SkyDrive、空飛ぶクルマを大量輸出へ!ベトナムで続々とプレオーダー獲得

新たに最大100機の合意と発表



出典:SkyDriveプレスリリース

空飛ぶクルマの開発を手がける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)は、2022年11月にベトナムのディベロッパーであるPacific Groupと覚書を締結し、最大100機のプレオーダーの合意を獲得している。

それに続き、総合都市開発事業・無人航空機事業等を行うベトナムのCTグループの子会社で無人航空機事業を行うCT UAVと、空飛ぶクルマ導入に関する覚書を2023年7月13日に締結したことを発表した。これにより新たにまた最大100機のプレオーダーの合意を得たという。


ベトナム企業と続々大型契約を結ぶSkyDrive。同社はベトナムに特に注力してアプローチをかけているのだろうか。いずれにしても、将来的に自社の空飛ぶクルマをベトナムに大量輸出することになりそうだ。

■Pacific Groupとの合意がきっかけに

ベトナムのCTグループは、都市開発やインフラストラクチャー、建設、物流、ハイテク企業などの9つの事業と60のグループ会社を持つベトナムのコングロマリットだ。今回SkyDriveが合意を得たのはCTグループの子会社であるCT UAVで、セキュリティーや地理空間情報などに活用される無人航空機(ドローン)の生産、製造、サービスを手掛けている企業だという。

ベトナムでは日常的に深刻な交通渋滞が発生しており、社会問題となっている。それを解決するため、2022年11月にまずはPacific Groupとの最大100機のプレオーダーの合意を得て、それがきっかけとなり、今回のCT UAVとの合意形成に至ったようだ。

CT UAVは、これまで培ったノウハウや技術力を生かし、ベトナムで空飛ぶクルマの活用を推進することが重要と考えているという。


CTグループの創業者兼会長のTran Kim Chung氏は「我々は空飛ぶクルマの導入検討にあたり、インフラ整備やドローン、AI(人工知能)などの最先端技術の開発において、これまで蓄積してきた専門知識や技術を活用することが重要であると認識している」とコメントしている。

SkyDriveとCT UAVは今後、ベトナムでの空飛ぶクルマの活用による社会課題解決を目的に、運航オペレーターやバーティポート(離発着場)、給電インフラなどの実現に向け必要なあらゆるステークホルダーと共に協力して進めていく計画だ。

出典:SkyDriveプレスリリース
■SkyDriveの空飛ぶクルマのスペック

SkyDriveが開発する空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」について、説明しておこう。旧機種名は「SkyDrive式SD-05型」で、2023年6月に新機種名に変更した。それに伴い機体仕様も変更しており、独自開発したドーム型ローターフレームとローターの曲面配置により、最大搭乗人数が元の2人から1人増え、3人になっている。

SKYDRIVEは、2025年に開催予定の大阪・関西万博での運航に向け、2025年に耐空証明を、2026年に型式証明を取得し、量産とデリバリーの開始を目指している。


ちなみに同社は2023年に入り米国への参入を発表し、サウスカロライナ州に拠点を設けている。さらに米国での事業開始に向け、アメリカ連邦航空局(通称:FAA)での型式証明の取得も目指しているという。

機体の製造に関しては、2023年6月にスズキと基本合意書を締結している。SkyDriveは、空飛ぶクルマの製造を目的とした100%出資の子会社を設立し、両社はスズキグループが静岡県内に保有する工場を活用し、2024年春ごろに製造を開始する予定だ。

■将来の業績にプラスの影響を確実

大型契約をベトナムで続々結ぶSkyDrive。今後の同国でのさらなる躍進が期待される。空飛ぶクルマを開発する企業は、欧米や中国などを除くとまだ決して多くないだけに、いま時期の東南アジアでのセールス活動は将来の同社の業績にプラスの影響を与えそうだ。

【参考】関連記事としては「日の丸ベンチャーの空飛ぶクルマ、一気に100機も売れた!?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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