【2020年5月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

各社通期決算に注目、レベル4の最新ロードマップも



新型コロナウイルスの蔓延に伴う緊急事態宣言のもと、あらゆる面で自粛が求められた2020年5月。後半には徐々に解除の波が広がり、平穏を取り戻しつつも第2波、第3波に備え新しい生活様式が求められる日が続いている。







日頃は活発な自動運転業界も、この月ばかりは取り組みや活動が制限されたようだ。しかし、5月は多くの企業が決算発表を迎えたため、発表・報告の席でさまざまな話題が飛び交ったようだ。

2020年5月の10大トピックをおさらいし、自動運転業界の動向を再確認していこう。

■東京都、自動運転AI搭載の「お掃除ロボ」導入発表 新型コロナ、軽症者受け入れ施設で(2020年5月8日付)

新型コロナウイルス対策の一環として、東京都が試行的に最先端ロボットの導入を進めていくことを発表した。こうした取り組みは各地で進んでおり、コロナを契機に自動運転機能を備えた各種ロボットの社会実装に弾みがついた格好となっている。

東京都が採用したのは、ソフトバンクロボティクスのAI掃除ロボット「Whiz」など。患者を受け入れる宿泊療養施設で導入する。

ソフトバンクロボティクスは6~7月末までの期間、医療施設や介護施設など生活インフラ6業種を対象に、Whizの無償提供や施設清潔度診断などを実施しており、導入施設は全国各地に広がっているようだ。

社会貢献が主目的であることは言うまでもないが、こうした取り組みは自動運転ロボットに対する社会受容性や認知度が高まるきっかけにもなる。コロナを機に変革を迫られる社会に対し、自動運転技術がどのように実装され、成果を挙げていくか――といった観点からも試金石となる取り組みだ。

■自動運転機能をサブスクで!マスク氏「びっくり発言」再び テスラCEO(2020年5月8日付)

米EV大手テスラのイーロン・マスクCEOが決算説明会の席上、新たな構想を発表したようだ。自動車ではなく自動運転機能をサブスクリプション化する計画で、2020年後半にも展開する予定という。

テスラの新車は、将来利用可能となる完全自動運転に対応できる先進のハードウェアを標準装備しており、ソフトウェアのアップデートを通して継続的に機能が向上するよう設計されている。「完全自動運転対応機能(FSD)」のオプション価格は徐々に値上げされ、現在は7000ドル(約75万円)とみられる。これをサブスクリプション化(月額サービス化)することで、新たな需要を取り込む構えだ。

予定通り実現するかは定かではないものの、マスクCEOは過去にも個人オーナーへロボタクシーをリースする構想などを打ち出しており、今後の動向に注目が集まる。

■IntelのMoovit買収、自動運転タクシーの世界展開の布石か!?(2020年5月9日付)

米インテルが、MaaSプラットフォーマーのイスラエル企業・Moovit(モービット)の買収を発表した。買収額は約9億ドル(約960億円)とみられ、自動運転技術を活用したモビリティサービスを本格展開させていく構えのようだ。

インテルは傘下のモービルアイとともに「マルチモーダルXaaS戦略」を策定し、モービルアイの自動運転技術をモービットのモビリティサービスと融合し、MaaSや自動運転技術のグローバル化を推進していくこととしている。

その象徴がロボタクシーサービスで、ロボタクシーを世界各地に送り出すだけでなくMaaSを構成するモビリティとして明確に位置付け、各地のさまざまな交通機関と連携させていく段階まで見据えているようだ。

モービルアイは現在、フォルクスワーゲンと2022年の実用化を目標にロボタクシーの開発を進めるほか、中国のEVメーカー・NIOとパートナーシップを結び、スマートモビリティサービスの展開を目指すなどさまざまな取り組みを進めている。

各事業とモービットの今後の展開などにも注目だ。

■【速報】自動運転車を検証するWoven City「やり抜く」 トヨタ決算発表で強調(2020年5月12日付)

トヨタは2020年5月12日、2020年3月期(2019年度)決算を発表した。当期純利益は前期比10.3%増の2兆761億8,300万円と伸びを見せたが、新型コロナウイルスの影響により2021年3月期の営業利益で79.5%減を見込むなど、苦しい見通しを発表した。

2020年3月期の連結販売台数は895万8000台で、前期比1万9000台の微減となった。2021年3月期の見通しでは、四半期ごとに徐々に需要の回復を見込むものの通年では700万台と予測し、売上高は前期比5.9兆円減の24兆円、営業利益は1兆9500億円減の5000億円とした。

一方、研究開発費は前年並みの1兆1000億円を確保し、「やり抜く、やり続ける」ことの意義を強調した。静岡県裾野市で2021年初頭に着工予定のコネクティッド・シティ「Woven City(ウーブン・シティ)」についても従来の計画に大きな変更はなく、投資額に関しては現在詰めている最中とした。

■自動運転ベンチャーZMP、売上高は前期比22%増の14.7億円 2019年度決算(2020年5月13日付)

自動運転やロボット開発を手掛けるベンチャー・ZMPの第19期(2019年1月1日〜2019年12月31日)決算が官報に掲載された。売上高は前期比22.7%増の14億7559万6000円を計上し、当期純損失が同73.7%減の1億8375万7000円と大幅縮小するなど、経営状況は上向きのようだ。

同社は2019年、物流支援ロボットCarriRoの機能拡充や自動運転開発を推進する新しいサービスカテゴリーRoboCar&センサーイノベーションを提供開始するなど製品・サービスの実用化を促進し、CarriRo AD外部機器連携モデルがライジングやGworkerの工場に導入されるなど着実に成果を挙げているようだ。

