MaaS投資、注目の株式銘柄・投資信託(2022年最新版)

関連投資信託のポートフォリオを分析



出典:日興アセットマネジメント「グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド」の公式ページ(https://www.nikkoam.com/fund/detail/643963

コネクテッド・IoT技術や自動運転技術の進展を背景に、モビリティサービスが進化し続けている。この進化を象徴するように自動運転開発企業やモビリティサービスプラットフォーマーなどの上場が近年相次いでいる。

上場後の株価は、コロナ禍や世界経済の低迷などを背景に現状苦しんでいるものが多いが、各社の事業はまだまだ花を開かせたばかりで、実を結ぶのはもう少し先の未来だ。自動運転やMaaS関連企業が有するポテンシャルは測り知れない。







こうした企業への最適な投資タイミングはいつ訪れるのか。すでに訪れているのか。この記事では、先端的なMaaS関連企業で構成される日興アセットマネジメントの「グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド」を通じて、MaaS関連企業への投資妙味に触れていく。

■「グローバルMaaS」の概要
世界の先進的なモビリティサービス関連企業に投資

日興アセットマネジメントは2018年1月、世界のモビリティサービス関連企業の株式に投資する「グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド」(以下グローバルMaaS)の1年決算型を設定した。今後成長が期待されるMaaS関連企業に注目し、関連企業の株式を中心とした投資で中長期的な信託財産の成長を見込む。

投資テーマは、先進的な自動運転技術のもと自動運転車の運行・管理サービスを行うMaaSプラットフォーマーをはじめ、物流・配送、農業、建築などのMaaS関連事業を行なうBtoB MaaSプラットフォーマー、MaaSプラットフォームを活用して自動運転車両でさまざまな新しいビジネスを行なうMaaS活用ビジネス、自動運転技術を支える高い付加価値を有する部品・素材・半導体メーカーなどの主要部品開発メーカー、非製造業のMaaSプラットフォーム向けに、車体を開発・製造する車体メーカーなど多岐に及ぶ。自動運転技術・サービスに重点を置いている印象も強い。

▼グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド
https://www.nikkoam.com/fund/detail/643963

銘柄選定にはARKが協力

個別の銘柄選定においては、ハイテク分野を専門に調査している米ARK Investment Managementの協力のもと、日興アセットマネジメント アメリカズ・インクがポートフォリオを構築している。

ARKは破壊的イノベーション分野に特化した資産運用を手掛けており、米国でディープラーニングやMaaSを含む最先端技術・イノベーションをテーマに据えたETF(上場投資信託)を設定・運用している。日興アセットは2017年にARKに出資し、これらの最先端分野で協業を行っている。

2020年10月には、年2回決算型のグローバルMaaSを新たに設定した。1年決算型と同じ投資方針で、決算を年2回行い基準価額水準が1万円を超えている場合には分配対象額の範囲内で積極的に分配を行なう。これにより、決算頻度や分配方針について選択肢を得たい投資家のニーズに応えていくとしている。

1年決算型は当初比1.6倍の成績

2018年1月に運用を開始したグローバルMaaS(1年決算型)は、新型コロナウイルスの影響を受けつつも順調に数字を伸ばし、1万円の基準価額は2021年6月に2万1,000円超まで達した。その後、世界的な株式市場の停滞から数字を落としているものの、2022年8月末時点で1万6,251円と設定当初比1.6倍の成績を残している。

出典:マンスリーレポート|グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド(1年決算型)

一方、年2回決算型は、2020年10月の基準価額1万円に対し2022年8月末時点で8,436円と苦戦している。ファンド設定時はコロナ禍からの脱却で株価が大きな伸びを見せていた時期だが、その後2021年末ごろから世界的な金融引き締めやインフレ圧力、利上げの長期化観測などさまざまな要因が株式市場全体に影響し、総体として下落傾向が続いたことが主な要因として挙げられそうだ。

▼グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド(1年決算型)|日興アセットマネジメント
https://www.nikkoam.com/fund/detail/643963

■選定銘柄の推移

ここではグローバルMaaSの組入銘柄の推移を見ていこう。なお、1年決算型と年2回決算型のポートフォリオは基本的に共通している。

グローバルMaaS(1年決算型)の第1期決算(2019年1月)時における邦貨換算額上位は、以下の通りとなっている。

  • 1位:Baidu
  • 2位:Tesla
  • 3位:NVIDIA
  • 4位:Aptiv
  • 5位:Amazon
  • 6位:Alphabet
  • 7位:AeroVironment
  • 8位:Trimble
  • 9位:Deere & Company
  • 10位:テンセント

