自動運転サービスの代名詞的存在である自動運転タクシー。自家用車ベースが多く、自動運転バスに比べ柔軟な自律走行を可能にするためそのすごさを実感しやすいのが特徴だ。
先行するアメリカではしばらくグーグル系Waymoの独断場となっていたが、テスラがついにサービスを開始するなど動きが出始めた。各社の最新動向をまとめてみた。
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■Google/Waymo
業界トップの座はまだまだ揺るぎない

自動運転タクシーのパイオニアであるグーグル系Waymoは、現状、技術面でもサービス面でも頭一つ二つ抜きん出ている。
2018年にアリゾナ州フェニックスでサービスを開始して以来、2024年までにカリフォルニア州サンフランシスコとロサンゼルス、2025年に入ってからもテキサス州オースティンとジョージア州アトランタにエリアを拡大している。
エリア拡大は加速しており、2026年にフロリダ州マイアミとワシントン D.C.、テキサス州ダラスでもサービスを開始する計画を発表している。
米国ではないが、日本でも日本交通とGOとパートナーシップを結び、2025年春から東京都内7区で走行実証をスタートした。国内ローンチ時期は未定だが、基礎技術は一定水準に達し、広域展開のハードルが下がり始めている印象を受ける。
エンドツーエンドモデルの開発にも着手しており、業界のけん引役はまだまだ譲りそうもない。
【参考】Waymoについては「Google/Waymoの自動運転戦略まとめ ロボタクシーの展開状況は?」も参照。
■Tesla
オースティンでサービスイン、2026年中の北米全域展開目指す

EV大手テスラは2025年6月、念願の自動運転タクシーサービスをテキサス州オースティンで開始した。助手席にオペレーターが乗っており、純粋なレベル4サービスではないが、重要なマイルストーンを迎えた印象だ。
モデルYベースの車両で、同社が2024年に公開した「Cybercab」とは異なる。今のところ利用者はアーリーアクセスプログラムの登録車で、今後Teslaアカウントを持つ一部市民へ拡大していく方針という。
走行範囲はオースティン内の一部エリアで、賃は距離にかかわらず一律4.20ドル(約610円)としている。
2026年に北米全域に拡大していく方針で、すでにカリフォルニア州パロアルト、ニューヨーク州ブルックリン、テキサス州ヒューストン・ファーマーズブランチ、アリゾナ州テンペ、ネバダ州ヘンダーソン、フロリダ州タンパ・クレルモン・マイアミの各都市でオペレーターを募集している。
レベル4としては現状Waymoに及ばないが、エンドツーエンドに基づく開発で一気に追い上げる可能性が考えられる。今後、どのタイミングで車内無人化を果たすか、走行エリアをどのように拡大していくのか、自家用車向けのFSDの自動運転化をどうするのか――など、注目ポイントは多い。
さらに、イーロン・マスク氏の頭の中には、自動運転化した自家用車によるタクシーサービスが刻み込まれている。自動運転タクシーサービスを北米全域に拡大するにあたり、どのタイミングで自家用自動運転タクシーを実現するか。その際、米国政府も一定の規制づくりに動くのか――など、こうした面にも注目だ。
【参考】テスラについては「テスラのロボタクシー、「急がば回れ」の典型例!人間的AIに固執」も参照。
■Amazon/Zoox
2025年後半にサービス開始の計画

