LiDARとは?自動運転の目となるセンサー、レベル3実用化で市場急拡大

国内と海外企業の開発&取り組み状況は?



自動運転技術の進展とともに拡大を続ける関連市場。中でも「自動運転の目」と呼ばれるLiDARの需要は急拡大するとみられており、市場調査会社の矢野経済研究所は、LiDARやレーザーの市場規模が2017年の約25億円から2030年には約4,959億円まで約200倍に膨らむという予測を出している。







自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の解禁によって市販車にも自動運転システムの実装が始まり、あわせてLiDARを採用するメーカーも増加するものと思われる。

カメラや赤外線レーダー、超音波センサーなどとともに自動車の目として大きな期待が寄せられるLiDAR。基礎知識をはじめ開発各社の最新動向をまとめてみた。

記事の目次

■LiDARとは?
LiDARの読み方

LiDARは「Light Detection and Ranging」の略で「ライダー」と読む。「レーザーレーダー」や「赤外線レーザースキャナー」と言われることもある。

LiDARの技法

LiDARは、光を使ったリモートセンシング技術を用いて物体検知や対象物までの距離を計測するもので、レーザー光を照射し、それが物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離や方向を測定する。

辺り一面にくまなく照射したレーザー光の測定結果は1つひとつが「点」で表され、これを集めることで「点描」の要領でリアルタイムに周囲の状況や対象物までの距離や位置、形状などを把握することが可能になる。

LiDARの3D観測技術

LiDARは3次元(3D)観測が可能で、従来の電波を用いたレーダーに比べて「光束密度」が高く、短い波長を用いることでより正確な検出ができる。粒子のような小さな物体にも有効なため、これまでは主に地質学や気象学などの分野で活用されていたが、その観測精度の高さから、自動運転の分野においても注目が高まっている。

現在、自動運転向けに特化した研究開発が加速化しており、高機能かつ小型化を目指し独自技術を採用した新製品で他社との差別化を図る動きも多くみられるようになってきた。

LiDARと測定距離

LiDARに関しては「長距離LiDAR」「中距離LiDAR」「短距離LiDAR」といったように、計測可能距離によって異なる呼び方がされる。

それぞれの呼び方に対応する距離の範囲は開発する企業によっても異なるが、一般的には短距離LiDARが10〜50メートル程度、長距離LiDARが200メートル以上、中距離LiDARはその中間程度とされることが多い。

■Solid State式とMEMS式

自動運転向けのLiDAR開発初期においては、先行する米Velodyne LiDAR(ベロダインライダー)がパトランプのように回転して360度全方位を検知するタイプを開発し、このタイプが主流となりつつあった。しかし、ルーフ上部など設置場所が限定されることに加え、モーター駆動による回転機構を要する分小型化・軽量化を図りにくく、駆動部分の負荷から故障確率や耐久性の面で問題を抱えていた。

こうした課題を受け、注目が高まっているのが回転機構を持たないSolid State(ソリッドステート)式などのタイプだ。設置場所も限定されにくいため、車両のデザイン性が重視される一般乗用車向けにおいてはソリッドステート式の搭載が有力視されている。

Solid State式とは?

ソリッドステート式はLiDARの構造的種類の1つで、回転機構を持たず特定の方向をスキャンする方式だ。

視野角が限定されるため全方位の検知には向かないが、複数のLiDARを設置することで全方位検知に対応する。小型で壊れにくいことや設置場所の自由度が高いことなどが特徴とされている。

MEMS式とは?

MEMS(メムス)式はソリッドステート式におけるスキャン方式の1つで、電磁式のMEMSミラーを使ってレーザー光を走査させ、自動運転車の周辺環境を検知・認識する。

MEMS自体は「Micro Electro Mechanical Systems」の頭文字をとった言葉で、日本語にすると「微小電気機械システム」となる。

【参考】関連記事としては「LiDARのMEMS式とSolid State式、特徴や違いを解説」も参照。

■LiDARの価格:開発初期の800万円から現在は数万円程度に

自動運転開発の進展とともに目の役割を担うセンサー部の重要性も高まり、従来のカメラやミリ波レーダーの欠点を補うことができるLiDARに注目が集まった。開発初期においては、試験車両向けのため量産化対応されず非常に高額で、グーグル系ウェイモの自動運転開発車両に搭載されたベロダインライダー社製のハイエンドモデルの価格は7万5,000ドル(約800万円)とも言われた。

