【2020年6月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

コロナ禍で配送ロボット実証加速





コロナ禍が幾分収束し、社会や経済が徐々に落ち着きを取り戻し始めた2020年6月。自動運転業界も賑わいを取り戻し、さまざまな話題が飛び交い始めている。







特に、コロナに関連した取り組みが国内外で目立っており、これを契機に研究開発が加速する可能性も指摘されている。

2020年6月の10大ニュースを振り返り、新型ウイルスに負けない未来の社会を創造していこう。

■Didiの自動運転子会社、ソフトバンクGなどから5億ドル資金調達(2020年6月3日付)

中国配車サービス最大手Didi Chuxing(滴滴出行)の自動運転子会社が、ソフトバンク・ビジョン・ファンド主導のもと5億ドル(約540億円)超の資金調達を行った。

この投資によって自動運転技術と実証に向けた研究開発を継続して安全性と効率をさらに向上させ、業界の協力を深めながら特定領域における自動運転サービスの展開を加速することとしている。

DiDiは2019年に自社の自動運転開発部門を独立し、DiDi Autonomous Drivingを設立して自動運転開発を加速している。6月下旬には、2030年までに100万台の自動運転車を導入する計画を明らかにしたほか、上海でロボタクシーのパイロットプログラムを開始するなど、自動運転技術を活用した移動サービスの実現に向け着実に歩を進めている。

■産総研&日立が提案した移動体データ形式、国際標準仕様に採択 自動運転に貢献(2020年6月9日付)

産業技術総合研究所人工知能研究センターと日立製作所が共同提案した新たな移動体データ形式「Moving Features Encoding Extension – JSON(MF-JSON形式)」が、地理空間情報の国際標準化団体OGCの国際標準仕様として採択された。人や自動車などさまざまな移動体の動的な空間情報を一体的に記録し、高精度で共有することが可能となり、移動データの普及や利活用拡大が期待される。

MF-JSON形式は、これまでOGCで採択されていた移動体のデータ交換形式であるXML形式よりもデータの記述量が少なく、またCSV形式よりもさまざまな移動体を記述できる新たなデータ交換形式で、GPSからの人流データ(点形状)や道路交通渋滞情報(線形式)、洪水浸水区域の拡大(面形状)、自動車の走行(立体形状)などの動的な地理空間情報の記述を可能にしている。

今後は、自動運転や移動ロボット、ドローンなどの安全な移動の支援に加え、工場や倉庫の作業員の作業改善、公共施設・駅構内の混雑緩和などにおける移動データの時空間パターン分析のサービスインターフェースに関する国際標準化を図っていくとしている。

■空港で世界初!羽田に自動運転パーソナルモビリティ WHILLが開発(2020年6月11日付)

車椅子型の自動運転パーソナルモビリティの開発を進めるWHILLは、同社の自動運転システムが羽田空港第1ターミナル内に導入されたことを発表した。空港における人搬送用途での自動運転パーソナルモビリティの実用化は世界初という。

同社は2019年から空港内のシームレスな移動を目的に自動運転技術を搭載したパーソナルモビリティの実証実験を進めており、これまでに実施した11回の実証実験で延べ400人近くが利用した。

導入されるのは、パーソナルモビリティに自動運転・自動停止機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」と、複数の機体を管理・運用するシステムから構成される歩道・室内領域に向けた自動運転システムで、長距離の歩行に不安を感じられる方などを自動で搭乗口まで送り届ける。利用終了後も無人でステーションまで戻ってくる。

介助が必要な方も単独での移動が可能となるため、ソーシャルディスタンシングが求められる新型コロナウイルス対策としても注目を浴びているようだ。

■SIP第2期、羽田空港地域で自動運転の実証実験がスタート!(2020年6月12日付)

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期の東京臨海部実証実験がスタートした。SIPにおける実証の中でもとりわけ規模の大きい事業で、自動運転に対応した次世代型公共交通システムの構築に高い期待が寄せられている。

SIP第2期の東京臨海部実証実験は国内外の自動車メーカーや部品メーカー、大学など計29機関の参加のもと、2019年10月にスタート。臨海副都心地域や羽田空港地域において、高精度3次元地図情報やITS 無線路側機による信号灯火色情報などを提供する環境を整備するほか、羽田空港と臨海副都心を結ぶ首都高速道路で、ETC2.0路側無線装置によって自動運転車に情報を提供する環境の構築、羽田空港において、公共交通システム用の磁気マーカーや公共車両優先システム(PTPS)、仮設バス停、バス専用レーンなどの整備を、2020年度末までに進めていく予定となっている。

コロナ禍による緊急事態宣言下で一時事業を中断したほか、日本自動車工業会と連携した7月開催予定の自動運転体験試乗イベントも延期されることとなったが、実証に特に遅れはなく、年度内に事業目的を果たせそうだ。

■首相が喝!自動運転配送ロボの公道実証「2020年、可能な限り早期に」(2020年6月13日付)

2020年5月に開催された未来投資会議で、安倍首相が自動配送ロボットの公道走行実証を2020年内に実行に移すよう指示を出した。海外に比べ遅れ気味だった配送ロボットの取り組みが、急展開を迎えようとしている。

