自動運転車とは? 定義や仕組み、必要な技術やセンサーをゼロからまとめて解説

自動車社会を変えるイノベーション



自動運転車は自動車社会を急減に変化させる革新的イノベーションと言われている。自動車が人類で初めて登場したのは1769年という説が定着しており、フランス人のニコラ・ジョセフ・キュニョー氏が蒸気で走行する自動車を作ったのが始まりとされる。それから約250年が経ち、いま自動運転車がいよいよ実用化の時代を迎えようとしている。


「自動運転車」とひとまとめに言っても、それはどういった定義になっており、どういった技術が必要なのだろうか。どの企業が開発し、いつごろ実現し、市場規模はどう変化していくのだろうか。この記事では自動運転車について初めて知る人でも理解しやすいよう、自動運転車の基礎知識について解説する。

■自動運転車の定義・意味とは?

自動運転車は、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が発表している6段階のレベルに分けて定義されているのが現在一般的だ。そのレベルは「自動運転レベル」と呼ばれ、自動運転レベル0、自動運転レベル1、自動運転レベル2、自動運転レベル3、自動運転レベル4、自動運転レベル5で、それぞれに名称と定義がある。下記の表を参考にしてほしい。

段階名称操作走行領域
0運転自動化なし
1運転支援限定的
2部分運転自動化限定的
3条件付き運転自動化両方限定的
4高度運転自動化限定的
5完全運転自動化限定なし

「自動化」という言葉が使われるのは自動運転レベル2からだが、自動運転レベル2と自動運転レベル3では人が運転に関与する。一方で自動運転レベル4と自動運転レベル5では走行できる領域は異なるものの、走行の主体は完全にシステム側(AI)となる。

そのため、もし完全にシステム側が運転する自動車を「自動運転車」とするのであれば、自動運転レベル4と自動運転レベル5が自動運転車ということになる。


■自動運転車・自動運転社会の実現はいつから?

自動運転車の実現については、何を持って「実現」と言うかによっても異なる。エリアを限定せずにどこでも自動運転車が走行できる社会のことを指すのであれば、国によってももちろん違いはあるが、2030年ごろからとの予測が多い。欧州や日本、米国なども2030年前後を一つの節目に自動運転車が走行する社会インフラを本格的に準備する方向性を持っている。それまでには法整備なども必要になる。

一方で技術だけで言えば、2020年には自動運転レベル4(高度運転自動化)の技術は一定程度の水準に達するとの見方が強い。トヨタ自動車は東京オリンピックでレベル4の車両をお披露目することを既に発表しており、自動運転レベル3の技術を搭載したアウディA8は、既に発表から1年以上が経とうとしている。

【参考】各社の自動運転開発の進捗や目標については「【最新版】自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望に迫る|自動運転ラボ」も参照。


■自動運転車に必要な技術とは?

自動運転車にはさまざまな先端技術が必要とされる。位置特定技術や認識技術、AI技術、ビッグデータ技術、通信技術、ドライバーモニタリング技術などだ。

位置特定技術、認識技術

自動運転車はまずシステム側が自社の位置を正しく把握した上で、車両の周辺、特に前方にどのような障害物があるのか検知しながら走行する。このときに使われるのが「位置特定技術」と「認識技術」だ。GPSや高精度(HD)地図を使って車両の位置を特定し、自動運転の「目」とも呼ばれるLiDARやカメラ、ミリ波レーダーなどのセンサーを使って障害物を検知する。

AI、ビッグデータ、通信技術

さまざまなデータを総合的に集めた上で走行ルートの判断をしたり、ハンドルやブレーキに相当する走行操作を司ったりするのがAIだ。AIはセンサーが集めたデータやクラウド通信で取得したビッグデータなどを参考に、これらの判断を行う。AI技術やビッグデータ技術などが必要となるのはそのためだ。より多量のデータを取得するためには、5Gなどの次世代移動通信技術も必要となる。

ドライバーモニタリング技術

ドライバーモニタリング技術は、車内で人がどのような状態にあるのかを監視・認識する技術だ。自動運転レベル3などでは緊急時は人が運転を担うため、システム側は常に人が運転可能な状態かを認識しておく必要がある。

その他の技術

これらのほかにもさまざまな技術が、自動運転車を安全に走行させるために必要となる。AIを強化させるための深層学習(ディープラーニング)や機械学習(マシーンラーニング)などの技術も間接的に必要になると言える。

■自動運転車に必要なセンサーは?