現在はスタートアップをはじめ多くの企業がLiDAR開発に参入し、市場化を見据え高機能化とコストパフォーマンスを両立させたモデルを次々に発表しており、汎用機は数万円台まで下がっている状況だ。

■LiDARの市場規模:2030年には200倍の5,000億円

冒頭で述べたように、LiDAR(ライダー)を含むレーザーの市場規模は、2017年の約25億円から2030年には約4,959億円まで200倍に拡大すると言われている。

矢野経済研究所によると、2030年の自動運転用センサーの製品別シェアでは、レーダーが1兆3,914億円、カメラが1兆2,976億円、LiDARとレーザーが約4,959億円、超音波が約904億円という順番になる。

また、調査会社の仏ヨール・デベロップメント社が2019年に発表した調査結果によると、LiDARの市場規模は2024年に60億ドル(約6,600億円)まで拡大し、このうち70%を自動車関連が占めると予測している。

■国内のLiDAR開発企業
パイオニア:新会社設立で開発力強化

MEMSミラーを用いた独自の走行空間センサー「3D-LiDAR」の車載実証実験を2015年に開始したのを皮切りにLiDAR開発に注力するパイオニア。望遠・標準・準広角スキャンに活用するラスタースキャン方式、及び広角スキャンに活用するヘリカルスキャン方式の2方式で高解像度スキャンを実現し、2020年代の量産化を目指し研究開発を続けている。

2019年4月に3D-LiDARセンサーの共同開発に向けキヤノンと提携を交わしたことを発表。また、同年10月には自動運転関連事業を担う新会社「パイオニアスマートセンシングイノベーションズ」を設立し、開発をいっそう加速している。

同年12月に従来モデルからさらなる小型化・高性能化を実現した量産モデルの開発を発表したほか、CES2020では500メートルの遠距離計測が可能な次世代3D-LiDARセンサーの試作機を出展している。

デンソー:レクサスの新型LSにLiDAR供給か

デンソーは1996年に商用車向け1次元LiDARを商品化し、翌1997年には乗用車向けに縦・横の2次元にビームをスキャンするLiDARを世界で初めて開発・商品化するなど、いち早くLiDAR開発を進めてきた1社だ。

自動運転向けの新たなLiDAR製品に関する公式発表は出されていないものの研究は続いており、画像センサーやミリ波レーダーなどと組み合わせ360度センシングを実現する技術の確立に向け開発を進めている。

一部メディアによると、2020年初冬の発売を予定しているレクサスの新型LSに向け、デンソーと独コンチネンタルがLiDARを供給すると報じられており、近いうちにLiDARに関する最新情報が公式発表される可能性もありそうだ。

【参考】デンソーの取り組みについては「デンソー、「自動運転の目」LiDARを開発へ 供給先はトヨタだけ?」も参照。

東芝:高解像度の長距離測定技術の開発を次々と発表

東芝グループは2018年4月、200メートルの長距離測定性能と高解像を実現する車載用LiDAR向けの計測回路技術の開発を発表した。短距離用の回路と長距離用のADC回路の2つで構成する独自のハイブリッド回路を開発することで、ADC回路に要求される処理速度を緩和し長距離測定を可能にしたという。

また、2019年4月にLiDARの測距解像度を改善する計測アルゴリズム技術の開発、2020年7月には自動運転レベル4以上の高度自動運転の実現に貢献するソリッドステート式LiDAR向け受光技術の開発をそれぞれ発表するなど、要素技術を年々進化させている印象だ。

同社は今後も実用化に向けた開発が進む運転支援・自動運転システム分野における研究開発を進め、より高度な自動運転システムの実現に貢献していくとしている。

京セラ:LiDARと画像センサー一体化で高精度測定

光学・電子機器メーカーの京セラもLiDARと画像センサーを一体化した新型の高精度測距センサーモジュールの本格的な商品化に着手している。独自光学設計によるメカレスで高い信頼性と小型化を実現しており、カメラの画像データとLiDARの検知結果を組み合わせることで従来のLiDARでは検出が難しかった大きさの物体にも対応。100メートル先にある9センチの大きさの物体を検知できるという。

