自動運転中は保険料無料!あいおい、国内初の保険を10月から提供

車載通信機が運転状況を的確に把握



あいおいニッセイ同和損害保険はこのほど、自動運転システムで走行中の運転分保険料を無料とする国内初の自動車保険を開発した。今年10月から提供を開始する予定だという。

コネクテッド技術を活用することで自動運転の利用状況を正確に把握することを可能にしたテレマティクス保険サービスを拡張したもので、まさに自動運転時代に向けた新しい保険だ。







自動車保険各社は、事故時の責任関係が複雑になる自動運転に関して入念な研究を進めており、今後、自動運転技術の社会実装とともにこうした自動運転保険が続々と登場することになる。

あいおいの新保険の概要や自動運転に向けた取り組みを解説し、保険業界の動向に触れていこう。

■あいおいの自動運転保険とは?

すでに商品化しているテレマティクス自動車保険「タフ・つながるクルマの保険」の仕組みをそのまま活用する形で自動運転に対応する。

【参考】テレマティクスについては「自動車における「テレマティクス」とは?コネクテッド化で市場拡大」も参照。

タフ・つながるクルマの保険は、走行距離などに依存しない基本保険料と、毎月の走行距離や運転特性に応じて変動する運転分保険料で構成されており、運転特性は速度超過や急加速、急減速に応じて保険料割引を適用している。安全運転を心がければそれだけ保険料が割引される仕組みだ。

同社指定のカーナビゲーションなどから指定車載通信機(DCM)を通じて運転特性などの車両運行情報を取得し、運転分保険料の算出に活用するほか、スマートフォンアプリを活用すれば運転特性を分析したドライブレポートやマンスリーレポートといった安全運転アドバイスを受けることもできる。

このDCMを用いた通信により、自動運転モードの利用状況も正確に把握することが可能になる。システムが運転主体となる自動運転レベル3以上の自動運転モードを対象に、自動運転中の走行分を無料化の対象としている。提供は2020年10月に開始する予定だ。

出典:あいおいニッセイ同和損害保険プレスリリース

今のところトヨタの「T-Connect」やレクサスの「G-Link」が対象となっているが、今後他メーカーなどにも拡大していく可能性が高そうだ。

同社は自動運転技術の安全性を保険料に反映することで自動運転車の普及と活用促進を後押しし、今後もテレマティクス自動車保険で培ったデータ分析の技術や安全運転のメカニズムを解析するノウハウなどを活用することで、CASEやMaaSに対応した新たな商品を開発していくとしている。

モビリティサービスや自動運転の進化にいち早くかつ柔軟に対応していく構えだ。

■自動運転分野におけるあいおいの取り組み

交通分野に変革をもたらす自動運転社会にいち早く対応するため、同社は自動運転技術の開発現場とも密接に連携しながら各種実証実験に対応した保険商品の研究などを進めている。自動運転におけるリスク要因は多岐に渡るが、保険を扱う上で客観的かつ的確な判断を下すには、複雑なシステム構成を全て踏まえなければならないからだ。

テレマティクス関連では、同事業を展開する英国最大手のBox Innovation Groupを2015年に買収し、同国のテレマティクス保険市場に参入するとともに技術の習得を進めているほか、2016年には米国に新会社Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA Corporation(AIS)を設立し、自動運転やフィンテック、モビリティサービスなど先進的な調査研究に着手している。

国内では、自動運転の研究開発を進める群馬大学と2016年に産学連携協定を締結し、実証実験などを通じた保険商品や事故対応面などの諸課題について共同で研究を進めている。

出典:あいおいニッセイ同和損害保険プレスリリース

2019年3月には同大学内に「次世代モビリティ事故・サービス研究室」を設置し、自動運転バスなどの走行中の事故やトラブル時の保険会社によるサービスの在り方に関わる研究を進めている。

2020年7月には、同大発のスタートアップ企業・日本モビリティと自動運転による無人移動サービスの普及に向け共創していく基本合意とともに、資本業務提携を交わしている。

日本モビリティは、業界初の「無人移動サービス導入パッケージ」を構築し、自動運転の社会実装や無人移動サービスの導入を支援する。あいおいは、パッケージの共同展開を図るとともに、無人自動運転に向けた保険商品や事故対応サービスの研究開発を進め、パッケージの1つとして提供することで、地方公共団体・交通事業者がより無人移動サービスを導入しやすい環境の整備を支援していく構えだ。

2019年3月には香川大学と連携協定を締結し、MaaSに関する特別共同研究に着手したほか、2019年10月に高度なディープラーニング技術を有するLeapMindと、2020年3月にはルート最適化技術を有するオプティマインドとそれぞれ業務提携契約を交わし、次世代に向けた技術を積極的に取り入れ、新たなモビリティ社会への保険対応を促進している。

■【まとめ】レベル3市場到来とともにDCM規格化やサービス合戦も?

まもなく自動運転レベル3搭載車両が本格的に市場化される時代を迎えるが、自動運転の恩恵が保険料金に反映されるのは大きなメリットだ。今後、対象車種の拡大を見込んだDCMの規格や、新たな他社保険商品とのサービス合戦なども予想される。レベル4の自動運転移動サービスや実証実験も増加が予想される中、保険の進化はまだまだ続く見込みだ。

コネクテッドサービスの普及も始まっており、DCMの搭載など自動運転に対応した装備も着実に浸透し始めている。テレマティクス保険がスタンダードとなる未来は、すぐそこまで訪れているのだ。

【参考】自動運転レベル3については「【最新版】自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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