自動運転ラボ、2019年に読まれた「コラム」ランキング

信号がなくなる?駐車するより走行するほうがお得?





自動運転ラボはこのほど、自動運転に関するさまざまな論考を盛り込んだコラムのランキングを発表した。「自動運転が実現するとどうなる?」といった将来の視点が盛りだくさんの内容だ。

どのような記事が興味を引き、多くの方に読まれたのか。今回はこの「コラム」ランキングトップ10を紹介していこう。







■1位:自動運転普及で違反金徴収ゼロに 信号機などの整備財源枯渇へ(2019年2月4日付)

自動運転車は基本的に交通違反を犯さない。このため、反則金を財源とした信号機や道路標識などの整備予算が将来的に不足するのでは――という趣旨のコラムが1位に輝いた。

年間600億円規模の交通反則金は、特別交付金として市町村に配分されるほか、都道府県の公安委員会や道路管理者に配分される。特別交付金の使途は、信号機や道路標識、ガードレールといった交通安全に資する財源として活用される。

貴重な財源となっている反則金だが、自動運転技術の導入により9割の違反がなくなるといわれている。これを補填するためには、例えばガソリン税を3円上げる必要があるという。

反則金が予算化されていること自体に疑問がないわけでもないが、いずれにしろ自動運転時代にはこうした財源の問題も少なからず出てくることになりそうだ。

■2位:これ凄い…自動運転時代、「ナナメ横断」どこでも可能に(最終更新日:2019年11月2日)

公道を走行するすべてのクルマが自動運転車になれば、歩行者はどこでも「ナナメ横断」が可能になる――というコラムだ。

全米都市交通局(NACTO)が発表した資料「Blueprint for Autonomous Urbanism Second Edition」の中に、こうした趣旨の記述があるようだ。極論ではあるが、すべての車両が安全に制御される時代が到来すれば、比較的交通量の少ない交差点などの信号も必要なくなり、歩行者が自由に往来できる可能性がある。

交通ルールが整備された現在の日本社会からみれば、かえって「カオスな状態」に思われるかもしれないが、車両と歩行者らが協調した交通社会の一つの理想論と言えそうだ。

■3位:自動運転時代は「時速40km」制限——その納得がいく理由(最終更新日:2019年11月2日)

2位に引き続き、NACTO発表の「Blueprint for Autonomous Urbanism Second Edition」に記載された内容を紹介するコラムが3位に輝いた。

自動運転時代が到来しても、市街地における自動運転車の最高速度を「時速25マイル(約40キロ)以下」にするべき――とする内容だ。理由として、自動運転でも「速度」がけがの程度に大きく影響することは変わらないことを挙げている。

車両の制動距離は、自動運転車も従来のクルマも基本的には変わらない。歩行者などに気付き、車両を制御する予測と反応速度がAI(人工知能)と人間でどれだけ異なるか、という問題に過ぎないのだ。

当然だが、車両の速度が速ければ速いほど制動距離は長くなり、衝突の際のインパクトも大きくなる。自動運転社会の安全性を高めるためには、やはり一定の速度制限が必要になるのだろう。

記事ではこのほか、移動効率や配送効率が下がる懸念などにも言及している。

■4位:高速道に「自動運転専用レーン」ができる日 最高時速110kmに?(2019年5月3日付)

自動運転専用レーンに関する考察が4位にランクインした。完全自動運転導入当初は、手動運転車と干渉する機会がない専用レーンで実現する――といった趣旨だ。

こういった趣旨の議論は、国土交通省道路局が推進する「道路政策の質の向上に資する技術研究開発」の研究においても行われているようで、自動運転レーンを導入した場合、速度規制を緩和して最高時速を110キロとしたケースなどについて試算が行われている。

新たに道路を敷設しなくとも実現可能なため、高速道路をはじめとする片側複数車線の広い道路などで実証される可能性は十分考えられる。郊外においても、比較的交通量の少ない道路で「自動運転車優先レーン」を実証するケースなど考えられそうだ。

■5位:遂に解禁の自動運転機能、使う人向けの「追加免許」は必要か(2019年11月30日付)

自動運転技術の実用化に際し、各機能を適切に使うための新たな免許区分は必要か――といった観点で、自動運転レベル3導入によってドライバーに求められる新たなルールや知識の必要性を指摘するコラムだ。

レベル3は、一定条件下で自動運転が可能となるものの、システムからの要請に応じいつでも手動運転に切り替えられる状態でなければならない。

こうした新たな仕組みやルールに関する知識とモラルが運転手には求められることになるため、追加講習の必要性や、今後の免許取得要件に自動運転機能の使用技能に関する内容も含める――といった可能性を指摘している。

現状は道路交通法などで対応することに留まっているが、罰則などで対応できない要件が今後出てこないとも限らない。

■6位:運転免許に新たな種別「自動運転車限定」、いずれ来る未来?(2019年12月11日付)

5位に続いて、自動運転に関する免許の在り方が6位にランクインした。このコラムでは、新たな免許区分「AD限定(Autonomous Driving)」の創設を提起している。

