自動運転と駐車(2022年最新版)

車両独立型とインフラ協調型が実用化域に



商用車におけるレベル4の実用化が進展する中、一般乗用車におけるレベル4実用化への注目も高まり始めている。ODD(運行設計領域)設定が複雑で、手動運転と両立する必要があるオーナーカーのレベル4はハードルが高いが、すでに実用化域に達し始めている技術もある。自動駐車システムだ。







ODDを駐車場に限定することで、実用化のハードルを押し下げることが可能なのだ。この記事では、自動駐車システムの概要や動向について解説していく。

■自動運転技術による駐車システム

自動運転技術を活用した駐車、いわゆる自動駐車システムは、大きく以下に分類することができる。

  • ①車両単体で無人駐車を実現するシステム
  • ②駐車場インフラなどと車両が協調して無人運転を実現するシステム
  • ③その他

①は一般的な自動運転システムと同様、車載センサーが車両の周囲の環境を検知し、白線で区切られた駐車スペースをはじめあらかじめ記憶した駐車スペースなどに自動で駐車する。後述するが、ADAS(先進運転支援システム)のパーキングアシスト技術の延長線上にあると言える。

汎用性が高く、技術的には自宅の駐車場などでも利用可能だ。反面、自車位置推定にGPSなどの衛星測位システムを使用している場合、地下駐車場や立体駐車場などで精度が落ち、利用できないケースも考えられる。

②は自動バレーパーキングとも呼ばれる。バレーパーキングは、ホテルなどで係員が代わりに駐車場に出し入れするサービスを指す。このバレーパーキングを自動運転技術で無人化したものが自動バレーパーキングだ。

駐車場インフラに設置した各種センサーと車載センサーなどを協調させ、駐車施設内で無人駐車を実現する仕組みだ。利用可能な場所は限定されるが、①に比べ簡易な車載システムで済むため、大型駐車場などで導入が進めば普及の波が一気に押し寄せる可能性がある。

■車両単体で無人駐車を実現するシステム
レベル2駐車システムは普及拡大局面へ

現在、ADASとして実用化されているパーキングアシストシステムは、車載カメラや超音波ソナーなどのセンサーで車両の周囲360度にある白線や他の車両などを検知し、ハンドルやブレーキなどの制御をサポートする仕組みだ。

白線の枠内、つまり駐車枠を明確に区別できるスペースが中心だが、事前に駐車スペースを記憶・登録することで区画線のない駐車場でもサポートを可能にするシステムも実用化されている。また、スマートフォンなどを使用し、リモート操作に対応したシステムも登場している。

ハンドルなどに触れることなく車両が自動で駐車するため、ほぼ自動駐車のように思われるが、多くは常時監視が必要なレベル2に相当するADASとなる。

例えば、トヨタの駐車サポートシステム「アドバンストパーク」は、駐車したいスペースの横に停車した後、アドバンストパークスイッチを押すことでシステムが駐車位置を確認する。その後、開始スイッチを押すとシステムが周囲を監視しながらハンドルやアクセル・ブレーキ操作をアシスト、駐車を完了する。挙動に問題がなければハンドルなどを操作する必要はなく、リモート制御も可能だ。ただし、常に周囲の状況や車両の挙動を監視していなければならない。

▼アドバンストパーク|トヨタ
https://toyota.jp/safety/scene/parking/index5.html

米テスラの「スマートサモン(Smart Summon)」も、基本的にはADASに相当する。駐車場内などで携帯電話のGPSを頼りにドライバーのいる場所や所定の選択した場所まで車両が物体を避けながら走行するシステムで、ほぼ自動運転技術と言えるが、マニュアルでは「車両やその周囲を常にしっかりと監視する」ことが求められている。

▼スマートサモン|テスラ
https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/ja_us/GUID-6B9A1AEA-579C-400E-A7A6-E4916BCD5DED.html

レベル3~4の自動駐車システムも実用化段階に?
出典:Xpengプレスリリース

上述したレベル2相当のパーキングアシストシステムにおいて、常時監視義務がなくなればレベル3~4相当の自動駐車システムとなる。リモート操作時、目を離していても車両が自動駐車する。高速道路におけるレベル3と同様で、万が一の際に車両から手動介入要請があった際に対応するシステムはレベル3、自動運転システムが原則駐車を完了させ、万が一の際も手動介入を要しないシステムがレベル4となる。

つまり、現行ADASのパーキングアシストシステムから常時監視義務がなくなれば自動運転の扱いとなるのだ。

こうした自動駐車システムは、中国EVメーカーが先行している。Xpeng(小鵬汽車)は、インテリジェントパーキングアシストシステム「XPILOT Parking」を最新モデル「P7」に搭載した。アシストと名がついておりレベル2相当の可能性が高いが、「必要に応じて適時介入することに注意を払うこと」とされており、レベル3をにおわせる内容となっている。

