自動運転レベル4の定義や導入状況を解説&まとめ 実現はいつから?

法整備やインフラ整備が急務


自動運転レベル3(条件付き運転自動化)搭載車両の市販化が世界で始まっている。次の市販化のハードルは自動運転レベル4(高度運転自動化)となった。







運転においてドライバーとシステムが混在するレベル3に対し、レベル4は基本的にシステムが運転を担うこととなる。レベル4以上が本当の意味での自動運転とする自動車メーカーは多く、ここに重点を置いた開発に力を注いでいる。

また、レベル4の実現に向けては、法律やインフラなど整備しなければならない諸問題も湧き出てくる。そこで、現時点における各国の政策状況やメーカーの開発状況などをまとめ、具体的な実現時期を明らかにする足掛かりにしてみようと思う。

記事の目次

■自動運転レベル4の定義・要件

自動運転レベル4(高度運転自動化)の口語的定義は「運転自動化システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において持続的に実行。作動継続が困難な場合、利用者が介入の要求に応答することは期待されない」とされている。

わかりやすく言い換えれば、一定の路線や自動車専用道路、空港の敷地内など、限定された領域においてドライバーを必要としない自動運転が可能となるのがレベル4だ。

運転主体が人からシステムに移行し、より高度な周辺検知能力や解析能力、情報受発信能力などが必要となるため、道路交通法をはじめとする関係法規の改正をはじめ、イベント・データ・レコーダー(EDR)の義務化など車両の安全基準の策定や、遠隔管理システムの在り方、地理空間情報といった新たな交通インフラの整備などが求められる。

■自動運転レベル4実現への各国の取り組み
日本:2020年までに移動サービス、2025年めどに自家用車へ拡大目指す

官民ITS構想・ロードマップ 2018によると、自家用車においては2020年までにレベル2、できればレベル3を実現し、2025年をめどに高速道路におけるレベル4の実現を目指すこととしている。

また、物流サービスでは2021年までにレベル2以上の高速道路におけるトラックの後続車有人隊列走行を実現し、2022年以降に後続車無人隊列走行、2025年以降レベル4の完全自動運転の実現を目標に掲げている。

移動サービスでは、2020年までに限定地域におけるレベル4の無人自動運転サービスの実現を目指しており、例えば過疎地などの比較的交通量が少なく見通しの良いエリアや大学構内、空港施設内など比較的走行環境が単純なエリアにおいて、低速かつあらかじめ定められた特定のルートのみを運行するケースが想定される。

そして世界の注目を集める東京オリンピック・パラリンピックは、技術開発力をPRする格好の場だ。安倍晋三首相も前向きな姿勢で、官民一体となって実証実験などを進めている。

五輪のワールドワイドパートナーを務めるトヨタ自動車は、モビリティサービス専用次世代電気自動車「e-Palette」とその運行システムの提供、大会公式車両として燃料電池自動車「MIRAI」の提供、燃料電池バス「SORA」などにより大会全体を側面支援、自動運転レベル4相当の実証実験やデモを行うなどし、世界各国に新たなモビリティの形を提案していく構えだ。

また、トヨタ自動車以外の各社も、溢れる観光客への対応として五輪会場や周辺などの限定領域において、無人タクシーや無人バスを運行する機会が創出されそうだ。

【参考】日本政府の関連施策については「内閣府SIP第2期「自動運転」を完全解説 目標や研究開発内容、実証実験の実施計画は?|自動運転ラボ」も参照。官民ITS構想・ロードマップ 2018は「こちら」から。

米国:米国統一ルール制定、高度自動運転の実現に前進

米国では、2017年9月に連邦法「車両の進化における生命の安全確保と将来的な導入および調査に関する法律(SELF DRIVE Act.)」が下院を通過した。これまで自動運転車に係る規制は各州独自に法制化を進めてきたが、州ごとに要件が異なっていたことから米国統一ルールとして連邦法の制定が検討されている。法案には、自動車安全基準の見直しやメーカーに安全性評価証明書の提出義務付け、州の権限などが盛り込まれている。

また、同月にはNHTSA(国家道路交通安全局)が12項目の推奨ルールを規定した製造者向けのガイドラインの改訂版「自動運転システム2.0:A Vision for Safety」を公表している。

