代の幕開けといった様相を呈している。レベル3はまだ運転手を必要とするが、次のフェーズであるレベル4では特定エリアでAI(人工知能)が全ての運転操作を担うようになる。







その実現のためには、車載センサーやAIの高度化はもちろんのこと、自車位置を正確に認識し、交通状況に応じた予測運転を行うための情報インフラが必要となる。その1つとして現在開発が進められているのが、高精度3次元(3D)地図にさまざまな交通情報などを付加した「ダイナミックマップ」だ。

ダイナミックマップは従来の地図情報と何が違い、情報のレイヤーはどうなっているのだろうか。また、自動運転においてどのような役割を果たすのだろうか。2022年時点におけるダイナミックマップの開発状況を含め、最新情報を紹介していこう。

記事の目次

■ダイナミックマップとは?

官民ITS構想・ロードマップ2016では、ダイナミックマップについて「道路及びその周辺に係る自車両の位置が車線レベルで特定できる高精度三次元地理空間情報(基盤的地図情報)及び、その上に自動走行などをサポートするために必要な各種の付加的地図情報(例えば、速度制限など静的情報に加え、事故・工事情報など動的情報を含めた交通規制情報など)を載せたもの」と定義している。

高精度3次元地図に車両やさまざまな交通情報を付加したデータベース的マップで、情報の更新頻度に応じて静的情報、準(准)静的情報、準(准)動的情報、動的情報の4層に分類した情報が統合されている。刻々と状況が変わる道路情報をリアルタイムで活用することが可能なデジタルインフラやデータベースとなる。

情報の種類情報の内容
動的情報周辺車両や歩行者情報など
準(准)動的情報事故情報や渋滞情報など
準(准)静的情報交通規制や道路工事の予定情報など
静的情報路面情報や車線情報など(=高精度3次元地図情報)

▼ダイナミックマップの概念/定義および、SIP-adusにおける取り組みに関する報告|第30回 SIP自動走行システム推進委員会 資料
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/iinkai/jidousoukou_30/siryo30-2-1-1.pdf

出典:第30回 SIP自動走行システム推進委員会・資料(クリックorタップすると拡大できます)
■ダイナミックマップの構成要素
高精度3次元地図

従来の平面的な地図情報に対し、各車線やガードレール、道路標識、横断歩道などさまざまな情報をより正確な位置で記録した空間的な地図。HDマップとも言い、ダイナミックマップの基盤となる部分である。

自車位置の特定に用いられている従来のGPSによる測位情報は、測位不能なケースや誤差が数十メートルに及ぶケースなどがあるが、自動運転において多大な誤差は大きな事故を招く一因となる。

そこで、2018年11月にサービスが開始される準天頂衛星システム「みちびき」の高精度測位サービスを活用することで、自車位置の誤差を数センチメートル級まで抑えることが可能になるが、これと同時に地図情報も限りなく誤差の少ない高精度なものとなる必要があり、さらに自動運転で必要とされるさまざまな情報を付加することで、より精度の高い自動運転が可能となる。

高精度3次元地図はカメラ、レーザースキャナーなどの3次元計測器、GPSなどの衛星測位機器などで構成されるMMS(Mobile Mapping System)という計測システムを用いて構築される。このシステムを搭載した車両を走行させることで、道路の形状といった路面情報や、車線情報、標識などの道路の周辺環境を、効率的に3次元データとして取得することが可能となる。

立体的な3次元データは、高速道路とその高架下の一般道の識別や立体交差の識別などのために、高さの情報を含む周辺環境のデータを取得することが可能で、これも自動運転には欠かせない情報となる。

静的情報

道路や道路上の構造物、車線情報、路面情報、恒久的な規制情報など、1カ月以内の更新頻度が求められる情報。いわばダイナミックマップのベースとなる地図情報。

準静的情報(准静的情報)

道路工事やイベントなどによる交通規制情報、広域気象情報、渋滞予測など、1時間以内での更新頻度が求められる情報。

準動的情報(准動的情報)

観測時点における実際の渋滞状況や一時的な走行規制、落下物や故障者など一時的な走行障害状況、実際の事故状態、狭域気象情報など、1分以内での更新頻度が求められる情報。

