【2020年11月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

Woven City着工は富士山の日?ホンダが世界初レベル3へ



2020年度上半期の決算が出揃うこの時期。自動車関連業界ではコロナ禍の重たい空気を払拭するような発表が相次いでいる。年間の業績見通しを上方修正したトヨタは、質疑応答の中で豊田章男社長自らが実証都市「Woven City」に言及するなど、未来に向けた開発意欲を力強く語っている。ホンダもレベル3搭載車両の発売に向け一歩前進した。







一方、海外では自動運転タクシー関連の取り組みが加速しているようだ。賑わいを見せる自動運転関連の11月の10大ニュースを見ていこう。

■モーショナル、2021年にアメリカで自動運転タクシーサービスを開始(2020年11月3日付)

韓国ヒュンダイと米アプティブの合弁モーショナルが、2021年上半期に米国で自動運転タクシーサービスを開始すると発表した。米ライドシェア企業Viaとの提携の下、モーショナルの自動運転車とViaの車両管理システムを利用して自動運転タクシーサービスを提供する。

アプティブは米ライドシェア大手のLyftと米ネバダ州で自動運転タクシーの実用実証を進めており、モーショナルもこのほど同州の自動運転ライセンスを取得するなど、取り組みを加速させているようだ。

一方、ヒュンダイは中国スタートアップのPony.aiとの協業のもと自動運転ライドシェアサービス「BotRide」の実証も進めている。それぞれの取り組みがどのような形で実を結び、先行する米Waymoと同等のサービスを展開していくのか、要注目だ。

■自動運転向け地図の更新性維持へ、TomTomとUberが連携強化!(2020年11月5日付)

オランダの位置情報テクノロジー企業TomTomと米配車サービス大手のUberが道路地図の最適化に向けパートナーシップを強化すると発表した。

TomTomは刻々と変化し続ける道路状況を最新の状態に保つため地図編集パートナーシップ(MEP)プログラムを展開し、モビリティ関連のパートナー企業から世界各地の最新道路情報を収集している。現在、世界70カ国以上で毎月300万を超えるTomTomマップのパートナーが情報を提供しているという。

今回のパートナーシップでは、UberがTomTomのデータとMapsAPIを統合することで地図更新に役立つ道路状況の収集をいっそう強化し、より正確な地図情報を提供する。

こうした取り組みは、ダイナミックマップを必要とする自動運転分野で本格化するものと思われる。従来の地形としての地図をベースにさまざまな情報を付加したデジタル地図がスタンダードなものとなっていくのだ。

■トヨタとKDDI、6G視野に「つながる」時代を共同構築!新たに業務資本提携(2020年11月6日付)

トヨタとKDDIが新たな業務資本提携に合意した。それぞれの中核事業である「移動」と「通信」の枠を超え、通信技術やコネクテッドカー技術の研究開発の推進をはじめビッグデータの活用などによる社会課題の解決に取り組んでいく。

両社は2002年以降、トヨタのテレマティクス事業の領域などで協業を行ってきたが、4G、5G、6Gと通信規格が進化する中、最適な通信を可能とする通信プラットフォームの研究開発や、次世代コネクテッドカー向けの運用管理システムなどを共同で研究開発していく。

トヨタはモビリティサービス分野でソフトバンクと協業を進めるほか、NTTとも業務資本提携に合意し、スマートモビリティやスマートシティの分野で共同路線を歩んでいる。

通信大手3社とのパートナーシップを深め、コネクテッド技術でクルマがインフラやまちとつながる社会を創造し、さまざまな移動サービスを展開していく方針のようだ。

■トヨタ社長、Woven City着工日「2月23日にしたい」 自動運転など向けに地上に3本の道 決算会見(2020年11月6日付)

トヨタ自動車の2021年3月期第2四半期決算説明会が行われ、質疑応答の中で豊田章男社長が「Woven City(ウーブン・シティ)」に言及した。

ウーブン・シティは、自動運転をはじめさまざまな先端技術を導入・検証できる実証都市を静岡県裾野市内の工場跡に建設する計画で、当初予定では2021年初頭に着工するとしていた。

ウーブン・シティの進捗について質問された豊田社長は「私の思いは2月23日(223=富士山)。富士山の裾野に未来の新しい土地を作る。こうしたスケジュール感で進めている」とし、地上に自動運転専用、歩行者専用、歩行者とスモールモビリティが混在する3本の道、天気などの環境に左右されない地下にモノの移動を担う道1本を建設する案を発表した。

住人は360人ほどを見込んでおり、社会課題を抱えている高齢者や子育て世代、そして発明家を一緒に住まわせ、タイムリーな発明を起こさせていく方針。現在、個人・法人を含め3,000人・社が応募している状況という。

自動運転は本質的にインフラと協調させることで成立するという考えのもと、トヨタ主導の未来都市がどのように形成されていくのか、非常に興味深いプロジェクトだ。

■孫会長が予言!完全自動運転「ほんの数年先から始まる」 決算説明会で言及(2020年11月9日付)

ソフトバンクグループが2021年3月期第2四半期の決算を発表した。WeWork問題などで揺れた昨年同期からV字回復を遂げた様子で、モビリティをはじめとしたAI分野へいっそう注力していく方針だ。

当期純利益は、2019年度上期の4,216億円から約4.5倍となる1兆8,832億円を計上した。ビジョンファンド事業の投資損益(累計)も、2019年度下期末のマイナス215億円から1兆3,901億円と急回復を遂げている。

非上場株の比率やデリバティブ比率などリスクとなり得る要因を把握し、「進化」に対する投資を引き続き強めていく。とりわけAI分野を強調しており、「AIを制する者が未来を制す」「AI革命への投資会社」をキャッチコピーに据えた。

