空飛ぶクルマの”インフラ”に挑むエアモビリティ社 離発着場誘導システムなど開発

英VRCO社の日本での独占販売権も



出典:経済産業省公表資料

世界で開発が進む空飛ぶクルマなどの電動垂直離着陸機「eVTOL(イーブイトール)」。このeVTOLのプラットフォーム事業を手掛けている企業がある。2019年8月に設立されたエアモビリティ株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:浅井尚)だ。

英VRCO社が開発するeVTOLの日本における独占販売権を所有しているほか、空飛ぶクルマを実用化するためのインフラ事業にも積極的に取り組んでおり、さまざまな企業が利用可能なインフラサービスを将来展開するとみられている。


今回は経済産業省のウェブサイトで公開されているエアモビリティ社に関する資料から、サービスプラットフォームのメインシステムとして同社が開発に取り組んでいる3つのシステムについて紹介したい。

▼エアモビリティ社のビジネスについて
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/006_02_00.pdf

■離発着場誘導システム

「離発着場誘導システム」は、Vertiportと言われる着陸地点に機体が近づいて来た時に、着陸の順番をコントロールするシステムのようだ。

着陸地点が近づいたら、機体が着陸地点にあるコードを読み取ることで、クラウド管制システムと交信し着陸許可をもらう仕組みだ。着陸の順番から所要時間を自動で計算し、エネルギー設定をコントロールする。


また、急に着陸地点の状況が変化した際も、クラウド管制システムが最適な対応を指示するという。

■Airナビ、アセスメントシステム

2つ目は、空のナビゲーションシステム「Airナビ、アセスメントシステム」だ。

目的地を設定すると最適ルートが導き出される。ルートを選択すると、リスクアセスメントシステムが選択したルートのリスクを評点化し、それに対応する損害保険とパッケージにして飛行がスタートするシステムのようだ。

■安全巡行支援システム

そして3つ目として、突発性の外部要因、地震、竜巻、ゲリラ豪雨、ビルの火事など、安全に空を移動するにあたってリスクとなる情報を一元的に管理・発信するシステム「安全巡行支援システム」がある。


機体本体に多数のセンサーを搭載し、AI技術も活用することで、安全な巡行を目指す。5G技術を使用して、都度変化する気象情報の提供や、災害発生時の最適な場所への避難誘導も支援するという。

■【まとめ】空飛ぶクルマで移動する日もそう遠くない

経済産業省と国土交通省が合同で設立した「空の移動革命に向けた官民協議会」が2018年に公表した実用化に向けたロードマップによると、空飛ぶクルマの事業化は2023年が目標とされ、2030年代からは実用化をさらに拡大させることを目指すとしている。

エアモビリティ社は現在、国交省や経産省と協議を進めていて、日本国内での実証実験や実証サービスの実施を検討しているという。空のインフラが整備され、我々が空飛ぶクルマで移動する日もそう遠くないということを感じさせる。

▼エアモビリティ社のビジネスについて
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/006_02_00.pdf

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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