Googleロボタクシー、「ドアを閉めてくれた人」に1700円

天下のWaymoもギグワーカー頼み?



世界最先端を走るグーグル系Waymo自動運転タクシーだが、意外な盲点があるようだ。乗客がドアを半開きにしたまま降車した場合、ドアがちゃんと閉められるまで運行不能に陥るという。それゆえ、ドアを閉めるだけのギグワークが存在し、その報酬には11.25ドル(約1,700円)という値が付けられているという。


客の不始末をギグワーカーが補う――という、Waymoらしからぬアナログな対策だが、無人車両特有の課題とも言える。将来的な改善策を含め、Waymoのドア閉め問題の真相に迫る。

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■Waymoのドア閉め忘れ問題

ドアを閉めたら1,700円、3,700円のオファーも?

Waymoによるドア閉めの仕事は、フードデリバリープラットフォーマーのDoorDashユーザーが「Craziest Offer(最もクレイジーなオファー)」としてSNSに投稿したことで判明した。

DoorDashからの依頼画面には、地図と「Close Waymo door」という文言、6.25ドルの報酬、完了後の割増額5ドルが確認できる。Waymoのドアを閉める依頼で、報酬は計11.25ドル――といった内容だ。地図に表示されたWaymoの車両に駆け付け、ドアを閉めたら1,700円もらえるのだ。

▼話題の投稿はこちら(reddit)
https://www.reddit.com/r/DoorDash_Dasher/comments/1r170zc/craziest_offer/


出典:reddit

Waymoを利用した客が降車した際、ドアを閉め忘れたり、半ドアに気付かずその場を去ってしまったりした場合、安全上、無人の自動運転車はドアが正しく閉じられたことを確認できるまで走行できない。ただちにドアを閉めたいところだが、ドライバー不在で車内無人のため、現場では即座に対応できない。

WaymoはDoorDashとフードデリバリー面でも協業しており、無人車両のトランクルームに商品を乗せ、配送するサービスも提供している。この場合も、商品を降ろした際にトランクを閉め忘れることもありそうだ。

そこで、事案が発生した際、提携するギグワーク系プラットフォームに依頼を出し、解決を図っているようだ。自社スタッフが直接対応するより、低コストかつ迅速に解決することができる。Waymoにしては随分とアナログチックな対応に感じるが、現状、こうした方法に頼らざるを得ないのだろう。

米紙ワシントン・ポストによると、オンデマンドロードサービスを手掛けるHonkのユーザーは、同様のWaymoの依頼において最大24ドル(約3,700円)の報酬を受け取ったという。


閉め忘れた人への請求はなし?将来自動ドアを完備?

なお、同投稿には以下のレスも寄せられている。

  • (この報酬分を開けっ放しにした)乗客に料金を請求するのか?もし請求しないなら、Waymoのドアを開け、ドライバー向けのこのようなサービスをもっと増やしてください。
  • 請求はしていない。今のところ、Waymoは顧客に罰則的な体験を与えるよりも、ドアが開いたままになることによるコストを負担することを選んでいるようだ。将来のWaymoの車両には自動ドアが搭載される予定。

開けっ放しにした客に請求しないのは、現状、問題視するほど発生件数は多くなく、単純ミスに起因するものだからと思われる。しかし、その対応にギグワーカーを利用していることが周知されれば、状況は変わってくる。

意図的にドアを開けっ放しにして、友人が近くで待機してWaymoからの依頼を待つ――ということも考えられる。悪意ある事案が多発する前に、根本的な解決を図らなければならない。

その解決策が「将来のWaymoの車両には自動ドアが搭載される予定」ということだろう。実際、WaymoはCNBCの取材に対し、自動ドア閉鎖機能の搭載計画を明かしている。

日本のタクシーのように運転席のレバー操作などで後部ドアを自動開閉する機構や、電動スライドドアのような制御システムを搭載すれば、自動制御によって閉め忘れ対策を行うことができる。

有力なのは、電動スライドドアだろう。市販技術としてすでに普及しており、電子制御=コンピュータ制御しやすいためだ。スライドであれば、乗降時に車両横の障害物などの干渉を最小化することもでき、タクシーサービスにうってつけだ。

将来の自動運転タクシーは、ミニバンなどスライドドア仕様がスタンダードとなるのかもしれない。

自動運転車特有のNG行為はほかにもある

自動運転タクシーにおいて、ドアの閉め忘れはNGであることがわかった。では、ほかにもNG行為はあるのだろうか。

おそらくすべての開発事業者がNG行為として禁止しているのが、運転席への着座だ。自家用車ベースの自動運転タクシーは、ハンドルなどの手動制御装置をそのまま搭載している。

自動運転時は勝手に操作できないよう制御されているが、万が一の事態が起こらないとも限らない。勝手に触られて壊される可能性も考えられる。

車内無人ゆえ、運転席に乗りこんで車両を盗もうとする者や、いたずらに手動運転しようとする者もおり、実際こうした事案は発生している。安全性・セキュリティ面から、運転席への着座を不可としているのだ。

Googleの自動運転タクシーを盗もうとした男、手動操作できず御用

■【まとめ】物理的対応に課題

Waymoではこのほか、介助犬を除くペットの持ち込みや車内喫煙、飲酒などを禁止している。車内を極度に汚した場合、自己申告すれば50ドル、無申告の場合は100ドル請求するとしている。

車内も常時監視システムが作動しているが、無人運転ゆえ何かあった際の物理的な対応にはなお課題が残る――というのが実情で、今後もさまざまなルールが設けられる可能性も考えられる。

さまざまな課題をテクノロジーやアイデアでどのように解決していくか。Waymo、そしてグーグルの力が試されるところだ。

【参考】関連記事としては「自動運転の「トラブル事例」一覧」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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