【2020年8月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

群馬大がベンチャー、MoTはタクシー配車アプリ統合へ



残暑とコロナ禍が続く2020年8月も、間もなく終わりを告げようとしている。海外では、いち早くコロナ禍を脱したかのような様相を示す中国で、自動運転タクシーの開発が加速しているようだ。







国内では、未来技術社会実装事業やスマートシティプロジェクトなど、自動運転も関連する先進的な地域づくり事業が着々と進められている。これらの中から第二、第三の自動運転実装シティが誕生する可能性もあり、要注目だ。

さまざまな取り組みが進展した2020年8月の10大ニュースを振り返ってみよう。

■テスラ、自社の自動運転ソフトを他社へライセンス提供へ マスク氏がTwitterで発言(2020年8月3日付)

米EV大手テスラのイーロン・マスクCEOが、Twitter(ツイッター)で自社技術のライセンス化に言及した。ソフトウェアのライセンス供与をはじめ、パワートレインやバッテリー、高度運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」も含むとしており、将来、米Waymoのように自動運転システムを他社に提供する可能性もありそうだ。

マスク氏は、ライセンス供与の目的について「持続可能なエネルギーを加速する」としており、EVや自動運転化によって環境負担の少ない社会を推進していく狙いだ。

自動運転システムの提供に関しては米Waymoが先行しているほか、ティアフォーや中国の百度(バイドゥ)のようにオープンソース化して普及を図る動きなどもみられる。業界全体において開発の効率化を図る有効な手段であるため、将来的にはこうしたソフトウェアビジネスがスタンダードとなる可能性も十分考えられそうだ。

■自動運転中は保険料無料!あいおい、国内初の保険を10月から提供(2020年8月3日付)

あいおいニッセイ同和損害保険が、自動運転に対応した国内初の自動車保険を開発した。自動運転レベル3以上を対象に自動運転モード利用時の走行分を無料化するもので、市場化が始まるレベル3の普及を後押ししそうだ。

新保険は、コネクテッドカーを対象にした同社のテレマティクス保険「タフ・つながるクルマの保険」に導入する。同保険は基本保険料と毎月の走行距離や運転特性に応じて変動する「運転分保険料」で構成されており、後者に対し、自動運転走行中の運転分保険料を無料にする。

レベル3車両は、ホンダが2020年内の発売を目指すほか、2021年までの市場化を目指すメーカーも複数おり、徐々に温度が高まっている印象だ。

なお、レベル4の移動サービスも2020年度中に開始される予定だ。こちらは商用で、しばらくの間は台数も限定されるため個別の対応になりそうだが、保険において将来的にどのような扱いになるのか、今から注目しておきたいところだ。

■自動運転プロジェクトが多数!未来技術社会実装事業の採択案、各自治体での取り組みは?(2020年8月6日付)

AIや自動運転など未来技術の実装によって新しい地方創生を目指す「未来技術社会実装事業」に、2020年度は新たに12事業が選定された。記事では、このうち自動運転やMaaSに関する7事業を紹介している。

石川県小松市では、開業予定の新幹線駅と約4.4キロの至近距離に位置する小松空港を結ぶ交通手段として自動運転バスの導入を検討する。暫定供用開始に向け、まずはレベル3対応の自動運転バスを導入し、本格運行に際し先行導入車両のレベル4化や新たなレベル4自動運転バスを導入するとしている。

未来技術社会実装事業は3年間で一部実装、5年間で本格実装を見込む事業を対象にしており、2018年度に14事業、2019年度に8事業が選定されている。

生活交通をはじめ物流や農業などに自動運転や5G、ドローン、ロボット技術などの導入を図る取り組みが採択されており、次世代に向けた先行事例として要注目だ。

■Googleの元自動運転プロジェクト創設者に、懲役3年の地裁判決(2020年8月6日付)