2020年にはCES2020に初出展し、LiDARと画像センサーを一体化することで視差とひずみ差のない高精度な計測を可能にする「カメラ-LiDARフュージョンセンサー」の体験型デモを行った。

自動運転に必要とされるカメラとLiDARを融合し、ワンユニット化する独自技術に注目だ。

コニカミノルタ:光学技術を武器にLiDAR開発

光学機器メーカーならではの独自技術で3D LiDARを開発している。TOF(Time Of Flight)方式のレーザーレーダーで、垂直方向に最大24レイヤー、水平画角最大120度の広範囲のスキャンが可能で、測定距離は車両であれば100メートル以上検知可能で、最大検出距離は約200メートルに達するという。

独自の光学技術により、レーザーを増やすことなく1つのレーザーで隙間のない測定ができ、従来のライダーではセンシングできなかった細い線や小さい形状の認識も可能という。

小糸製作所:ヘッドランプ内蔵型の小型LiDAR開発へ

自動車用照明部品などを製造する小糸製作所は、ヘッドランプやリアランプにLiDARを内蔵する技術開発に取り組んでおり、2019年5月にはLiDAR開発企業の独Blickfeldと小型LiDARのサンプルを試作し、ヘッドランプに搭載するための検討を開始すると発表している。

2020年5月には、LiDAR開発を手掛ける米Cepton Technologiesに5,000万ドル(約55億円)出資し、高性能LiDARの実用化に向け関係強化を図っていくと発表した。

デザイン上、自家用車向けのLiDARは目立たないことが好まれるため、自動車照明器技術と組み合わせた新たな技術に注目だ。

【参考】小糸製作所の取り組みについては「「自動運転の目」LiDAR内蔵のランプ開発へ 小糸製作所、米Ceptonの株式取得」も参照。

三菱電機:電磁駆動式MEMSミラーLiDAR開発

三菱電機は2020年3月、水平・垂直の2軸で走査する電磁駆動式MEMSミラーを搭載した車載LiDARの開発を発表した。

面ひずみを抑制する機能を持たせた独自のミラー構造を適用することでミラー自体の軽量化を図るとともに、より高い駆動力が得られる電磁方式MEMSを採用し、広い振れ角(水平±15度、垂直±3.4度)を実現した。

また、2軸電磁駆動式MEMSミラーと、複数のレーザー光源の高密度実装と最適配置を行うことより120度の水平視野角を実現し、高精細な3次元画像を広範囲に取得することを可能にしたほか、信号処理回路基板と光学系部品を最適配置することで小型化も実現した。

同社はさらなる小型化や垂直視野角の拡大を進め、2025年以降の実用化を目指すとしている。

【参考】三菱電機の取り組みについては「小型で広い水平視野角!三菱電機が「MEMS式車載LiDAR」開発」も参照。

リコー:自動運転車向けLiDARを積極的に開発

事務機器や光学機器などを製造するリコーも自動運転車向けLiDARを開発している。2016年9月には、横浜で開催された光技術展示会「InterOpto2016」にLiDARの試作品を出展した。出展されたLiDARは、900ナノメートル帯の半導体レーザーをミラーでスキャンするMEMS方式のものだ。

2017年9月には秋田県仙北市で実施された自動運転レベル3の実証実験に、リコーが開発中のLiDARとステレオカメラが使用されている。この実証実験は、自動車制御関連のベンチャー企業であるAZAPAと共同で行われ、公道走行や自動走行、交通インフラとの協調など、自動運転車の課題抽出を目的に実施された。

日本信号:昼夜を問わず使用できる3D LiDARを開発

国内の信号機メーカートップである日本信号は、20万ルクスの光環境下で使用可能な3D LiDAR「アンフィニソレイユ FX10」を2015年10月に発表している。

近赤外パルスレーザーを用いたアクティブ方式を採用し、昼夜問わず「3次元形状認識」ができるLiDARだ。走査方式にはMEMSスキャナの「ECOSCAN」を使用しており、ロバスト性や安全性も十分に確保されている。

日本信号は、このLiDAR開発では多くの困難に直面したが、試作・改良を重ねて製品化を実現したという。すでに自動運転車以外にエスカレーターやバスなどで採用されており、日本信号の新たな主力商品となるまでに成長している。

