ホンダ、自動運転レベル3「年内になんとか発売」 決算発表で八郷社長

高速道路でのハンズオフ機能「確立できた」



出典:ホンダ公式YouTube動画

本田技研工業株式会社(ホンダ)の八郷隆弘社長は5月12日、2020年3月期の決算発表で、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)対応の車種について「年内になんとか発売に結びつけられれば」と語った。発売されれば、レベル3対応車種としてはAudiの「A8」に続く車種と位置付けられることになりそうだ。

八郷社長は「新型コロナウイルスの影響で部品供給に一部遅れがあるものの、高速道路での限定された条件下においてハンズオフ機能が確立できた」と述べ、現在は発売に向け、車両の訴求方法や販売方法を検討している段階だという。


■「将来生き残るための投資」は継続する

自動運転などの次世代技術への投資については「我々が生き残るためには、なんとしてもやっていく必要があると考えているので、いまのところそれを少なくしようとは考えていない」と強調している。新型コロナウイルスの影響で資金面では厳しい状況にあるが、「将来生き残るための投資」は継続するという。

また、「コロナの影響により、自動運転のあり方や電動化のあり方への価値観の変化が見られるため、方向性は大きく変わらないものの、伸ばすところや修正するところはある」とし、研究開発に対する投資の配分については精査していくという含みも残した。

■ホンダのレベル3発売が開発競争をさらに加速させる

日本では2020年4月に「自動運転レベル3」の車両の販売が解禁された。自動運転システムを作動中は人はいつでもシステムと運転を交代できる状態を保つ必要があるが、運転手は手だけでなく、目線を外してもよいことなっている。


ホンダが2020年に自動運転レベル3の搭載車両を発売するという情報はこれまでにもあり、トヨタなど他社の出方にも注目が集まっている。自動運転分野で多くの取り組みを発表してきたトヨタや自動運転タクシーの実証実験を開始している日産は、今のところ自動運転レベル3の発売については触れていない。

ホンダのレベル3発売は、間違いなくレベル3の開発競争を加速させる。今までは自動運転領域では決して目立つ存在では無かったホンダだが、国内勢一番乗りのレベル3発売で一気に存在感を高められるか注目だ。

【参考】自動運転レベル3については「【最新版】自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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