米グーグルを退社したエンジニアに厳しい判決が下された。同社の自動運転開発プロジェクトに携わった元幹部エンジニアのアンソニー・レバンドウスキー氏が、機密情報を不正に持ち出した罪で連邦地方裁判所から懲役3年の判決を言い渡されたのだ。

同氏は、グーグルストリートビューの基幹技術となる写真情報と位置情報を結ぶシステム開発を手掛ける企業510 Systemsを設立し、同社がグーグルに買収されたことをきっかけにグーグルに入社し、自動運転開発プロジェクトへ。その後退社し、自動運転トラック開発企業Ottoを立ち上げるも間を置かずUberに買収され、機密情報漏えいの疑いが持たれていた。グーグル側に提訴されたUberは同氏を解雇し、10億円を超える仲裁金を支払っている。

有力エンジニアの引き抜きが常態化している米国だが、中にはこうした事案も含まれている。自動運転ソフトウェアやデータのオープン化が進展する一方、門外不出の技術も数多く生み出されているのだ。最先端を争う分野ならではの問題と言えそうだ。

■群馬大学発!自動運転ベンチャー「日本モビリティ」設立 事業内容は?(2020年8月8日付)

自動運転の研究開発に力を入れる群馬大学がこのほど、自動運転の社会実装や導入を支援するベンチャー「日本モビリティ」を設立した。業界初となる無人移動サービス導入パッケージが目玉だ。

無人移動サービス導入に向けたコンサルティングをはじめ、自動運転システムの提供や自動運転車の構築、実証実験コーディネート、無人移動サービス関連商品の販売などを手掛ける。すでにあいおいニッセイ同和損害保険と資本業務提携を交わしたほか、相鉄バスと無人移動サービスの実現を目的に協力関係を構築するなど、取り組みを加速している印象だ。

大学発ベンチャーは、名古屋大学発のティアフォーやオプティマインド、埼玉工業大学発のフィールドオートなど、モビリティを舞台に活躍する企業が続々と誕生している。大学における専門的な研究と社会を結び付ける役割として注目の存在だ。

■スマートシティプロジェクト、国交省が追加選定!自動運転やMaaSの取り組みも(2020年8月10日付)

国が推進するスマートシティモデルプロジェクトに、新たに先行モデルプロジェクト7事業、重点事業化促進プロジェクト5事業が追加選定された。地域の課題解決に向けスマートシティ化を目指す動きが自治体の間で広がっているようだ。

初年度となった2019年度は、先行モデルプロジェクト15事業、重点事業化促進プロジェクト23事業がそれぞれ採択され、自治体内でコンソ-シアムや協議会を組みながら自動運転やデータプラットフォーム、MaaSといった新技術を活用した地域づくりを進めている。

世界的ブームとなっているスマートシティだが、要素技術であるロボット技術やIoTの導入などは将来的にスタンダードとなる可能性が高い。先駆的な取り組みにより各事業がブラッシュアップされ、他地域にも波及していくことに期待したい。

■JapanTaxiと元DeNAのタクシーアプリ、一本化へ GOが9月リリース(2020年8月11日付)

タクシーアプリ「JapanTaxi」と「MOV」を運営するMobility Technologiesは、2020年9月に両アプリを統合した新アプリ「GO(ゴー)」をリリースする。

Mobility Technologiesは、日本交通系のJapanTaxiとDeNAの配車サービス事業などを統合し、2020年4月に設立された。これまで各アプリをそれぞれ運営していたが、タクシー事業全体の回復に貢献するため新アプリの早期リリースを決断した。GOはMOVをベースとしたアプリで、MOVがサービス展開しているエリアにJapanTaxi DRIVER’S対応エリアの一部を加えた全国17エリアからスタートし、順次拡大していく方針としている。

2020年8月の発表では、JapanTaxiのアプリダウンロード数が累計1000万を超えたほか、MOVも昨年同期比の乗車回数が増加しており、両アプリ合わせて前年同月比3割増と好調なようだ。

