中国の自動運転ベンチャーWeRide(文遠知行)は2023年7月14日までに、アラブ首長国連邦(UAE)で自動運転車の国家ライセンスを取得したことを発表した。これにより、同社はUAEでレベル4の自動運転車の走行が可能になるという。
同社のリリースでは、UAEの副大統領兼首相でドバイの統治者であるムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下が、UAEが国内の道路を走る自動運転車に対する初の国家免許を承認し、WeRideに付与したと紹介されている。
■WeRideの中東進出戦略
ドバイは、2030年までに交通機関の25%を完全自動運転にすることを目指している。ムハンマド・ビン・ラーシド殿下は、自動運転免許の発行は同国内における将来の移動方法の変化を念頭に置いたものだと説明している。
WeRideは2022年9月に、サウジアラビアの首都リヤドで開催された「2022 Global AI Summit」に出展し、サウジアラビアのAI(人工知能)企業と協力し同国初のダイナミック・ロボバス(自動運転バス)路線を開設することを発表した。
また同年12月には、中東地域最大級の民間コングロマリットであるAjlan & Brothers Holding Groupと、サウジアラビアで自動運転車を共同で推進する覚書に署名した。
WeRideは今回のライセンス取得の前に、UAE内の特定の道路で自動運転タクシー(ロボタクシー)の公開での走行テストを1年以上行っていた。2023年3月には、UAE地域における自動運転技術の商業化をさらに加速させるための現地チームを結成した。
また同年6月に、アブダビの政府機関であるIntegrated Transport Centre(ITC)が、同国のサディヤット島とヤス島を訪れる観光客向けに自動運転車のサービスを提供することを発表した。このサービスは、WeRideと現地企業Bayanatが共同で開始するものだという。
■中東市場が注目の「輸出先」に
ちなみに米GM傘下Cruiseも、中東進出に力を入れている。2023年中にドバイで自動運転タクシーの商用運行を開始する見込みだ。Cruiseは2021年4月にドバイ道路交通局(RTA)と自動運転タクシー運行に関する契約を締結しており、同社がドバイにおいて自動運転タクシーと配車サービス市場を2029年まで独占的に展開するという契約内容になっている。
用いられるのはCruiseのオリジナル車両「Origin」で、2023年のローンチから徐々に台数を増やし、2030年には4,000台にまで規模を拡大する計画のようだ。
自動運転タクシーの実用化はまず米国で始まり、その後、中国でも開始されているが、次の注目市場となっているのが中東になってきつつある。今後、自動運転車の輸出先として中東市場が激しい企業間競争の舞台になっていくかもしれない。
▼WeRide公式サイト
https://www.weride.ai/
【参考】関連記事としては「中国WeRide、中東で「完全無人の自動運転バス」実証!レベルは「4」」も参照。