「空飛ぶクルマ」を徹底解説!2020年代に実現濃厚?

国内開発勢は年々増加、海外では実用化見据えた実証も





出典:アストンマーティン社プレスリリース

自動運転技術の進展により陸路における移動革命が始まったが、空の移動革命に向けた取り組みも着実に前進している。いわゆる「空飛ぶクルマ」の開発だ。

国内では、官民一体となって研究開発や実用化を見据えた法整備、ルール作りが進められており、年々温度が高まっている印象だ。







空飛ぶクルマの定義や概要をはじめ、世界の最新開発状況をまとめてみた。

記事の目次

■空飛ぶクルマって何?

空飛ぶクルマに明確な定義はないが、一般的に「電動かつ自動で垂直に離着陸する移動手段」を指す場合が多い。垂直離着陸機はVTOL(Vertical Take-Off and Landing aircraft)、電動タイプはeVTOLと呼ばれる。

無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる航空機「ドローン」を乗車可能にしたものを指す場合もあれば、EV(電気自動車)ベースにプロペラや自動制御システムを備えたものを指す場合もあり、開発者が何かしらの要素をもって「空飛ぶクルマ」と主張すれば、現状は空飛ぶクルマのカテゴリーに入ることになるようだ。

また、地上を走行する機構と空を飛ぶために必要な機構をそれぞれユニット化し、客室を各ユニットに乗せ換えることで陸路と空路、走行と飛行の両立を図るシステムの開発を進める企業も存在する。

道路を走行できなければクルマではないのでは?という疑問もあるが、「クルマ」という言葉の概念に「個人が日常の移動のために利用するもの」といった意味が込められていることから、クルマの定義は必ずしも道路走行を条件とするわけではなさそうだ。

海外では「Skycar(スカイカー)」「Aircar(エアカー)」「Urban Air Mobility(アーバン・エア・モビリティ)」「Personal Air Vehicle(パーソナル・エア・ビークル)」「Flying cars(フライング・カーズ)」と呼ばれることもある。国内においても、エアモビリティと称するケースが増加している。

■空飛ぶクルマの仕組みと種類

空飛ぶクルマは、翼を持つタイプかプロペラタイプか、エンジンを積んでいるのかモーター駆動なのか、タイヤで道路を走行できるかどうかなどによって大まかに分類できる。

もっとも開発が進められているのは、ドローンをそのまま大きくして乗車可能にしたタイプだ。仕組みも基本的にはドローンと同じで、電動で遠隔操作や移動制御、またはジョイスティックなどで簡単に操作ができるものが多い。ボディの軽量化を含めバランスを取りながら揚力を上げるため、プロペラは最低4基以上付いている。

このドローンタイプにタイヤを搭載し、道路走行を可能にしたモデルも開発されている。タイヤとプロペラが独立しており、飛行時には折り畳み式のプロペラが展開するタイプや、タイヤのホイール部分にプロペラが内蔵され、飛行する際はタイヤが横に開いてホイールが上向きになりプロペラを回すタイプなど、さまざまなアイデアのコンセプトが生まれている。

また、翼を持つタイプはエンジンを搭載し、道路走行時は翼を格納するのが一般的だ。セスナ機のような小型飛行機に、翼格納機能を持たせたイメージだ。

いずれも少人数の乗車を想定しており、電動の場合は特にエネルギー効率をいかに高めるかがカギになっている。

■空飛ぶクルマの実現に必要なこと
技術的な課題:安全性とエネルギーの両立がカギ

従来の自動車はもとより、自動運転車やドローンに求められるものよりも高次元の安全性が必須となる。安定した飛行能力は当然として、常時通信機能や万が一の際に落下などを防ぐバックアップ機能や着陸支援機能も求められる。

また、電動化を前提にすれば、バッテリー技術の向上は欠かせず、ボディ全体の軽量化と合わせていかに軽く高容量の電源を確保するかという点も重要な技術課題になりそうだ。

法整備:航空法が実用化の足かせに 別枠の新規制が必要

現在の考え方では、空飛ぶクルマは航空法の規制対象となる可能性が高く、安全性や信頼性を確保するため耐空証明が必要となる。しかし、航空機やヘリコプターと同水準の規制がかけられると大きなハードルとなり、実用化に向けた研究開発は大きく後退しかねない。