1位のBaiduは中国で自動運転開発に向けたオープンプラットフォーム「アポロ計画」を主導している。2位のTeslaはEV(電気自動車)大手で、積極的な自動運転開発でも知られる。3位のNVIDIAは自動運転向けのSoCなどで業界シェアを大きく伸ばしている。

4位のAptivは自動車部品大手で、韓国ヒョンデと合弁Motionalを立ち上げ、自動運転タクシーなどの実用化を加速している。EC大手の5位Amazonは、自動走行ロボットの開発を進める一方、自動運転開発スタートアップZooxを買収するなど、新たな動きを見せている。6位のAlphabetはグーグルの持株会社で、傘下に自動運転開発を手掛けるWaymoが名を連ねている。

7位のAeroVironmentは無人航空機の開発を手掛けている。8位のTrimbleは、ハードウェアからソフトウェアに至るテクノロジーを開発している。9位のDeereは農業機器大手で、自動運転農機の開発も進めている。10位のテンセントはIT事業を主体とするコングロマリットだ。

第2期決算(2020年1月)は大きな変動はないが、6位に半導体製造を担う米Xilinxが入っている。第3期決算(2021年1月)では、小売大手のJD.comや軍事関連技術やサイバーセキュリティ開発を手掛けるKratos Defense & Security Solutions、半導体メーカーのNXP Semiconductorsなどが上位に入っている。

最近の組入上位10銘柄は?

近々の2022年8月末時点では、以下となっている。

  • 1位:Trimble
  • 2位:Tesla
  • 3位:Kratos Defense & Security Solutions
  • 4位:AeroVironment
  • 5位:UiPath
  • 6位:Deere & Company
  • 7位:Teradyne
  • 8位:Alphabet
  • 9位:小松製作所
  • 10位:JD Logistics
出典:マンスリーレポート|グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド(1年決算型)※クリックorタップすると拡大できます
1位Trimble

1位Trimbleは、ソフトウェアやデータ、センサーを組み合わせたドローンプラットフォームの提供や、建設・物流業界向けのフリート管理サービスなどを提供している。各種サービスを通じて、物流や建設における自動運転プラットフォームの重要要素となる大規模な蓄積データにアクセスすることが可能という。

2位Tesla

2位Teslaは、ソフトウェアのOTAアップデートで将来的に自動運転を可能にするハードウェアがすでに搭載されており、「テスラネットワーク」と名付けた自動運転ライドシェアサービスを運営する計画も掲げている。それにより、車体販売時のみ収益を獲得する従来の売り切りモデルから、販売後も継続的に収益を得られるMaaSビジネスへの移行が期待できるとしている。

3位Kratos Defense

3位のKratos Defenseは小型ドローンを米軍向けに提供しており、米空軍と共同で有人航空機のそばを飛行する自動操縦ドローンを開発した。衛星用の地上機器なども提供しており、低軌道衛星や中軌道衛星が増えることで年間10~20%の成長が期待されるという。

4位AeroVironment

4位のAeroVironmentは小型無人航空機大手で、米軍が使用する小型ドローンで最大のシェアを誇る。米国で初めて商業用ドローンの運営許可を得た企業でもあり、今後成長が期待される商業用ドローン市場においても高いシェアを獲得することにつながるとしている。

5位UiPath

5位のUiPathは、企業の自動化プロセスで使われるソフトウェアを提供している。技術的な知識に乏しくコーディング技術がないユーザーでも利用することが可能で、さまざまな業界におけるプロセス自動化のトレンドから恩恵を受ける絶好の位置にあるとしている。

6位Deere & Company

6位のDeere & Companyは、農機の自動運転化に強みを持つBlue River Technologyを買収し、自社製品の自動運転化を加速させている。また、モンサントの精密農業部門の買収や、AIを用いた気候予測・生育状況分析を担うClimate Corpと提携するなど、自動農業分野の覇権に向けた取り組みを強めている。

7位Teradyne

7位のTeradyneは、半導体検査装置メーカーとして、半導体検査装置のほか航空宇宙関連の検査機器や自動車診断テスト装置、自律型産業ロボットなども提供している。自律運転技術の普及に伴いより多くのセンサーや半導体が必要になり、同社の検査装置の需要の増加につながると見ている。

8位Alphabet

8位のAlphabetは、傘下のWaymoが2018年12月に自動運転車の配車サービス「Waymo One」をスタートするなど、現時点で最も先進的自動運転技術を保有していると考えている。

