自動車における「テレマティクス」とは?コネクテッド化で市場拡大

代表格は「保険」、広告配信などのサービスも





香港の調査会社が2019年9月、2019年から2025年にかけて「テレマティクス・コントロール・ユニット」(TCU)の累計出荷台数は4億3100万台を超える見込みであるという最新調査を発表した。







この調査結果が示すように、コネクテッドカー(つながるクルマ)の需要増加に伴い、テレマティクスを用いたサービスが日本国内外で今後さらに広がるはずだ。欧米では、自動車保険に占めるテレマティクス保険の割合が増加し、認知度も向上しており、2020年には契約件数が自動車保険の約3割を占める予測となっている。

日本でもサービス開発が盛んとなっているテレマティクス。テレマティクスとは何か、そして今後の自動車業界にどんな影響を与えるのか。

■テレマティクスの意味とは?

テレマティクス(Telematics)とは、通信(Telecommunication)と情報科学(Informatics)を組み合わせた造語だ。自動車などの移動体に通信システムを組み合わせて情報サービスを提供する新しい技術のことを指す。最近になって、自動車メーカーが自社でサービスセンターを持ち、独自でサービスを立ち上げるケースも目立ちつつある。

テレマティクスサービスで入手・活用される主なデータは①運転者の特定②走行距離③走行速度④走行時間⑤走行地域(位置情報)⑥急加速・急ブレーキの回数⑦ハンドル操作の安定性(急ハンドルの頻度やカーブ操作など)——などだ。

こうしたデータを活用して展開されるサービス事例として最も代表的なのが「自動車保険」だ。

■代表的なサービスは「自動車保険」

近年、テレマティクス保険は欧米において加入者が増え続けており、日本でもこれに追従する形で本格導入の動きがみられている。

テレマティクス保険では一般的に、走行距離に応じて保険料が変動する「走行距離連動型保険料方式(PAYD:Pay As You Drive)」と、走行距離に加えて速度や急加速、ブレーキ回数など運転者の運転行動を分析して保険料には反映する「運転行動連動型保険方式(PHYD:Pay How You Drive)」の2種類がある。

テレマティクス保険は「自動車×保険」に革新をもたらすものとして注目されている一方で、課題もある。その一つが「情報セキュリティ」や「プライバシー」に関するものだ。テレマティクス保険で分析される情報は運転手の個人情報に関わる内容が多く、データ漏洩の防止などに事業者側が力を入れることが求められる。

また、どのような行為が保険料を下げ、どのような行為が保険料を上げるのか、という点は、今後テレマティクス保険の普及が進むにつれて議論が増えそうだ。

■コンテンツや広告配信も

テレマティクスでは、運転者の情報や走行位置などの情報を活用してサービスが展開される。保険以外に代表的なサービスを挙げるのであれば、コネクテッドカーにおけるコンテンツ提供や広告配信なども考えられる。

例えば周辺のレストラン情報や観光地の情報が、位置情報に応じたコンテンツとして車内のインフォテインメントシステムで配信されれば、ユーザーにとって役立つ可能性が高い。広告配信でも同じことが言え、ユーザー(クルマに乗っている人)とのマッチング率が高まる。

広域的に交通情報をクラウドで収集し、道路を走行する自動車に個別に渋滞情報や工事情報などを配信するサービスも、広義のテレマティクスサービスと言える。また、例えば配送会社が自社の配送車両の場所をリアルタイムに把握するためのシステムも、テレマティクスサービスの一つと言えるだろう。

■TCUのグローバル市場は年平均14%の成長率に

記事の冒頭で紹介したテレマティクス・コントロール・ユニットの出荷データに関する予測は、香港の調査会社カウンターポイント・リサーチ社が発表したものだ。同社によると、車載テレマティクス・コントロール・ユニットのグローバル市場は、2019年から2025年にかけて14%という年平均成長率(CAGR)を記録するという。

欧州では2015年に「e-call(緊急通報サービス)」の搭載が義務づけられたことがこれまでの出荷台数の伸びにつながっていたが、今後は日本や中国、アメリカ、ドイツの自動車メーカーがコネクテッド化を推進することで、一層需要が増加する見込みだという。

カウンターポイント社のNeil Shahリサーチディレクターは「自動車メーカーは、いわゆるインフォテイメントや予防保全のような既存のコネクテッド・サービスの強化に加え、保険のような新サービスも加えつつある」と指摘。その上で「車そのものの販売が減速傾向のなかで、新たな収入源とするためにコネクテッド・サービスを強力に推進している」と分析している。

■【まとめ】サービスは一層多様化へ、勝ち残る企業は?

ビッグデータを活用する時代が到来し、国内外のテレマティクスサービス市場は今後さらに拡大する。自動車メーカーやサービスプロバイダー各社がどのようなサービスを展開していき、どの企業がシェアを拡大するのか、これからも動向を探っていきたい。







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