世界初?自動運転中の「ハンドル折り畳みモード」登場

米Tensorがレベル4自家用車に搭載



出典:Autolivプレスリリース

個人所有向け自動運転車の開発を手掛ける米Tensorが、グローバルサプライヤーのAutolivと共同で格納式ステアリングホイールを開発したと発表した。手動運転と自動運転の双方に対応したデュアルモードにより、ドライバーに新たなUXを提供する構えだ。

これまでの自動運転タクシー専用車両などとは異なる、自家用自動運転車ならではの設えだ。世界初のレベル4自家用車実現に向けたTensorの最新動向に迫る。


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■格納式ステアリングホイールの概要

デュアルモードでレベル4利用時は運転席がすっきり

TensorはAutolivと協業し、量産モデルでは世界初という折りたたみ・格納式ステアリングホイールを開発した。手動運転時は従来のステアリングホイールとして使用し、自動運転時はダッシュボードに格納可能とすることで、運転席を広々としたリラックス空間に変える。

Tensorが開発する車両「Tensor Robocar」の自動運転システムと一体化しており、レベル4モードになると自動で格納されるようだ。

その際、ステアリングホイールがあった場所に中央の15.7インチディスプレイをスライドすることもできる。わかりやすく言えば、自動運転時は運転席が助手席のような空間になるのだ。

Tensorは、このデュアルモード設計を自動運転車のインテリアにおける重要な進化と位置付けている。高度な自動化はUXを変革する一方、従来のステアリングホイールは固定された障害物となり、乗員の快適性とキャビンの柔軟性を制限してしまう。


そこで、格納式ステアリングホイールによって自動運転モード時に運転席エリアを解放することで、キャビンを個人の自由を優先する多機能空間として再構築するという。

ステアリングホイール同様、アクセル・ブレーキペダルも格納される設計だ。

量産車初の格納式ステアリング搭載車両となるか?

自家用車ベースの自動運転車は、すでにWaymoなどの自動運転タクシー開発事業者が実用化している。ただ、これらはサービス専用車両であり、運転席への乗車を禁止しているため、ステアリングなどはそのまま残されている。有事の際などに手動運転できるよう、必要以上に手を加えていないのだ。

一方、「自家用車」としての使用を前提とした自動運転車の場合、レベル5を実現しない限り手動運転装置は必須となる。しかし、タクシーとは異なり運転するドライバーがメインの乗客となるため、この運転席のUXを向上させるには、格納式ステアリングなどの仕様がマストとなってくる――といった感じだろうか。


格納式ステアリングの開発はサプライヤー各社が開発を進めており、日本ではジェイテクトなどが試作を発表しているが、今のところ実用化された例はないものと思われる。

レベル3自家用車では、こうした格納式ステアリングは有事の際に直ちに対処できない可能性があるため、おそらく実装されることはない。レベル4自家用車ならではの設えと言えそうだ。

また、自動運転タクシーの普及が進めば、レベル4サービス向けのオリジナル設計車両として格納式ステアリングが実装されることも考えられる。コストは上がるが、自動運転タクシーにこうしたシステムが搭載されれば、運転席に客を乗せることが可能になる。

ともかく、Tensorの自家用レベル4が量産車初の格納式ステアリング搭載車両となるか、要注目だ。

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■Tensorの概要

AutoXの米国事業を分社化して誕生

Tensorを知らない人も多そうだが、中国系スタートアップAutoXの米国事業が分社化する形で設立された新興企業だ。AutoXが存続しているのかどうか裏はとれないが、中国では引き続き自動運転タクシーサービスなどを継続しているという情報もある。公式ホームページは残っているが、ブログや採用情報などは削除されている。

中国では、深圳や上海などで無人の自動運転タクシーを実現している実力派で、Tensorはその技術を一般コンシューマ向けの自家用自動運転車「Tensor Robocar」に活用している。

自動運転システムはハイブリッド型?

Tensorの自動運転システムは、ルールベースを基本に据えつつ、リアルタイムで認識した情報から自律走行を行うこともできるハイブリッド型と言われている。

最先端のニューラルネットワークアルゴリズム「Tensor Foundation Model」を基盤とする高度なAIにより、データ駆動型で膨大な量の実世界データとシミュレーションデータから認識、予測、計画など運転のあらゆる側面を学習する。

ディープラーニングを強化するため大規模データ収集、可視化、グラウンドトゥルース生成、機械学習のトレーニングと評価のためのインフラストラクチャに多額の投資を行っており、クラウドプロバイダーのOracleの技術を活用し、広範なデータ処理インフラストラクチャを構築することで継続的なパフォーマンス向上を実現しているという。

高精度3次元地図とライブカメラやLIDARデータを融合し、信頼できる場合はマップを使用し、信頼性が低い場合はリアルタイムの認識に瞬時に切り替えて自律走行することができる。この二重のアプローチにより、事前マッピングされた道路の先見性とその場の認識による適応性を組み合わせ、あらゆる状況において安全で正確な運転を実現するとしている。

カーシェアやライドシェア事業者との協業も進展中

Tensor Robocarは、ベトナムの自動車メーカーVinFastと提携し、量産化に向けた取り組みにすでに着手している。2026年後半にも北米やアラブ首長国連邦(UAE)、デンマークなどの市場で発売・納車を開始する予定だ。

レベル4走行が可能なODDなどは不明で、車両価格もまだ公表されておらず、今後のプレスリリースを待ちたい。

すでにカーシェア事業者のGreenMobilityとデンマークで最大2,000台規模のTensor Robocar購入・導入に向けた協議が進められているほか、配車サービス大手Lyftともパートナーシップを結んでおり、自社フリート運用向けに数百台のTensor Robocarを確保する計画が公表されている。

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■【まとめ】レベル4承認の行方にも注目

世界初のレベル4自家用車の誕生となるか期待が高まるところだが、気になるのは、実用化計画が順調に進むのかどうか――だ。この手の話は延期に延期を重ねがちのためだ。また、レベル4のODDも不明で、規制次第ではしばらくの間レベル2+搭載車となる可能性も拭えない。

規制当局との協議状況など含め、今後の動向に引き続き注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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