丸紅、米テキサス州で自動運転タクシーに着手 所有車両をLyftで展開

ダラスで2026年にもサービスイン



丸紅が米国で自動運転タクシー事業に着手するようだ。配車サービス大手の米Lyftと自動運転開発を手掛けるイスラエルMobileyeと手を組み、テキサス州ダラスで2026年のサービスインを目指すという。


丸紅が所有する車両を自動運転化し、Lyftのプラットフォームでサービス展開する計画だ。丸紅が自動運転タクシー事業のオペレーターになるのだろうか。

自動運転タクシーをめぐる新たな動向に迫る。

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■丸紅×Lyft×Mobileyeの取り組みの概要

LyftのCEOがXで発表

Lyftの創業者でCEOを務めるDavid Risher(デビッド・リッシャー)氏は2025年2月10日、SNS「X」で自動運転車の導入について発表した。

リッシャー氏によると、Lyftは2024年11月、自社プラットフォームへの自動運転車導入に向けMobileyeと提携した。そして、世界有数の自動車およびフリートファイナンス企業の丸紅をこの取り組みに迎えるという。


さらに、丸紅はさまざまな子会社や合弁を通じて90万台以上の車両を管理しており、B2BやB2Cの自動車金融事業は成長しており、自動運転分野のリーダーになることを目指しているとしている。

Mobileyeの自動運転技術を搭載した丸紅所有の車両が、早ければ2026年にもダラスでLyftのプラットフォーム上に導入される。丸紅は、Lyft子会社のflexdrivecarsの知見のもと、車両を最大限活用していく。

その後、何千台もの自動運転車が他都市でも展開される予定で、自動運転車が増えれば増えるほどライドシェア市場は拡大していく。今後数カ月以内に続報するとしている。

上記はあくまでリッシャー氏の言だが、丸紅が所有するクルマにMobileyeの自動運転システムを搭載し、Lyftのプラットフォームでサービスを展開するということだ。初期の導入台数などには触れていないが、おそらくすでに実証フェーズには入っているものと思われる。

先行するWaymoにとっては、急に強力なライバルが出現した格好だ。

Mobileyeはオペレーターやプラットフォーマーとともにサービスを展開

丸紅とMobileye、及びインテル傘下のMaaS企業Moovitは2021年、日本国内におけるMobileyeとMoovitのサービスを活用したモビリティ事業の拡大を目的とした覚書を締結している。


日本国内でのサービス展開に向けた提携だが、この両社の関係を生かし、一足早く米国でサービス展開を図っていく流れだろうか。

▼モービルアイ社およびMoovit社とのモビリティ関連サービスに関する業務提携について|丸紅
https://www.marubeni.com/jp/news/2021/release/00105.html

また、Mobileyeが2024年11月に発表したLyftとの提携に関するリリースによると、北米のさまざまな大都市圏で大規模フリートを展開・管理したい自動運転オペレーターが、車両メーカーからMobileye Driveを搭載したLyft対応車両を購入し、Lyftのプラットフォーム上で乗客にアクセスすることで、フリートの利用率と収益性を最適化するとしている。

つまり、MobileyeはWaymoと異なり、オペレーターとなる第三者の存在を前提としているのだ。Waymoは自ら車両を購入し、自動運転システムを統合して直営する形で自動運転タクシーサービスを提供している。今後第三者を交えることもありそうだが、おそらく車両は自社が調達したものを貸し出す形式を採用するものと思われる。

▼Lyft and Mobileye Team Up to Enable Autonomous Mobility at Scale|Mobieye
https://www.mobileye.com/news/lyft-and-mobileye-team-up-to-enable-autonomous-mobility-at-scale/

一方、Mobileyeは自動運転サービスを展開したい事業者が調達した車両に自動運転システムを統合することに主眼を置いている。基本的にサービスそのものは他のサービス事業者に委ねるということだ。

もちろん、遠隔監視やメンテナンス、マッピングなどの事前準備などさまざまな面で関わる必要が生じるため、サービス事業者とパートナーシップを組んで展開することになるものと思われるが、自社の主体性を落とすことでサービス事業者の自由度を担保し、世界展開を促進していく戦略なのかもしれない。

「Mobileye Drive」はドイツやノルウェーなどでも実証中

Mobileye Driveは、自動車メーカーや交通事業者が自動運転タクシーやライドシェア、公共交通、商品配送などのサービスを、完全自動化できるようにする包括的な無人運転システムだ。

テスラ同様、MobileyeのADASを搭載した自家用車などからデータを収集するなどし、マッピングをはじめとしたソリューションを効率的に開発している。

フォルクスワーゲンやSchaeffler(シェフラー)、BENTELER傘下のHOLON、MAN、リマックらがMobileye Driveを自社メーカーの車両への統合を図っている。

