【2019年5月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

トヨタが売上高30兆円超、改正道路運送車両法が成立



国内では元号が変わり、「令和」という新たな時代を迎えた2019年5月。改正道路運送車両法が国会で成立するなど、自動車業界にも新たな時代の到来を予感させる出来事がいろいろと起こった。


前年度の決算報告では、トヨタ自動車が国内未到の売上高30兆円超を記録。ソフトバンクグループは投資部門の営業利益が1兆円を突破するなど、大きな話題を振りまいている。

一方、海外では、ユニコーン企業のトップだった米UberがついにIPOを実施し、今後の動向に大きな注目が寄せられている。

このほかにもさまざまな動きがあった2019年5月の10大ニュースは!?

■【速報】CASEの進展、「クルマの概念が変わる」と豊田社長 トヨタが2019年3月期決算(2019年5月8日付)

トヨタ自動車は2019年5月8日、2019年3月期の決算説明会を開いた。2019年3月期連結決算(米国会計基準)における売上高が、国内企業として初めて30兆円を突破した。


売上高は前期比2.9%増の30兆2256億円、純利益は24.5%減の1兆8828億円だった。2020年連結決算における売上高見通しは30兆円、純利益見通しについては2兆2500億円としている。

決算発表会で、豊田章男社長は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード・サービス、電動化)の技術革新により、クルマの概念が変わる」とし、新たなビジネスモデルを模索する姿勢を示した。

一方、小林耕士副社長は、CASEのための試験研究費について、「現在は(全体の)4割弱、近いうちに5割に」と語った。

【参考】詳しくは「【速報】CASEの進展、「クルマの概念が変わる」と豊田社長 トヨタが2019年3月期決算」を参照。


■リフトのライドシェアアプリ、グーグル系ウェイモの自動運転車を配車可能に(2019年5月9日付)

米グーグルの自動運転開発部門Waymo(ウェイモ)の自動運転車が、米ライドシェア大手Lyft(リフト)のアプリで配車可能になったことが、2019年5月7日までに明らかになった。

両社は2017年5月に自動運転技術に関して提携を結んでいる。当面はウェイモが自動運転タクシーサービス「Waymo One」を展開している米アリゾナ州フェニックス限定でサービス展開することになる。ウェイモはリフト向けに自動運転車10台を割り当てているという。

■SVFの営業利益、ソフトバンクG全体で初の過半越え 1兆2566億円、前期から4倍以上に(2019年5月9日付)

ソフトバンクグループは2019年5月9日、2019年3月期の決算説明会を開いた。2019年3月期連結決算(国際会計基準)の純利益は前期比36%増の1兆4111億円に上り、売上高は同4.8%増の9兆6022億円だった。

営業利益は前期比80.5%増の2兆3539億円で、このうち投資部門の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の営業利益は、前期の3030億円から4倍超となる1兆2566億円まで増加した。SVFの営業利益がソフトバンクグループ全体の営業利益の半分以上を占めたのは初めて。

孫会長はSVFの投資について、「AIに特化」「ユニコーン投資」「シナジー投資」という3つの方針を強調した。その上で、SVFの第2号の設立についても近日中に発表するとし、規模については「第1号(10兆円)と同程度」と語った。

■トヨタとパナソニック、街づくり事業で合弁会社 CASEやIoT、MaaSの進展見据え(2019年5月11日付)

トヨタ自動車とパナソニックは2019年5月9日、街づくり事業などを進める合弁会社「プライム・ライフ・テクノロジーズ株式会社」の設立に向け契約締結したことを発表した。

合弁会社は、IoT化やCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)、MaaS(移動のサービス化)の今後の進展を見据えたもので、設立時期は2020年1月を予定している。

資本金額は未定。出資比率はパナソニックグループ側とトヨタ側がそれぞれ同一なる見込み。このほか、三井物産の出資の可能性も含め検討していく方針だ。

ADASか自動運転技術の搭載車、2030年には3.4倍の8249万台に 「レベル2/2+が市場牽引」(2019年5月11日付)

株式会社矢野経済研究所は2019年5月10日までに、自動運転に関する最新の調査結果を発表した。2030年におけるADAS(先進運転支援システム)・自動運転システムを搭載した自動車台数は、全世界で2018年比約3.4倍となる約8249万台に達すると予測している。

自動運転レベル別では、2030年にレベル1車両が1274万台(2018年比0.6倍)、レベル2が2102万台(同7.7倍)、レベル2+が2970万台(同1万4850倍)、レベル3が373万台(2018年)、レベル4レベル5が計1530万台。

同研究所は、2020年以降に最も成長するのがレベル2の運転支援システムとし、2030年ごろまでの伸びについても「レベル2・レベル2+が市場を牽引する」と分析している。

■自動運転業界マップ「2019年春 最新版」をリリース 全182企業・機関・ファンドを掲載(2019年5月14日付)