前項でも触れたが、自動運転車が安全に走行するためにはさまざまなデータが必要となる。それらのデータを取得するのがセンサー類だ。

LiDAR(ライダー)

光技術を活用して周辺環境を検知するLiDAR(ライダー)は、自動運転車を代表するセンサーの一つであると言える。自動運転車の普及とともにLiDARの需要は右肩上がりで伸びていくとみられており、トヨタ自動車グループのデンソーなどの大手自動車部品メーカーから、世界各国のスタートアップ企業まで、さまざまな会社がLiDARの開発に力を入れている。

カメラ

カメラも自動運転車に必要なセンサーの一つだ。カメラを使うと、レンズを通じて取得したデータから障害物が人であるのか、車であるのか、その他のものであるのかなどを識別することにつながる。パナソニックやソニーなどのカメラ製造を行う企業も、自動運転車向けのカメラやそれに附随する技術を開発している。

ミリ波レーダー

ミリ波レーダーはミリ波を使って対象物との距離計測を行う。レーザーレーダーと呼ばれることもある。ミリ波を対象物に照射することで、対象物に反射されて戻ってくる電波を検出し、対象物までの距離や方向を検出する。

■自動運転車を開発する企業は?
日本と世界の大手メーカーが軒並み

自動運転車の開発に本格的に乗り出している大手企業としては、日本ではトヨタ自動車やホンダ日産、米国勢ではGMやテスラ、フォード、グーグル、アップル、欧州ではドイツ勢のBMWやフォルクスワーゲン(VW)、アウディ、ダイムラー、スウェーデンのボルボなどが挙げられる。

IT業界からも大手が参入

大手自動車メーカーに加えてIT業界からグーグルやアップルなどが参入していることが特徴で、中国検索大手の百度(バイドゥ)なども自動運転システムや車両の開発に乗り出している。

スタートアップ企業も続々

スタートアップやベンチャー企業で自動運転システムや車両の開発を進めている企業も続々誕生している。日本では名古屋大発スタートアップのティアフォーや自動運転ベンチャーのZMP、ソフトバンクグループ傘下のSBドライブ、ロボティクス・AI開発に取り組むアセントロボティクスなどが存在感を高めている。

自動運転車を構成するさまざまなセンサーや先端技術を開発する企業を含めると、知られているだけでも世界でゆうに数百社を超える企業が開発競争を展開している。

■自動運転業界や関連業界の市場規模、2030年にはどう変化?

自動運転車の普及に伴って、自動車業界は大きな転換期を迎える。従来の車の販売台数を自動運転車が追い抜く日が来るだろうし、使われる部品やシステムなども全く異なったものになってくる。裾野産業にも大きな影響が出てくるわけだ。

レベル3以上の自動運転車は2200万台、22兆円

自動運転車の販売台数については、自動運転レベル3以上では2030年に販売台数約2200万台、市場規模では22兆円規模に上るという見方もある。

車向け広告市場は米国だけで52兆円規模に

また車内空間向けの広告もあらたなPR機会として注目を集めており、2030年にはアメリカ国内だけで52兆円規模の市場になるという予測もある。

LiDARなどのセンサー市場は3.6倍の3.3兆円に

LiDARやカメラなどのセンサーや車載向け組み込みソフトウェアの市場も右肩あがりの状況がしばらく続く。自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けのセンサー市場は、2030年には2017年比で約3.6倍の3兆3000億円規模までに拡大するという見方がある。

車載向け組込ソフトウェアは倍増の8000億円規模

車載向け組み込みソフトウェアも2030年には現在の約2倍の8000億円規模の市場に拡大する可能性があるようだ。

■実用化・市販化の動きが本格化

自動運転車は2020年代に実用化・市販化にむけての本格的な動きが加速する。自動運転車が走行するためのインフラや通信環境なども整備され、従来の自動車よりも自動運転車の販売台数が上回る日もそう遠くはないと言われている。

時代の変化や技術の進化とともに、この記事で紹介した自動運転車の定義や仕組み、コア技術、センサーなども変わっていくかもしれない。自動車業界でのイノベーションを注意深く見つめていきたい。


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