動的情報

移動体間で発信・交換される情報や信号現示情報、交差点内歩行者・自転車情報、交差点直進車情報など、1秒単位での更新頻度が求められる情報。

協調領域と競争領域

高精度3次元地図データを活用する上で、協調・競争領域を設けることにより、地図情報を効率的に提供することが可能となる。自動車会社などが共通して利用する地図データを協調領域として提供し、各社はそこに独自情報を追加するなど加工して付加価値をつけることで、新たな商品やサービスを生み出すことが可能になる。

■ダイナミックマップの必要性

ダイナミックマップの高精度3次元地図と、全球測位衛星システム(GNSS)や車載センサーから得られるデータを照らし合わせることで、自車位置と周辺環境の把握をより正確に行うことができる。また、ダイナミックマップの動的情報をもとに、周辺車両などの挙動を推測することで、見通しの悪い交差点などのセンサーの死角を補い、高い安全性を確保することも可能となる。

ADAS(先進運転支援システム)を搭載する自動運転レベル2(部分運転自動化)においては、車両はカメラなどの車載センサーをもとに車両単体で周辺環境認識を行っているが、半自動運転となる自動運転レベル3(条件付き運転自動化)や完全自動運転車となる自動運転レベル4以上の車両においては、車両単体ではなく各種インフラと協調することでその信頼性を高める必要があり、ダイナミックマップは情報インフラとしてその役割を果たすことになる。

■ダイナミックマップセンターに求められる機能

ダイナミックマップは一度完成すれば永遠に使えるものではなく、随時更新し管理する必要がある。そのため、ダイナミックマップの運用にはデータを取り扱うセンターのような組織が必要で、以下の機能が求められる。

MMS計測データ入力機能

走行しながら建物や道路の形状、標識、ガードレール、マンホールなどの3次元位置情報を取得する移動式高精度3次元計測システムMMSを搭載した車両からデータを取得し、入力・保存する。

生成機能

MMS計測データから高精度3次元地図を作成する。また、公共情報やプローブ情報から、準静的情報・準動的情報を生成する。

データベース管理機能

データベースに高精度3次元地図や準静的情報、準動的情報を登録・変更・削除する。

高精度3次元地図配信機能

提供用の高精度3次元地図ファイルを作成し配信する。

差分検出・更新判定機能

MMS計測データや公的情報、プローブ情報から高精度3次元地図の差分や更新カ所を検出する。

公共情報入力機能

公共機関から道路交通情報などの公共情報を入力・収集する。

セキュリティ機能

ユーザー認証、データの暗号化、通信の暗号化など機能を実現する。

品質管理機能

高精度3次元地図や準静的情報、準動的情報の品質確認、管理を行う。

■ダイナミックマップをめぐる国際的な動き

ダイナミックマップの基盤となる高精度3次元地図の整備が各国で進められているが、ここで重要となるのが国際規格だ。各国の高精度3次元地図の規格が大きく異なると、自動運転車の輸出入の障害となりかねない。

日本では高速道路のマッピングが完了し、ハンズオフ運転を可能とする自動運転レベル2や条件付きで自動運転を可能とするレベル3搭載車両がすでに高精度3次元地図を活用している。ホンダの新型レジェンドが代表だ。

今のところレジェンドは国内の高速道路のみを対象としているが、将来輸出する場合を想定してほしい。例えばEU圏に輸出し、そのエリアでレベル3を実現するケースだ。当該エリアの高精度3次元地図が必要となるが、この輸出先で用意されている高精度3次元地図の仕様が日本版と大きく異なる場合、レジェンドはレベル3を発揮することができない。あるいは、その別仕様の地図に対応するため、自動運転システムをプログラムし直さなくてはならない。

この手間は、業界全体の損失と言えるほど無駄な労力となる。高精度3次元地図は共有すべき情報インフラとして、各国の事業者が一定規格のもと作製することが重要となる。自動車メーカーは、この一定規格に従った開発を進めることでグローバルな展開を図りやすくなる。

こうした国際規格「ISO 14296(協調ITSにおける地図データベース仕様の拡張)」は、日本主導のもと2016年に発行されている。ダイナミックマップにおける静的情報、つまり高精度3次元地図に関し国際標準化を図る取り組みだ。

具体的に何をどこまで標準化したものかは分からないが、用語や記号の定義などをはじめ、アプリケーションや機能要件、論理データモデルなどについて細かく定められているようだ。ダイナミックマップにおいても同様に国際標準化活動が進められている模様だ。