また、飛行機と異なり、はるか上空を飛ぶわけではなく、低空飛行が中心になることから地上権の問題なども発生する可能性がある。

まずは用途や空域を制限するなどし、海外の動向なども参考にしながら安全性を損なわずにハードルを下げる新たな枠組みが必要となりそうだ。

空飛ぶクルマ用のインフラ整備:航空管制塔に代わるシステム構築へ

初期導入段階では、場所を選ばず離発着可能な環境の構築は難しく、ヘリポートのような一定の離発着場が必要になるものと思われる。

また、充電ステーションをはじめ、空中における障害物やビルなどの情報を受発信するセンサー類など、管制塔の役割をセンサーやAI(人工知能)が自律して担うようなシステムも必要になりそうだ。

空飛ぶクルマの実用化が本格すれば、従来の飛行機などに比べ無数の機体が空中を飛び交うことになり、衝突の危険性も高まる。そこで、さまざまなルートを網羅した「エアマップ」のようなものを作成し、空路となる空中道路の整備も将来必要になるのかもしれない。

研究開発支援:多大な研究開発費を支援する枠組みを

空飛ぶクルマのような新しい事業は、最新の技術や新しい発想を持ったスタートアップの活躍の場でもあるが、研究開発には数百億円規模の資金が必要となる。

スポンサーや投資・出資で集めるのが理想だが、公共性や科学の発展への貢献などを加味し、公的な支援体制が整備されると開発のスピード感も増すだろう。

社会受容性:心配ではなく応援される体制づくりを

自動運転車の実現を危惧する声と同様、空飛ぶクルマも内在する危険性や技術面などから反対する声が出てくるだろう。

一定程度の声は仕方のないもので、その不安を取り除く努力も当然必要となるが、実証実験の段階で住民などから不安視されることがないよう、技術面や安全面をどのように高めているのか、また社会にとってなぜ必要なのかなど、時間をかけてしっかり周知し、機運を高めていくことも重要だろう。

■空飛ぶクルマで実現すること
スマートな移動の実現:道路交通の枠にとらわれない立体的な移動が可能に

目的地に向かう際、電車やバス、タクシーなどを乗り継ぐ回数が減り、道路に依存していた経路もほぼ直線で結ぶことが可能になるため、航行距離や所要時間を大幅に短縮することが可能になる。

また、空いている道路は通常通りに走行し、過密化が進む都市部においては飛行することで渋滞を回避するなど、柔軟な運用も可能になる。

道路が整備されていない場所への移動も可能となり、橋がない川を渡ったり小さな峠を超えたりすることも可能になるほか、超高層ビルの屋上や高層階に直接移動するといった使い方も考えられる。

このほか、定期船などの往来が少なく、比較的本島と近距離に位置する離島への交通手段としての需要もありそうだ。タクシー感覚で少人数の渡航ができるため、地域住民や観光客などの日常の足として活用できる。

緊急車両への活用:災害や事故現場に柔軟に対応

交通事故などの際、渋滞で到着が遅れがちな救急車両として活用すれば、到着時間を大幅に短縮できる。ドクターヘリと救急車の間にある存在として大きな意義を持ちそうだ。

また、大規模災害時に道路交通が遮断された場合も、迅速な救助や現状把握、調査活動などをスムーズに行うことも可能になるだろう。

天候に左右される可能性はあるが、山岳遭難救助や海難事故にも対応できるかもしれない。

新たな観光資源化:誘客効果は絶大

導入当初は物珍しさから乗車希望者が殺到することは間違いなく、観光の大きな目玉となる。移動しながら優雅な旅を楽しんだり、ヘリコプター遊覧の簡易バージョンとして安価に楽しんだりすることもできそうだ。

物流への活用:ドローンの応用形で物流でも活躍

空飛ぶクルマは一定程度の荷物を運ぶこともできる。無人ドローンなどによる実証実験が進んでいる分野で、アクセスの悪い場所への効率的な宅配など、物流面への貢献にも期待大だ。

