空飛ぶクルマ開発のSkyDrive、年間赤字が72億円超に 第6期決算

日本における有力ベンチャー、遠い黒字化



出典:官報

空飛ぶクルマの開発やドローン関連サービスを手がける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)の第6期決算公告(2024年6月現在)が、官報に掲載されている。

第6期の当期純損失は、前期から赤字額を約80%増やし72億6,727万円であった。これまでの純損益の推移は、以下の通りとなっている。米国にも拠点を置き実用化に向けての取り組みを進める同社だが、空飛ぶクルマという事業分野はまだ業界全体でマネタイズのフェーズに入っておらず、黒字化への道のりは遠そうだ。


<純損益の推移>
・第1期:▲2億3,368万6,000円
・第2期:▲5億3,597万8,000円
・第3期:▲11億9,184万5,000円
・第4期:▲17億4,323万2,000円
・第5期:▲40億4,004万2,000円
・第6期:▲72億6,727万6,000円
※▲はマイナス

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■決算概要(2024年6月30日現在)

賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 2,293,161
固定資産 3,026,081
資産合計 5,319,243
▼負債及び純資産の部
流動負債 1,277,071
固定負債 76,373
株主資本 3,965,798
資本金 100,000
資本剰余金 11,133,074
資本準備金 9,547,934
その他資本剰余金 1,585,139
利益剰余金 △7,267,276
その他利益剰余金 △7,267,276
(うち当期純損失)(7,267,276)
負債・純資産合計 5,319,243

■日本におけるリーディングカンパニー

出典:SkyDriveプレスリリース

SkyDriveは「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、2018年7月に設立された。日本の空飛ぶクルマ開発を率いる存在で、2020年に日本で初めて公開有人飛行試験に成功させている。

同社が開発するのは、空飛ぶクルマと呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)「SKYDRIVE」だ。現在3人乗りの機体を開発中で、製造パートナーであるスズキと共同で2024年3月からスズキグループの工場で製造を開始した。早ければ2026年に型式証明の取得を目指しているという。


SKYDRIVEは全長約11.5×全幅約11.3×全高約3メートルで、操縦士1名と乗客2名を乗せて飛行することができる。最大巡航速度は時速100キロ、航続距離は15〜40キロのようだ。

SkyDriveの計画では、2025年に操縦士を含め3名が搭乗し航続距離15キロ、2029年に操縦士を含め3名で航続距離30キロを飛行する予定だ。そして2030年に空飛ぶクルマを自動運転化し、2031年以降には操縦士なしの3名で航続距離40キロを目指しているという。

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■2023年1月に米国拠点を設置

SkyDriveは、米FEAM Aeroと業務提携の覚書を締結したことを2024年11月に発表した。FEAM Aeroは北米最大級の航空機MRO会社で、世界中に52の整備拠点を持つ航空機向けライン整備のリーディングカンパニーだ。

なおMROとは「Maintenance, Repair & Overhaul」の略で、航空機に関連する整備を行う事業のことを指す。FEAM Aeroが空飛ぶクルマメーカーと業務提携を行うのは、SkyDriveが初のことだという。


この提携により、両社は空飛ぶクルマの社会実装を目指し、地域空港を起点としたルートで多様なユースケースの開発に協力していく。FEAM Aeroの整備や改修、運用サポートの豊富な経験と専門知識を生かし、空飛ぶクルマを既存の航空システムに円滑に組み込む取り組みを推進する。

同じく11月には、米サウスカロライナ州を拠点とする、州最大手のプライベートジェット運航会社SAIフライト、州最大規模のゼネラル・アビエーション空港であるグリーンビル・ダウンタウン空港と、空飛ぶクルマの事業検討に関する覚書を締結した。

サウスカロライナ州は、SkyDriveが米国拠点を置く場所だ。これまで州政府や主要空港、運航会社などのステークホルダーと協力し、空飛ぶクルマの商用利用に向けて提携を進めてきている。SkyDriveはサウスカロライナ州における空飛ぶクルマの社会実装に向け、SAIフライトから10機のプレオーダーを受注したという。

■万博では乗客を乗せず運航予定

SkyDriveは国内では、2025年に開催される大阪・関西万博で空飛ぶクルマによる乗客を乗せた商用運航を計画していたが、2024年6月に断念したことを発表している。同万博においてSkyDriveは空飛ぶクルマの2地点間での運航事業者に選定されているが、乗客を乗せないデモフライトを行う予定のようだ。

ただしOsaka MetroやJTBと業務提携を行うなど、空飛ぶクルマ開発の社会実装を視野にした取り組みは積極的に行っている。

開発段階にあるため事業の黒字化は現状難しいが、量産化を進め数年後に実用化した暁には、日米で幅広く同社の空飛ぶクルマが活躍することが期待される。引き続きSkyDriveの動向に注目だ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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