Googleのロボタクシー、「採算ライン」到達間近か?

2025年9月の10大ニュース



グーグル系Waymo自動運転タクシー事業が、年間売上450億円規模に達することが判明したようだ。実用化の機運は確実に高まっており、商用展開のニュースを目にすることも増加している。


投資フェーズはまだまだ続きそうだが、自動運転移動サービスがビジネスとして成立し、利益を生み出し始める未来はすぐそこまで迫ってきているのかもしれない。大きな節目を迎えつつある自動運転業界。2025年9月の10大ニュースを振り返っていこう。

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■自動運転の不具合頻度、米国平均は「9分に1回」 米調査(2025年9月1日付)

アメリカ自動車協会による低速対応レベル2システムに関する調査によると、システムが運転状況を適切に処理できなかった状況は平均3.2マイル(約5.1km)ごと、時間にすると平均約9.1分ごとに発生したという。

調査によると、ハンズオンシステムはハンズオフシステムよりも介入回数が3倍多かった。ハンズオフ単体では、約5 マイルまたは 15.3 分ごとに手をハンドルに戻し再度操作するよう求められたという。

割り込みされた際に介入要請が出ることが最も多く、次いでレーンセンタリングアシストシステムの不十分さを問題視している。


レベル2走行は、前走車両との車間をしっかりと確保して走行するため、割り込みされることが多いのかもしれない。急な割り込みは一時的であれ車間が確保できず、手動介入を必要とするのかもしれない。レーンキープに関しては、白線・区画線が途切れがちな場所に対応できないシステムもある。

レベル2の普及が大きく加速する中、各社のシステムの精度を数値で割り出したり比較したりする検証が今後多く見られるかもしれない。

自動運転の不具合頻度、米国平均は「9分に1回」 米調査


■アメリカでさえ「自動運転車を信頼」たった13%(2025年9月8付)

アメリカ自動車協会の調査によると、米国人ドライバーの61%が「自動運転車に乗るのは怖い」と回答し、「自動運転車を信頼している」は13%にとどまったという。

この数年間、特に社会受容性が上がることもなく、自動運転への不安感は依然としてくすぶり続けているようだ。自動運転先進国のアメリカでこの数字は物足りない感が否めない。

特定の事故などが影響しているのか、あるいは先進国と言え自動運転タクシーなどが走行しているエリアは一部に限られるため、全体としてはまだまだ温度が高まっていないのか――など、要因はいろいろ考えられる。


フェニックスやサンフランシスコなど、サービス実装から数年が経過したエリアではどのような数字となるのか気になるところだが、これをポジティブに捉えれば、まだまだ市場が拡大する余地があるとも言える。

おそらく、乗るのが怖いと回答した人の大半が自動運転車未経験のためだ。Waymoなどトップクラスの技術は下手な人間の運転よりも安心感が高いと評価されることも多い。未知の技術・サービスを実際に目にすることで考え方・印象はがらりと変わることは珍しくない。今後のアンケート結果の推移に注目したい。

アメリカでさえ「自動運転車を信頼」たった13%

■時速104kmで居眠り?テスラ乗車中の女性が炎上(2025年9月10日付)

ドライバーが居眠りしたまま走行するテスラ車が目撃されたようだ。SNSに投稿された動画には、走行中のテスラ車内でヘッドレストに頭を持たれ微動だにしない女性の姿が映し出されている。

動画には低速走行時の様子が収められているが、投稿者によると約5分間並走しており、時速100キロほどでもこの様子だったという。女性の首元には枕のようなものも確認できる。

この車両がAutopilotを使用しているのかFSDを使用しているのかなどは定かではないが、現行システムは、いずれもドライバーが前方から目を離し続けると警告を発し、最終的に車両を停止するよう設計されている。何かしらの方法でこうした安全システムを回避している可能性もある。

テスラのADASは、誤解を招く名称と高性能ゆえ、たびたびこうした問題が発生している。過去には死亡事故も発生している。中国でもシャオミの自動車が死亡事故を起こすなどし、誤認されるような説明禁止やレベル2機能の周知などが進められている。