■空飛ぶクルマ(小型無人機)のレベル分け

ドローンをはじめとした小型無人機は、実装される飛行技術によってレベル分けされている。

レベル1は「目視内での操縦飛行」で、最も普及した一般的な小型無人機の形態を指す。農業における農薬散布や、映像コンテンツ作製のための空撮などもおおむねこのレベルに相当する。

レベル2は「目視内での自動・自律飛行」となり、管理者の目に見える範囲で自動飛行を行う。空中写真測量やソーラーパネルなど比較的規模の大きい設備の点検などが相当する。

レベル3は「無人地帯での目視外飛行」となり、ここから自動運転システムなどが本領を発揮する。この際の無人地帯は山や河川など第三者が立ち入る可能性の低い場所を指し、補助者の配置なしで自動飛行を可能にする。離島や山間部への荷物配送や長大なインフラの点検などが相当する。

レベル4は「有人地帯(第三者上空)での目視外飛行」となり、市街地などの上空を含め補助者の配置なしで自動飛行を可能にする。都市における物流や警備、インフラ点検などが相当する。

■空飛ぶクルマ実現に向けたロードマップ
空の移動革命に向けた官民協議会が2018年に発足

空飛ぶクルマの実現に向けた官民協議会「空の移動革命に向けた官民協議会」が2018年に設立され、同年8月に第1回目の協議会を実施した。日本として取り組んでいくべき技術開発や制度整備などについて協議し、同年12月に実用化に向けたロードマップの素案を提示している。

官民協議会のメンバーには、国土交通省、経済産業省、大学関係者などの有識者のほか、航空産業やドローン、空飛ぶクルマの開発を手掛けるDrone Fund、CARTIVATOR、SkyDrive、日本電気、プロドローン、テトラ・アビエーション、Uber Japan、SUBARU、ANAホールディングス、ヤマトホールディングス、エアバス・ジャパン、AirX、自律制御システム研究所、日本航空、ベルヘリコプター、Boeing Japan、エアモビリティ、オリックス、川崎重工、楽天などが名を連ねている。

現在は、開発各社独自のロードマップや技術課題、社会課題などを参照し、社会実装に向けた論点整理を進めているようだ。

【参考】開発各社の取り組みについては「【資料解説】「日本航空×空飛ぶクルマ」、想定シナリオが判明」も参照。

空の移動革命に向けたロードマップの概要

ロードマップでは、2019年から飛行試験や実証実験などを進め、実証結果や事業者が提示するビジネスモデルを踏まえながら制度や体制の整備を進め、2023年を目標にモノの移動から実用化を目指す構えだ。その後、地方における人の移動、都市における人の移動へと拡大していく。

その間、新たなビジネスモデルに応じた運送・使用事業の制度整備の見直しをはじめ、地上からの遠隔操縦、機上やシステムなどによる高度な自動飛行などの技術開発に応じた制度整備、技術開発に応じた安全性基準・審査方法の見直し、事業の発展を見越した空域・電波利用環境の整備、総合的な運航管理サービスの提供、継続的に離着陸可能な場所の確保などを並行して進めていく方針だ。

【参考】空の移動革命に向けたロードマップについては「空飛ぶクルマの事業化は2020年代 官民評議会でロードマップ素案」も参照。

小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会もロードマップを策定

空の移動革命に向けた官民協議会とは別に、内閣主導で2015年に設立された小型無人機に関する関係府省庁連絡会議及び小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会も「空の産業革命に向けたロードマップ」を策定・更新している。こちらはドローン技術の進化によって、物流や警備・測量などの産業発展を図っていく内容となっている。

最新版となるロードマップ2020(案)では、環境整備面、技術開発面、社会実装面に分けたロードマップとともに、物流、災害対応、農林水産業、インフラ維持管理、測量、警備業、医療など分野別にロードマップをまとめているのが特徴だ。

こちらでは、2022年度以降に有人地帯での目視外飛行(レベル4)を実現し、都市を含む地域における荷物配送や市街地などの広域巡回警備、緊急輸送による医療支援などを実現するとしている。

