CASEの意味は?(2024年最新版) コネクテッドや自動運転を示す自動車業界ワード

2020年代はCASEを中心に業界が動く



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出典:メルセデスベンツ公式ウェブサイト

自動車関係のトピックスで最近耳にする機会が増えてきたワードの一つに「CASE(ケース)」がある。自動車産業の今後の動向を示す重要なキーワードであり、自動車メーカー各社の事業の方向性を示す指針にもなり得るキーワードだ。

「CASEを制す企業が2020年代以降の自動車業界を制す」と言っても過言ではないほど、重要度が増してきたCASE。この記事ではCASEという用語の定義などについて解説しながら、「C」「A」「S」「E」それぞれにおける2024年時点の最新の業界の動向を探ってみよう。

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<記事の更新情報>
・2024年1月23日:自動運転(A)に関して、レベル3の展開状況をアップデート
・2023年9月27日:コネクテッド(C)に関して、クラウド大手のシェア争いについて追記
・2018年10月31日:記事初稿を公開

■CASEとは?

新会社設立の発表会で握手するソフトバンクの孫正義会長(左)とトヨタ自動車の豊田章男社長(右)=トヨタ自動車プレスリリース

CASEは「Connected」(コネクテッド)、「Autonomous」(自動運転)、「Shared & Services」(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、「Electric」(電気自動車)の頭文字をとった造語。2016年のパリモーターショーにおいて、ダイムラーAG・CEOでメルセデス・ベンツの会長を務めるディエター・チェッチェ氏が発表した中長期戦略の中で用いたのが始まりだ。

【参考】ダイムラーの戦略については「ダイムラーの自動運転戦略まとめ 計画や提携状況を解説」も参照。

変革の時代を迎えている自動車産業の動向を象徴するキーワードであり、ハード面における自動車の物理的変化とともに異業種を交えたモビリティサービスの重要性を示唆するものとなっている。

ダイムラーは、この4つのテーマの最適な組み合わせを実現することで、従来の自動車メーカーからモビリティサービスのプロバイダーへの変身を目指すこととしている。

また、「従来のクルマをつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」ことを宣言したトヨタ自動車も、CASEを意識した事業展開を図っていく構えだ。

ソフトバンクとの共同出資会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」の設立記者会見の席で、豊田章男社長は「100年に一度の大変革の時代を向けているが、その変化を起こしているのはCASE」と話し、「コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化といった技術革新によってクルマの概念が大きく変わり、競争の相手も競争のルールも大きく変化している。これからのクルマは、あらゆるサービスとつながることによって社会システムの一部になる」との考えを示している。

■CASEのC(Connected)の業界動向

ICT端末としての機能を有するコネクテッドカーは、車両の状態や周囲の道路状況などさまざまなデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、さまざまな価値を生み出す「つながるクルマ」を指す。通信機能を生かすことで、エンターテインメントをはじめとしたさまざまなサービス展開が予想される。

自動車のコネクテッド化、標準化の流れ

国内においては、トヨタ自動車が2018年6月の新車発売を機にコネクテッドサービス「T‐Connect」を本格スタートしており、今後国内で発売するほぼ全ての乗用車にDCM(車載通信機)を搭載してコネクテッド化を加速させる方針を明らかにしている。

日産自動車は、米マイクロソフトとの提携のもと「NissanConnect」サービスを展開。スマートフォンとの連動機能などが特徴だ。スバルは、コネクトサービス「STARLINK(スターリンク)」について、日本や北米などの主要市場で2022年までに8割以上の新車をコネクテッドカーにする目標を据えている。

マツダは、「安心・安全」「ドライビングインテリジェンス」「アミューズメント」をコンセプトに据えたコネクテッドサービス「G-BOOK ALPHA」を提供しており、トヨタとのアライアンスを最大限活用していく方針を発表している。ホンダは、ソフトバンクとの提携のもと研究開発強化を図っており、2018年度からコネクテッドサービスの展開に向けた体制の構築をはじめとする部署の新設や再編を行うと報じられてる。

通信事業者も自動車・部品メーカーに接近

通信事業者では、ソフトバンクのほか、通信プラットフォームの構築をはじめとした技術開発や標準化に向け、NTTやKDDIもトヨタと協業を進めており、NTTドコモは部品サプライヤーの仏ヴァレオグループとコネクテッドカービジネスのサービス開発や展開において協業することを2018年4月に発表している。