一人乗りの自動電動車椅子「RakuRo(ラクロ)」や宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」、無人警備ロボット「PATORO(パトロ)」なども注目を集めており、さらなる飛躍に期待したい。

■自動運転レベル4のサービス、2025年度に40カ所以上で 国がロードマップ最新版発表(2020年5月14日付)

自動走行ビジネス検討会が「自動走行の実現に向けた取組報告と方針」の報告書概要を発表した。報告書概要の中では無人自動運転サービスの実現に向けたロードマップが示されており、類型化した走行環境別の実現目標がそれぞれ明記されている。

2022年度までに、工場や空港などの閉鎖空間は数カ所で、BRT専用区間などの限定空間や生活道路などの混在区間では、1カ所程度で遠隔操作及び監視有の低速自動運転サービスなどの開始を見込む。

また、2025年度を目途に対象やサービスを拡大し、それぞれ数カ所から十カ所以上のサービス実現を目指すこととしている。

なお、報告書概要ではこのほか、自動運転の高度化に向けた各実証実験や、地図や通信インフラ、サイバーセキュリティといった協調領域の取り組みについても方針やロードマップを提示している。

■ホンダ、自動運転レベル3「年内になんとか発売」 決算発表で八郷社長(2020年5月16日付)

ホンダは5月12日、2020年3月期(2019年度)の決算説明会を開いた。八郷隆弘社長が自動運転レベル3の年内販売に言及し、年内発売に意欲を示した。

八郷社長は「高速道路での限定された条件下におけるアイズオフ技術は確立できた。発売に向け社会の受容性がどうか、お客様にどのように正しく性能を理解してお使いしていただくか、訴求の仕方や販売方法を検討している」とし、「新型コロナウイルスの影響で部品供給に遅れが生じるなど懸念はあるものの、年内に何とか発売に結び付けたい」と前向きな姿勢を示した。

2020年3月期の決算状況は、連結売上収益が四輪事業における減少や為替換算による減少などにより前期比6%減の14兆9310億円、営業利益は同12.8%減の6336億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同25.3%減の4557億円となった。

■孫正義氏、Afterコロナの回復「新規産業が牽引」と強調 ソフトバンクグループ(2020年5月18日付)

ソフトバンクグループは5月18日、2020年3月期連結決算を発表した。2019年度は、前年度比1.5%増の6兆1851億円の売上高を確保したものの、当期純利益が前年度1兆4112億円から9616億円の赤字となった。

UberやWeWork などの投資先の公正価値の減少に加え、新型コロナウイルスの影響に伴い第4四半期にその他の投資先の公正価値も大幅減少したことが要因で、ソフトバンクビジョンファンド(SVF)など投資事業の営業損失が 1.9兆円に上った一方、ソフトバンク事業の営業利益は前期比7.4%増と好調を示した。

また、SVF1号ファンドの投資に関して、これまでの累計投資額95億8700万ドルに対し、累計リターンは109億9300万ドルと14億600万ドルのプラスを示していることも説明した。米Amazonのクラウドサービス「AWS」にArmのプロセッサの導入が進んでいることなど今後の強調材料を示したほか、1929年の世界恐慌を引き合いに新型コロナウイルスからの回復は新たなテクノロジーがけん引するとし、株主価値の確保を見据えながら苦境を乗り越える姿勢を見せた。

■Uber Japan、2019年度決算は純利益162%増!Eatsが牽引?(2020年5月21日付)

米ライドシェア大手Uber Technologiesの日本法人Uber Japanの2019年通期決算が公開された。当期純利益は約3億3659万円で前期比162%の増、約2.6倍を計上し、日本で主力の「Uber Eats」やタクシー配車サービスの好調ぶりをうかがわせる結果となった。

年が明けた今期は、新型コロナウイルスの影響で本国のライドシェアサービスなどが苦境に立たされているが、料理デリバリーを担うウーバーイーツ部門は脚光を浴びる形となっており、同部門を主力とする日本法人の今期の動向に注目だ。

また、道路運送法の特例として、タクシー事業者による有償貨物運送が2020年9月末まで延期されており、国内各地でデリバリータクシーが誕生している。ウーバーもフジタクシーグループと協働し、愛知県名古屋市内でタクシーによるウーバーイーツのデリバリーを開始しており、こちらの動向にも注目したい。

■自動運転関連の求人市場、前年同月比9.1%増とプラスを維持 2020年4月末時点、コロナ影響下でも(2020年5月25日付)

自動運転ラボが定期調査している主要6転職サイトにおける2020年4月末時点の自動運転関連求人数が、前年同月比9.1%増の1万7590件となった。

新型コロナウイルスの影響で採用活動が停滞し、前月比では2カ月連続の減となったが、下げ幅はマイナス3.4%と縮小しており、根強いエンジニア需要を背景に比較的早い段階で再度プラスに転じる可能性が高そうだ。

MaaS関連の非エンジニア需要なども、緊急事態宣言の解除とともに徐々に回復するものと思われる。求人市場が早期に活気を取り戻すことに期待したい。

■【まとめ】コロナ禍でも業界の火は消えず 今後の活況に期待

決算関係のトピックが例年よりも多く半数を占める結果となった。それだけ自動運転業界も自粛していたということだろう。ただ、トヨタのウーブン・シティやホンダのレベル3など、2020年から来年にかけ間違いなく大きな話題となる取り組みにも触れられており、未来に向けた光がしっかりと灯されている印象を受ける。

一日も早く活況を取り戻し、あっと驚かせる話題で再び社会に元気を振りまいてもらいたい。6月のニュースに期待だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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