自動運転専門メディア「自動運転ラボ」は2019年5月14日、自動運転業界をカテゴリー別に可視化したカオスマップの最新バージョン「自動運転業界マップ『2019年春 最新版』」をリリースした。2018年の前バージョンより掲載数が44増加しており、より広範にわたる企業や研究機関などを網羅している。

「2019年春 最新版」では、全182企業・機関・ファンドが掲載されている。カテゴリーは「自動運転開発を進める自動車メーカー」「ソフトウェア・プラットフォーム系」「センサー・部品系」「サービス系」など7分類されており、各企業などの所在国も分かるようマークも入っている。

ソフトウェア・プラットフォーム系でIT系企業が依然強い存在感を誇るほか、自動車メーカー同士の提携なども目立っており、各企業の思惑が見え隠れする業界図となっている。

■2019年4月の自動運転関連求人、増加率過去最高の15.6%増 1万6122件に(2019年5月15日付)

自動運転専門メディア「自動運転ラボ」は2019年5月15日、日本国内の自動運転関連求人数調査の最新結果を発表した。主要転職6サイトにおける2019年4月末時点の関連求人数は前月比15.6%増の1万6122件に上り、調査を開始してから最も高い増加率を記録した。

前月比求人数は2月13.2%増、3月11.3%増に続く3カ月連続の2ケタ増を記録。掲載求人数がもっとも多いIndeedの増加が全体の伸びを牽引した形だが、単純な伸び率ではリクナビNEXTが48.4%増と最も高い増加率だった。

■資金調達、上場、株価下落…ウーバー時系列ドキュメント ライドシェア、そして自動運転に注力(2019年5月17日付)

米ライドシェア大手のUber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)が2019年5月10日、株式上場を果たした。株価は思いのほか伸びておらず投資家の間で慎重な見方が強まっているが、時価総額8兆円規模の大型IPOに市場は沸き、今後の動向に注目が集まっている。

同社はこれまで幾度と巨額資金調達を受け、一時は時価総額1000億ドル(約11兆円)と評価される規模に。市場から高い注目を集めたIPO(新規株式公開)だったが、公開価格は仮条件(44~50ドル)の下限に近い45ドルにとどまり、初値42ドル、初日の終値は7.6%安の41.57ドルとなった。

同社にはソフトバンクグループやトヨタ自動車なども巨額出資しており、ライドシェアリングの将来性をはじめ、自動運転技術の開発動向などに引き続き注目が集まりそうだ。

■改正道路運送車両法が成立 自動運転車の安全性確保へ制度整備へ(2019年5月18日付)

自動運転車の安全性確保に向けた「改正道路運送車両法」(道路運送車両法の一部を改正する法律)が2019年5月17日、参議院で可決された。自動運転技術の2020年実用化に向けた前進で、自動運転車の設計・製造・使用などの各過程で安全性を確保するための制度を今後整備する準備が整った形となった。

改正の主な要点は①保安基準対象装置への自動運行装置の追加②自動車の電子的な検査に必要な技術情報の管理に関する事務を行わせる法人の整理③分解整備の範囲の拡大及び点検整備に必要な技術情報の提供の義務付け④自動運行装置等に組み込まれたプログラムの改変による改造等に係る許可制度の創設――。

関連法案として、「改正道路交通法案」(道路交通法の一部を改正する法律案)も現在衆議院で審議されているほか、国際法のジュネーブ道路交通条約(ジュネーブ条約)改正の議論も進んでおり、自動運転の解禁に向けた環境整備が着々と進展している。

日産のプロパイロット2.0、高速道路で手放し運転を実現 最新ADASを発表(2019年5月20日付)

日産自動車は2019年5月16日、一定条件下で手放し運転が可能になる世界初の運転支援システム「プロパイロット2.0」を発表した。2019年秋に日本国内で発売するスカイラインに搭載される予定だ。

プロパイロット2.0は、ナビゲーションシステムで目的地を設定し、高速道路の本線に合流するとナビ連動ルート走行を開始する。追い越しや分岐なども含めシステムがルート上にある高速道路の出口までの走行を支援し、ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて、同一車線内でハンズオフ運転を可能にしている。

■【まとめ】令和とともに自動運転時代が到来、改正法案の動向に引き続き注目

道路運送車両法の改正や日産自動車の新技術発表など、「令和時代は自動運転の時代」と感じさせる出来事がさっそく話題となった5月。今後、道路交通法やジュネーブ条約の改正が実現すれば、自動運転技術の実用化に弾みがつき、市販車への自動運転レベル3技術の搭載など大型リリースが相次ぐものと思われるが、そのスタート地点が徐々に迫っている印象だ。

道路交通法改正案も5月21日に衆議院に付託された。すでに審議が始まっており、翌6月の10大ニュースとして上がってくる可能性も十分考えられる。引き続き6月も新たな動きに注目したい。


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