■ダイナミックマップの自動運転以外への応用

ダイナミックマップや高精度3次元地図は、そのノウハウを活用することで駐車場や工場内などにおける自動運転や歩道における自動走行ロボットの実用化などにも役立てることができる。また、用途を自動運転のみに限定することなく、道路交通を網羅する情報インフラとして幅広い活用が望まれる。

動的情報などを紐づけるシステムは、走行中の自動車が生成するさまざまなデータをビッグデータ化し、渋滞や交通事故をはじめとした交通課題に対応する交通政策の立案に寄与する。防災対策や災害時の対応などにも役立てられるほか、交通流をもとに商業や観光振興などの分野で活用することもできそうだ。

道路上の変化を抽出する技術は、膨大な労力を要する道路インフラの管理面で役立てることも可能だ。

すでに自動運転から派生した地理系データの活用を促進する動きも出ている。NTTデータは2021年4月、交通環境情報ポータルサイト「MD communet」の一般公開を開始した。

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期における地理系データの流通促進に係る取り組みの中で作製したもので、モビリティ分野の多種多様な交通環境情報の所有者と、こうした情報をもとにビジネス活用を目指す利用者のビジネスマッチングを支援し、新たなビジネス創出を促進するポータルサイトと位置付けている。

MaaSや自動運転、物流、気象など散在するモビリティ分野の各種交通環境情報を、市場に流通しているデータをはじめ、市場に出ていない国や企業が保有するデータなどの特徴的なデータに至るまでカタログ情報として集約し、交通環境情報のニーズ・シーズのマッチングを促進する。

ユースケースとしては、物流事業者向けナビアプリの開発や、生活動線と観光動線が混在する観光都市部における課題解決、緊急車両の効果的な出動支援、建設車両の運行管理、案内ルートの付加情報表示による利用者行動支援などが挙げられている。

■ダイナミックマップの開発状況

日本国内の高精度3次元地図は、国策のもと民間各社が結集して設立した「ダイナミックマップ基盤(DMP)」が開発・整備を進めている。

2020年度までに国内高速道路や自動車専用道路の上下線計3万1,777キロをカバーしており、ハンズオフ運転を可能にする日産のADAS「ProPILOT2.0」や、レベル2、レベル3を実現するホンダの「Honda SENSING Elite」で採用されている。

DMPは今後、現在のデータを維持しつつも新たな価値と優れたコストパフォーマンスを備えた次世代の高精度3次元地図データを2023年度から導入する方針で、これに合わせて対象を一般道路まで拡大し、2023年度に約8万キロ、2024年度には約13万キロをカバーする計画を打ち出している。

また、現在日本と北米向けで異なる高精度3次元地図のデータフォーマットの統一も図る。国ごとに生じる車両のシステム開発や評価の負荷を軽減し、開発期間の短縮や開発コストの削減など開発効率化に貢献していくとしている。

■ダイナミックマップを開発する企業・団体

続いて、高精度3次元地図やダイナミックマップを開発する国内企業と海外企業を紹介する。以下が主な企業の一覧だ。

企業概要
ダイナミックマップ基盤(日本)自動車メーカー各社が出資
三菱電機(日本)「自動図化・差分抽出ソフトウェア」を販売
アイサンテクノロジー(日本)測量大手、大規模点群編集ツールなど
インクリメント・ピー(日本)オランダHEREと提携
ゼンリン(日本)高精度地図データなどを展開
パスコ(日本)計測車両システムを運用
ウーブン・プラネット(日本)地図生成プラットフォーム「AMP」を展開
HERE(オランダ)2020年1月に3D道路モデル「HERE Lanes」を発表
TomTom(オランダ)自動運転向けの高精度マップを発売済み
NavInfo(中国)位置情報サービスやHDマップなどを展開
MapBox(アメリカ)ソフバンクグループが出資
DeepMap(アメリカ)NVIDIAが買収
ダイナミックマップ基盤:ダイナミックマップ構築の中核をなす事業会社
出典:ダイナミックマップ基盤公式サイト

SIPでダイナミックマップの仕様などを検討してきた「ダイナミックマップ構築検討コンソーシアム」の6社と自動車メーカーらが共同出資のもと設立した事業会社。

全国の自動車専用道路に係るダイナミックマップ協調領域と高精度3次元地図データの生成・維持・提供、インフラ維持管理や防災・減災など高精度3次元地図データを用いた多用途向けビジネスの展開、海外向けビジネスの展開、一般道整備に向けたビジネスの展開などを担っている。