今後、世界的にハンズオフ運転車両が増加していくことが予想されており、こうした誤認・過信による運転が懸念されるところだ。

【参考】詳しくは「時速104kmで居眠り?テスラ乗車中の女性が炎上」を参照。

時速104kmで居眠り?テスラ乗車中の女性が炎上

■メルカリ、自動運転に新規参入か?元トヨタAI幹部が参画(2025年9月10日付)

Woven CityでAI開発の責任者を務めていた人物が、メルカリの研究開発組織「R4D」の新所長に就任した。新天地で自動運転をはじめとしたモビリティ事業に本格着手するのか、その動向に注目が集まる。

メルカリがモビリティ事業?……と思われるかもしれないが、同社はテクノロジー企業としてさまざまな事業展開を見据えた取り組みを進めている。R4Dでは、空気で膨らむインフレータブル構造の小型電動モビリティ「Poimo」の研究を進めるなど、モビリティ関連にも取り組んでいる。

「フリマ」企業の印象が強いが、テクノロジー企業として同社を捉えれば、自動運転×小型電動モビリティといった研究に着手してもおかしくはない。新所長のもと、同社の研究開発組織はどのように変わっていくのか。必見だ。

メルカリ、自動運転に新規参入か?元トヨタAI幹部が参画

■次期首相、自動運転は「あの候補」なら普及に追い風?(2025年9月11日付)

新総理に最も近い椅子をめぐる自民党の総裁選挙が行われている。党内の規律改訂をはじめ、物価高対策や外交の在り方など論点は非常に多いが、当サイトとしてはやはり自動運転関連の施策が気になるところだ。

どの候補が新総裁、新総理の座に就けば、自動運転施策はさらに前進するのか。5候補の中で、最も自動運転事業に近い位置にいるのは、おそらく小泉氏だ。安倍政権下で自動運転実証などの施策づくりに関わり、お膝元の神奈川県では日産の取り組みに触れてきた。

イノベーション推進派であり、形はどうあれ民間の開発や社会実装を後押しする施策を強化してくれる可能性が高そうだ。

自民党は第二次安倍政権以来自動運転施策に力を入れ続けており、5候補とも自動運転施策には前向きだ。結局のところ予算をいくら割くことができるか――という観点が重要なのかもしれない。この観点で言えば、積極財政派の高市氏にも期待が持てる。

自動運転に関連するAIや半導体分野を含め、新政権は具体策を打ち出すことができるのか、大いに注目したい。

次期首相、自動運転は「あの候補」なら普及に追い風?

■トランプ政権、自動運転車は「ワイパー搭載義務」免除へ(2025年9月12日付)

自動運転時代に向け、トランプ政権が連邦自動車安全基準(FMVSS)の改訂に本格着手するようだ。人間のドライバーの存在を前提とした従来のルールを見直し、自動運転特有の条件を盛り込んでいく方針だ。

フロントガラスのワイパー設置義務の撤廃や、FMVSSを満たさない車両も条件次第で販売や運行を認める――といった内容などを検討しており、早ければ2026年春までに施行する予定という。

完全無人の自動運転を前提とした車両は、ハンドルやブレーキなどの制御装置に留まらず、そもそも運転席を必要としない。ワイパーもサイドミラーもいらない。場合によっては、良好な視界を確保するフロントガラスも排除できるだろう。根本的に要件が異なるのだ。

自動運転システムが備えるべき機能水準とは別に、車体が備えるべき要件も異なってくる。今後も新たな仕様・仕組みの車両が登場することが予想されるため、しばらくは特別措置を含めた規制の在り方に関する議論が続きそうだ。

トランプ政権、自動運転車は「ワイパー搭載義務」免除へ

■自動運転中は「ハンドル格納」!米国で新タイプ登場(2025年9月13日付)

AutoX改めTensorが、レベル4自家用車の実現に向け大きく動き出している。2026年後半にも販売を開始する計画だ。車両の製造はベトナムの自動車メーカービンファスト(VinFast)が手掛ける。

レベル4運転時、ゆったりとくつろげるようステアリングとペダル類を折りたたみ可能にしたという。開発には、AutolivやZF、Boschなどのサプライヤーも協力している。手動運転モードに戻ると、ステアリングやペダルは自動的に展開する。