■国内における空飛ぶクルマのプロジェクトや開発企業
CARTIVATOR(カーティベーター)&SkyDrive:業界の若手有志が設立

「モビリティを通じて次世代の人達に夢(=能力の拡張)を提供する」ことをミッションに掲げ、自動車・航空業界、スタートアップ関係の若手メンバーが中心となって立ち上げた有志団体。団体による活動と平行して、2018年8月には空飛ぶクルマ実用化に向け株式会社SkyDriveを設立した。

インフラ不要の「真に自由な移動」を実現し、2050年までに誰もがいつでも空を飛べる時代を創ることを目指しており、道路や滑走路を必要としない垂直離着陸型でコンパクトな空飛ぶクルマの開発を進めている。

CARTIVATORとSkyDriveは2019年5月、愛知県豊田市と協定を結び、日本最大級の屋内飛行試験場の活用が可能になったことで実証環境が整い、同年12月に国内初となる「空飛ぶクルマ」の有人飛行試験を開始した。

2020年8月には、豊田テストフィールドで公開有人飛行試験を実施し、有人試験機SD-03モデルを披露した。機体は1人乗りで、パイロット操縦のもとコンピュータ制御でアシストして飛行を安定させるシステムとなっている。

目標では、2023年にも空飛ぶクルマの販売を開始し、2030年ごろに自動運転化を実現するとしている。

P.P.K.P.(パーソナルプレーン開発プロジェクト):大阪万博への出展目指す

もりもと技術研究所が主導する自動運転可能なパーソナルプレーンを開発するプロジェクト。2018年4月に可変プロペラピッチを搭載した機体で一般公開のもと初飛行に成功している。

2019年には開発ベンチャー・スカイリンクテクノロジーズを立ち上げ、P.P.K.P.の幹事を務めている。なお、スカイリンク社は同年9月、無人航空機及び航空機の製造に関する事業許可を取得している。

固定翼機の機体制御システムや衝突防止システム、遠隔監視・操作システムなどの自動運転システムの開発をはじめ、垂直離陸が可能なVTOLのシステム開発などを2020年を目途に完了し、2025年の大阪万博出展を目指す方針だ。

【参考】P.P.K.P.の取り組みについては「「空飛ぶクルマ」の性能を飛躍的に向上させるプロペラが登場!」も参照。

テトラ・アビエーション:国際大会で快挙達成 JAXAと共同開発も

東大発スタートアップのテトラ・アビエーションは、航空機産業に関する有名企業・団体が参画する非常に注目度の高い大会「GoFly」で快挙を達成した。

同社は、パーソナルフライングマシーンの開発を競う国際大会「GoFly」に出場し、2018年6月のフェーズ1で世界トップ10入り、2019年3月のフェーズ2も突破し、最終選考に進んだ。

米国での試験飛行許可を取得して臨んだ2020年2月の最終⾶⾏審査では、プラット・アンド・ホイットニー・ディスラプター賞を獲得した。メインスポンサーのボーイング社が選定する各賞は該当チームがなかったため、テトラが唯一の受賞者になったという。

大会後も引き続き開発を進めており、2020年8月にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究を開始することも発表している。

【参考】テトラの取り組みについては「日の丸テトラの空飛ぶクルマ、GoFly決勝で「唯一の受賞者」!」も参照。

プロドローン:空飛ぶ救急車実現へ

産業用ドローンシステムの研究開発や製造を手掛けるプロドローンもeVTOLの開発を進めており、中でも独創的なのが救急ドローン「空飛ぶ救急車」の開発だ。

傷病者の搬送を想定しており、往路は場合によって救急救命士が搭乗し、処置をした後に復路で傷病者が搭乗するイメージだ。ストレッチャーを直接搭載するタイプも検討中という。各自治体の消防や医療機関、自衛隊、大型サーキット、大型テーマパークなどをサービス提供対象として見据えている。

事故現場から直接医療機関へ、あるいは事故現場から救急車が到達可能な場所まで中継する役割として活用可能で、救急におけるラストワンマイルを担う技術として注目を集めそうだ。