欧州:道交法改正したドイツが一歩リード、EUも世界の主導権獲得に向け基準作り進める

ドイツでは2017年5月、レベル3を実用化する道路交通法改正案が議会で可決された。高度・完全自動運転機能を備えた車両の運行は、高速道路のみでの使用など規定通りに運用される場合に許可することとしているほか、運転者の注意義務や事故の際の賠償責任などが盛り込まれている。

また、欧州連合(EU)の欧州委員会は2018年5月、完全自動運転社会を2030年代に実現するための工程表(ロードマップ)を発表した。これによると、2018年内に域内各国の自動運転車の安全基準の統一を図るための指針の作成に着手し、2020年代に都市部での低速自動運転を可能にし、2030年代に完全自動運転が標準となる社会を目指すこととしている。

【参考】欧州における自動運転実現の見通しについては「EUは「2030年代」に完全自動運転を実現 100兆円市場誕生に期待|自動運転ラボ」も参照。

中国:EV・自動運転分野で国内企業が躍進

中国はウィーン条約、ジュネーブ条約両方を批准していないため国際的な縛りはなく、国策として電気自動車(EV)や自動運転の開発に力を入れている。これまで無人運転による公道実験は北京や上海で認めていたが、2018年に新たなガイドラインを発表し、どの都市でも公道走行実験が可能となった。

国策に乗る中国企業の成長は目覚ましく、政府の強い主導力のもと各国を追い抜く勢いを有する。

■自動運転レベル4の車種・サービス例
トヨタ自動車(日本):B2B向けに多目的に活用可能な「e-Palette Concept」発表

2018年1月に米ラスベガスで開催されたCESに出展した「e-Palette Concept」は、レベル4相当の技術搭載を想定したコンセプトモデルとなっている。電動化、コネクテッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVで、移動や物流、物販などさまざまなサービスに対応できる自由度の高い室内空間を有する。

DeNA×日産自動車:無人タクシー公道で実証、早期実現へ

レベル4技術を搭載した自動運転タクシーによる新しい交通サービス「イージーライド(Easy Ride)」の実証実験を2018年3月に行った両社。横浜みなとみらい地区の限定区域において、遠隔管制センターのサポートのもと無人による自動走行を実現した。車両には6個のLiDARのほか、前方確認用のステレオカメラや単眼カメラ、レーダーなども備えている。

また、DeNAは国土交通省が進める実証実験においても、GPSやIMUにより自車位置を特定し規定のルートを走行することができる自動運転バスを公道で走らせている。

ゼネラルモーターズ(米国):無人タクシーを2019年実用化、準備着々

無人運転の量産車を2019年にも実用化する方針を発表しているGM。小型電気自動車をベースとした無人タクシーとしての利用を考えており、車両にはハンドルやペダル類は備わっていないという。米交通当局に車両の運行許可も申請済みで、米国内に充電ステーションの建設を進めていることも明らかになっている。

グーグル系ウェイモ(米国):2018年中にも無人自動運転車による配車サービス開始

他社に先駆けて自動運転車の開発に本腰を入れてきた米グーグル系の自動運転車開発企業ウェイモ。米アリゾナ州フェニックスを中心に公道走行試験を重ねており、2018年内に同州で無人の自動運転車による有料配車サービスを開始することを発表している。

サービスには欧米の自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)や英ジャガー・ランドローバーの車両が使用される見込みで、2018年5月にはクライスラーのミニバン6万台余りを購入したとの報道も流れている。

アウディ(ドイツ):レベル3搭載の「A8」に続くレベル4の「エレーヌ」2019年にも実用化

フランクフルトモーターショー2017や東京モーターショー2017などでコンセプトカー「エレーヌ」を披露。人工知能「アウディAI」を搭載し、高速道路において時速130キロメートル以下であれば、車線変更を含む自律走行が可能となっているほか、自ら駐車スペースを見つけたり充電ステーションを探したりする機能なども備わっている。

欧州では2019年、日本では2020年の導入を目指しているという。

ボルボ(スウェーデン):2021年にレベル4搭載「XC90」発売へ

レベル4の自動運転技術を搭載した新型SUV「XC90」を2021年に発売すると発表したボルボ社。「Highway Assist」と名付けられた自動運転機能を搭載し、クラウド上にある情報を基にシステムがナビゲーションを行い、自動運転の「目」となるLiDAR(ライダー)や車載カメラ、車間探知レーダーを活用しながら車両を目的地まで走らせるという。