また、ドイツ鉄道やHolo Ruter、Beep、Moia、Verneといったモビリティ事業者らは、Mobileye Drive搭載車両による自動運転サービス実現に向け取り組んでいる。

同社によると、現在Mobileye Drive搭載車両はドイツ、ノルウェー、クロアチア、米国の複数のモビリティ オペレーターによって試験運用されているという。

【参考】Mobileyeについては「Mobileye(モービルアイ)と自動運転」も参照。

Mobileye(モービルアイ)と自動運転(2023年最新版)

■自動運転タクシーの動向

Waymoの独壇場が続くが……

北米における自動運転タクシーは、現在Waymoの独壇場となっている。同社はアリゾナ州フェニックスを皮切りに、カリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルスでサービスインしている。2025年中には、テキサス州オースティンとジョージア州アトランタにも拡大する予定だ。

フロリダ州マイアミ、日本の東京でも計画が進められているほか、報道によると、2025年中にネバダ州ラスベガスやカリフォルニア州サンディエゴなど10都市でサービス化に向けた実証に着手するという。

ライバルだったGM系Cruiseが自動運転タクシー事業から撤退したため独壇場となっているが、アマゾン傘下Zooxが近くネバダ州でサービスを開始するほか、EV大手テスラが2025年末までにカリフォルニア州で自動運転タクシーサービスに着手し、2026年には北米全域に拡大する構想を発表するなど、新たな勢力が次々と顔を覗かせている。

2番手候補にMobileyeが急浮上

Zooxは専用設計のオリジナル車両にこだわっており、大規模展開には時間を要するため、それほどWaymoの脅威にはならない。爆発力を秘めるテスラは大きな脅威だが、自動運転技術の水準に疑問と不安が残り、実現時期が先延ばしとなる可能性も高い。トランプ政権をバックにイーロン・マスク氏のやりたい放題が始まるかもしれないが、諸刃の剣となることも考えらえる。

一方、Mobileyeはどうか。インテル傘下として独自路線を歩んでいるものの、ADASソリューションを通じてOEMとの関係は良好で、何より自動運転技術そのものが高レベルに達している。

Waymo同様、一カ所でじっくりと自動運転技術・サービスに磨きをかけることができれば、その後の広域展開は加速度を増していく。数年後、自動運転タクシー業界の地図がどのように塗り替えられているのか、要注目だ。

【参考】Waymoの動向については「Google、自動運転タクシーをさらに10都市で拡大!テスラ意識か」も参照。

テスラ、自動運転タクシーを「2026年から全米」に拡大 初っ端から無人

配車プラットフォーマー間の競争に大きな影響を及ぼす

配車プラットフォーマーの観点からも今回の取り組みは注目に値する。リッシャー氏が「自動運転車が増えれば増えるほどライドシェア市場は拡大していく」(前述)と言うように、将来、ライドシェアやタクシーサービスは自動運転サービスにシェアを奪われ、配車サービス全盛の時代を迎える可能性が高い。

最大手のUber Technologiesは、自動運転トラックや自動配送ロボットなどを含めると、WaymoやMotional、Aurora Innovation、Avrideなど開発各社とのパートナーシップを拡大している。特に、自動運転タクシーにおいてWaymoとパートナーシップを結んだ点は大きい。

一方、Lyftは早くからAptiv(現Motional)と自動運転タクシー実用化に取り組んでいたが、遅れは否めない。このままでは未来の配車サービス市場においても後手を踏むところだが、Mobileyeが加わることでUberと真っ向対決できる可能性が出てきた。

もちろん、WaymoもMobileyeも最終的には両プラットフォーマーとつながる可能性が高いが、プラットフォーマー間の競争に大きな影響を及ぼすことになるのは間違いない。こうした観点からも、各社のパートナーシップの行方に注目したいところだ。

■【まとめ】WaymoとMobileyeの競争は日本でも?

Waymo とMobileyeの競争は、日本でも展開されるかもしれない。Waymoは日本交通、GOと手を組み、東京都内で2025年中に実証に着手する。一方のMobileyeは2020年にWILLERと提携し、2023年を目標に自動運転タクシーと自動運転シャトルサービスを開始する計画を発表していた。

当初計画より遅れているものの、両社は愛知県の事業のもと名古屋市内で実証を行うなど一定の取り組みを行っている。

こうした取り組みが実を結べば、国内でもWaymoとMobileyeが競合することになる。ティアフォーなど国内勢力含め、各社がどのようなサービス展開を行っていくのか。こうした点にも注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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