アマゾンは2020年、自動運転開発スタートアップのZooxを買収し、自動運転分野に本格参入した。Zooxは同年末、完全オリジナル設計の自動運転タクシーを発表した。全長4メートル未満のコンパクトなボックス型で、運転席を備えず、前後の区別なく走行できるモデルだ。乗客は対面4人乗りとなっている。
自動運転システムは、カメラやLiDAR、レーダー、長波赤外線センサーなどを組み合わせ、周囲360度を監視する一般的な手法だが、照明と音を使って車外に自動車の次の挙動を知らせる機能を備えている。
また、すべての重要なコンポーネントに対し複数のバックアップシステムを設計し、障害が発生した場合でも車両が動作できるよう安全性を追求している。
運転席のない車両を一から設計し、生産も自社で行うため、連邦自動車安全基準(FMVSS)に定められた安全性能要件(保安基準)を自己認証している点もポイントだ。その上、積極的にソフトウェアの自主リコールも行っている点も見逃せない。
2025年に入ってから3件のリコールが発表されており、それぞれ、乗用車ベースの試験車両がブレーキをかけた後にバイクに追突された件、走行中のロボタクシーの前方に乗用車が急に車線変更してきたため、減速して右車線に操舵したところその乗用車も右車線に入って路肩車線に停車し、急ブレーキをかけたが間に合わず接触した件、ロボタクシーが低速で右左折中、交差点で優先権を譲るためブレーキをかけた電動スクーターに衝突された件に起因している。
重大案件と呼べるほどの事案ではないが、同社は直ちに該当するソフトウェアの使用を中止し、対策を講じている。各事案も公表するなど、安全に向けた誠実な対応はピカイチかもしれない。
走行実証は2025年現在、ネバダ州ラスベガス、カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルス、ワシントン州シアトル、テキサス州オースティン、フロリダ州マイアミ、ジョージア州アトランタの7都市で行っている。
当初は2024年後半のサービスインを目指していたが計画は遅れており、2025年後半にまずラスベガスとサンフランシスコで一般乗客へのサービス提供を開始するとしている。
Waymo、テスラに続く3社目となるか、要注目だ。
【参考】Zooxについては「Amazon、「自動車メーカー」に業態変更?ロボタクシー量産へ」も参照。
■May Mobility
Lyft、Uber Technologies双方で2025年中にもサービス開始

自動運転シャトルの開発を手掛けてきたMay Mobilityも、自動運転タクシーに参入するようだ。
同社はこれまで、ジョージア州ピーチツリー・コーナーズ、ミシガン州アナーバー、デトロイト、テキサス州アーリントン、ミネソタ州グランドラピッズ、フロリダ州マイアミ、カリフォルニア州マルティネス、アリゾナ州サンシティなどでサービスを提供してきた。
グランドラピッズ、マルティネス、ピーチツリー・コーナーズは現在進行中で、ピーチツリー・コーナーズでは無人運行を実現している。
同社のシャトルサービスは単一ルートではなく、一定エリア内に複数の乗降ポイントを設定し、ポイント間の柔軟な移動を可能にしている。
自動運転タクシーに比べればシンプルな設計で効率的と言え、同社はこのサービスを軸に事業展開するものと思われていたが、2024年11月にLyft、2025年5月にUber Technologiesとの提携を発表し、配車サービスに自動運転車を導入していく方針だ。ライドヘイリングAPIの開発も発表されている。
同社は「自動運転タクシーサービス」とはしておらず、柔軟なシャトルサービスの可能性も残るが、乗降ポイントを多数設定し、事実上自動運転タクシー同様のサービスに高度化させた可能性も考えられる。
計画では、2025年夏ごろを目途にLyftのプラットフォームでアトランタ、2025年後半にUber Technologiesのプラットフォームでテキサス州アーリントンでサービスインするとしている。
また、同社はトヨタやNTT、ブリヂストンなど、日本企業との関係も深い。日本市場での実証にも導入されており、国内参入の行方にも注目したい。
【参考】May Mobilityについては「改造トヨタ車、米で「完全無人」の自動運転シャトル化 May Mobilityが商用運行」も参照。
■Avride
2025年後半サービスイン目指す
ロシアのIT大手Yandexを前身とし、米スタートアップとして再スタートを切ったAvrideも有力だ。Uber Technologies、韓国ヒョンデとのパートナーシップのもと、2025年後半にテキサス州ダラスでサービスインする予定だ。
ウクライナ問題で揺れる中、活路を求めロシア系資本から独立する形で米国系企業となったが、その技術力は折り紙付きで、実証実績も豊富だ。
2024年10月にUber Technologies、2025年3月にヒョンデとそれぞれパートナーシップを交わした。ヒョンデと完全自動運転車両の共同開発・運用に向けた覚書を締結し、ソナタやIONIQ 5をはじめとする最先端EVプラットフォーム技術とAvrideの技術を活用し、自動運転タクシーや自動配送サービスを行っていく。
IONIQ 5ベースのフリートは2025年後半に配備を開始し、Uber Technologiesのプラットフォーム上でサービスを提供する計画としている。
【参考】Avrideについては「自動運転タクシー、韓国ヒョンデも「米国でUberで配車」 Googleに続き」も参照。
■Motional
新体制で2026年の実用化目指す

