日の丸ベンチャーの空飛ぶクルマ、一気に100機も売れた!?

SkyDriveが覚書締結し、ベトナムに納品へ



出典:SkyDriveプレスリリース

空飛ぶクルマや物流ドローンの開発を手掛ける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)は2022年12月1日までに、ベトナムのディベロッパーであるPacific Groupと、空飛ぶクルマ導入に関する覚書を締結した。

SkyDriveが設計開発中の空飛ぶクルマの商用機「SkyDrive式SD-05型」の最大100機のプレオーダーに合意したという内容だ。100機の内訳は、10機が確定で、90機がオプションとなっている。


■Pacific Groupが覚書を締結した背景

今回、SkyDriveが空飛ぶクルマ導入に関する覚書を締結したPacific Groupは、ベトナム国内で鉄道や高速道路などの公共の仕事を受託し、インフラ開発を行っている。

そんなPacific Groupが空飛ぶクルマを導入するに至った背景には、ベトナムの社会問題となっている深刻な交通渋滞がある。また同社は、ゼロエミッションエネルギーを使用した移動手段が必須と考えており、ホーチミンやハノイなので都市部で、新しい交通手段を提供するためには、空飛ぶクルマが必要だと感じているという。

しかし導入までには、交通機関や規制、社会受容性に関する課題が多い。 Pacific GroupはSkyDriveのほか、ベトナム運輸省やベトナム民間航空会社、ベトナム防衛省などと密接に連携し、空飛ぶクルマに関する動向や技術を説明し、航空許可と規制緩和を目指す。

今後両社は、運航オペレーターやバーティポート(垂直離着陸用飛行場)、給電インフラなどの実現のため、さまざまなステークホルダーとともに協力していくという。


■注目の日の丸ベンチャーSkyDrive
現在設計開発中の「SD-05」のデザイン=出典:SkyDriveプレスリリース

SkyDriveについても説明しておこう。

2018年設立のSkyDriveは、空飛ぶクルマを開発する日の丸ベンチャーとして注目を集めている。2012年にさまざまな企業のメンバーが集まり、空飛ぶクルマの開発に取り組む有志団体「CARTIVATOR(現Dream-On Management)」を発足させたことが、同社の始まりだ。

2021年9月には、大阪府・大阪市と空飛ぶクルマの実現に向けた連携協定を締結した。2025年の大阪・関西万博において、大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの実現を目指している。

今後Pacific Groupへ導入するSD-05はパイロットが操縦する空飛ぶクルマだが、コンピューター制御のアシストにより飛行を安定させる技術を導入している。同機種は、日本で初めての国土交通省の型式証明取得を目指している機種としても知られている。


■これを機に売上を大きく伸ばすか注目

空飛ぶクルマの開発企業は世界に数多くあるが、ある程度大きめの規模の売上を獲得している企業はまだ数少ない。そんな中でSkyDriveが今回の覚書締結を機に売上を大きく伸ばしていけるのか、注目だ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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