中国の自動運転ベンチャーWeRide(文遠知行)はこのほど、北京で完全無人の自動運転タクシー(ロボタクシー)の有料サービスの提供準備が整ったことを発表した。車内に安全要員を乗車させない「自動運転レベル4」の水準でサービスを近く開始するとみられる。
「Beijing Intelligent Connected Vehicle Policy Piolt Zone」から認可を取得したことにより、商業運行が可能になった。これまで広州ではロボタクシーの商業運行を行ってきたWeRideだが、ついに首都である北京でもサービスをスタートすることになる。
■合計242の乗降ポイントを設置
WeRideは、2022年10月に北京の試験区での無人走行テストが許可されている。その後、遠隔操作での無人走行の実証の申請や、空港までを往復する高速道路実証などの許可を段階的に取得していた。そして、今回のロボタクシーの商業運行の許可を取得するに至ったという。
北京でのロボタクシーサービスは、主な地下鉄駅や住宅街、主要なビジネスエリア、工業団地などの需要が高い場所をカバーしており、合計242の乗降ポイントが設置されるようだ。運行は午前9時〜午後5時で、ロボタクシー1台で3人までの乗客を乗せることができるとされている。
利用には、「WeRide Go」アプリを用いて指定されたエリア内でロボタクシーを呼ぶ。その際に見積もり料金をリアルタイムで確認することができるという。指定されたピックアップポイントにロボタクシーが到着したら、ユーザーは乗車前にQRコードをスキャンし、本人確認を行った後に乗り込むといった流れのようだ。
■米国や中東での事業にも注力
2017年設立のWeRideは、自動運転レベル4に特化して開発を行っている企業だ。中国広州に本社を置き、中国各地の拠点のほか、米カリフォルニア州サンノゼにも研究開発センターを設置している。
2018年11月に広州でロボタクシーの走行を開始、2019年11月には商業化した。いずれも中国初のことであった。現在までに1,400日以上の商業用ロボットタクシーの運行実績があるが、重大な事故は起こしていないという。さらに中国各地で道路清掃向け自動運転車「Robo Street Sweepers」の試験運用許可を取得しており、ロボタクシー以外の事業も拡大させている。
また米国においては、2021年4月にカリフォルニア州でセーフティドライバーなしの自動運転車の公道試験許可を得ている。さらに2023年7月には、アラブ首長国連邦(UAE)で自動運転車の国家ライセンスを取得したことを発表した。これにより、UAEでレベル4の自動運転車の走行が可能になった。
同年11月には、1カ月半にわたる内モンゴル自治区のオルドス市で自動運転車の公開試験運行を成功させたことを発表している。今後、中国西北部への事業展開を拡大していくようだ。
【参考】関連記事としては「中国WeRide、UAEで自動運転車の国家ライセンスを取得!」も参照。
■日産の中国での自動運転開発にも協力
WeRideは日本企業との関係も深く、ルノー・日産自動車・三菱自動車が設立した戦略的ベンチャーキャピタルファンド「アライアンス・ベンチャーズ」が2018年10月と2021年6月の2回、戦略的投資を行ったことでも知られている。
また2022年11月には、日産の現地子会社がモビリティサービス事業を手掛ける新会社を設立し、ロボタクシーサービスに乗り出すことが発表された。WeRideは、蘇州市でのプロジェクトに技術的サポートを提供する予定だ。
■米国上場でさらに勢いづく!?
WeRideは米国市場に上場する予定だ。評価額は51億ドル(約7,500億円)となる見込みで、注目が集まる。
中国、米国、中東と、展開を加速しているWeRide。今後ロボタクシーの台数や乗降スポットを増加させるとともに、ロボバスやロボスイーパー、ロボバンなど、さまざまな種類の自動運転製品の商業化を加速させていくという。今後に要注目の企業の1社だ。
▼WeRide公式サイト
https://www.weride.ai/
【参考】関連記事としては「自動運転の道路清掃車、中国でWeRideが展開加速!深センでも試験許可」も参照。