決算説明会の中で孫会長は自動運転にも言及しており、Nuroなどの投資先との会議の中で「5〜10年かかると思っていた完全自動運転がほんの数年先から始まる」と実感したようだ。

■商用車の自動運転などで戦略的提携!いすゞとボルボグループが発表(2020年11月12日付)

商用車大手のいすゞ自動車とボルボ・グループが戦略的提携に関する基本契約を締結した。2021年上半期中に手続きを完了する予定で、商用車の自動運転など先進技術開発における協業をはじめ、ボルボ・グループ傘下のUDトラックスをいすゞが買収する内容となっている。

契約期間は20年以上の長期にわたり、日本および海外市場における両社の強みを生かして相乗効果を生み出す。技術面では、商用車の自動運転やコネクテッド、電動化など将来を見据えた技術開発を加速する。

UDトラックスの事業取得価格は2,430億円で、関連当局の承認後、2021年上半期中に手続きを完了する予定としている。

次世代モビリティをめぐる開発競争の波は商用車分野にも押し寄せており、今後も再編の動きが続く可能性がありそうだ。

■「安全」と「安心」は大違い!自動運転の社会実装に向け、区別して考える必要性(2020年11月12日付)

自動運転における「安全」と「安心」という2つのキーワードを軸に、自動運転車に求められる安全性能や安心感について紐解いた記事だ。

事故を起こさないよう自動運転システムそのものの性能を高め、安全性を担保するのはもとより、乗員に安心感をもたらすような運転を実現してこそ移動サービスの用途が広がる。

安全性の向上は安心感の向上にもつながるが、乗り心地の追及などは別の観点で研究開発を進めなければならない。

なお、記事では安心感の向上から懸念される「レベル3の罠」にも触れている。ドライバーモニタリングやミニマムリスクマヌーバーなどの機能にかかる期待も大きいが、自動運転に対する正しい知識の醸成も進めなければならないところだ。

■自動運転車、ホンダがレベル3発売へ!トヨタは商用車、日産はタクシーで勝負?(2020年11月16日付)

ホンダが自社開発したレベル3自動運転システム「トラフィック・ジャム・パイロット(TJP)」が国土交通省の型式指定を取得した。フラッグシップモデル「LEGEND(レジェンド)」に搭載し、2020年度中の発売を目指す。

TJPは、高速や都市高速などにおける渋滞または渋滞に近い混雑状況時、時速50キロを限度に自動運転を可能にする。カメラ2基、LiDAR5基、レーダー5基を搭載し、高精度地図や全球測位衛星システム(GNSS)を活用しながら走行する。

すでに生産を開始しているものと思われる中国自動車メーカーの動向がつかみ切れていないが、順当にいけばレジェンドが量産モデルにおける世界初のレベル3実装車となり、歴史に名を残すことになりそうだ。

2021年には独ダイムラーやBMWなどもレベル3車を発表する見込みで、自家用車におけるレベル3自動運転時代がいよいよ幕を開ける。

■中国、自動運転車の普及爆速化!?2025年には「販売の半数」、注目の工程表(2020年11月17日付)

中国の主要行政機関である工業情報化部などが開催したイベントで、2025年を目途に新車販売における自動運転車の比率を50%まで引き上げるロードマップが示されたようだ。

ロードマップは専門家が発表したもので政府による公式発表とは異なるが、正式に採用されれば世界最速クラスの実現目標となる。自動運転レベル3以上を想定したものと思われるが、市場予測調査の多くはレベル3の普及は2030年代以後としており、50%の達成は順当にいけば2030年代半ば過ぎと見られる。

思い切った目標だが、この目標達成に向け中国内メーカーが一斉にレベル3の開発と実装に注力するのが中国の強みでもある。2021年中にはレベル3車両の市販も始まる可能性が高く、今後の動向に要注目だ。

■中国で自動運転車200台以上の大量投入計画!東風汽車のプロジェクト始動(2020年11月18日付)

自動運転開発においてスタートアップの活躍が著しい中国で、有力自動車メーカーも本腰を上げ始めている。東風汽車などが湖北省武漢市で自動運転のパイロットプロジェクトに正式着手することを発表したのだ。

同社は2020年8月、AutoXやYuanrong Qixing、Yushi Technologyなど自動運転開発企業とともに武漢開発区と国内最大の自動運転フリートを構築するパイロットプロジェクトに署名し、2022年にかけて、200台以上の自動運転車を発売し、国のインテリジェントネットワーク車両(Wuhan)の試験走行区域を開発区から都市エリアまで拡大する計画を発表している。

武漢開発区の担当者は、豊富なアプリケーションシナリオを備えた自律運転アプリケーションシステムを構築し、自動運転タクシーをはじめ自動運転バスやスマートパーキング、自動バレーパーキングなどの実証も進めていくとしている。

公道における実用実証が進めば次の段階となる自動運転車両の量産化が自ずと見えてくるが、そこに自動車メーカーの商機が生まれる。スタートアップとの協業など、自動運転車両のプラットフォームを巡る競争も本格化の兆しを見せ始めているようだ。

■【まとめ】2021年に向けたビッグニュースが続々 12月にも注目

トヨタのWoven Cityやホンダのレベル3など、2021年上半期を賑わせるだろうビッグニュースが現実味を増している。海外では米国・中国で自動運転タクシー関連のニュースが相次いでおり、Waymo猛追する2番手グループの争いが激化しているようだ。

2021年はレベル3、レベル4ともに大きく市場化していく可能性が高いほか、日本国内では東京五輪の開催が予定され、最新の自動運転技術のお披露目も計画されている。

自動運転元年と位置付けていた2020年はコロナウイルスの影響を直に受けてしまったが、自動運転業界が大きく動きそうな2021年に向かう年として、改めて12月のニュースにも期待を寄せたいところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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