【2020年7月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

BOLDLYの動きに注目、トヨタ市販車でハンズフリー搭載へ



国内では収束傾向にあった新型コロナウイルスがぶり返し、予断を許さない状況となっているが、自動運転分野では米ウェイモとFCAの協業やWILLERとモービルアイの提携など、自動運転技術の社会実装に直結する明るい話題も多く飛び交っている。







関連求人も回復傾向がうかがえ、業界が再加速を始めた印象だ。2020年7月の10大ニュースを振り返ってみよう。

■自動運転関連求人数、コロナ禍による件数減が増加に転じる!2020年5月末調査(2020年7月3日付)

コロナ禍で減少傾向にあった自動運転関連の求人数が、早くも復調傾向にあるようだ。自動運転ラボの定期調査により、主要6転職サイトにおける2020年5月末時点の自動運転関連求人数が前月比3.6%増の1万8240件と上昇に転じたことが明らかとなった。

主要転職6サイトのうち、5サイトで件数が増加する結果となった。5月は緊急事態宣言が解除されたばかりの月で、自粛傾向にあった事業活動をいち早く取り戻そうという気構えがうかがえる。

収束傾向にあったコロナが7月に入って再び猛威を振るおうとしており、今後の推移には波がありそうだが、自動運転技術を活用したコンタクトレス配送や無人警備ロボットなどが注目を集める面もあり、今後の研究開発に期待したいところだ。

■自動運転とテスラ、「近くレベル5実現」宣言は国抜きで語れない(2020年7月12日付)

米EV大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が中国・上海で開催された「世界人工知能(AI)カンファレンス」の場で、完全自動運転となる自動運転レベル5の実現に言及した。

マスク氏は、同社の自動運転技術がレベル5に限りなく近づいている旨を説明したようだ。実際の技術レベルの真偽については何とも言えないところだが、記事ではレベル5実現に向け必要となるだろう法整備やインフラ整備などに触れ、国の取り組みの重要性も指摘している。

テスラは、多くの自動運転開発企業が採用するLiDAR(ライダー)を使用せず、高精度3次元マップも必要としない技術開発を進めている。AIとカメラを主力としたセンサー群のみで自動運転を成し得るといった外部環境に頼らないシステム構成は、いかなる場所、いかなる状況下でも自動運転を可能とするレベル5の実現において1つの理想像と言える。

ただし、現実的にはシステムに冗長性を持たせるため3Dマップや外部インフラ・サーバーとの通信など、あらゆるシステムを活用して一切の間違いも起こさない、より確実な自動運転システムを構築する必要がある。果たして、テスラの技術はどれほどのレベルに達しているのか。続報を待ちたい。

■トヨタ市販車史上最高の技術!レクサス新型LS、自動運転につながる「Lexus Teammate」とは?(2020年7月12日付)

レクサスはこのほど、2020年初冬に国内で発売予定の新型「LS」を世界初公開した。トヨタの市販車史上最高のADASとなる「Lexus Teammate」を搭載する見込みで、その技術に注目が集まっている。

Lexus Teammateは、技術的特徴として「Perceptive(高い認識性能)」「Intelligent(知能化)」「Interactive(ドライバーとクルマの対話)」「Reliable(信頼性)」「Upgradable(ソフトウェアアップデート)」の5点を備えており、ディープラーニングを中心としたAI技術が取り入れられている。

ADASでは、高速道路においてハンズフリー運転を可能にする「Advanced Drive」や、駐車操作を強力にサポートする「Advanced Park」が目玉となりそうなほか、ソフトウェアアップデートによってADASが進化する可能性もありそうだ。

また、一部メディアではセンサー群の一つとして複数のLiDARが搭載されると報じられており、この点も注目を集めるところだ。

■WILLERとMobileye、自動運転タクシー「日本第1号」候補に!?(2020年7月13日付)

移動サービスの開発や運用を手掛けるWILLERと米インテル系の自動運転開発企業Mobileye(モービルアイ)が戦略的パートナーシップを結んだことを発表した。MaaS分野で攻勢をかけるインテル勢のアジア圏戦略の一環と見られる。

日本や台湾、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域における自動運転タクシーや自動運転シャトルの商用化を目指す内容で、まず日本でモービルアイの自動運転技術を用いた実証実験に着手し、サービス展開を進めていく方針だ。

WILLERはシンガポールで自動運転シャトル「NAVYA ARMA」を活用して有償の運行サービスを提供しているほか、北海道富良野市や千葉県芝山町などとモビリティサービス・MaaS分野で提携を交わすなど取り組みを加速しており、今回の提携で国内自動運転分野にも本格進出する可能性が高く、要注目だ。

■ついに!国内初の自治体自動運転バス、2020年秋に走行開始 ソフトバンク子会社BOLDLY(2020年7月16日付)

ソフトバンク子会社のBOLDLY(ボードリー)や茨城県境町などが取り組んでいた自動運転バスが、2020年秋に実現する見込みとなった。自治体の定時・定路線バスに本格的に自動運転技術を導入する初の取り組みで、多方面から大きな注目を集めそうだ。

当初は2020年4月の運行開始を目指していたが、新型コロナウイルスの影響で半年間の延期とし、感染対策とともに着々と準備を進めていた。3月までに3台の「NAVYA ARMA」の輸入や、走行予定ルートの3Dマッピング化、セーフティドライバーの訓練・運転操作審査などを完了している。

BOLDLYはこれまでさまざまなタイプの車両で自動運転の実証を重ねているが、その中でも主力として活躍しているのが「NAVYA ARMA」だ。世界各国で走行実績があり、操作はゲーム機のコントローラーでおこなうタイプの自動運転システムとなっている。