WM Motor(威馬汽車)は、SUV「W6」にバイドゥ・アポロの自動駐車システム「AVP」を搭載した。AVPには自宅など駐車ルートが決まっている場所で使用可能な「HAVP(Home-AVP)」と、ショッピングモールや公共駐車場などルートが固定されていない場所で使用する「PAVP(Public-AVP)」がある。

W6にどこまでの機能が搭載されているかは不明で、一部メディアによると実質レベル2とされているが、アポロはレベル4ソリューションとしてAVPを提供している。

中国勢ではこのほか、Human Horizonsもモデル「HiPhi X」にレベル4パーキングシステムを搭載すると発表している。

【参考】Human Horizonsについては「中国Human Horizons、HiPhi Xにレベル4自動駐車システム搭載へ」も参照。

規制面で制限がかけられているのか、あるいは技術的な問題などさまざまな可能性が考えられるが、レベル4実用化段階に限りなく近づいていることは確かだ。

■自動バレーパーキング
出典:ボッシュプレスリリース

駐車施設と車両が協調し、駐車場内という特殊なODD(運行設計領域)において自動運転を実現する自動バレーパーキングも実用化段階を迎えている。

駐車場の管制センターが、各自動車からの駐車リクエストに応じて駐車スペースの空き状況を確認し、停めるスペースを決定する。同時に、その駐車スペースまでのルートを割り出し、駐車場内に設置したセンサーと車両に搭載されたカメラなどのセンサーを駆使して自動車を誘導する仕組みだ。

自動車がリモート操作に対応するなど一定のシステムを搭載する必要があるが、オーナーは駐車場入り口でスマートフォンを片手に入出庫に立ち会えばよく、駐車場運営事業者も乗降スペースを省くことで一区画当たりの面積を小さく抑えることができるほか、駐車場内の各車両の運行を最適化することが可能になる。

海外では、メルセデス・ベンツ(ダイムラー)とボッシュが自動バレーパーキングの共同開発を早くから進めており、ドイツ国内のメルセデスベンツ博物館駐車場を皮切りに、不動産事業を展開する米Bedrockやシュトゥットガルト空港などが自動バレーパーキングシステムを導入している。

駐車場事業者との提携も進めており、世界展開を視野に導入拡大を目指す構えのようだ。

【参考】ボッシュなどの取り組みについては「自動バレーパーキング、空港で営業運用へ!ボッシュとベンツが準備開始」も参照。

国内では、日本自動車研究所(JARI)が2016年度から「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」事業を進めているほか、パナソニックオートモーティブシステムズが車両に搭載された複数のカメラやソナー、レーダーと駐車枠や停止線といった簡単な2次元路面マップを用いて無人の自動バレーパーキングを実現するシステムを2019年に発表している。

また、パーキングシステム開発などを担うアマノも、アイシン精機と共同で一般駐車場で自動バレーパーキングの実証実験を開始することを2020年に発表している。

【参考】アマノの取り組みについては「一般駐車場で自動バレー駐車!アマノとアイシン精機、名古屋で実証実験」も参照。

■その他のシステム
出典:三菱重工業プレスリリース

上述した自動駐車システムとは異なる仕組みを開発する動きもある。三菱重工グループは、自動搬送システムによって自動バレーパーキングを実現するサービス確立に動き出した。

仏スタートアップStanley Roboticsと国内初となる先進的自動搬送ロボット事業を共同展開していくことで合意し、車両をパレットに載せてけん引する自動搬送ロボットを大型駐車場などで導入し、三菱重工グループの機械式駐車場や交通流管制技術、無人システム監視・管理技術を組み合わせることで自動バレーパーキングサービスを提供していく構えだ。

自動車側に特別な装備は必要なく、既存のオーナーカーも利用可能なところがポイントだ。

【参考】三菱重工グループの取り組みについては「ロボットが車を引っ張る!三菱重工、自動バレーパーキング実現へ」も参照。

■【まとめ】無人駐車システムはまもなく普及段階へ

車両単体で無人駐車を実現するシステムは、現在の自動運転技術を考慮すれば十分に実用化可能な域に達していると言える。各車両に搭載するセンサーやシステムなどのコストがカギとなりそうだ。

一方、インフラ協調型の駐車システムは、車両が備えるべきセンサーの能力などが規格化されれば、一気に普及局面に突入する可能性を秘めている。

自動搬送システムを活用した第三勢力も含め、無人駐車システムは近い将来本格的な実用化・普及段階に達する可能性が高そうだ。開発各社の動向に引き続き注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









関連記事