シンガポール発SWAT Mobilityが日本上陸!MaaS&オンデマンド相乗りサービスに強み

トヨタやNEC関連企業ともパートナーシップ





出典:SWAT Mobility社公式サイト

シンガポールを拠点に世界各地でオンデマンド相乗りサービスを展開するSWAT Mobilityが日本法人を立ち上げ、ジュピターテレコム(J:COM)のMaaS実証へのアプリケーション提供で国内事業に本格参入した。

SWATのサービスはどのようなものなのか。企業概要とともに同社の技術に迫ってみよう。







■SWAT Mobility社とは?

SWATは、同社CEO(最高経営責任者)のJarrold Ong氏や会長兼CSO(最高戦略責任者)を務めるArthur Chua氏らが2015年に設立したスタートアップで、最小の車両台数で乗客を効率良く相乗りさせる高精度のルーティングアルゴリズムを武器に、オンデマンド相乗りサービスを展開している。

これまでにシンガポールをはじめ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、オーストラリアで事業展開しており、日本では2020年2月にSWAT Mobility Japanを設立した。オーストラリアではオンデマンド公共バス、東南アジアでは企業や工業団地向けの通勤送迎サービスを展開しているという。

資金調達では、2017年のシードラウンドで300万シンガポールドル(約2億4000万円)を獲得したほか、2019年11月にはシリーズAラウンドで1010万シンガポールドル(約10億8000万円)を調達したと発表している。シリーズAでは、東京大学エッジキャピタル(UTEC)がラウンドを主導している。

同社はこの資金調達により、2020年前半までに日本、中国、フィリピン、インドネシアでプロジェクトを立ち上げる予定としており、現在進行中のものも多数あるようだ。

また、将来的には自動運転技術を活用したモビリティサービスへの導入も見込んでいるようだ。オンデマンド化された自動運転車が効率的にシェアサービスを提供するために必然となる技術で、今後の飛躍に高い期待が寄せられる。

■SWATの技術・サービス

同社は現在、「通勤バス」「ジャストインタイム」「オンデマンド」「デジタルトランスポート」の4つのサービスを手掛けている。

通勤バス

通勤バスは、乗客一人ひとりのためにカスタムしたルートで通勤・通学者向けに最適化したルートを生成する。利用者が事前に一定期間分の予約をまとめて行うことで、予約情報に基づいたルートを生成することができる。ニーズの変化に対応してルートが定期的に更新され、高い効率性とサービスレベルを保ち続けるという。

都心から離れた勤務先への移動サービスや工業団地への移動・工業団地内の移動サービス、定期的な集会へのコミュニティメンバーの送迎などを想定している。

ジャストインタイム

ジャストインタイムは、乗客の予約状況に応じたルートを自動で生成して個別の要望に応えた乗車を実現するサービスで、利用者が出発の10分前までに乗車予約を行うことで、システム上で予約を集積し、数分以内にルートを生成する。

シフトごとに異なるルートを生成し、その時々の乗客に最適なサービスを提供可能で、シフト別従業員送迎サービスや夜勤や残業後の従業員送迎サービス、イベント送迎サービスなどに適しているという。

オンデマンド

オンデマンドは、移動ニーズをリアルタイムで反映して独自ルートを生成するサービスで、利用者は設定されたエリア内ならどこでも自由に移動することができる。同じ方向に行く複数の乗客を乗せて運行するため、常にルートの最適化が図られる。

公共バスや企業のシャトルバス、キャンパス内移動向けサービスなどに適している。

デジタルトランスポート

デジタルトランスポートは、ルート管理システムによりマニュアル操作の労力を削減するサービスで、移動計画・時間管理・支払いを自動化してバス運行をデジタル化したり、予約状況に基づき需要を分析し、より多くの乗客の乗車を可能にしたりする機能を持つ。利用者もアプリ上で席の予約ができ、バスの現在地をリアルタイムで確認することができる。

