自動運転プロジェクトが多数!未来技術社会実装事業の採択案、各自治体での取り組みは?

拠点間の移動サービスなどとして導入目指す



内閣府地方創生推進事務局は2020年8月5日までに、最新技術を活用した新しい地方創生を目指す「未来技術社会実装事業」を選定したことを発表した。


各地の自治体が提案した12事業が選ばれ、自動運転サービスの導入などを含んだプロジェクトが多く見受けられる結果となった。これらの事業に対しては関係府省庁による総合的な支援が行われる。

今回選ばれた採択案のうち、自動運転やMaaS関連のプロジェクトは以下の7つだ。

  • 茨城県潮来市「道の駅『いたこ』・水郷潮来バスターミナルの地域拠点を接続する自動運転サービス事業」
  • 埼玉県和光市 「地域拠点間を接続する自動運転サービス導入事業(和光版MaaS構想案)」
  • 石川県小松市 「小松市における2大交通拠点をつなぐ自動運転バスの導入事業」
  • 大阪府四條畷市 「けいはんな学研区域(田原地区)における地域主体の持続可能なまちづくり」
  • 奈良県三郷町「5Gを軸とした全世代全員活躍のまち『スマートシティSANGO』」
  • 高知県四万十市「自動運転技術利活用による地域公共交通システムの構築」
  • 長崎県対馬市 「対馬スマートシティ推進事業」

それぞれのプロジェクトについて説明していこう。

▼未来技術社会実装事業(令和2年度選定)について|首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kinmirai/sentei_20200731.html


■茨城県潮来市:地域拠点を接続する自動運転サービス

茨城県潮来市が提案したのは、「道の駅『いたこ』・水郷潮来バスターミナルの地域拠点を接続する自動運転サービス事業」だ。

この地域では、水郷潮来バスターミナルと道の駅「いたこ」の交通手段の連携が弱い。そこで、この両拠点を接続する自動運転サービスの実装を目指すという。

■埼玉県和光市:和光版MaaS構想における自動運転サービス

埼玉県和光市が提案したのは、「地域拠点間を接続する自動運転サービス導入事業(和光版MaaS構想案)」だ。

移動時間の定時性確保や高齢者の移動のしやすさに関する課題を緩和するため、外環道PA(パーキングエリア)を中心とした交通・産業拠点と鉄道駅間で、自動運転サービスの社会実装を行うという。


外環道側道部に自動運転車両の走行空間を整備するほか、次世代通信規格「5G」による車両と信号の制御などを行うという。

■石川県小松市:2大交通拠点をつなぐ自動運転バス

石川県小松市が提案したのは、「小松市における2大交通拠点をつなぐ自動運転バスの導入事業」だ。同市では、新幹線駅と空港のスムーズなアクセスが課題となっており、この両拠点を結ぶ自動運転シャトルの運行に取り組むという。

この事業では金沢大学や日野自動車と協働で、必要となるインフラ整備や自動運転バスの運行・管理システムの導入を進めていくという。

■大阪府四條畷市:自動運転車両の導入・運行

大阪府四條畷市が提案したのは、「けいはんな学研区域(田原地区)における地域主体の持続可能なまちづくり」だ。公共交通手段の確保や買い物などに行くときの利便性を高めるため、「自動運転車両の導入・運行」など3つの取り組みを進めるという。

自動運転車両の導入・運行では、道路に敷設された電磁マーカーによって自動走行できる「誘導型自動運転車」のほか、自動運転レベル4(高度運転自動化)の「自律型自律運転車」を導入し、コミュニティバスとして運用するという。

■奈良県三郷町: 5Gを軸としたスマートシティ

奈良県三郷町は「5Gを軸とした全世代全員活躍のまち『スマートシティSANGO』」を提案した。高齢者の移動手段の確保に向け、路線バスの自動運転化を目指すという。

具体的には、JR三郷駅~奈良学園大学間の既存の路線バスルートで、自動運転車両の実証実験を行う。公道では運転者が同乗する形での自動運転、大学跡地内では遠隔制御での自動運転が予定されているという。

■高知県四万十市:地域公共交通システムの構築

高知県四万十市は「自動運転技術利活用による地域公共交通システムの構築」を提案した。高齢化地域での移動手段の確保やアクセスの課題を解決するため、自動運転車両の導入によって移動の円滑化や効率化に取り組む。

最終的には、暫定的に導入する自動運転車両とデマンド型システム搭載のバスの役目を兼ね備えた「次世代型まちバス」を導入するイメージのようだ。

■長崎県対馬市:対馬スマートシティ推進事業

長崎県対馬市が提案したのは、自動運転技術やIT・AI(人工知能)技術を駆使したMaaSサービスなどの導入を目指す「対馬スマートシティ推進事業」だ。

具体的には、定住者・旅行者・事業者が共通で使える「スマートシティプラットフォーム」を構築し、買い物難民を減らし、観光促進も目指すという。

■【まとめ】「高齢者の移動」の課題解決に向けた取り組みが目立つ

日本の地方自治体では高齢者の移動手段の確保が課題となっていることが多く、こうした課題の解決に向けた取り組みが目立った印象だ。

実証実験の実施後、検証成果や参加者の声が公表されるとみられ、どのような取り組みとなったのか、注目したい。

▼未来技術社会実装事業(令和2年度選定)について|首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kinmirai/sentei_20200731.html

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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