自動運転タクシーはすでにアメリカや中国で一部商用展開されている。2018年12月にGoogle系Waymoが実用化して以降、アメリカではGM Cruise、中国ではネット検索大手・百度などが、Waymoの背中を追うようにサービスの実用化に取り組んできた。
現在、商用展開されている自動運転タクシーは、従来型のタクシーと同様に運賃は有料となっているが、将来、自動運転タクシーはほぼ無料で展開されていくようになる可能性があることをご存じだろうか。
■無料で展開される可能性があるワケ
自動運転タクシーがほぼ無料で展開される可能性があるのは、「コストの削減」と「収入源の多角化」が見込まれるからだ。
「コストの削減」はどう達成される?
まず「コストの削減」から説明していくと、自動運転タクシーが完全無人で展開されるようになれば、従来は必要だったドライバーが不要になる。つまり、ドライバーの人件費がかからなくなる。
遠隔管制センターでの監視やトラブル対応に一定の人員は必要となるが、人間1人が1台の自動運転タクシーを担当するわけではなく、担当者1人で100台、もしくは1,000台、もしくは1万台の自動運転タクシーを担当するようになるはずだ。
こうなれば、自動運転タクシー1台のあたりの運行コストは現在と比べてかなり圧縮でき、自動運転タクシーが量産されて車両の購入コストも安くなっていけば、運賃を今よりかなり安く設定しても、事業が成り立つようになるとみられる。
「収入源の多角化」はどう達成される?
収入源の多角化については、要はタクシーの売上として「運賃」以外の収益を得る仕組みを構築するというものだ。有望視されているのが、「乗客向けの車内広告」と「車外向けの広告」だ。広告収入が増えれば、もしかすると運賃ゼロでも自動運転タクシーが運行できるようになるかもしれない。
乗客向けの車内広告は、車内ディスプレイで配信する内容を自動運転タクシーの配車アプリとの連動によって最適化(※性別や年齢などを考慮)したり、目的地に合った広告を配信したりすれば、より広告を効果的に配信できるようになり、広告主から得る広告単価を上げることもできそうだ。
■「タクシーにお金を払う」は過去のことに?
このような理由で、自動運転タクシーは限りなく運賃が安くなっていき、「1円」もしくは「無料」で展開される可能性は十分に出てくる。
10年後、20年後、もしくは30年後には、「かつてはタクシーにお金を払っていた」ということに、その時代の若者たちは驚くかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーとは?(2022年最新版)」も参照。