【2021年5月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

トヨタ、「空」に本腰?物流向け「S-Palette」も?



海外ではインテルの巨額投資計画やフォルクスワーゲングループによるチップ自社開発など、開発主体の話題が多く上った2021年5月。国内では、空飛ぶクルマ関連の話題やスーパーシティにまつわる構想案などが注目を集めたようだ。







2021年5月の10大ニュースにピックアップされた話題を1つずつおさらいしていこう。

■これがトヨタ未発表の「S-Palette」!物流専用の自動運転ロボか(2021年5月5日付)

トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」の動画において、MaaS専用自動運転車「e-Palette」に続き物流向けの自動運転ロボット「S-Palette」の存在が明らかとなった。

静岡県裾野市で建設が進められているWoven Cityで実証される予定のロボットで、シティ内の物流センターに届いた荷物を各戸に運ぶ役割を担うようだ。

日本では現在、宅配ロボットの実用化に向け官民の取り組みが大きく進み始めており、ZMPをはじめパナソニックやティアフォーなどもロボット開発戦線に名乗りを上げている。今のところスペックなどの詳細は不明だが、トヨタもこの分野への進出を水面下で進めていることは間違いない。今後の動向に要注目だ。

■自動運転向けチップ、自社開発の潮流 テスラにApple、VWも(2021年5月7日付)

最先端技術に欠かすことのできない半導体は、自動運転分野でも大きな役割を担う。「NVIDIA DRIVE」ソリューションを展開する米NVIDIAやSoC「EyeQ」の開発を進めるモービルアイはその象徴と言えるだろう。

半導体の開発は専門性が高く、特に自動運転分野では「餅は餅屋」の傾向が強まっている感があるが、ここにきて独フォルクスワーゲングループが自社開発に本腰を入れていく方針が報じられた。開発競争力の堅持と開発スピードの加速がその背景にあるようだ。

米テスラやアップルのようにテクノロジーを主体とした企業に同様の傾向がうかがえるが、トヨタとデンソーが「ミライズテクノロジーズ」を設立し半導体研究を専門的に進めるなど、自動車メーカーにおいても開発に本腰を入れる動きが進んでいるようだ。

最先端テクノロジーをめぐる開発競争はまだまだ続き、さらなる技術革新を生む可能性も高そうだ。

■インテル、Mobileye本社に4億ドル投資 自動運転の一大拠点化へ(2021年5月8日付)

米インテルがイスラエルでの研究開発拡充に6億ドル(約656億円)を追加投資する方針を発表した。このうち、4億ドルを子会社のイスラエル企業Mobileyeに投資し、自動運転開発をいっそう加速する計画のようだ。

モービルアイは日本のバス事業者WILLERとアジア圏における自動運転タクシーの実用化を進めるほか、近々では独自動車部品大手のZFとともにトヨタのADAS開発ベンダーに選ばれるなど、着々と実績を積み重ねている。

NVIDIAなどと比べるとスタートアップとの結び付きは弱いが、ADASソリューションを通じて世界の自動車メーカーと大きなつながりを持つモービルアイ。インテルという大きなバックボーンのもと、自動運転サービスを活用した世界戦略にまもなく大きく動き出す可能性が高そうだ。

米インテルは2021年5月7日までに、イスラエルでの研究開発拡充に6億ドル(約656億円)を追加投資する方針を発表した。

自動運転ラボとして注目したい点は、そのうち4億ドルを傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)のエルサレム本社に投じるという点だ。4億ドルの投資でMobileyeのエルサレム本社を自動運転技術の一大拠点とする計画のようだ。

■自動運転実用化、IR・カジノは絶好の舞台!国内外で構想&実証(2021年5月11日付)

2021年10月に公募が始まる見込みの統合型リゾート(IR)。誘致を目指す自治体の中から、最大3カ所の区域整備計画が認定される予定だ。IR開発はスマートシティやスーパーシティなどと同様、大規模なエリア開発が行われることが多く、こうした機会は自動運転をはじめとした先進技術・サービス導入の場として絶好の舞台になる。

IR誘致を目指す大阪府・大阪市は、2025年開催予定の大阪・関西万博との相乗開発を前面に押し出し、インフラ整備とともに自動運転サービスの導入を計画に盛り込んでいる。和歌山県や長崎県は、空飛ぶクルマの導入を視野に入れているようだ。

カジノの是非が注目を集めがちなIRだが、イノベーション効果などにも広く目を向け、動向を見守りたいところだ。

■「自動運転シティ!」と叫びたくなる愛知スーパーシティ構想とは(2021年5月12日付)

国が公募していたスーパーシティ構想に、全国31の地方公共団体から提案が寄せられた。中でも、愛知県と同県常滑市の「あいち・とこなめスーパーシティ構想」はモビリティ関連の事業を多く取り入れており、「自動運転シティ」の様相を呈している。

中部国際空港(セントレア)が位置する人工島と常滑市が主な舞台で、自動運転やロボットなどの次世代技術の実装を進め、ゆくゆくは県内に拡大していく計画だ。

自動車産業が盛んで自動運転実証に力を入れる愛知県において、実証から実装への転換を図る取り組みとして、スーパーシティ構想の採用成否に注目が集まるところだ。

■トヨタ、世界でダブル首位!自動運転&MaaSの特許出願、米中勢抑え(2021年5月15日付)

特許庁が発表した最新の「特許出願技術動向調査 結果概要」によると、主要国における自動運転関連技術及びMaaS関連技術の特許出願件数でトヨタが首位となっていることがわかった。