出資企業には、三菱電機、ゼンリン、パスコ、アイサンテクノロジー、インクリメント・ピー、トヨタマップマスター、いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、日野自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業など自動車業界や地図・位置情報関連企業をはじめ、産業革新機構(INCJ)やジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ、三井物産、三菱UFJキャピタルが名を連ねている。

2019年に同業の米Ushrを買収し、北米における事業も本格展開している。

三菱電機:測位技術やマッピング技術生かし多方面で開発進める

AIと三菱モービルマッピングシステム(Mobile Mapping System)=MMS=の技術を活用し、高精度3次元地図を効率的に作成・更新できる「自動図化技術」と「差分抽出技術」を開発し、地図メーカーなどに対して、高速道路用高精度3次元地図向けの「自動図化・差分抽出ソフトウェア」を販売している。

MMSは3台のGPSアンテナとIMU、カメラ、レーザースキャナーを一体化したユニットで、自動車の天板上に装備して道路を走行することで絶対精度10センチ以内、相対精度1センチ以内の高精度な3次元計測を行うことができる。

アイサンテクノロジー:豊富な実証経験をもとに存在感発揮
撮影:自動運転ラボ

MMSを活用した測量技術をはじめ、大規模点群編集ツールや後処理ソリューションなどさまざまなソフトウェアの開発も手掛けている。

多くの自動運転実証に参加しているほか、自動運転に必要とされる路面ペイントや 標識、電柱、ガードレール、信号といった地物情報や仮想車線中心線などの仮想地物も取り入れた汎用性の高い自動運転用高精度3次元地図「ADASmap」もソリューションとして提供している。

【参考】アイサンテクノロジーについては「自動運転分野に注力!測量大手アイサンテクノロジー、最新決算資料を読み解く」も参照。

インクリメント・ピー:世界規模のデジタルマップ構築へ HERE社と提携
出典:インクリメント・ピー公式サイト

デジタルマップビジネスを展開するインクリメント・ピーは、カーナビ事業などをベースに日本全国のデジタル地図データを自社整備しており、道路情報において業界トップレベルの鮮度と情報量を誇る。

自動運転関連では、オランダの位置情報サービス大手HERE Technologies(ヒア・テクノロジーズ)が推進しているグローバルデジタルマップの構築に向け、中国のデジタル地図サービス大手NavInfo、韓国の通信事業大手SK Telecomとともに「OneMap Alliance」を結成している。

2021年5月には、HERE Technologiesとの連携を強化し、位置情報データを一元化したプラットフォーム「HERE Marketplace」に自社の地図データ提供を開始したことを発表した。自動運転時代を見据えた業界全体の開発加速に加え、世界各国の企業による日本の地図情報を活用した新業態の事業開発やマーケティング活動など多用途な活用を見込む。

ゼンリン:地図情報大手 高精度地図データ提供やプラットフォームの検証

地図国内最大手のゼンリンもデジタル分野の取り組みを加速しており、高精度地図データやプラットフォームサービスなどを提供している。

ダイナミックマップ基盤のデータを基にした同社の3D高精度地図データは、すでに日産の「ProPILOT 2.0」やホンダの「Honda SENSING Elite」などに採用されており、正確な自車位置測位や道路環境認識の支援、走行レーンの先読み・ルート作成などに役立てられている。

また、シェアリングサービス向けにプローブ情報をそれぞれのレイヤー上に示すことで各車の現在地を可視化するサービスなどを手掛けているようだ。

協業関係では、日本における高度かつリアルタイムなトラフィックサービスの実現に向け、2017年にTomTomとゼンリンデータコムと共同開発することに合意している。

国内では、2020年にNTTと資本業務提携を交わし、高度地理空間情報データベースの共同構築を進めている。

パスコ:計測車両システム「Real Dimension」の運用開始

測量事業を手掛けるパスコもMMSを活用した高精度3次元地図の作製を早くから進めている。2020年には、路面性状計測と道路空間3D座標点群の取得、全周囲連続カメラ画像の撮影を1度の計測走行で可能にする新たな計測車両システム「Real Dimension(リアルディメンション)」の本格運用も開始している。

最先端の3次元計測技術の実用化を図るとともに、大容量データを効率的に加工・処理し情報を視覚化するソリューションを提供し、道路分野における3次元データの活用を推進していく構えだ。