【参考】NTTドコモとヴァレオの協業については「コネクテッドカーのサービス開発で協業発表 NTTドコモと仏部品大手ヴァレオ」も参照。

このほか、GMOクラウドが車種を問わずに車両を「つながるクルマ」化することを目指し技術開発を進めるといった動きや、ルネサスエレクトロニクスがコネクテッドカー用のソフトウェア開発ツール(SDK)の提供を開始するなどの動きもある。

一方、海外でも独BMWとダイムラー、アウディの3社が、通信機器メーカーや半導体メーカーなどと5Gを使ったコネクテッドカー関連サービスの開発で提携するなどさまざまな動きを見せている。

【参考】コネクテッドカーについては「コネクテッドカー・つながるクルマとは? 意味や仕組みや定義は?」も参照。

クラウド大手のシェア争いも過熱へ

自動車のコネクテッド化や自動運転化で必ず使用されるのが、「クラウドサーバー」だ。クラウドサーバーを展開している世界的な大手企業はAmazonやGoogle、Microsoftなどで、それぞれが「AWS」「Google Cloud」「Azure」を展開している。

今後展開するコネクテッドカーや自動運転車がどのクラウドサーバーを選ぶのかは、クラウド大手各社にとって非常に重要だ。特に自動運転車は走行に伴って莫大なデータの送受信が必要になってくるため、契約を獲得できればクラウド大手にとっては「超お得意様」となる。

この辺りの事情などについては、自動運転ラボの以下の記事を参考にしてほしい。

■CASEのA(Autonomous)の業界動向

ホンダが発売したレベル3乗用車「新型LEGEND」=出典:ホンダプレスリリース

多くの自動車メーカーがすでに自動運転レベル1〜2の技術を市販車に搭載しているが、レベル3の技術の搭載に成功できているのは、2024年1月時点では日本のホンダとドイツのメルセデスのみだ。BMWも2024年3月からレベル3機能をオプションとして提供する計画を発表している。

ちなみに自動運転レベル1は「運転支援」、自動運転レベル2は「部分運転自動化」、自動運転レベル3は「条件付き運転自動化」、自動運転レベル4は「高度運転自動化」、自動運転レベル5は「完全運転自動化」のことを指す。

市販車ではレベル3、タクシーではレベル4が実現

世界的にみると、市販車では前述の通り自動運転レベル3の技術の搭載が実現されており、自動運転レベル4についてはシャトルやバス、タクシーへの搭載で実現されている。自動運転タクシーではアメリカWaymoが、シャトルではフランスのEasy MileやNavyaなどが業界をリードする存在だ。

自動運転レベル3と自動運転レベル4の違いは、特定エリア内における自動運転の主体が「人」か「システム」かだ。レベル3は「人」が運転の主体で、レベル4は「システム」が運転の主体となる。レベル4とレベル5の違いは、特定エリア内かエリア制限がないかだ。レベル5になると、どこでもいつでも自動運転が可能になる。

段階名称主体走行領域
レベル0運転自動化なし
レベル1運転支援限定的
レベル2部分運転自動化限定的
レベル3条件付き運転自動化限定的
レベル4高度運転自動化限定的
レベル5完全運転自動化限定なし

▼自動運転のレベル分けについて|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf

【参考】自動運転レベルについては「自動運転レベルとは?」も参照。

世界でIT企業の参入が顕著な状況

自動運転分野においては、IT企業の参入が顕著だ。アメリカではGoogleがWaymoを通じて参入しており、Appleも秘密裏にApple Carの開発を進めている。Intelもイスラエル企業Mobileyeを買収し、世界で自動運転タクシーの展開を目指している。

中国ではネット検索大手・百度などが自動運転車を開発し、すでに中国国内で自動運転タクシーの有料サービスを展開している。ロシアでは「ロシアのGoogle」と呼ばれるYandexが、自動運転では頭一つ抜きんでている。

ちなみに日本のソフトバンクグループは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を通じ、自動運転技術を開発するさまざまなスタートアップ企業やベンチャーに投資を行っている。

自動運転領域における日本のスタートアップやベンチャー企業としては、オープンソースの自動運転OS(基本ソフト)「Autoware」を開発するティアフォーや、自動運転車や自動配送ロボットなど幅広いアプローチを見せるZMPなどの存在が目立っている。

