トラックの一般道自動運転、日本初実装は東京都内の「人工島」濃厚

東京都大田区の「平和島」が舞台



出典:T2プレスリリース

東京都大田区の人工島「平和島」で、一般道における自動運転トラック実用化に向けた実証が始まることが、このほど判明した。

現時点で一般道における自動運転トラック実装に向けた本格的かつ継続的な取り組みは国内で行われておらず、実装を実現すれば同所が日本初となる可能性が高い。


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■取り組みの概要

T2が平和島で実証に着手

平和島で自動運転実証に着手するのは、自動運転トラック開発を進めるT2と、同所に拠点を構える東京流通センター、日本自動車ターミナルだ。3社は、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送の実現に向け、平和島の一部一般道区間における自律走行を前提とした走行ルートの検討や、自動運転トラックの受け入れ方法を検討することで合意した。

高速道路における自動運転トラックの開発を進めるT2は、走行範囲を拡大してさらに利便性を高めるため、自動運転トラックが高速道路から一般道を通じて顧客の物流施設に直接乗り入れを可能にする拠点の候補地を探していた。

そこで目を留めたのが平和島だ。平和島には南部流通業務団地があり、トラックターミナルなどの物流の集積地となっている。都心へのアクセスをはじめ東京港や羽田空港にも近く、同所の一般道を自律走行することで自動運転トラックの対応力の向上に資すると判断した。

一般道における自律走行実現にあたり、T2が走行ルートの検討や自動運転トラックの技術開発を行う。3社は、拠点のあり方や南部流通業務団地までの一般道の自律走行の検討、路車協調システムの設置を検討し、大田区も同プロジェクトの支援を進めていく。


将来的には、平和島が関東圏において自動運転トラックの直接乗り入れを可能にする拠点の機能を担うことを視野に、大田区などの関係行政機関や地域の関係団体などと連携することで地域社会の受容性を醸成しながら事業の着実な推進を図っていくとしている。

出典:T2プレスリリース

高速道路から一般道路にまたがるシームレスな自動運転技術構築へ

平和島は物流センターや倉庫、トラックターミナルが立ち並ぶ一大流通業務地だ。首都高速1号羽田線の出入り口があり、東京都道318号環状七号線の基点にもなっている。島の東に位置する大井ふ頭は東京港最大のコンテナ埠頭で、エリア一帯が物流の要衝となっているのだ。

こうしたエリアは、高速道路から一般道路にまたがる自動運転トラック実証・実用化における適地と言える。

現在開発の中心となっているのは、高速道路に限定した自動運転トラックだ。物流施設に直結したSA間などを中心に無人走行し、長距離輸送の省力化・効率化を図っていく構えだ。


過酷な長距離輸送を無人化する意義は非常に大きく、物流ドライバーの負担軽減や人手不足解消などに寄与することが期待される。一方、高速道路に直結した物流拠点の設置には限界があり、キャパは限られる。

また、拠点で荷物を自動運転トラックに乗せ換えて無人走行するのか、荷主が自動運転トラックをリースなどで所有し、一般道はレベル2、高速道路をレベル4走行するのかなど、さまざまなビジネスモデルが想定されるが、前者の場合、荷物の積み下ろし回数が増え、高速出入り口双方にドライバーが必要となるなど、オペレーションが複雑化する。

初期はともかく、最終的には一般道もそのまま走行可能なモデルの登場が求められることは間違いない。そうした未来を見据えれば、今回のT2の取り組みは非常に有意義なものとなる。

一般道におけるレベル4自動運転トラックの運行には高度な技術が必要だが、高速出入り口から比較的近く、シンプルな経路上に位置する物流施設であれば、ハードルを下げることができる。特定ルートを走行すればよいため、要領としては自動運転バスと同等となる。

そう考えれば、限定的ながら一般道における自動運転トラックも意外と早く実現するかもしれない。

出典:T2プレスリリース

■大田区における自動運転の取り組み

大田区は自動運転が盛ん?

東京都の中でも、大田区は自動運転実用化に向けた取り組みが盛んなエリアの一つに数えられる。羽田空港最寄りの大型複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」では、BOLDLYや鹿島らがレベル4サービスを可能とする特定自動運行許可を2024年6月に取得し、みなし公道となる敷地内で自動運転サービスを提供している。車両はNavya Mobility製ARMAが中心だ。

また、大田区と京浜急行バス、羽田みらい開発は2025年1月から1カ月間、天空橋駅と萩中公園を結ぶ市街地を走行する片道約4.2キロのルートで自動運転バスの実証運行も実施した。ティアフォー製「Minibus2.0」を導入し、HANEDA INNOVATION CITYと市街地のアクセスに自動運転サービスを導入する構えのようだ。

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平和島自動運転協議会も2025年5月に発足

平和島ではT2の取り組みとは別に、平和島自動運転協議会が2025年5月に発足している。Turing、米Applied Intuition、ソニー・ホンダモビリティ、日本政策投資銀行、日本経済研究所、東京流通センターは、自動運転に関する実証を随時、東京流通センター構内で実施し、開発を加速していく。

英Wayveも参加し、自動運転開発事業者が早くも4社集結している点がポイントだ。自動運転車両開発企業同士の協調領域におけるオープン・イノベーションを通じて、業界の発展、ひいては日本の物流業界が抱える社会課題の解決を目指していくという。

東京流通センターは、15万平方メートルに及ぶ敷地を自動運転車の走行フィールドとして提供するほか、センタービル916区画を会員用コミュニケーションルームとして整備し提供する。

Applied Intuitionは、車載OSやオフロード向け・トラック向けの自動運転ソフトウェアの開発などを手掛けているスタートアップで、評価額は150億ドル(約2兆1,000億円)に達している。トヨタ(ウーブン)や日産いすゞ、May Mobilityなどとパートナーシップを結んでいるようだ。

Wayveは近年日本との結びつきを急速に高めている。2024年にソフトバンクグループが主導するシリーズC投資ラウンドで10億5,000万ドル(約1,500億円)を獲得したほか、2025年4月には、日産がWayve AI Driverソフトウェアを搭載した次世代ProPILOTを2027年に導入することが発表された。同年5月には、ソニー系の配車プラットフォーマーS.RIDEと日本の公道におけるデータ収集に向けパートナーシップを締結したことも発表されている。

こうした海外勢とTuring、ソニー・ホンダモビリティがどのような形で協調領域を築いていくのか、注目だ。また、今後T2の取り組みと連携が図られていくかにも大きな注目が集まるところだ。

いずれにしろ、平和島が自動運転実証の一大拠点となることは間違いない。どのような技術が育まれ、どのように実用化に結びついていくのか。各社の動向に要注目だ。

■高速道路と一般道路はベツモノ

国は高速道路におけるレベル4トラック実用化に本腰を入れているが、自動運転で高速道路と一般道路をつなぐT2の取り組みは、さらなる発展形と言える。

ただ、交差点や不特定多数の交通参加者が存在する一般道路は、高速道路と基本が異なるため、一朝一夕ではなしえない。同業のティアフォーなどを含め、各社がどこまで技術を高めることができるのか、今後の開発動向を注視したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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