配車サービスで覇権を握る同社が今後、どのような付随サービスを展開していくかなども注目だ。

■自動運転、ソフトウェア更新で「特定改造等」の許可制度を創設(2020年8月11日付)

道路運送車両法の改正を受け、自動運転時代を見据え適切なソフトウェアアップデートを確保する「自動車の特定改造等の許可制度」が2020年11月に開始される。

プログラムを改変することで、性能変更や機能追加(改造)を容易に行える技術が確立したことに伴う措置で、自動運行装置などに組み込まれたプログラムの改変により、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれのあるものを電気通信回線の使用などによって行う場合、あらかじめ国土交通大臣の許可を受けなければならないものとしている。

自動車のコネクテッド化が標準仕様となり、今後は保安基準に関わる重要なプログラムのアップデートも個別に行われる可能性が高くなるほか、開発者のみならず第三者による改変も技術的に可能なものとなる。将来的には、許可制度をはじめとした規制がどんどん強化される可能性もありそうだ。

■トヨタとAWSが業務提携を拡大!モビリティサービス・プラットフォーム「MSPF」を強化(2020年8月22日付)

トヨタはモビリティサービス・プラットフォーム「MSPF」の強化に向け、米アマゾン傘下のAmazon Web Services(AWS)との業務提携を拡大する。具体的には、AWSのグローバルインフラとAWSプロフェッショナルサービスを活用することで将来の膨大なトランザクションに備え、MSPFのビッグデータ蓄積・利用基盤の強化を図っていくとしている。

AWSはクラウドサービスに力を入れており、自動車分野では自動運転やコネクテッド時代を見据えアマゾンウェブサービス(AWS)の利用を推進している。一方のトヨタもMSPFを柱に据えてコネクテッドカーやモビリティサービスの普及に向けた取り組みを加速している。

今後、自動運転やコネクテッドカーの普及が本格化すると、各車両から得られるデータ量は指数関数的に増大することが予想される。このため、自動車メーカーや自動運転開発企業は早期にデータ基盤を整えておく必要が生じるのだ。

先を見越したトヨタの取り組みは、近い将来大きな成果となってモビリティ革命を後押しすることになりそうだ。

■自動運転タクシー、AutoXが上海で一般客にもサービス拡大 米中を股に掛けるスタートアップ(2020年8月22日付)

自動運転スタートアップのAutoXが、上海市内で実用実証中を続ける自動運転タクシーサービスの対象を一般客に拡大した。上海では配車サービス大手のDidi Chuxing(滴滴出行)も試験サービスを行っており、早くも自動運転タクシー競争が本格化の兆しを見せている。

中国ではこのほか、百度やWeRide、Pony.aiなど有力な開発企業が自動運転タクシーの実用実証サービスを各都市で実施しており、その展開は今後加速度を増していく可能性が高い。

また、サービスが本格化した際、車両をどの自動車メーカーが供給するかも今後の焦点となりそうだ。中国自動車メーカーをベースとしながら、トヨタをはじめとした海外勢がどういった形で食い込んでくるか。自動運転サービス過渡期の覇権を占う上で、こうした車両提供に関わる業務提携も見逃せない情報だ。

■【まとめ】驚異の開発力で中国勢がWaymoを猛追

中国の自動運転タクシー開発の加速度は脅威で、先行する米Waymoの対立候補が国を挙げて一斉に出現した印象すら受ける。安全性の担保がカギを握るが、技術力によっては1年後に大きく世界情勢を変えている可能性もありそうだ。

国内では、自動運転を対象にした保険の登場や特定改造等の許可制度の創設など、レベル3の実装を見込んだ取り組みが官民で着実に進められており、あとはレベル3搭載車の発売を待つばかりだ。

世界各国でレベル3走行の条件が整う頃には、各自動車メーカーも市場化に向けた取り組みを本格化させているものと思われる。レベル4も含め自動運転技術の社会実装が2020~2021年に大きく動き出す見通しで、業界の動向から目を離せない日々がしばらく続きそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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