自動運転車の市場調査・レポート一覧(2024年最新版)

ADAS関連のレポートとも比較



出典:GM Cruise公式サイト

2010年代からADAS(先進運転支援システム)の普及が本格化し、2020年代に入るとレベル3以上の自動運転市場の形成も始まった。ADAS、自動運転システムとも引き続き右肩上がりの成長を遂げていくことが予想されている。

この記事では各調査企業が発表したADASと自動運転車に関する国内・海外の市場規模予測をまとめてみた。


<記事の更新情報>
・2024年3月7日:自動運転タクシーに関するSNS Insiderの調査レポートを追記
・2023年8月9日:自動運転タクシーに関するARKの調査レポートを追記
・2022年1月15日:記事初稿を公開

■国内市場規模に関するレポート

富士経済:2035年に自動運転シャトルの国内市場は322億円に

出典:富士経済(※クリックorタップすると拡大できます)

富士経済が2020年9月に発表した自動運転シャトルの国内市場調査によると、自動運転シャトルは2030年に170台、2035年に460台が投入され、市場規模は322億円に達すると予測している。

用途別の内訳は、行動を走行するコミュニティバス100台、空港や事業所内など敷地内を走行するバス160台、物流用途で宅配や物販などを担うモビリティ100台、敷地内で構内搬送を担うモビリティ100台。

2021年には、コミュニティバスとしてトヨタの「e-Palette(イーパレット)」など20台の導入を予測している。東京五輪・パラリンピックを見据えた予測かもしれない。同社によると、2023年にはコストを抑えた量産型e-Paletteの投入計画があるという。


▼自動運転シャトルの国内市場を調査|富士経済
https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=20098.pdf&nocache

総合技研:国内ADAS市場は2030年に2,464億円規模に

出典:総合技研(※クリックorタップすると拡大できます)

総合技研が2020年4月に発表した「2020年版 自動運転システムの現状と将来予測」によると、国内ADAS市場は2030年に2,464億円に達する見込みという。

同市場は2019年に1,493億円で、2020年予測で1,477億円、2025年予測で1,934億円と見込んでいる。システム別では、数量・金額ベースともに、ベース自動衝突軽減ブレーキ、車線変更支援、駐車支援システム、ドライバーモニターの順に多くなっている。

▼2020年版「自動運転システムの現状と将来予測」|総合技研
http://www1.odn.ne.jp/sogogiken/jidounten/’20jidounten.mihon.pdf


■世界市場規模に関するレポート

矢野経済研究所:2030年にレベル3以上搭載車両は1,900万台超に

出典:矢野経済研究所(※クリックorタップすると拡大できます)

矢野経済研究所が2019年5月に発表した自動運転システムの世界市場に関する調査によると、ADAS・自動運転システムの世界搭載台数は2030年に8,390万5,000台に達すると予測している。

ハンズオフを可能とする高度なレベル2は、2018年実績の2,000台から2030年に3,110万6,000台、レベル3は2020年予測の800台から2030年に373万台、レベル4以上は同7,100台から1,530万台へとそれぞれ数字を伸ばしている。「レベル3以上」だと合わせて1903万台規模になるという推計だ。

2020年以降はレベル2が市場をけん引し、2023年にもレベル2・レベル2+がレベル1搭載台数を上回り、2025年以降はV2Xの普及が日米欧中で進むことから、大部分の車両がレベル2・レベル2+を搭載すると見ている。

レベル3は、2025年以降レベル4とのシステムコスト差が縮小し、乗用車においてもレベル3からレベル4への切り替えが進むとしている。

レベル4は、カーシェアやライドシェア、公共交通、物流などで試験的利用が始まっており、2023~2024年頃からの本格的な実用期間を経て2025年以降に拡大すると見ている。

▼自動運転システムの世界市場に関する調査を実施(2019年)|矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2134

富士キメラ総研:2040年にレベル3以上が4,412万台

出典:富士キメラ総研

富士キメラ総研は2020年9月、自動運転車の世界市場調査結果をまとめた「2020 自動運転・AIカー市場の将来展望」を発表した。

同レポートでは、生産台数ベースでレベル2のADAS車両は2020年見込みの724万台から2045年には7,133台まで増加すると予測しているほか、レベル3は同1万台から4,280万台、レベル4・5は僅少から2,139万台にそれぞれ増加するとしている。

