バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場

「世界初」はイギリスに登場、日本でも?



出典:Urban-Air Port 公式サイト

最近、空飛ぶクルマ関連のニュースで「バーティポート」というキーワードをよく目にする。空飛ぶクルマの機体開発を進める企業が目立つなか、空飛ぶクルマのインフラに注目して業を展開する企業も増えている。この記事ではバーティポートとはいったいどんなものなのかを解説していく。

■世界初のバーティポートがイギリスに

バーティポートとは簡単に言えば、「空飛ぶクルマ用の空港」といったところだ。空飛ぶクルマが離発着する際の場所のことを指す。


2022年5月にインフラ事業を展開する英Urban Air Portが、イギリス中部の都市コベントリーで、世界初のバーティポート「Air-One」をオープンして話題を呼んだ。Urban Air Portは今後5年間で200以上のバーティポートを作る計画を立てているようだ。

ちなみにAir-Oneはプリンのような形の円錐台のエアポートで、容易に組み立てができる構造となっている。同社が設計から製造、運用までの工程を15カ月で終えたという。地面からエアポートの頂上にかけて階段が設置されており、円錐の中の空間には、空飛ぶクルマを利用する人向けの待合ロビーとして機能する。

このUrban Air Port、日本での展開の可能性もある。ドローン関連技術を開発する日本企業のブルーイノベーションが、Urban Air Portと業務提携したことを2022年6月に発表している。両社は空飛ぶクルマ用のバーティポートの早期実用化に向け、共同開発や国内での実証実験も実施していくようだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ向けの「空港」、英国で世界初オープン Urban-Air Portが発表」も参照。


■パーク24などによる動きにも注目

バーティポートに関する国内動向にもう少し触れておこう。

出典:パーク24プレスリリース

駐車場最大手のパーク24、あいおいニッセイ同和損害保険、総合商社の兼松、離着陸インフラの整備・運用を手がける英Skyportsは、空飛ぶクルマのインフラ設備の開発に向けて2022年5月に業務提携の覚書を締結している。バーティポートはパーク24が管理している駐車場の中から探すため、関西エリアを中心に事業性評価を含む行動調査を実施する予定のようだ。

利用客のファースト・ラストマイルの移動手段としては、パーク24が展開しているカーシェアリングサービスの活用を検討するようだ。空飛ぶクルマでの移動サービス向けの保険の手配や提供を、あいおいニッセイ同和損害保険が担うという。

大阪では2025年に開催予定の大阪・関西万博において空飛ぶクルマの実現を目指しており、4社の連携と取り組みが、大阪での空飛ぶクルマの実現に向けた機運を高めていくことにつながりそうだ。


また日本企業が絡む話としては、空飛ぶクルマや物流ドローンの開発を手掛けるSkyDriveも、ベトナムのディベロッパーPacific Groupと2022年11月に覚書を締結し、バーティポート設置などを実現するために協力していくことを発表している。

【参考】関連記事としては「パーク24、空飛ぶクルマの「空港」設置へ 関西で新事業」も参照。

■日本では「ビルの屋上」で設置が進む?

今後、バーティポートの分野で主導権を握っていくのはどの企業だろうか。日本では、東京や大阪などの都心部においては土地も限られているため、ビルの屋上などを使ったバーティポートが一般的になっていくのだろうか。気になるところだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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