CASEとは? 何の略? 意味は? 自動運転、コネクテッド、シェアサービス、電動化

2020年代はCASEを中心に業界が動く


出典:メルセデスベンツ公式ウェブサイト

自動車関係の話題で近年耳にする機会が増えてきた言葉の一つに「CASE(ケース)」がある。自動車産業の今後の動向を示す重要な鍵であり、自動車メーカー各社の事業の方向性を示す指針にもなり得るキーワードだ。今回はこのCASEという用語について解説し、業界の動向を探ってみよう。

  1. 自動運転車とは?
  2. MaaSとは?
  3. LiDARとは?
  4. 空飛ぶクルマとは?
■CASEとは?

CASEは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語。2016年のパリモーターショーにおいて、ダイムラーAG・CEOでメルセデス・ベンツの会長を務めるディエター・チェッチェ氏が発表した中長期戦略の中で用いたのが始まりだ。







【参考】ダイムラーの戦略については「ダイムラーの自動運転戦略まとめ 計画や提携状況を解説」も参照。

変革の時代を迎えている自動車産業の動向を象徴するキーワードであり、ハード面における自動車の物理的変化とともに異業種を交えたモビリティサービスの重要性を示唆するものとなっている。

ダイムラーは、この4つのテーマの最適な組み合わせを実現することで、従来の自動車メーカーからモビリティサービスのプロバイダーへの変身を目指すこととしている。

また、「従来のクルマをつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」ことを宣言したトヨタ自動車も、CASEを意識した事業展開を図っていく構えだ。

ソフトバンクとの共同出資会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」の設立記者会見の席で、豊田章男社長は「100年に一度の大変革の時代を向けているが、その変化を起こしているのはCASE」と話し、「コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化といった技術革新によってクルマの概念が大きく変わり、競争の相手も競争のルールも大きく変化している。これからのクルマは、あらゆるサービスとつながることによって社会システムの一部になる」との考えを示している。

■CASEのC(Connected)の業界動向

ICT端末としての機能を有するコネクテッドカーは、車両の状態や周囲の道路状況などさまざまなデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、さまざまな価値を生み出す「つながるクルマ」を指す。通信機能を生かすことで、エンターテインメントをはじめとしたさまざまなサービス展開が予想される。

国内においては、トヨタ自動車が2018年6月の新車発売を機にコネクテッドサービス「T‐Connect」を本格スタートしており、今後国内で発売するほぼ全ての乗用車にDCM(車載通信機)を搭載してコネクテッド化を加速させる方針。

日産自動車は、米マイクロソフトとの提携のもと「NissanConnect」サービスを展開。スマートフォンとの連動機能などが特徴だ。スバルは、コネクトサービス「STARLINK(スターリンク)」について、日本や北米などの主要市場で2022年までに8割以上の新車をコネクテッドカーにする目標を据えている。

マツダは、「安心・安全」「ドライビングインテリジェンス」「アミューズメント」をコンセプトに据えたコネクテッドサービス「G-BOOK ALPHA」を提供しており、トヨタとのアライアンスを最大限活用していく方針を発表している。ホンダは、ソフトバンクとの提携のもと研究開発強化を図っており、2018年度からコネクテッドサービスの展開に向けた体制の構築をはじめとする部署の新設や再編を行うと報じられてる。

通信事業者では、ソフトバンクのほか、通信プラットフォームの構築をはじめとした技術開発や標準化に向け、NTTやKDDIもトヨタと協業を進めており、NTTドコモは部品サプライヤーの仏ヴァレオグループとコネクテッドカービジネスのサービス開発や展開において協業することを2018年4月に発表している。

【参考】NTTドコモとヴァレオの協業については「コネクテッドカーのサービス開発で協業発表 NTTドコモと仏部品大手ヴァレオ」も参照。

このほか、GMOクラウドが車種を問わずに車両を「つながるクルマ」化することを目指し技術開発を進めるといった動きや、ルネサスエレクトロニクスがコネクテッドカー用のソフトウェア開発ツール(SDK)の提供を開始するなどの動きもある。

一方、海外でも独BMWとダイムラー、アウディの3社が、通信機器メーカーや半導体メーカーなどと5Gを使ったコネクテッドカー関連サービスの開発で提携するなどさまざまな動きを見せている。

【参考】コネクテッドカーについては「コネクテッドカー・つながるクルマとは? 意味や仕組みや定義は?」も参照。

■CASEのA(Autonomous)の業界動向

自動車メーカー各社が自動運転レベル2かそれに近い技術をすでに導入済みで、独アウディの上級セダン「Audi A8」や米ゼネラル・モーターズ(GM)の新型「Cadillac CT 6」に自動運転レベル3(条件付き運転自動化)相当の技術が搭載されているが、法整備などの環境が整わず実質的にレベル2(部分運転自動化)技術の運用に留まっている。国内では、トヨタ・日産が自動運転レベル3の実現時期を2020年に設定している状況だ。

自動運転レベル4(高度運転自動化)は、移動サービスの分野で2020年までに限定地域における無人自動運転サービスの実現を目指しているほか、2025年をめどに高速道路におけるレベル4の実現を目指すこととしている。自動運転レベル5(完全運転自動化)については、本格的な運用は2030年代に入ってからとの見方が強い。