東陽テクニカ:マルチビーム方式を採用したLiDARを発表

測定機器の専門商社である東陽テクニカは、2018年9月に周辺環境計測システムである「XenoLidar」を発表している。この製品はマルチビームを採用したソリッドステート型のLiDARで、世界で初めてLiDARにマルチビーム方式を採用したことで知られている。

このLiDARでは1秒ごとに16万点のレーザーを照射することで、車両や人、建物など一度に多くの対象物を検出することが可能だ。また、時間帯や天候を問わず、小さな対象物でも200メートル先まで正確に計測できるという。

3Dデータと2D画像を同時にリアルタイムで取得できるため、対象物の検出以外にも対象物の速度算出や走行可能エリアの検出が可能なことも特徴であると言える。

京都大学×北陽電機:フォトニック結晶レーザー搭載LiDAR開発

京都大学の研究グループと北陽電機は2020年7月、フォトニック結晶レーザーを搭載したLiDARの共同開発に世界で初めて成功したと発表した。

LiDARシステムの心臓部となる光源は通常半導体レーザーが活用されているが、部品や精密な調整にコストがかかり、また空間分解能を劣化させるという課題を抱えているという。

一方、フォトニック結晶レーザーは高出力動作時においても高ビーム品質で狭い拡がり角をもつビーム出射が可能で、動作波長の温度依存性が少ないという。

近い将来、フォトニック結晶レーザーがLiDARに新たな革命をもたらす可能性がありそうだ。

【参考】京大と北陽電機の取り組みについては「京大グループ、フォトニック結晶レーザー搭載のLiDARを開発!自動運転での活用に期待」も参照。

■海外のLiDAR開発企業
Velodyne Lidar(米国):LiDAR界のリーディングカンパニー

Velodyne Lidarは2005年に世界初の3DリアルタイムLiDARセンサーを発明し特許を取得するなど、LiDAR市場をけん引してきた。

ライバル社の台頭後も、最大300メートルの範囲と360度のサラウンドビューで最大0.1度の垂直および水平解像度のリアルタイム3Dデータを提供する高性能製品から費用対効果の高い製品まで、開発の手を緩めず業界を引っ張り続けている。

価格を100ドル程度に抑えることのできるメカレス構造の安価モデルの開発にもめどを付け、2018年中にサンプル出荷を始めたという。スウェーデンの自動車メーカーボルボをはじめ、独ダイムラー、米フォードなど大手メーカー各社が取引している。

2019年4月にはニコンが受託生産契約を締結し、ベロダイン向けのLiDARの量産を今下期から開始すると発表した。前年にはベロダインへ2,500万ドル(約27億5,000万円)の出資を実施しており、急速に距離を縮めている印象だ。

ニコンの光学技術とベロダインのLiDAR技術の融合により、新たな技術発展が望めそうだ。

【参考】Velodyne Lidarの取り組みについては「ニコン、米ベロダインの自動運転向けLiDARを受託生産」も参照。

Luminar Technologies(米国):小型・低価格LiDAR製品化 年内株式上場も

LiDARの独自開発を進める2012年創業のスタートアップ。低価格タイプの製品化を進めており、コスト削減に努めるだけでなく、独自技術によって従来製品よりも50倍以上優れた解像度を誇り、10倍以上離れた距離にある対象物を認識することができるという。

トヨタ自動車もルミナー社製のLiDARの技術力を認め、既に採用を決めており、トヨタがシリコンバレーに開設したトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)と既にパートナーシップを結び、共同開発体制を築いている。また、2018年6月にはボルボとの取引を開始することが明らかになっている。

2019年には、ソーダ缶サイズの小型LiDARを500ドル(約5万4,000円)で発売することを発表するなど、小型かつ低価格LiDARの開発を引き続きけん引している。

近々では、特別買収目的会社(SPAC)との合併によって年内にも米ナスダック市場へ上場することが米メディアで報じられている。自動運転技術の実用化とともにさらなる躍進を遂げそうだ。

【参考】Luminarの取り組みについては「年内上場へ!LiDAR企業の米Luminarとは?「自動運転の目」を開発」も参照。

Cepton Technologies(米国):需要に合わせたラインナップでパートナー増加中

ベロダインの元エンジニアが2016年に立ち上げたスタートアップ。広い水平視野で高解像度、長距離計測を実現する「Vista-X120」や高速道路での忠実なオブジェクトプロファイリングを可能にするパフォーマンス性に優れた「Sora-P60」、長距離かつ高解像度を実現する最新LiDAR「Vista-P90」など、各用途に適した幅広いラインアップが魅力だ。