レベル4走行可能な道路条件やエリアなどが不明で、場合によっては規制の壁に阻まれる可能性もある。レベル4自家用車はモービルアイなども計画していたが、この手の計画は予定通り進まないケースが多い。

果たして、Tensorはどこまで製品化や実用化に向けた取り組みを具体化しているのか。今後の動向に要注目だ。

自動運転中は「ハンドル格納」!米国で新タイプ登場

■Google無人タクシー、「富裕層リピーター化」で年間売上450億円へ(2025年9月15日付)

Waymoの2025年の売上高は、3億ドル(約441億円)を超える可能性があるようだ。乗車運賃の平均は約20ドル(約3,000円)で、現在週当たり25万~30万ライドを実現している。損益分岐点を超える日もそう遠くないのかもしれない。

Waymoの自動運転タクシー事業は軌道に乗り始め、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスに加え、オースティン、アトランタ……と新規エリアがどんどん登場している。週あたりのライド数は、2024年5月の5万回から1年後には25万回に増加しており、右肩上がりは今後も続く見込みだ。

Waymo単体の決算情報などは公開されていないため損益分岐点は不明だが、同社CPOは「非常に重大な収益段階に来ている」としている。

事業拡大とともにコストも肥大化し、投資フェーズはまだまだ続くものと思われるが、先頭を走るWaymoが利益を生み出すことに成功すれば、後に続く事業者も光を見出すことができる。Waymoのさらなる躍進に期待したいところだ。

Google無人タクシー、「富裕層リピーター化」で年間売上450億円へ

■イーロン・マスク、自動運転でGoogleに「降参」?テスラ、主軸をロボットに転換か(2025年9月18日付)

イーロン・マスク氏が、テスラの将来的な価値の約80%がヒューマノイド型(人型)ロボット「オプティマス」から生まれる――とする考えを示したようだ。

米メディアの報道によると、マスク氏は自動車事業の重要性を相対的に下げる姿勢を強調する一方、開発段階にあるオプティマスが自動車事業の収益を上回る可能性があると述べているようだ。

テスラの自動車販売台数はやや頭打ち感が出始めており、シェアをさらに伸ばすには、自動運転技術などの特別な付加価値が必要になるものと思われる。その芽は今まさに実を結ぼうとしている段階だが、マスク氏はさらにその先を見据えているようだ。

オプティマス事業をテスラの枠に収めたまま事業展開するのか、スピンオフするのか……などさまざまな見方ができるが、まずは自動運転事業にしっかり注力し、モビリティ分野でイノベーションを起こしてほしいところだ。

イーロン・マスク、自動運転でGoogleに「降参」?テスラ、主軸をロボットに転換か

■トヨタ、Googleやテスラに負けじと「市販の自動運転レベル4」発売へ(2025年9月22日付)

トヨタがついにe-Paletteの販売を開始した。当面は自動運転車ではなくレベル2対象車両としての市場投入となるが、どのような反響があるのか気になるところだ。

計画では、2027年度を目途にレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指すとしている。他社の自動運転システムを統合できるよう車両制御システムの接続を標準化するとともに、システムの堅牢性や信頼性を高めるための冗長システムも搭載する。

おそらく、多用途に活用可能なサービス車両として導入を図る事業者と、将来的な自動運転モビリティ開発に向け導入する事業者の二つの需要があると思われる。

Waymoやテスラなどが大きく動き出す中、トヨタも負けじと新たな一手を打ってきたのか。あるいは、自動運転開発事業者とは別の独自路線を歩むための布石だろうか。トヨタはどのような戦略で自動運転時代に立ち向かうのか、要注目だ。

トヨタ、Googleやテスラに負けじと「市販の自動運転レベル4」発売へ

■【まとめ】商用自動運転も自家用車も着実に進化

米国では一人勝ち状態のWaymoがいつ利益を生み出すか、要注目だ。自家用車市場では、レベル2関連のトピックも増加してきた印象を受ける。Tensorのレベル4自家用車も実現に結びつくのか、要注目だ。

国内では、トヨタがe-Paletteを発売したがレベル4には至っておらず、米国勢との差は開くばかりだ。この差が10年、20年後、産業としてどのように影響してくるのか。国内勢の奮起に期待したいところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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