ウーブン・プラネット・ホールディングス:オープンプラットフォーム「AMP」開発

トヨタグループにおける最先端技術開発部門としてTRI-ADから組織再編したウーブンは、高精度3次元地図生成に向けたオープンソースのプラットフォーム「AMP(Automated Mapping Platform)」の開発を進めている。

市販車に搭載されたカメラ画像や衛星画像を用いた高精度地図生成実証や、AMP上の車両データ形式を変換し、アルゴリズムを補正することで他社のプラットフォームで活用する技術実証なども行っている。

2020年4月には、AMP活用のもと車両センサーで収集した画像などのデータから道路上の変化箇所を検出することでDMPの高精度3次元地図の効率的な更新を行う実証にも着手したほか、2021年7月には次世代道路情報解析に強みを持つ米CARMERAの買収を発表するなど、取り組みをいっそう加速している。

海外勢も研究開発を加速

海外勢では、HERE TechnologiesやTomTomといったオランダ勢を筆頭に、中国のNavInfo、米MapBoxなど、スタートアップをはじめさまざまな企業が高精度3次元地図の作製や関連技術の開発などを進めている。

また、DMPによるUshrの買収やウーブンによるCARMERAの買収など技術強化の向けた取り組みも熱を帯びており、2021年6月には半導体大手米NVIDIAがDeepMapを買収している。

自動運転関連企業では、イスラエルのMobileyeが地図をクラウドソース化する技術「REM」を活用し、自社ソリューションを搭載した車両から収集した画像データでマップ「Mobileye Roadbook」を作製する取り組みを進めている。

▼HERE Technologies公式サイト
https://www.here.com/jp
▼TomTom公式サイト
https://www.tomtom.com/en_gb/navigation/
▼NavInfo公式サイト
http://www.navinfo.com/en
▼MapBox公式サイト
https://www.mapbox.jp/

【参考】高精度3次元地図開発企業については「自動運転向け地図・マップ、必要な要素や開発企業を徹底まとめ」も参照。

■【まとめ】整備路線の拡大や更新技術が喫緊の課題に

高度なレベル2やレベル3搭載車両の登場により、高速道路を中心に高精度3次元地図の実用化はすでに始まっている。今後は、整備路線の拡大とともにより効率的なデータ更新技術・手法を確立し、自動車業界におけるスタンダードな情報インフラとして利活用を促進していくことが求められそうだ。

また、各種情報をリアルタイムで付加しダイナミックマップを形成する基盤づくりや、他産業への応用なども同時に進められていくものと思われる。

自動運転技術を支える要素技術として、また次世代のスマート社会を支える産業基盤の一つとして、新たな価値の創出に高い期待が寄せられるところだ。

■関連FAQ
    ダイナミックマップとは?

    道路や建物などの高精度3次元データに、自動運転をサポートするためのさまざまな情報を加えたデジタルデータのこと。

    高精度3次元データに付加されるデータの種類は?

    「動的情報」「準動的情報」「準静的情報」の3種類だ。動的情報は信号情報は歩行者情報、準動的情報は事故情報や渋滞情報、準静的情報は交通規制の予定情報や道路工事の予定情報などのことを指す。ちなみに「静的情報」は高精度3次元データのことを指す。

    日本でダイナミックマップを開発もしくは関連事業を展開している企業は?

    最有力企業は、自動車メーカー各社が出資するダイナミックマップ基盤だ。三菱電機やアイサンテクノロジー、ジオテクノロジーズ(旧インクリメント・ピー)、ゼンリン、トヨタ子会社のウーブン・プラネットなどもこの分野で事業を展開している。

    海外でダイナミックマップを開発もしくは関連事業を展開している企業は?

    オランダ企業が先行しており、オランダ勢としてはHEREやTomTomが挙げられる。中国ではNavInfo、アメリカではMapBoxのほか、NVIDIAが買収したDeepMapなどがある。

    ホンダの自動運転車が採用しているデジタルタップは?

    ホンダは、自動運転レベル3を実現する「Honda SENSING Elite」の搭載車種で、ダイナミックマップ基盤が作製した高精度3次元地図を採用している。ただし、採用しているのは「高精度3次元地図」であって「ダイナミックマップ」ではない点、誤解しないようにしたい。

(初稿公開日:2018年9月23日/最終更新日:2022年3月21日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









関連記事