【参考】関連記事としては「自動運転業界のスタートアップ一覧」も参照。

■CASEのS(Shared & Services)の業界動向

ライドシェア分野では、米ウーバー・テクノロジーズ、中国DiDi、シンガポールのグラブ、インドのオラなどの存在感が強い。

ライドシェアに慎重な日本国内においては、タクシーの配車サービス事業が熱を帯びている。ソフトバンクとディディ、ウーバーが配車アプリを展開しているほか、DeNA(ディーエヌエー)もAI(人工知能)を活用したタクシー配車アプリの拡大を図っている。また、タクシー事業者とソニーらによるS.RIDEもタクシー配車アプリを展開しており、タクシー業界を巻き込んだ配車サービス競争が今後激化するものと予想される。

自動車メーカーでは、Google傘下のWaymoやGM傘下のCruiseなどが無人タクシーをサービスとして展開している。サービスという切り口では、自動運転による移動コンビニやホテル、レンタルルームなどといったさまざまなコンセプトが今後続々とスタートするものとみられる。

【参考】タクシー配車アプリについては「タクシー配車アプリや提供企業を一挙まとめ 仕組みも解説」も参照。

■CASEのE(Electric)の業界動向

欧州を筆頭に熱が高まったEV(電気自動車)。現在ではアメリカや中国などにもその動きは波及し、テスラを始めとした多くのEV企業が株式市場で注目される時代になっている。2020年代、多くの自動車メーカーによるEVの開発競争はより激しさを増すはずだ。

早くからEVに特化していた米テスラに電池を供給しているパナソニックなど燃料電池供給会社にとっては大きな商機となり、より性能を向上させた電池の開発が鍵となる。現在主流となっているリチウムイオンに代わる高容量、小型化、安全性を備えた新電池の開発・実用化を成すことで大幅な業績向上を達成できる。

EVや燃料電池開発では、中国勢の台頭も著しい。車載電池中国最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は、独BMWから数十億ユーロ(数千億円)分の発注を受けるなど車載電池分野でパナソニックと肩を並べる位置まで急成長を遂げている。

■【まとめ】4テーマを組み合わせた新たな発想が求められる

自動車業界の新たな指針となっているCASEは、今後も異業種を巻き込みながら業界に変革をもたらし、自動車や移動の概念を少しずつ変えていくものと思われる。

また、ダイムラーAG・CEOのチェッチェ氏が示す通り、これら4つのテーマをどのように組み合わせ、相乗効果を発揮して事業化・サービス化を図っていくかが今後の焦点になる。「コネクテッド機能を搭載した完全自動運転EVの無人タクシー」といったわかりやすい例がかすむような新たな発想が求められる時代がまもなく到来する。2020年代は、CASEを中心に自動車業界が動くと言っても過言ではあるまい。

■関連FAQ

    「CASE」とは?

    CASEは、「Connected」(コネクテッド)、「Autonomous」(自動運転)、「Sharing & Services(シェアリング/サービス)、「Electric」(電動化)の頭文字をとった造語だ。

    「CASE」という言葉が生まれたいつ?

    ダイムラーのCEOでメルセデス・ベンツの会長を務めるディエター・チェッチェ氏が、2016年のパリモーターショーで説明した中長期戦略の中で使ったのが最初だとされる。CASEという言葉はその後広く浸透し、モビリティ業界の次世代を象徴するワードとして使われている。

    「CASE」のCとは?

    「Connected(コネクテッド)」のことで、自動車に通信機能を持たせ、コネクテッド化させることを意味する。コネクテッド化することで車内でさまざまな映像コンテンツなどを通信によって利用可能になるほか、常時クラウドとのデータのやり取りが必要な自動運転車においても、コネクテッド技術は必要不可欠となる。

    「CASE」のAとは?

    「Autonomous(オートノマス)」のことで、自動車を自動運転化させることを意味する。自動運転レベルは0〜5の6段階で表現され、2022年2月現在では、オーナーカー向けではホンダがレベル3を実現しており、自動運転タクシーサービスではレベル4が実現されている段階だ。

    「CASE」のSとは?

    「Sharing & Services(シェアリング/サービス)」のことで、要はモビリティを使ったさまざまなサービスを展開することを指す。これまでは自動車は「販売」がゴールだったが、MaaSの流れもあり、車両を使ったさまざまなサービスを展開することが、自動車メーカーにとって重要な要素となりつつある。

    「CASE」のEとは?

    「Electric」(電動化)のことを指す。内燃機関を有するガソリン車からEVにシフトする流れが起きており、各自動社メーカーが近年対応を迫られている。

(初稿:2018年10月31日/最終更新日:2024年1月23日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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