自動車部品メーカー大手の独ボッシュが自動運転向けセンサーの製品群を拡充している。こうした取り組みの中で、車載レーダーと車載カメラを補完する「長距離LiDAR」を開発したことを2020年2月までに発表しており、同社によれば「車載用途に適したボッシュ初のソリューション」だという。
LiDARは「自動運転の目」と呼ばれ、光技術によって歩行者やほかの車との距離などを計測することができる。ボッシュは新たに開発した長距離LiDARについて「自動運転に必要な様々な安全要件を満たすだけでなく、自動車メーカーの幅広い車種に効率的に組み込むことが可能」としている。
長距離LiDARは既に生産段階に入っており、販売価格帯も抑える方針。LiDARは自動運転のコアセンサーだが価格がネックとされてきただけに、実際に販売が本格的に開始されれば大きく注目されそうだ。
■市場拡大濃厚のLiDAR開発、業界でヒートアップ
LiDAR関連のニュースは2019年も多数飛び交った。レーザを含むLiDAR市場はその規模が2030年には2017年比で約200倍の5000億円近くまで急拡大することが見込まれており、将来のシェア獲得に向けた開発競争がヒートアップしている印象だ。
2020年2月には自動車用照明製造大手の小糸製作所が、LiDAR開発企業の米Cepton Technologiesに5000万ドル(約55億円)を出資したことを発表している。LiDAR内蔵のランプを開発し、今後の実用化に力を入れているようだ。
パイオニアの子会社として自動運転関連事業を担うパイオニアスマートセンシングイノベーションズは、「次世代3D-LiDARセンサー」の試作機を2020年1月に技術見本市「CES 2020」で披露した。500mの遠距離計測が可能で、そのスペックの高さに大きく注目を集めた。
このように、最近のLiDARに関するニュースだけでも枚挙にいとまがない。2020年もボッシュの長距離LiDARを始め、さまざまな製品が新たに発表されそうだ。