フランス政府、テスラの「完全自動運転」広告に罰則

世界中で「FSD」名称が問題に



出典:Dunk / flickr (CC BY-SA 2.0 DEED)

念願の自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスを米国で開始したばかりのEV(電気自動車)大手テスラ。いよいよ順調に進むかに見えた同社の自動運転事業だが、フランスで問題が発生している。

フランス政府がテスラの車を「完全自動運転」として宣伝するのをやめるよう要求しているのだ。このまま誤解を招くような広告を続けた場合、1日あたり5万ユーロ(約841万円)の罰金を科すとテスラに警告している。


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■テスラへ命令した内容

フランス政府によるテスラへの命令は、2025年6月24日に出された。これは同国の消費者保護機関がテスラに関する多くの苦情が寄せられたことを受け、2023〜2024年に行った調査に基づくものになる。

テスラは同社の自動運転機能を「完全自動運転」としてうたっているものの、実際にはそのような機能がないことをフランス政府は問題視している。そして、この件について「誤解を招くマーケティング手法」と認定した。

さらに調査では、テスラはいくつかの商習慣においてフランスの法律に違反していることが判明した。たとえば、注文の返金が遅れたり、現金支払いの領収書を発行しなかったりといった行為が該当するようだ。テスラには是正のための猶予期間として、4カ月が与えられている。


■誤解を招くテスラの「FSD」

テスラの「FSD(Full Self-Driving)」については、米国でも名称についての議論がたびたび起こっている。「Full Self-Driving」は直訳すると「完全自動運転」となる。しかし実際は自動運転システムではなく、ドライバーが常に監視する必要があるADAS(先進運転支援システム)の機能にとどまる。

米国では、FSDを使用していたテスラのドライバーが歩行者をはねて死亡させた事件や、道路の見通しが悪くなった状況下でFSDが関わったとされる衝突事故が発生しており、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が調査を行ったこともある。2024年には名称を「Full Self-Driving (Supervised):フルセルフドライビング(監督付き)」に変更している。

なお中国では最近、同国内で販売する自動車メーカーは広告で「自動運転」といった表現をすることが禁止するという規則を政府が策定した。具体的には「autonomous driving(自動運転)」「self-driving(セルフドライビング)」「smart driving(スマートドライビング)」といった用語の使用を禁止する方針が示されている。


そしてテスラは中国でのFSDの名称を2025年3月から「Intelligent Assisted Driving」に変更している。

■テスラvsフランス政府の動向に注目

テスラは2025年6月22日から、テキサス州オースティンでロボタクシーサービスを開始した。ただし完全自動運転ではなく、走行エリアが限られ、限定された顧客のみが利用できるサービスになる。これまで大胆な戦略を行ってきたテスラにしては、かなり慎重なスタートと言える。

今回のフランス政府からの命令に、同社はどう対応するのか。なお2020年にはドイツの競争監視委員会がテスラのマーケティング上の主張をめぐり、同社が広告で実現可能な機能以上のことを約束していると訴えた。

テスラはフランス政府と争うのか、命令に従うのか。動向に注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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