韓国ヒョンデ系のMotionalは、自動運転タクシーの商用化時期を2026年に延期し、開発を進めている。
ヒョンデとAptivの合弁として2020年に誕生した同社は、当初2023年にネバダ州ラスベガスでサービスインする計画を掲げていたが、開発の停滞と資金繰りからAptivが2024年に出資比率を減少し、事実上ヒョンデ傘下の企業となったようだ。
現在、ルールベースの開発からエンドツーエンドモデルの開発にも着手し、技術高度化を図っている。CTOを務めていたLaura Major氏が2025年6月に正式に新CEOに就任し、技術開発とともに2026年の商用サービス化を指揮していくようだ。
【参考】Motionalについては「自動運転企業Motional、韓国Hyundaiの700億円投入へ 存続に危機感も?」も参照。
■丸紅×Mobileye×Lyft
MobileyeとLyftとパートナーシップ、2026年にダラスでサービスイン
丸紅はLyftとイスラエルのMobileyeと手を組み、2026年にもテキサス州ダラスで自動運転タクシーを展開する計画をしたためているようだ。
LyftのDavid Risher CEOによると、Mobileyeと提携し、Lyftプラットフォームへ自動運転車を導入していく。車両の提供は、世界有数の自動車およびフリートファイナンス企業の丸紅が担うという。
丸紅とMobileyeは2021年にモビリティ関連ビジネスの市場開拓を目的に業務提携していくことに合意しており、3社の思惑が一致したようだ。
Mobileyeの発表によると、目標は、北米で大規模フリートを展開・運用したい事業者が、車両メーカーからMobileye Driveを搭載したLyft対応車両を購入し、Lyftのプラットフォームを活用して利用率と収益性を最適化するとしている。
【参考】丸紅×Mobileye×Lyftの取り組みについては「丸紅、米テキサス州で自動運転タクシーに着手 所有車両をLyftで展開」も参照。
■フォルクスワーゲン
ID. Buzz AD導入し2026年にもロサンゼルスでサービスイン
独フォルクスワーゲンのアメリカ法人も、Uber Technologiesとの提携のもと2026年に自動運転サービスを介する予定としている。
フォルクスワーゲングループオブアメリカの自動運転モビリティ子会社(フォルクスワーゲンADMT,)とUber Technologiesは2025年4月、ロサンゼルスを皮切りに複数の米国市場でUber Technologiesプラットフォーム上でID. Buzz ADを展開する提携を発表した。
2025年後半にサービス実証を開始し、2026年の商用化を目指す。今後10年間で、完全自動運転のID. Buzz AD数千台を導入する計画としている。
【参考】フォルクスワーゲンについては「米Uber、Googleに続きVWの自動運転タクシーも配車へ」も参照。
■【まとめ】Waymoに続く二番手争いが激化
Waymo、テスラ以外にも各社が2025年後半~2026年のローンチを計画しているようだ。おそらく計画通りに進まない企業も出てくるだろうが、2~3社ほどは新たな一歩を踏み出すかもしれない。
新規参入組は必ずWaymoと比較され、その技術水準を評価される。おそらくWaymoの優位性は今しばらく揺るがないものと思われるが、「おおっ!」と思わせるような企業が一社でも出てくれば業界の刺激となる。
Waymoを追走する二番手に浮上するのはどの企業か。各社の動向に引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転はいつ実用化?レベル・モビリティ別に動向・有力企業を解説」も参照。