米国のほか、ドイツ、カナダ、英国、日本、インドに拠点を置いており、パートナー拡大にも積極的に力を入れている印象だ。

【参考】セプトンテクノロジーズの取り組みについては「米シリコンバレーのスタートアップCepton、AI自動運転の”目”LiDARを200ドル台で量産へ」も参照。

Quanergy Systems(米国):ダイムラーなどが出資

2012年設立のスタートアップQuanergy Systemsも、早くにLiDARを製品化した1社に数えられる。価格や性能、信頼性、サイズ、重量、電力効率の6つの主要な商業化基準をすべて満たすよう設計した、360度センシングが可能なMシリーズやソリッドステート式のSシリーズなどを製品化している。

同社への出資社は、独ダイムラーや韓国サムスングループ、Aptiv(旧デルファイ)などが名を連ねている。

LeddarTech(カナダ):販売拠点拡大 LiDAR市場に攻勢しかける

カナダでは、LiDARをはじめとしたセンシングソリューション開発を手掛けるLeddarTechに注目だ。2019~2020年の間に販売拠点を米国、ヨーロッパ、香港、中国と拡大している。

ティア1サプライヤー向けのLiDARプラットフォームをはじめ、ソリッドステート式LiDAR「Leddar Pixell」や「Leddar M16」「Leddar Vu8」など各種ソリューションを展開している。

申請中のものを含め70を超える特許技術を有しており、販売拠点の拡大とともに自動運転業界へ幅広く攻勢をかけていく構えだ。

GM(米国):Strobe買収 自動運転車両「Origin」に搭載見込み

米自動車メーカー大手のゼネラルモーターズは2017年、LiDAR開発を手掛けるスタートアップStrobeを買収している。

GMは2016年に自動運転開発スタートアップCruise Automationも買収しており、2020年1月にはオリジナルの自動運転車両「Origin」を発表している。Strobeが開発したLiDARはこのOriginに組み込まれる見込みで、GMグループ内で低コストLiDARの開発や生産、実装を完結可能な体制を築いている。

【参考】GMの取り組みについては「GMと子会社クルーズの自動運転戦略を解説&まとめ 実現はいつ?」も参照。

Ford(米国):Argo AI通じてLiDAR技術取得 ベロダインにも出資

GM同様、米自動車メーカー大手のフォードも出資企業がLiDARスタートアップを買収している。フォードが2017年に総額10億ドル(約1,130億円)の出資を発表したAI開発スタートアップのArgo AIは同年、独自のLiDAR技術を持つPrinceton Lightwaveを買収した。Argoを通じてフォードもLiDAR技術を手に入れた形だ。

また、フォードは2016年にベロダインへ7,500万ドル(約84億円)の出資を行うことも発表している。LiDARを巡る攻防はまだまだ続きそうだ。

【参考】フォードの取り組みについては「フォードの自動運転戦略まとめ 開発状況は?実現はいつから?」も参照。

Bosch(独):同社初の長距離LiDAR生産段階へ

独自動車部品大手のボッシュは2020年1月、車載用途に適した同社初ソリューションとして長距離LiDARを開発し、生産段階に入ったことを発表している。

多岐にわたる自動運転のユースケースを調査した結果、カメラとレーダー、そしてLiDARの3種類のセンサーを並行し、相互補完することで初めて安全な自動運転を実現できるとし、3つのセンサー技術すべてを最適化したという。

各自動車メーカーの幅広い車種に効率的に組み込むことが可能なモデルとなっている。LiDARの実装が急拡大する2020年代にしっかりと照準を合わせてきた格好だ。

【参考】ボッシュの取り組みについては「独ボッシュ、長距離LiDARを自動運転向けに開発 既に生産段階」も参照。

Continental AG(独):レクサスLSに採用見込み スペックに注目

コンチネンタルは2016年、Advanced Scientific Concepts社から高解像度3Dフラッシュライダー事業を買収し、LiDAR市場に参入した。

これまでに、多機能カメラ一体型LiDAR「MFL4x0」やソリッドステート式の高解像度フラッシュLiDARを発表している。

2019年末には、同社製LiDARの採用第1号が日系メーカーとなることが各種メディアで報じられているほか、トヨタ・レクサスの新型LSに搭載されるLiDARメーカーとしてデンソーとともにコンチネンタルの名前が挙がっていることなどを踏まえると、この線でほぼ間違いないように思われる。

