空飛ぶクルマ企業が「虫の息」?損失半減でも「36億円赤字」

SkyDrive第7期決算を読み解く



出典:官報

空飛ぶクルマの開発やドローン関連サービスを手がける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)の第7期決算公告(2025年6月現在)が、官報に掲載されている。

第7期の当期純損失は、前期から赤字額を約50%減らしたが、まだ36億4,656万円となっている。ネットキャッシュ残高までは決算公告からは読み取れないため、その数字次第ではあるものの、通常、巨額の赤字決算や債務超過が続くと、対外的にその企業は「虫の息」に見え始める。


これまでの純損益の推移は以下の通りとなっている。

<純損益の推移>
・第1期:▲2億3,368万6,000円
・第2期:▲5億3,597万8,000円
・第3期:▲11億9,184万5,000円
・第4期:▲17億4,323万2,000円
・第5期:▲40億4,004万2,000円
・第6期:▲72億6,727万6,000円
・第7期:▲36億4,656万2,000円
※▲はマイナス

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■決算概要(2025年6月30日現在)

賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 8,360,095
固定資産 4,413,722
資産合計 12,773,818
▼負債及び純資産の部
流動負債 645,975
固定負債 344,806
株主資本 3,483,036
資本金 100,000
資本剰余金 7,029,598
資本準備金 6,829,598
その他資本剰余金 200,000
利益剰余金 △3,646,562
その他利益剰余金 △3,646,562
(うち当期純損失)(3,646,562)
新株予約権 8,300,000
負債・純資産合計 12,773,818

■万博でデモフライト実施

SkyDriveの前身は、「モビリティを通じて次世代の人達に夢(=能力の拡張)を提供する」ことをミッションに、自動車・航空業界、スタートアップ関係の若手メンバーが中心となって立ち上げた有志団体「Cartivator」だ。2018年7月に空飛ぶクルマ実用化に向け株式会社SkyDriveを設立した。


同社は「100年に一度のMobility革命を牽引する」をミッションとし、インフラ不要の「真に自由な移動」を実現し、2050年までに誰もがいつでも空を飛べる時代を創ることを目指している。

先日閉幕した大阪・関西万博では、乗客を乗せた商用飛行は見送られたが、7~8月に会場内で空飛ぶクルマ「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」のデモフライトを行った。また同年9月には大阪市港区にある「大阪港バーティポート」でもデモフライトを実施した。

同社は、この2カ所で1カ月半にわたりデモフライトを安全に行ったことは、国内外の幅広い人に未来の移動を体感してもらえる貴重な機会となり、空飛ぶクルマの実用化に向けて不可欠な社会受容性の獲得を大きく前進させたとしている。


■米サウスカロライナに拠点を開設済み

日本の空飛ぶクルマ開発を率いていると言えるSkyDriveだが、海外進出も果たしている。2023年9月に米国サウスカロライナ州に子会社を設立した。2024年11月には、同州最大手のプライベートジェット運航会社であるSAIフライトと10機のプレオーダーを合意している。

また2024年11月に米FEAM Aeroと業務提携の覚書を締結したことを発表した。FEAM Aeroは北米最大級の航空機MRO会社で、世界中に52の整備拠点を持つ航空機向けライン整備のリーディングカンパニーだ。MROとは「Maintenance, Repair & Overhaul」の略で、航空機に関連する整備を行う事業のことを指す。FEAM Aeroが空飛ぶクルマメーカーと業務提携を行うのは、SkyDriveが初のことであった。

2025年に入ってからは、1月にインドのプライベートジェット運航会社 JetSetGoから50機のプレオーダーを受注したほか、2月にドバイのヘリコプターチャーター会社AeroGulf Servicesから 最大50機のプレオーダーを合意している。

8月にインドネシアでの空飛ぶクルマの事業化に向けた検討を行うことを目的に、同国最大級のヘリコプター運航会社であるWhiteskyと業務提携契約を締結した。10月にはタイでの空飛ぶクルマ運航を目指し、タイ民間航空局やバンコクエアウェイズ、サハ・グループなどと共に官民協議に参加している。

■ドローンショーでも頭角を現す

SkyDriveは2025年7月にドローン事業を子会社化し、株式会社AlterSkyを設立した。「SkyDrive」という社名を知らなくとも、各地のイベントやサッカーの試合などでグループ会社が手掛けるドローンショーを見たことがある人も多いかもしれない。

空飛ぶクルマが実用化され、日常で見慣れた風景になるのはいつになるだろうか。その段階に入ったらSkyDriveの黒字化は一気に進むだろう。同社の今後に期待だ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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