エアロネクスト:コンセプトは「空飛ぶゴンドラ」

産業用ドローンの研究開発などを手掛けるエアロネクストは、未来の物流などを担うフライングロボットや人の移動を担うエアモビリティの開発を進めている。

エアモビリティは「空飛ぶゴンドラ」をコンセプトに据え、安全性とともに誰もが気軽に抵抗感なく利用できる快適性にも注目して開発を進めている。

すでに空飛ぶゴンドラを体現した原理試作機「Next MOBILITY」も姿を現している。第1号機は1人乗りの機体の3分の1サイズのモデルとなっているが、今後複数の人が搭乗できる機体を発表する予定としている。

【参考】エアロネクストの取り組みについては「「空飛ぶゴンドラ」でアメリカへ乗り込む!エアロネクストがCES 2020出展」も参照。

■海外における空飛ぶクルマのプロジェクト
Vahanaプロジェクト:AirBusグループが開発 2020年実用化へ

仏エアバス社が米シリコンバレーの企業と協力して開発を行っている自動操縦航空機プログラム「Vahana project」。8つのローターでプロペラを駆動し、垂直離着陸が可能。乗員1人を輸送可能という。地上を走るためのタイヤは付いていないようだ。

2018年2月までにフルスケールモデルの「Vahana Alpha One」の初飛行動画を公開しており、最大5メートルの高さを53秒間対空したという。2020年の完成を目指している。

アーバン・エアモビリティ・プロジェクト:アウディらがエアタクシーの試験運用に着手

ドイツ大手自動車メーカーのアウディが2018年6月に発表した、エアタクシーの試験運用に向けたモデルケースを構築するプロジェクト。調印式には、ドイツ連邦の運輸大臣、デジタル化担当大臣、航空宇宙機器開発製造会社の仏エアバス、インゴルシュタット市長らが出席し、政治や産業分野のパートナー企業とともに、インゴルシュタット地域において試験運用を開始することとしている。

また、アウディは2018年3月に開催されたジュネーブモーターショーで、エアバスとアウディ傘下のイタルデザインが立ち上げたドローンEVプロジェクト「Pop.Up」を進化させたEV自動運転コンセプトカー「Pop.Up Next(ポップ・アップ・ネクスト)」を発表している。

同年11月には、Pop.Up Nextのプロトタイプを初公開した。自動運転機能を備えたEVモジュール(グラウンドモジュール)と利用者が乗り込むパッセンジャーカプセル、フライトモジュールを組み合わせることで陸路の走行と飛行の両方を可能にする、まさに空飛ぶクルマと言えるシステムだ。

【参考】アーバン・エアモビリティ・プロジェクトについては「独アウディと仏エアバス、10年以内に空飛ぶタクシー実現へ プロトタイプ発表、実証実験も」も参照。

Uber AIR:ウーバー社が目指す空飛ぶタクシー 2023年にも実用化へ

ライドシェア大手の米Uber Technologiesが開発を進める空飛ぶタクシー。2017年には米航空宇宙局(NASA)と提携を結んでおり、低空で安全な飛行車両の移動を可能にすることを目指している。

2018年5月にロサンゼルスで開催した「Elevate Summit」では、最新のコンセプト機を発表。電動の4基のローターで垂直離陸が可能で、高度約300~600メートルまで浮上でき、巡航速度は最高時速322キロメートルに達するという。

最大4人の乗客が乗れるように設計されており、都心のさまざまな拠点にスカイポートを設置することでタクシーとしての活用を実現させていく構えだ。

BlackFly:ラリー・ペイジ氏のお墨付き 2019年に生産開始

米カリフォルニア州シリコンバレーを拠点とするスタートアップOpener社がひそかに開発を進めていた空飛ぶクルマ「BlackFly」。Googleの共同創業者であるラリー・ペイジ氏が同社に出資していることが判明し、急速に注目が高まっているようだ。

開発開始から9年後の2018年に有人飛行試験にたどり着き、その後1400回以上のフライトテストを実施しているという。電動でプロペラを8基搭載しており、水上でも離着陸が可能なのが特徴だ。最高時速は100キロメートルで、航続距離は約40キロメートル。

米国とカナダで軽量飛行機としてすでに承認を得ており、プライベートパイロットの資格などが必要となるが、実用化は目前に迫っており、2019年には30台のロット生産を開始している。この30台の車両が完成しテストを終え次第、北米販売ツアーでデモを行うとしている。

