4D-LiDARチップを開発する米ベンチャー企業SiLC Technologiesへ出資したことを、日本企業3社が2021年5月31日までに同時に発表した。
出資したのは、電機メーカーのセイコーエプソン、物流大手のヤマトホールディングス、独立系ベンチャーキャピタル(VC)のグローバル・ブレインだ。
この3社が出資するSiLC Technologiesの実力とは?
■SiLC Technologiesの強みは?
SiLC Technologiesは2018年、シリコンフォトニクス業界で20年以上の経験を持つメンバーにより米カリフォルニアで設立され、シリコンフォトニクス技術を活用したICチップ型の4D-LiDARを実用化に向けて開発している。
同社の技術においては対象物の深さや速度も測定できるため、「4D」と表現されている。2020年7月には、世界的な市場調査会社Frost&Sullivanの「2020年北米3D/4D LiDAR画像産業技術革新賞」を受賞している。
SiLC TechnologiesのLiDARは長距離で高精細、低コストでの生産を特徴とし、従来とは異なる1,550nmの波長でのFMCW(周波数変調連続波)技術を活用している。300メートルほどの範囲内の物体を高精度で検知できるという。
今回投資を発表した3社はいずれもSiLC Technologiesについて、ICチップ型4D-LiDARのセンサー性能やICチップ統合技術、製造ノウハウの面で優位性を持つとして評価しているようだ。
そして例えばエプソンは、人や物の運動状態や姿勢・位置情報を測定するセンサーとSiLC TechnologiesのLiDAR技術を融合し、自動車産業やロボット産業向けの技術開発を加速させていくとしている。
■年々競争が激しさを増しているLiDAR業界
LiDAR業界の競争は年々激しさを増している。LiDAR市場をけん引してきた米Velodyne LidarやLiDARのスタートアップ業界の有力企業である米Luminar、そして日本のデンソーやパイオニアなど、SiLC Technologiesのライバルは数多くいる。
一方で、LiDAR市場は今後大きく伸びると言われており、一定の市場規模を獲得できるポジションに立てれば、その企業は将来的に大きく成長することが見込まれる。SiLC Technologiesが競争を優位に進めていけるか、注目だ。
【参考】関連記事としては「LiDARとは?自動運転で活躍するセンサー、2030年に市場規模200倍に」も参照。