自動運転レベル4以上の高度な自動運転では、ドライバーは運転操作から完全に解放されることになる。このため、レベル4以上の車両を所有する前提においては、従来の枠組みの免許制度が必要か否か――といった観点だ。

運転操作を要しないため普通免許などの取得は不要になるかもしれないが、車両の所有者・責任者として要する知識や義務は少なからずある。

近い将来、自動運転車限定の免許区分が誕生しても決しておかしな話ではないだろう。

■7位:本当だった「自動運転で走らせ続ける方が駐車代より安い」説 次世代自動車がもたらす逆転現象(2019年6月10日付)

無人で走行し続けることが可能な自動運転の特性を生かし、駐車料金と燃料費を比較しどちらが安いか?を検証したコラムが7位にランクインした。

「ガソリン車で1時間走行」「EV(電気自動車)で1時間走行」「東京都心で1時間駐車」の3パターンについて、ガソリンの全国平均価格や駐車料金の相場などをもとにそれぞれ実際にかかるだろう費用を算出している。

その結果、ガソリン車で1時間走行した際の費用は307円、EVは235円となった。これらの金額と1時間あたりの駐車料金を比較すれば、どちらが得かが明らかになる。

もちろん、環境や車両本体にかかる負荷なども考慮にいれなければならないため、実現にはさまざまなハードルが想定される。しかし、次世代技術がこうした逆転現象を引き起こす可能性があるという視点は、将来の駐車場ビジネスや関係サービスなどに影響を与えるもので非常に興味深い内容だ。

■8位:消えゆく信号…自動運転化で2040年に 米都市調査団体が予測(2019年3月4日付)

米国で都市調査などを手掛ける団体「Regional Plan Association(RPA/地域計画協会)」が発表したリポート「New Mobility Autonomous Vehicles and the Region」を解説したコラムが8位となった。記事では、リポートの概要のほか、自動運転が及ぼす街路・道路空間やバス停・駅前広場への影響などについても言及している。

リポートでは、2017年以降、2022年以降、2027年以降、2040年以降の4つのフェーズに分け、交通社会や都市構造がどのように変化するかを予測している。

2017年以降は乗り合い型デマンド交通やオンデマンドサービスが発達し、2022年以降は一部のデマンド交通が自動化される。2027年以降はシェアサービスや自動運転車両の増加に伴い交通量が減少し、道路右端の駐車スペースや車線は、オープンスペースや自転車専用レーンなどに変換され始める――といった具合だ。

自動運転やMaaSが都市構造に及ぼす影響についてはすでに日本国内でも議論が進められており、近い将来、各地の都市計画や再開発計画などに自動運転などが盛り込まれるのは必至の状況だ。

■9位:自動運転時代を先取り!「お届けカーシェア」の有望性(2019年10月10日付)

右肩上がりの成長を続けるカーシェアに自動運転が導入された未来について論考したコラムだ。

ワンウェイ方式の実証など付加サービスに向けた取り組みが進むカーシェア分野だが、自動運転が導入された場合、どのようにサービスが変化するかを解説している。

また、JXTGエネルギーの「デリバリー型カーシェア」を取り上げ、自動運転カーシェアとの共通点などにも言及している。

自動運転の導入はまだ少し先の未来の話となりそうだが、全国各地でステーションの設置も進み、競争が過熱するカーシェア。他社との差別化を図るためさまざまなサービス実現に向けた取り組みが加速しそうだ。

■10位:運転時間の平均は1人80分、自動運転になったら代わりに何をする?(2019年7月3日付)

自動運転により自由となった「運転時間」をどのように活用するか――といった視点のコラムが10位となった。

製品評価技術基盤機構が実施した調査結果によると、日本人の1日あたりの運転時間は1人約80分という。こうした時間に着目し、サービス開発などに乗り出している企業もあるほか、タクシーの後部座席タブレットのように、広告業界からのアプローチなども考えられるようだ。

■【まとめ】小さな変化がやがて大きな変化に 自動運転社会も徐々に到来

自動運転の実現により免許制度が新たなものとなり、自動運転車専用レーンができ、信号機がなくなり、歩行者はどこでも横断可能になる――など、近い将来から数十年後の未来までを見通した内容だ。

現代社会の常識を鑑みれば鬼が笑う話かもしれないが、それは馬車が走っていた時代に今の交通社会を予測できないのと一緒だ。社会は少しずつ移り行き、気付いた時には大きな変化となって新たな常識を形成しているのだ。

例えば、現在JR東日本などが取り組んでいるBRT(バス高速輸送システム)路線を活用した自動運転の実証実験が、将来の自動車専用レーンに発展するかもしれない。

2020年は自動運転の実証や実用化が大きく進む年となる見込みだ。自動運転レベル3も解禁され、もしかしたら免許制度改革の話が本格化するかもしれない。激戦のカーシェアでは、新たなサービスの導入や異業種からの参入が出てくるかもしれない。

2020年には、業界にどのような動きがあり、それが将来にどのようにつながっていくのか。壮大な未来を描きつつ、一年間の動向を楽しみたい。

【参考】関連記事としては「自動運転ラボ、2019年に読まれた「解説記事」ランキング」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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