ほぼ無名の「テスラのライバルTensor」もロボタクシー展開

ライドシェアLyftが旧AutoXとタッグ



出典:Lyft公式サイト

米国のスタートアップであるTensor(テンサー)が、2027年から北米および欧州で数百台規模のレベル4自動運転タクシー(ロボタクシー)を展開する計画を2025年10月12日に発表した。米ライドシェア大手のLyftとの提携により、サービスを提供していく。

米EV(電気自動車)大手のテスラがロボタクシー事業に参入し大きな話題となったが、テスラはいまだセーフティドライバー同乗のもと運行を行っており、本当の意味での自動運転車とは言えないという声も多い。そんな中、サービス開始は再来年ではあるものの、Tensorがレベル4での自動運転走行を行うと発表し、テスラの技術レベルをあっさりと抜いていく可能性が大きくなった。


TensorはかつてAutoXという社名で知られていた自動運転開発企業だ。同社は中国と米カリフォルニア州を拠点に自動運転タクシーの実用化を進めていたが、最近の車載向け中国製ソフトウェアに対する米国政府の規制回避のため、米国拠点にあるAutoXチームを分社化させ、別会社としてTensorを米国に設立させたという経緯がある。

先駆者のWaymoのようなレベルと規模で次にロボタクシーを実現するのはTensorかもしれない。

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■ロボタクシー車両を一般向けにも

Tensorの自動運転車は、NVIDIAの最先端コンピューティング・プラットフォームを搭載しており、レベル4の自動運転機能を備えている。自動運転レベル4では、特定の条件下であれば人間の介入なしで走行可能だ。

このほどTensorとのパートナーシップを発表したLyftは、この車両を数百台規模で自社フリート向けに直接購入する計画である一方、一般消費者にも「Lyft-Readyモデル(Lyft対応モデル)」として販売し、個人使用していない時間帯にアプリを通じて収益化できるようにする方針だという。


TensorとLyftは、この画期的な二本立てのアプローチにより自動運転技術へのアクセスを一般化させ、個人の車両所有者がライドシェアによりコストを相殺できる仕組みを提供する可能性があると自信を見せている。

出典:Lyft公式サイト

■Lyftが提携先に選んだTensor

Tensorは過去にAutoXという名前で活躍していた。2016年設立のAutoXは2017年にカリフォルニア州で最初の自動運転テスト許可を取得し、同州の公道でのテストを開始した。現在は中国での事業を完全に終了し、Tensorへと再編された形となる。現在、カリフォルニア州サンノゼを拠点に研究・開発を行っている。

Tensorが2025年9月に発表した自動運転車は、一般ドライバーが利用できる車両となる。これまでに実用化された自動運転車はロボタクシーとして活用されており、個人利用向けの車両はほとんどなかった。そのためTensorの自動運転車が発売されれば、世界初となる消費者向けのレベル4自動運転車になる予定だ。

この車両の大きな特徴は、完全自動運転モードに切り替わるとハンドルがダッシュボード部分に格納される機能を備えているという点だ。Tensorの自動運転車「Robocar」は、テスラのEVに似たようなデザインとなっている。しかし同社の説明によると、部分的な自動運転であるテスラ車とは異なり、ドライバーのいらない完全自動運転機能を持つ車両だという。


■ライドシェア企業と自動運転企業のタッグ

2018年に世界で初めてロボタクシーサービスを商用化したWaymoは、最近はライドシェア最大手の米Uberのプラットフォームを活用して、ジョージア州アトランタとテキサス州オースティンでサービスを提供している。

Uberは米EVメーカーのLucidおよび自動運転スタートアップのNuroと、次世代自動運転ロボタクシープログラムで2025年7月に提携した。Uber専用のロボタクシー車両を今後6年間で20,000台以上、世界中の数十の市場に展開する計画だ。Uberはロボタクシーのプラットフォーマーにとどまらず、自社でも車両を所有していく。

このたびTensorと提携したLyftは、これまで自動運転スタートアップの米May Mobilityや、自動車部品大手の米Aptivと韓国ヒョンデの合弁Motionalとパートナーシップを結びロボタクシーの取り組みを行ってきた。LyftもTensorの車両を購入し、自社所有する。

なおテスラのロボタクシーは自社アプリでの配車となっている。Waymoもエリアによっては自社アプリを介しての配車になる。ロボタクシーの実用化に進むにつれ、自動運転開発企業がライドシェア企業と組んでサービスを行うほか、自動運転開発企業が自社アプリでのサービス展開、ライドシェア企業が自社車両で直接サービスを提供…といったさまざまなルートが出てきている。

【参考】関連記事としては「自動運転中は「ハンドル格納」!米国で新タイプ登場」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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