Volante Vision Concept:アストンマーティン社製 SF映画のようなデザイン

英自動車メーカーのアストンマーティンも、垂直離着陸機能を備えた3人乗りの空飛ぶコンセプトカー「Volante Vision Concept(ヴォランテ・ビジョン・コンセプト)」を発表している。

英クランフィールド大学やロールス・ロイスなどと提携して開発を進めており、高級スポーツ車メーカーらしい他の追随を許さないデザインが魅力だ。

【参考】ヴォランテ・ビジョン・コンセプトについては「英アストンマーティン、3人乗りの「空飛ぶクルマ」お披露目 AI自動運転やEV技術搭載|自動運転ラボ」も参照。

Ehang:中国国内で商用パイロット取得 実用化へ大きく前進

中国勢ではEHangが有力のようだ。開発モデル「EHang AAV」は最高時速130キロで35キロメートルの飛行を可能にしている。

2020年5月、中国の民間航空局(CAAC)から世界初とみられるeVTOLの商用パイロット運用の許可を取得し、「EHang 216」を使用した航空ロジスティクスサービスの試験運用に着手している。

同年7月には空中観光の実証試験の実施や消防機能として活用可能な空中消火ソリューションを発表したほか、8月にはオーストリア第三の都市リンツとパートナーシップを結び、エアモビリティの実用化に向け実証を行うとしている。

Bell Helicopter:ヤマトや住友商事とパートナーシップ

ヘリコプター大手の米Bell HelicopterはCES2019でeVTOL「Bell Nexus」を発表している。電動モデルに加え、ハイブリッド電気プラットフォームで構成可能な4ダクトモデル「Bell Nexus 4EX」なども開発を進めているようだ。

日本勢との関わりも深く、2018年にはヤマトホールディングスが将来の新たな空の輸送モードの構築に向け協力を行っていくことに合意したと発表した。eVTOLを活用した空の物流について、2020年代半ばまでの実用化を目指すとしている。

また、住友商事も2019年4月、エアモビリティ分野での新規事業の創出などを目的に業務提携を結んだことを発表した。無人ドローンやエアタクシーを活用したサービスを検討し、2020年代半ばごろの実用化を目指す構えのようだ。

【参考】ヤマトとベルの取り組みについては「ヤマト、空の自動運転機を10年以内に実用化 米ベルヘリコプター社が開発担う」も参照。住友商事とベルの取り組みについては「住友商事、米Bell社と提携 空飛ぶタクシー分野に参入」も参照。

Volocopter:eVTOLのパイオニア ドバイやシンガポールなどで有人飛行実施

独スタートアップのVolocopterも有力視される1社だ。2011年に世界初と言われるeVTOLの有人飛行を実施して以来開発と実証を重ね、2017年にはドバイでエアタクシーのテスト飛行も行っている。今後は、2020年代前半の商用機製造・販売を目指しているようだ。

これまでに、物流を担う「VoloDrone」や人の移動を担う「VoloCity」などを開発しており、2019年にはシンガポールにサービス拠点となるVOLOPORTを設置し、パイロット操縦のもとの都市部における有人試験飛行にも成功している。

【参考】Volocopterの取り組みについては「Volocopter、シンガポールで「空飛ぶタクシー」の有人飛行に成功!」も参照。

■【まとめ】海外では実用化間近か

海外では実用化(市販)に向けた動きも顕著になりつつあり、空飛ぶクルマはすでに夢ではなく現実のものとなっている。ただ規制上軽量飛行機に分類されるなど、現段階では空飛ぶクルマではなく飛行機扱いであり、当然ドライバーには一定の免許・資格が必要になるなど、自由に利用できる環境は整っていない。自動運転による遠隔操縦の扱いなども世界標準はまとまっていない状況だ。

空飛ぶクルマが飛行機の枠組みから新たな枠組みに分類され、自家用車やタクシーのようにまちなかを低空で飛び回る時代はいつ到来するのか。今後数年間で大きく進展する可能性が高く、目が離せない状況が続きそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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