同町での運用に成功すれば、他の自治体の導入にも一気に弾みが付く可能性が高く、しばらくの間熱い視線が注がれることになりそうだ。

■公道では中国初!WeRide、「完全無人」の自動運転実証を開始(2020年7月18日付)

中国スタートアップWeRideは、同国初となる完全無人での自動運転公道実証をスタートしたことを発表した。セーフティドライバーなしの実証に着手したことで、自動運転タクシーの実現にまた一歩近づいた印象だ。

設立から丸3年を過ぎたばかりの新進気鋭のスタートアップながら積極的に実証を積み、2019年11月には広州市でパイロットプログラムの実施にこぎつけた。これまではセーフティドライバー乗車のもと有償サービスを提供していたが、広州市の各局が許可を出したことで無人での運転が可能となった。

中国ではこのほかにもBaidu(百度)やPony.ai、AutoX、DiDiら自動運転タクシーの実用化を目指す企業が集中しており、開発競争がますますヒートアップしそうだ。

■世界で議論を呼ぶ「自動運転」表記、テスラ広告には禁止命令(2020年7月18日付)

自動運転を想起させる米EV大手テスラの広告に「待った」がかかった。消費者に自動運転と誤解を生じさせる可能性があるため、独地方裁判所が「Autopilot(オートパイロット)」などの表現を用いないよう命じた。

ドイツでは2016年にも政府が「Autopilot」という単語が誤解を生じさせる可能性があるとして使用を控えるよう要請を出しているが、航空業界においてAutopilotが補助的なシステムとして広く用いられている名称であることを理由にテスラは応じていない。

こうした議論は世界各国共通のものであり、日本国内でも「自動ブレーキ」など、「全自動」を思わせる表現に待ったがかかり、国や自動車公正取引協議会が誤解を生じさせない名称の使用を広く呼び掛けているところだ。

システム名としてAutopilotを長く使用し続けているテスラだが、今後こうした動きが世界各国に広がった場合、厳しい対応を求められる可能性もありそうだ。

■【資料解説】官民ITS構想・ロードマップ2020案のポイントは?(2020年7月22日付/23日付)

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議が、モビリティ分野の将来像や実現に向けた取り組みなどを網羅した「官民ITS構想・ロードマップ」の2020年度版の案を発表した。

ロードマップは、モビリティ分野の将来像をはじめ、将来像の実現に向けた取り組み、今後の進め方・体制、ロードマップの各章で構成され、モビリティ分野の将来課題とニーズや2030年の将来像、自動運転に係る戦略、市場化に向けた取り組み、MaaSなどの新たなモビリティサービスの取り組みの方向性、スマートシティとの連携などに関し、国としての考え方や事業の進め方などが明記されている。

2020年度は、自動運転の社会実装が一部で始まるほか、MaaSの実装も加速度的に進行している。新たな国家戦略に再度注目だ。なお、記事では「モビリティ分野の将来像」と「将来像の実現に向けた取り組み」に分け、2本立てで中身を解説している。

■シンガポール発SWAT Mobilityが日本上陸!MaaS&オンデマンド相乗りサービスに強み(2020年7月25日付)

オンデマンド相乗りサービスを展開するシンガポール企業SWAT Mobilityが、日本国内での事業に本格着手する。同社の日本法人がジュピターテレコム(J:COM)のMaaS実証にアプリケーションを提供することが発表された。ジュピターテレコムが実施する同社営業車を対象にしたライドシェアサービスの実証に導入される。

同社のシステムは、最小の車両台数で乗客を効率良く相乗りさせる高精度のルーティングアルゴリズムが特徴で、公共バスや企業向けのシャトルバスなどのオンデマンドシステムとしてシンガポールやオーストラリアなど6カ国で導入されている。

日本では、地方において路線バスのデマンド化がじわりと進行中のほか、自動運転技術の確立とともにデマンド方式のモビリティサービスが相次いで登場する可能性があり、ルート最適化を図る技術の価値はまだまだ高まりそうだ。

■Google系ウェイモの自動運転レベル4技術、欧米FCAが採用(2020年7月27日付)

米グーグル系ウェイモがFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とのパートナーシップを拡大し、自社の自動運転技術をFCAの小型商用車に組み込んでいくこととしている。

両社の関係は、2016年にウェイモの自動運転実証に向けFCAが車両100台を供給するところから始まる。翌2017年には500台を追加納入したほか、2018年には最大6万2000台のパシフィカを追加する契約を締結するなど、パートナーシップを徐々に拡大している。

今回の提携では、FCAがウェイモを全製品のポートフォリオにおけるレベル4自動運転技術の独占的かつ戦略的な技術パートナーとして選択したようだ。

FCAは自らの自動運転開発を諦めたわけではないものと思われるが、両社の関係は自動車メーカーと自動運転システム開発企業間の協業の好例と言える。今後、世界各地で自動運転タクシーなどの社会実装が本格化すれば、こうした協業があちこちで進む可能性も高そうだ。

■【まとめ】自動運転技術の社会実装へ大きく前進

国内では、BOLDLYらの自動運転バスの実用化や、WILLERとモービルアイの提携に高い期待が持たれるところだ。移動サービスを対象とした自動運転技術の社会実装が今まさに始まろうとしており、境町以外でも水面下で実用実証に向けた取り組みが進められている。2020年度中に複数の地域で実装されることが見込まれており、他地域の動向にも注目だ。

海外では、ウェイモを猛追する中国勢が変わらず攻勢を続けているようだ。各社のサービスが実用域に達すれば、次はウェイモにおけるFCAのように車両を供給するパートナー企業にも注目が集まる。中国自動車メーカーは当然だが、日本勢も食い込む余地があり、今後こうした話題にも注目していきたいところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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