フリートマネジメントやシャトルサービス、従業員通勤サービスなどに適している。

これらのシステムを導入することで、既存のバス事業の稼働率を最大化・効率化したり、新たな移動サービス導入時の運行管理に使用したりできそうだ。

■日本関連企業との協業
トヨタ・モビリティ基金らのコロナ対策に参画

SWATのシステムは、新型コロナウイルス対策でも活躍したようだ。一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation/TMF)がタイ・バンコクの病院と連携し、新型コロナウイルス治療に携わる医療従事者向けに感染予防策を施した通勤用の送迎サービスを2020年4月上旬から3カ月間実施したが、このサービスの中でSWATのオンデマンド通勤サービスアプリが利用された。

同様の取り組みはフィリピンでも行われており、マニラで最大の病院の1つであるフィリピン総合病院のスタッフを5月からサポートしている。SWATのジャストインタイムソリューションが動的ルートを毎回生成し、各利用者に最適な運行を提供するほか、システムが安全な距離措置に基づいて利用者に座席を割り当てるという。

トヨタのフィリピン関連会社トヨタモーターフィリピンコーポレーション(TMP)も2020年7月から10月に渡り、P2Pバス用の無料予約サービスアプリケーションSWATRideを提供することを発表している。

マニラ首都圏の公共交通機関が徐々に再開される中、TMPが従来の通勤を改善する取り組みを拡大し、コロナ時代に対応した新しい移動を提供する試みで、利用者はアプリで空席を確認し、事前に優先席を予約可能にすることで、車内における感染症予防につなげる狙いだ。

NECとパートナーシップ

NECの東南アジア、南アジア、オセアニア地域の事業統括会社NEC Asia PacificとSWATは2019年10月、都市のモビリティを変革し社会的課題に対処するため、それぞれの専門知識と技術を結集するパートナーシップを結ぶと発表した。

パートナーシップの一環として、両社はAIベースのルート生成やオンデマンドバス予約サービスを提供するアプリ「Ally」を共同で立ち上げた。

SWATの動的バスルーティングアルゴリズムと、機械学習テクノロジーでサポートされたNECのパーソナライゼーションエンジンを組み合わせることで、飲食店やアトラクションなど利用者の関心やプロファイルなどのデータポイントに基づいて関心がありそうな場所を推奨するほか、リアルタイムで最適化されたルートを生成し、エリアを運行するバスを自動的に割り当てるという。

日本ではJ:COMの事業をサポート

日本では、J:COMが2020年7月から全国約4500台の同社営業車を対象にしたライドシェアサービス「J:COM MaaS」の実証実験を実施するにあたり、SWAT Mobility JapanがMaaSアプリケーションサービスを提供している。日本法人としてはこれが初の案件となる。

実証実験は、対象営業スタッフ約230人、車両台数は6台からスタートする。SWATは、乗客者用アプリ、ドライバー用アプリ、管理者用アプリを提供する。J:COM専用にカスタマイズし営業員が希望する到着時刻に顧客宅に到着できるよう、希望到着時刻を元にした送迎アルゴリズムを生成し、実装したという。

■【まとめ】ルート最適化技術がシェアサービスの質を高める

モビリティのルート最適化を図るシステムは、物流向けルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」を手掛けるオプティマインドやタクシー相乗りアプリを手掛けるNearMeなど、国内でも開発が盛んな分野だ。

今後、地方を中心にオンデマンド形式のモビリティが増加する見込みのほか、タクシーの相乗りサービスの本格導入や社用車シェアなどシェアサービスの応が広がる可能性が高く、AIを駆使したルート最適化技術の需要もいっそう高まっていくことが予想される。

MaaSの進展とともにさまざまな形式のモビリティが導入される時代が訪れようとしているが、各モビリティを最適化し移動サービスの質を上げるためには、こうした技術が欠かせないのだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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