公式発表待ちとなるが、搭載される実機のスペックに注目したい。

Valeo(仏):同社製LiDARがAudi A8に採用 後継機も量産開始へ

乗用車向けLiDARで量産化と実用化をいち早く実現したヴァレオ。同社製「SCALA」は、量産車として世界初の自動運転レベル3搭載車(未実装)となった独Audiの「Audi A8」に採用されている。

「SCALA」は、静止した障害物をはじめ動く障害物も最大150メートル手前から145°の視野で検知することができる。2019年には後継機「SCALA2」を発表しており、現行機の性能を維持しながら垂直方向の検知角度を3倍拡大したという。2020年から欧州メーカー向けに量産を始める予定という。

Innoviz Technologies(イスラエル):BMWの自動運転車に採用予定

ソリッドステートLiDARや認識ソフトウェアの開発などを手掛けるInnovizは、あらゆる用途に利用可能な「InnovizPro」や、自動運転向けに設計された「InnovizOne」などを製品化している。

InnovizOneは太陽光や気象条件に対して耐性があり、最大250メートルの距離で豊富な3D点群を提供可能という。独BMWが2021年に生産予定の第1世代自動運転車に採用されたようだ。

【参考】Innovizの取り組みについては「LiDAR企業のInnoviz社、1.7億ドルを資金調達 イスラエルのスタートアップ」も参照。

RoboSense(中国):AIを組み込んだスマートLiDARセンサーシステムを量産化

2014年設立の中国スタートアップ・RoboSenseは、AIアルゴリズムやICチップセットを組み込んだスマートLiDARセンサーシステムの開発を手掛けている。

AI認識により障害物の検出や分類などもビルトインされているのが特徴で、ソリッドステート式の「RS-LiDAR-M1」や、レベル4~5向けの最上級モデル「RS-Ruby」などラインアップも豊富だ。

2019年9月には、中国自動車メーカーのFAW(第一汽車)と提携し、ソリッドステートMEMSベースのスマートLiDARセンサーの量産を加速させると発表している。

また、日本では自動運転ベンチャーのZMPが2019年、同社製品を車両関連メーカーと研究機関向けに台数限定で試用販売すると発表している。

なお、中国ではこのほかにも、Hesai TechnologyやドローンメーカーであるDJI傘下のLivoxなどLiDAR開発を手掛ける企業が台頭している。

【参考】RoboSense製品については「自動運転ベンチャーZMP、3D-LiDAR「RS-LiDAR-M1」を限定販売」も参照。

■「LiDARは不要」という説

LiDARは高価なものとされているが、LiDARの役割をAI(人工知能)で代替できるという説もある。例えばRevatron社は物体の距離や動きを学習できる世界初のAIスマートカメラを発表しており、LiDARに変わる安価な代替センサーとして期待されている。

LiDAR不要論者の代表格は米EV大手のテスラで、同社もカメラや赤外線レーダーなどを主体に自動運転システムを構築している。

LiDAR、カメラとも研究開発が進みさらなる進化を遂げようとしているため、LiDARの有無について現時点で正解を出すことはできないが、「LiDAR VS カメラ」という視点で開発競争の行く末を見るのも一興かもしれない。

■【まとめ】レベル3搭載車両とともにLiDARにも注目

LiDARを制す企業が自動運転センサーを制すと言っても過言ではないほど、自動車部品業界やスタートアップ業界などではLiDARへの関心は依然高い。

2020年代に突入し、レベル4の移動サービスやレベル3自家用車の量産がまもなく本格化する。ホンダのレベル3をはじめ、ダイムラーはどのLiDARを採用するのか?……といった話題が今後中心になってくる。レベル3車両の発表時には、LiDARにもしっかり注目したいところだ。

(初稿:2018年8月26日/最終更新日:2020年11月18日)

【参考】LiDARは自動運転車に必要なコアセンサーの一つ。詳しくは「【最新版】自動運転の最重要コアセンサーまとめ LiDAR、ミリ波レーダ、カメラ|自動運転ラボ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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