ルノー(フランス):B2B活用視野に「EZ-GOコンセプト」発表

ジュネーブモーターショー2018で初公開したEVロボットカー「EZ-GOコンセプト」は、車両が前走車との距離を検知し、停車や車線変更などを自動で行う。走行速度は時速50キロメートルに制限している。

車内は、車両の進行方向に向かって乗員が横向きに着座するベンチシートを採用。個人利用だけでなく、カーシェアリングやライドシェアなどB2B(企業間取引)サービスへの活用も視野に入れているという。

アストンマーティン(英国):手動運転切り替え可能な「ラゴンダ・ビジョン・コンセプト」発表

2021年から生産開始予定のラゴンダブランドの新型EVコンセプトカー「ラゴンダ・ビジョン・コンセプト」をジュネーブモーターショー2018で発表した。

ハンドルは必要に応じて格納や左右への移動が可能で、自動運転時には前席を180度回転させて対面乗車することもできるという。車両の周辺環境を360度監視するシステムを搭載し、常時インターネット接続、専用のコンシェルジュサービス、高度なコネクティビティ、サイバーセキュリティを備える。

百度(中国):自動運転EVバス「アポロン」実用化に向け各地で走行実験

中国ネット検索最大手の百度(バイドゥ)が2018年7月に発表した自動運転EVバス「Apolong(アポロン)」。レベル4相当の自動運転ソリューションを搭載しており、観光地や工場の敷地内など限定領域での完全な自動運転が可能で、車両にはハンドルや運転席なども設けられていない。

すでに受注に向けた販売活動を開始しており、中国各地などで商業化に向けた運用試験が始まっている。

BYTON(中国):中国発EVスタートアップ、2020年にレベル4実現へ

BMW出身のエンジニアが2017年に立ち上げた新興EVメーカーのバイトン社。CESアジア2018において、同社2番目となるEVコンセプトカー「K-byte Concept」を発表した。将来的にレベル4の自動運転を可能とした電動サルーンで、自律走行技術を生かすため従来のセダンの型にとらわれない発想を導入している。

段階的に自動運転レベルを引き上げていくこととしており、2019年にレベル3、2020年にレベル4の実現を掲げている。

ZF(ドイツ):部品メーカーの技術結集したレベル4向けコクピットシステム発表

レベル4の開発は自動車メーカーに限ったものではない。自動車部品メーカーのZFも2018年夏に次世代モビリティをテーマに開催した「テクノロジーデイ2018」で、レベル4向けのコクピットシステム「トレンドセッティングコクピット」を発表している。

ハンドルやペダル類は未装備で、ドライバーは左右どちらのシートにも座ることができる。手動操作も可能で、3個のモニターが情報を表示し、センターコンソールに配置されたジョイスティック状の統合制御レバーで加減速や方向転換などクルマの前後左右の動きをコントロールできる。

■手動運転も可能にするかどうかという議論

レベル4搭載車は、大きく2パターンに分けられる。一つは限定領域のみを無人で走行する車両、そしてもう一つが限定領域においては無人、それ以外では手動で運転を行うことが可能な車両だ。後者の場合は手動運転機能が備わっており、一般道走行のためドライバーも乗車していることから問題はないが、前者のケースには少し厄介な問題が潜んでいる。

無人走行のみを前提とした場合、手動運転装置を設けるべきかどうか。前述したGMのように、ハンドルやペダル類を省いた設計も多く、コスト面や室内空間確保のためにこういった仕様を採用する開発企業は多い。しかし、万が一自動運転システムが故障した場合はどうなるのか。遠隔監視ステムが導入されていても、ただちに遠隔命令に対応できるとも思えない。

絶対に故障を起こさないというシステムは存在しないため、万が一に備えた二重三重のバックアップシステムの搭載も求められることになるだろう。

【参考】自動運転レベル4のこうした議論については「ハンドルが無い完全自動運転車は、AI故障で「鉄の塊」と化す?|自動運転ラボ」も参照。

■自動運転レベル4の実用化が目前まで迫る

自動運転レベル3の市販化が2017年に始まったものの、法律やインフラの整備が追い付かず普及が遅れている印象が強い中、Waymoに代表されるようにレベル4の実用化が目前まで迫っている。

限定領域に限れば安全性の確保やインフラの整備も行いやすく、実証実験においても大きなトラブルは今のところ聞こえてこない。遠い将来のように感じていたレベル4は想像以上に身近なものとなり、早期実現を果たしてレベル5実現への架け橋になるのかもしれない。







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