当面はレベル2が市場をけん引し、2025年にはハンズオフ機能を搭載したレベル2の比率が10%を超えると見ている。また、高速道路限定のレベル3が各自動車メーカーから販売され、タクシー用途などのレベル4も登場するとしている。

エリア別では、レベル3以上車両は2045年に日本で372万台、欧州1,175万台、北米1,350万台、中国1,915万台、その他1,607万台を見込む。

▼『2020 自動運転・AIカー市場の将来展望』まとまる(2020/9/1発表 第20092号)
https://www.fcr.co.jp/pr/20092.htm

IntelとStrategy Analytics:2050年には7兆ドル規模に

米Intelと米調査会社のStrategy Analyticsは2017年7月、自動運転車の実用化・普及で新たに創出される市場は、2035年には8,000億ドル(約90兆円)、2050年には7兆ドル(約800兆円)に上るという予測を共同で発表している。自動運転車を使って事業者や個人に提供される移動サービスのマーケットなどを含めた数字だ。

この予測では自動運転車の普及により、2035年から2045年にかけ、少なくとも58万5,000人の命が救えることも強調されている。

▼Intel Predicts Autonomous Driving Will Spur New ‘Passenger Economy’ Worth $7 Trillion
https://newsroom.intel.com/news-releases/intel-predicts-autonomous-driving-will-spur-new-passenger-economy-worth-7-trillion/#gs.lsbk8g

Grand View Research:自動運転車は2030年までに420万台に

米調査会社のGrand View Researchが2020年3月までに発表した自動運転車の世界市場調査によると、2021年から2030年にかけCAGR63.1%で推移し、市場規模は2030年までに420万台に達すると予測している。

Kenneth Research:世界の自動運転市場、2024年までに約2兆1,200億円規模に

米調査会社のKenneth Researchが2020年7月に発表した調査レポート「グローバル自動運転車市場における5G:世界的な需要の分析及び機会展望2027年」によると、世界の自動運転市場は2016年から2024年までにCAGR25.7%を記録し、2024年までに200億ドル(約2兆1,200億円)規模に達すると予測している。

IMARC:世界の自動運転車市場は2026年まで約28%のCAGRで拡大

市場調査会社のIMARCが2021年11月に発表した世界の自動運転車市場に関する調査によると、同市場は2021年から2026年の間に約28%のCAGRで拡大すると予測している。

自動車産業の著しい成長と急速なデジタル化を背景に、安全で効率的な輸送手段への要求が高まっていることが市場の成長を後押しし、さらにAIやロボット工学、機械学習、IoTの統合など、さまざまな技術の進歩も成長を促す要因と分析している。

Report Ocean:レベル1~3の世界市場は2027年まで20.8%以上で成長

Report Oceanが2021年11月に発表した世界の半自動運転車市場に関するレポートによると、2021年から2027年の予測期間において年平均20.8%以上の成長を遂げるとしている。

半自動運転車には、レベル1、2のADASとレベル3の自動運転車を含む。アジア太平洋地域、北米、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、その他の地域において、先進技術の普及率の上昇をはじめ、グーグルなどIoTベースの技術を持つ市場プレーヤーの存在により北米が市場をリードするとしている。

一方、欧州ではドイツ、フランス、英国、イタリアなどの各国で自動車産業が盛んであり、最も高い成長率が見込まれるという。

IMARC:世界のADAS市場は2026年まで約13%のCAGRで成長

IMARCが2021年11月に発表した先進運転支援システムの世界市場調査によると、世界のADAS市場は2021年から2026年にかけて約13%のCAGRで成長すると予測している。

世界人口の増加や所得水準の向上、自動車産業の成長などが世界のADAS市場にプラスの影響を与えるほか、自動車の安全性やセキュリティ、快適性や高級感の向上に対する個人の関心の高まりを受け、今後数年間で市場は大きく成長すると予想している。

Kenneth Research:ADASの世界市場は2030年末までに1,047億ドルに

Kenneth Research は2021年7月、ADAS市場の予測評価を提供する調査レポートを発刊した。ADASの世界市場は2030年末までに1047億ドル(約11兆5000億円)に達し、CAGR 10.8%で拡大すると予測している。