9位小松製作所

9位の小松製作所は、自動運転採鉱機器の大手であるほか、ドローンを活用することで現場の3Dデータを建設に統合し始めている。また、衛星によりダンプカーの位置を自動で管理する技術を有し、最近では同システムを他社の機械でも利用できるよう公開しているという。

10位JD Logistics

10位のJD Logisticsは、自動化技術や予想在庫管理システム、大型インフラ投資など、組織化されたロジスティクス・フルフィルメントサービスを中国で提供している。

■MaaS分野への投資
自動運転MaaSは今後5~10年の最も貴重な投資機会の1つ

ARKは自動運転によるMaaSが今後5~10年の公開株式市場における最も貴重な投資機会の1つになりうるとみている。自動運転MaaSは、自動運転タクシー・プラットフォームにより2地点間の移動をより安く便利なものにする個人的MaaSから、自動運転EVトラックやドローンによる「サービスとしての物流」まで及ぶとしている。

このようなプラットフォームから経済的生産性のイノベーションが加速し、その結果、伝統的な自動車産業も当該プラットフォームに組み込まれていくとみている。技術主導によるイノベーションと費用曲線の低下に伴う一定のデフレ圧力により、自動運転によるMaaSプラットフォームを開発または可能にする企業については、売上数量の伸びや生産性、収益性が高まるという。

対照的に、従来型自動車製造企業の多くは、実店舗型小売企業が過去10年間に経験したことと同様のバリュートラップに陥るとみている。こうした考えから、自動運転MaaSプラットフォームへの転換を遂げられる自動車企業とテクノロジー企業への投資を強めていく構えだ。

ARKの考え方をベースとしたグローバルMaaSファンドは、一般的なMaaSの概念を超え、先進的な技術の実装を前提とした構成となっている。その象徴が自動運転に代表される無人化技術だ。

道路交通や農業、建設、ロジスティクスなど、多方面で開発が進められている自動運転技術・無人化技術は、現在社会実装が始まったばかりの段階で、本格的な市場化はもう少し先の未来となる。こうした未来に向け投資を進める同ファンドのポテンシャルは現状では測り知れない。花を咲かせ実を結ぶころにどれほどの収穫がもたらされるのか、要注目だ。

■MaaSの市場規模
概念を超えて進化し続けるMaaS

MaaSは「Mobility as a Service」の略で、「サービスとしてのモビリティ」「モビリティのサービス化」などを意味する。

一般的には、自動車やタクシー、バスなどさまざまな移動手段を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念を指す。具体例としては、MaaSプラットフォームに各移動手段の情報を統合し、スマートフォンアプリなどで経路検索や予約、決済などのサービスを一括提供するものが挙げられる。

なお、グローバルMaaSファンドでは、上述したように自動運転を軸に据えた「モビリティのサービス化」を念頭としているようだ。将来、自動運転タクシーやバスなどがMaaSに統合されていく可能性が高いほか、モノの輸送に焦点を当てた物流MaaSの開発など、既成概念に捕らわれることなくMaaSはまだまだ進化していくことが予想される。

2030年までに国内MaaS市場は6兆円、世界市場は155兆円規模に?
出典:矢野経済研究所(※クリックorタップすると拡大できます)

矢野経済研究所が2019年に発表した国内MaaS市場調査によると、サービス事業者の売上高は2018年の845億円(見込み)から2030年には6兆3,600億円に増加すると予測している。2016年から2030年のCAGR(年平均成長率)は44.1%で推移するという。

また、インドのワイズガイ・リサーチ・コンサルタントによると、世界のMaaS市場は2017年の241億ドル(約2兆7,000億円 )規模から、2025年には10倍近い2,304億ドル(約25兆円 )規模まで拡大するという。米Strategy&の調査では、米・欧・中3地域の合計で、2017年から2030年にかけてCAGR25%で成長し、2030年までに1.4兆ドル(約155兆円 )に到達すると予測している。

■【まとめ】自動運転関連MaaSは「未来のMaaS」

既成概念のMaaSとはイメージが異なる「自動運転関連MaaS」の紹介となってしまったが、現行MaaSの多くが将来自動運転技術を取り込んでいくであろうことを考慮すれば、まさに未来のMaaSを象徴した構成と言えるのではないだろうか。

重ね重ねとなるが、各企業の事業が本格化するのはまだ先の話だ。技術競争による淘汰なども今後激しさを増すだろうが、未来に向けた投資としては興味がそそられる分野であることに間違いはない。

各企業が今後どのような道を歩むのか。また、業界としてどのような発展を遂げていくのか。引き続き注目していきたい。

【参考】MaaSについては「MaaS解説(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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