乗用車だけではなく、トラック業界でも自動運転化の流れは強い。目下最も注目されているのが、まず高速道路における完全自動運転の実現。長距離輸送が多いトラック業界で自動運転の導入が進めば、長時間労働や人手不足の問題が大きく改善する。日本国内では日野自動車や三菱ふそう、いすゞなど大手が軒並み自動運転技術の開発に取り組んでいる。

技術開発においては、前出のトヨタとソフトバンクの提携のほか、ホンダとGM・GMクルーズが自動運転技術を搭載した無人ライドシェアサービス用の車両開発で協業を始めている。また、独フォルクス・ワーゲン(VW)グループと米フォードの提携など、自動車メーカー同士をはじめ部品メーカー、半導体メーカーなど同業・異業種を問わない提携が加速化している。

一方で米テスラとイスラエルのモービルアイが2016年に決裂した例もあり、今後しばらくは業界の構図が変わり続けると同時に、一定のグループ・アライアンス化による再編も進むものと思われる。

IT企業勢の台頭も顕著だ。グーグル系ウェイモやアップル、中国の検索大手・百度などは自社で自動運転試験向けの車両を開発し、既に公道やシミュレーターを使った仮想空間における実証実験を進めている。優秀な人材の囲い込みの目的も含んだスタートアップ企業などの買収戦略も加速させている。通信業界の旗手ソフトバンクの10兆円規模ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」によるGMへの22億5000万ドル(約2400億円)の出資にも注目だ。

日本勢のスタートアップ・ベンチャー企業も負けていない。名古屋大学発スタートアップのティアフォーはオープンソースの自動運転ソフトウェア(OS)「Autoware」を開発し、世界的な普及を加速させるために近く国際業界団体を設立する。ロボットベンチャーのZMPは自動運転タクシーの営業走行を日の丸交通と東京都内で実施した。その自動運転技術をパッケージ化して外販も行っており、自動運転関連事業に取り組む企業などから大きな注目を集めている。

■CASEのS(Shared & Services)の業界動向

ライドシェア分野では、ソフトバンクが米ウーバー・テクノロジーズ、中国ディディ、シンガポールのグラブ、インドのオラなど大手のライドシェア各社に出資して筆頭株主になっており、世界戦略を進めている。

ライドシェアに慎重な日本国内においては、タクシーの配車サービス事業が熱を帯びている。ソフトバンクとディディ、ウーバーが配車アプリを展開しているほか、DeNA(ディーエヌエー)もAI(人工知能)を活用したタクシー配車アプリの拡大を図っている。また、東京都を拠点とするタクシー事業者5社とソニーらによる「みんなのタクシー」も2018年度内にアプリの提供を開始する予定となっており、タクシー業界を巻き込んだ配車サービス競争が今後激化するものと予想される。

自動車メーカーでは、GMなどが無人タクシーの開発を進めており、2019年にもサービス開始する予定。米Waymoや日本のZMPなども同様に無人タクシーの開発を進めているほか、自動運転による移動コンビニやホテル、レンタルルームなどといったさまざまなコンセプトも出現しており、自動運転車両を用いたサービス事業の展開が今後次々と誕生するものと思われる。

【参考】タクシー配車アプリについては「タクシー配車アプリや提供企業を一挙まとめ 仕組みも解説」も参照。

■CASEのE(Electric)の業界動向

欧州を筆頭にEV(電気自動車)熱が高まっており、ノルウェーが2025年以降はEVとハイブリッド車のみ販売を許可する方針、フランスが2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する方針をそれぞれ打ち出すなど、国家レベルでEV化を促進している。

欧州以外でもEV化がトレンドとなっており、大半の自動車メーカーがEV開発・実用化を2020年代にかけて大幅に拡大していく方針だ。

早くからEVに特化していた米テスラに電池を供給しているパナソニックなど燃料電池供給会社にとっては大きな商機となり、より性能を向上させた電池の開発が鍵となる。現在主流となっているリチウムイオンに代わる高容量、小型化、安全性を備えた新電池の開発・実用化を成すことで大幅な業績向上を達成できる。

EVや燃料電池開発では、中国勢の台頭も著しい。車載電池中国最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は、独BMWから数十億ユーロ(数千億円)分の発注を受けるなど車載電池分野でパナソニックと肩を並べる位置まで急成長を遂げており、2018年には日本法人も設立している。

■4テーマを組み合わせた新たな発想が求められる

自動車業界の新たな指針となっているCASEは、今後も異業種を巻き込みながら業界に変革をもたらし、自動車や移動の概念を少しずつ変えていくものと思われる。

また、ダイムラーAG・CEOのチェッチェ氏が示す通り、これら4つのテーマをどのように組み合わせ、相乗効果を発揮して事業化・サービス化を図っていくかが今後の焦点になる。「コネクテッド機能を搭載した完全自動運転EVの無人タクシー」といったわかりやすい例がかすむような新たな発想が求められる時代がまもなく到来する。2020年代は、CASEを中心に自動車業界が動くと言っても過言ではあるまい。







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