OICA(国際自動車工業会)によると、自動車と商用車を合わせた自動車生産は、2009年の6,176万台から2019年には9,179万台に増加しており、ADASの低価格車への導入が進む一方、社会経済状況の改善により高級車の需要も増加し、今後数年間で市場に多くの成長機会がもたらされるとしている。

ADAS市場には、アダプティブクルーズコントロールやタイヤ空気圧監視システム、パークアシスト、眠気モニター、車線逸脱警報システム、死角検出システムなどのタイプが含まれる。テクノロジーセグメントとしては、レーダーセンサー、超音波センサー、赤外線センサー、イメージセンサー、レーザーセンサーなどが含まれる。

自動運転タクシー市場、2030年には世界GDPを26兆ドル押し上げ

投資運用会社の米ARK Investは2023年7月までに、自動運転タクシー市場は2030年までに世界全体のGDP(国内総生産)を年間26兆ドル(約3,600兆円)を押し上げると推測した調査レポートを発表した。

自動運転タクシーによる収益と移動時間の短縮に伴う生産性の向上により、世界のGDPが年間30兆ドル増加し、一方で、ガソリン車の販売台数の減少や、燃料費やメンテナンス費用の減少により、GDPを年間4兆ドル押し下げ、差し引きで年間26兆ドルGDPを押し上げるという推測だ。

【参考】関連記事としては「自動運転タクシー、世界GDPを年26兆ドル上乗せ 2030年試算」も参照。

自動運転タクシーの世界市場、2030年に15兆円規模に

民間市場調査会社SNS Insiderの予測によれば、自動運転タクシーの市場規模は、2030年までに986億ドル(約14兆8,000億円)に達する。予想CAGR(年平均成長率)は2023〜2030年にかけて65%だという。

成長を主導する10社としては、Google系Waymo、GM傘下Cruise、テスラ、Lyft、Uber Technologies、フォード、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボ・グループ、日産自動車が挙げられている。トヨタは含まれていない。

■【まとめ】レベル3以上の市場形成スタート

数字に多少のばらつきはあるものの、いずれも高い成長率を示す結果となっている。レベル3、レベル4は具体的な市場化が始まっており、今後開発各社の動向を踏まえながらリサーチ各社による予測も修正されていくものと思われる。

国内市場予測の材料も現時点では少ないものの、今後目に見える形で増加し、はっきりと市場が形成されていく様子をうかがうことが可能になる。2023年にはどこまで技術や社会実装が進展するのか、要注目だ。

■関連FAQ
    自動運転市場は拡大する?

    いま現在、拡大傾向にあることは確実で、今後もその拡大傾向が長く続き、普及のフェーズに入れば拡大のスピードが一気に加速すると考えられている。

    ADASの市場は縮小していく?

    現在はまだ市販車の99%以上が自動運転車ではなく、高度な機能を搭載していたとしても、そのほぼ全てがADAS(先進運転支援システム)にとどまる。そのため、現時点ではADAS市場の方が自動運転市場よりもはるかに大きいが、いずれは自動運転車の普及とともに、ADAS市場を逆転すると考えられている。

    自動運転レベル4以上の車両は世界で今後どれくらい増える?

    富士キメラ総研の調べによると、生産台数ベースで2030年には343万台、2045年には2,139万台になると予想されている。

    LiDARの市場も拡大する?

    矢野経済研究所によれば、自動運転車向けのコアセンサーの1つであるLiDARの市場規模は、予測ベースで2030年には約4,959億円まで拡大すると考えられている。2017年の実績値から比較すると、約200倍になることになる。詳しくは「LiDAR(ライダー)とは?」を参照。

    市場規模の拡大をけん引する国は?

    現時点では、アメリカと中国で自動運転タクシーの商用化が進んでいることもあり、この両国が市場の拡大を当面はリードしていく可能性が高い。しかし自動運転業界はまだまだ黎明期だ。どの国、企業が自動運転分野で勝者となるかはまだ分からない。

(初稿公開日:2022年1月15日/最終更新日:2024年3月7日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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