首相の発言を受け、「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」が公道実証の実現に向け議論を加速させており、自動運転実証に係る基準緩和認定制度の準用など含め、実証実験手順などを早々に取りまとめていく方針のようだ。

国内における自動配送ロボットの開発は、ZMPやHakobotなどまだまだ少数だが、機運の高まりを受け新規参入を目指す動きが出てくる可能性もあり、各社の動向に注目したい。

■米スターシップの無人配送が既に「普通のサービス」化してる!自動運転技術を活用(2020年6月15日付)

新型コロナウイルス禍でコンタクトレスな社会が望まれる中、無人配送ロボットの開発を手掛ける米Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)のロボット配送サービスが社会に定着しつつあるようだ。

2020年2月時点で10万回以上の配送を達成しており、コロナの影響が本格化した2月以降に導入エリアが増加したことから、その数を飛躍的に伸ばしているものと思われる。

ロボットは歩道を走行する小型タイプで、車道をマッピングする自動運転の技術とは別の観点で歩道や交差点、私道などをマッピングする技術を開発し、安全な走行技術を磨いているようだ。

ラストワンマイルを担う無人サービスとして今後社会実装が進むことは間違いないサービスで、コロナをきっかけに実用化に弾みがついた形だ。

■佐川急便、自動運転視野に小型EV開発へ EV開発企業のASFと基本合意(2020年6月17日付)

佐川急便はこのほど、電気自動車(EV)開発などを手掛けるASFと小型EVの共同開発や実証実験を開始すると発表した。将来的に自動運転も視野に開発を進めるようだ。

両社はプロジェクトチームを立ち上げ、軽自動車規格の試作車を製作するとともに、新たな安全機器の開発や温室効果ガスの削減、業務作業や車両における課題を検証する実証実験を行っていく方針。

ラストワンマイル輸送など自動運転技術の導入に期待が持たれる宅配業界だが、海外に比べ国内は消極的な印象が強い。配送ロボットの実証環境が2020年中に整備される見込みのため、これを機に自動運転技術の活用を本格的に検討し、イノベーションを進めてほしいところだ。

■日立が実は、真っ先に「自動運転」に張っていた!(2020年6月18日付)

事業領域が非常に広く、自動車分野においても縁の下の力持ち的な存在で開発を支える日立グループだが、スバルの安全運転支援システム「EyeSight(アイサイト)」の開発に深くかかわるなど、自動運転分野においても早くから研究開発を進めていたようだ。

日立製作所を中心に日立オートモティブシステムズなどが自動運転分野で活躍しており、ステレオカメラの性能向上や正確な追従走行を可能にする制御技術の開発、自動運転ECUの開発など次々と発表している。

近々では、産業技術総合研究所人工知能研究センターとともに新たな移動体データ形式「MF-JSON形式」を地理空間情報の国際標準化団体「OGC」に提案し、国際標準仕様として採択されている。

スマートシティ実現に向けた研究も進めており、分野横断的な活躍に高い期待が寄せられそうだ。

■2020年の自動運転実証、コロナ患者減で実施続々と(2020年6月22日付)

新年度早々に緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルスの影響が社会や経済に大きな影を落とした。局所的にクラスターが発生するなどまだまだ油断できない状況が続いているが、経済を止めないためにも対策を盛り込みながら歩みを進めることが重要だ。

自動運転に関連する各種実証なども、一時中断や延期を余儀なくされたものもあるが概ね平常運転に戻り、予定通りに進行しそうだ。

住民参加型のものなどは一考の余地がありそうだが、大半の実証は3密を回避しながら実施できる。安倍首相がゴーサインを出したように、自動運転技術がコロナ対策に寄与する面もあるため、開発各社は自信をもって事業を進めてほしい。

■2020年度も「進化する愛知」!今年度の自動運転プロジェクト、詳細明らかに(2020年6月23日付)

愛知県が2020年度の自動運転社会実装プロジェクト推進事業を公表した。本年度は、県内3市で5Gを活用した遠隔監視自動運転の実証などを行う予定だ。

具体的には、常滑市の中部国際空港島内の公道で小型バス車両による5G遠隔監視自動運転、西尾市の駅周辺市街地の公道でタクシー型自動運転車を用いたMaaS、長久手市の愛・地球博記念公園の閉鎖空間で自動運転コンセプト車両を用いた新たな車室空間体験を伴う移動体験のそれぞれを実証する。事業はNTTドコモなど11社と名古屋大学が担う。

愛知県は2016年度から自動運転の実証実験を積み重ねており、国内では自動運転先進地として知られる。さまざまな社会課題の解決に向け自動運転技術がどのように活用されるのか、他の自治体からの注目度も高そうだ。

■【まとめ】配送ロボットに熱い眼差し 民間の動きに注目

6月は特に自動配送ロボットに関する話題が多かったようだ。海外ではコロナ対策として配送ロボットを導入する事例が相次いでいたが、国内でもコロナ対策を踏まえ公道実証を促進する動きが加速し始めた。国が本腰を入れることで民間の開発意欲も高まることから、本年度中に新たな動きが続々と出てきそうだ。

自動運転実証も大半は大きな影響なく進行しているようでまずは一安心だ。万全なコロナ対策とともに未来に向けた歩みを着実に前に進めるべく、7月の取り組みにも大いに期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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