同調査は、日本、米国、欧州(独除く)、ドイツ、中国、韓国を出願先とした2014~2018年の特許文献、及び2017~2019年の非特許文献を対象としたもの。自動運転関連技術ではトヨタが4,247件でトップに立ち、フォード3,067件、デンソー2,648件と続く。MaaS関連技術は、トヨタ647件、DiDi436件、フォード290件の順となっている。

トヨタ、デンソー以外にも本田技研や日産、日立、三菱電機がランクインするなど日本国籍企業の活躍が目立っており、自動運転関連技術のうち37.5%、MaaS関連技術のうち22.5%をそれぞれ日本国籍企業が占めている状況だ。

特許出願ベースではあるものの、日本企業の研究開発力を裏打ちするデータと言える。その成果は表に出にくくコンシューマー目線では意識しづらいが、自動運転技術の確立に大きく寄与していることは間違いなさそうだ。

■北京、上海、深セン・・・中国の自動運転タクシー最新事情まとめ(2021年5月15日付)

自動運転分野における中国勢の躍進が著しい。自動運転タクシーの実用実証サービスが各市に広がり、セーフティドライバー不在の無人サービスも誕生するなど、これまで先行してきた米国勢を追い抜く勢いだ。

米国では各州の意向のもと開発企業が実証を進める形が続いており、合衆国全体としての取り組みは大きく進展していない印象だ。一方の中国は、国策のもと各市や開発企業が積極的に実用化に向け取り組んでおり、自治体間、企業間の競争意識も高い印象を受ける。その違いが顕著に表れ始めているのかもしれない。

日本も現在、新たな法整備や規制緩和に向けた動きが加速傾向にある。本格的なドライバーレスを達成して初めて自動運転はビジネスとして成り立つ。国内の動向にも引き続き注目したい。

■空飛ぶクルマ開発の米Wisk、SPAC上場予定の米BLADEに機体納品へ(2021年5月19日付)

米ボーイングとKitty Hawkの合弁「Wisk Aero」と、空飛ぶクルマ関連のプラットフォーム開発などを手掛けるBLADE Urban Air Mobilityが提携し、エアモビリティのサービス化を加速させるようだ。

空飛ぶクルマの実用化が現実味を帯びてきたことを象徴するように、関連スタートアップの株式上場も活発化しつつある。中国のEHangが2019年に米ナスダックに上場したのを皮切りに、BLADEやJoby AviationなどSPAC上場を目指す動きが相次いで報じられている。

空飛ぶクルマはすでに一部で実用実証が進められているが、数年以内にその動きは世界各地に広がる見込みだ。日本も例外ではなく、2025年開催予定の大阪・関西万博でも大々的にお披露目される計画が進んでいる。大きく動き出した業界の動向に引き続き注目だ。

■自動運転ベンチャー、続々と大型受注案件!ビジネス段階に突入(2021年5月20日付)

自動運転関連企業の大型受注案件が表面化し始めた。開発段階からビジネス段階への移行が本格的に始まったようだ。

案件としてはLiDARや自動運転トラックが目立つ。特にLiDARは、自動運転車全般をはじめ、各種ロボットやドローンなど対象となる市場が拡大していく可能性があり、注目度がひと際高い。

自動運転タクシー関連では、Waymoとステランティスのように協業のもと自動車メーカーが車両の生産を受注するケースが多いが、今後はFoxconnのように車体の製造・生産分野でも新規参入が相次ぎ、自動運転の受注関係はより複雑さを増していくことが予想される。

ビジネス段階に突入したことで自動車メーカーなど既存企業は戦略転換を迫られる一方、スタートアップも技術の本質が問われ、本格的な淘汰が始まるかもしれない。先を見越した新たな経営戦略が必須の時代を迎えつつあるようだ。

■トヨタが空も制す!?空飛ぶクルマの官民協議会に新たに参画(2021年5月27日付)

「空の移動革命に向けた官民協議会」に新たに10団体が参画した。Joby AviationやVolocopterといった海外開発勢が新たに名を連ねる中、トヨタも同協議会に加わり、空飛ぶクルマの実用化に向け事業展開を行っていくようだ。

トヨタはJoby Aviationに出資しており、電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発・生産において協業を進めている。生産技術の見地から、設計や素材、電動化の技術開発に関わるとともに、トヨタ生産方式(TPS)のノウハウを共有し、信頼性の高いeVTOLの量産化を実現していく方針だ。

自動運転タクシーなどと比べると、空飛ぶクルマの量産化に対応するレベルの実用化はまだまだ先の話に思えるが、イノベーションの速度は想像以上に早い。トヨタのような高い製造・生産能力を持った企業による同分野への進出が今後のトレンドなのかもしれない。

■【まとめ】トヨタが目を引いた2021年5月、Woven Cityなど今後の動向にも注目

具体的な行動を伴うトピックが思いのほか少ない印象だが、「S-Palette」の存在や「空の移動革命に向けた官民協議会」への参画、特許出願数など、さまざまな場面でトヨタの活躍が目を引く月となった。

Woven Cityの建設が着々と進み、ワールドワイドパートナーを務める東京五輪の開催も近付いていることから、引き続きさまざまな話題が提供されるものと思われる。

国によりばらつきがあるものの、ワクチンの普及とともにコロナ禍も収束の兆しが見え始めている。経済活動の活発化とともに、自動運転開発・実用化に向けた取り組みが停滞することなくさらに活発化するよう期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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