去年イマイチだった「自動運転株」、2026年はどうなる?

そろそろ「爆上げ」なるか?



出典:Pony.aiプレスリリース

自動運転産業は2025年、国内外で着実な成長を遂げた。国内ではレベル4サービスの実装が9カ所まで拡大し、海外ではWaymoやWeRideがグローバル路線を歩み始めた。

サンフランシスコなどでは、自動運転サービスがもはや珍しいものではなくなり、選択肢の一つとなった。局所的ながら、自動運転時代が到来しているのだ。


一方、こうした業界の動向に対し株式市場は冷静で、いまいち盛り上がりに欠けている。収益性の観点からまだビジネスとして成熟していないことを見透かしているかのようだ。

株式市場における自動運転銘柄はどのような状況なのか。S&Pの自動運転車指数を交えながら解説していこう。

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■S&P Kensho自動運転車指数の動向

2025年に14.7%上昇も相対的には評価に値せず?

S&P Kensho自動運転車指数の過去3年間のチャート=出典:S&P Global公式サイト

S&P Kensho自動運転車指数は、自動運転車やコネクテッドカーに特化した事業展開を行っている企業のパフォーマンスを測定するよう設計されている。構成銘柄については後述する。

同指数は、2025年年初(1月2日)に424.77、12月31日に487.31を記録しており、1年間で14.7%上昇した。自動運転銘柄は着実に伸びているようだ。


自動運転産業は着実に成長し、株式市場での評価も伸びているのは間違いないところだ。しかし、素直に喜べないのも事実だろう。

同期間において、日本の株式市場全体の動きを表すTOPIX(東証株価指数)は22%、日経平均株価は26%上昇した。米国の代表的な株価指数S&P 500は16%、中国の代表的株価指数の上海総合指数も約18%上昇している。

株式市場全体が大きな伸びを見せていることを踏まえると、自動運転車指数の14.7%はアンダーパフォームとなる。各国の株式市場全体の伸び率と比較すると、自動運転銘柄の伸び率は相対的に低く、評価されなかったと言わざるを得ない結果となった。

▼S&P Kensho自動運転車指数
https://www.spglobal.com/spdji/jp/indices/equity/sp-kensho-autonomous-vehicles-index/


各社の当初計画の遅れが要因?

参考までに、過去にさかのぼって上昇率を見てみよう。S&P Kensho自動運転車指数の算出が始まったのは2016年6月だ。同年6月30日と2025年末を比較すると、S&P Kensho自動運転車指数は186%、TOPIXは177%、S&P 500は226%上昇している。

コロナ禍における株価の乱高下がある程度終息した2023年1月4日と比較すると、S&P Kensho自動運転車指数33%、TOPIX 83%、S&P 500は80%上昇している。つまり、コロナ禍までは自動運転銘柄の方が伸びていたのだ。

おそらく、自動運転銘柄が構成された2010年代後半は、自動運転実現への期待が勝るとともに各社が描いたビジョンが「2020年にレベル4市場化」といった感じで思いのほか早かったため、多くの支持を集めたものと思われる。

しかし、2020年代に入っても、一部の新興勢以外は実用化されず、開発速度を感じられない状況が続いていたため、伸びが鈍化したのではないだろうか。

自動運転分野における本格的な収益化はまだ先の見通しであり、自動車メーカーの開発や取り組みが遅々として進んでいないように感じられるのも事実だ。このような状況では、投資家からの支持を広く集めるのは困難と言える。

しかし、潮目が変わりつつあるのも確かだ。2025年に入り、WaymoやWeRideといった先行勢はグローバル路線を明確にし、サービス提供エリアの拡大を加速している。Zooxなどの新興勢もサービスローンチしたほか、エンドツーエンドモデルの開発が大きく進み始めており、技術の向上とサービス化がいっそう加速度を増している。

こうした業界全体の動向を、市場がいつどのようにポジティブに判断していくことになるのか。2026年中に潮目が大きく変わる可能性も十分考えられそうだ。

■S&P Kensho自動運転車指数の構成銘柄

改めて、S&P Kensho自動運転車指数が具体的にどのような銘柄で構成されているのか見ていこう。

個別の銘柄については開示されていないが、2025年12月末時点で、構成銘柄数は31、最大銘柄のウエイトは5.2%、ウエイト上位10銘柄の合計は41.3%となっている。

出典:S&P Global公式サイト

国別では米国が19銘柄で最多となっており、中国8、イタリア・日本・ロシア・イスラエルがそれぞれ1となっている。国別のウェイトは以下の通りだ。

出典:S&P Global公式サイト

アプローチを変え、三菱UFJアセットマネジメントが提供する投資信託シリーズ「eMAXIS(イーマクシス)自動運転」に目を向ける。同商品は、S&P Kensho自動運転車指数に連動することを目指した自動運転関連株式インデックスマザーファンドに資産のほぼ全額を投資している。つまり、eMAXIS(イーマクシス)自動運転の構成銘柄 ≒ S&P Kensho自動運転車指数の構成銘柄と見ることができるのだ。

最新レポートではWeRideやPony.ai、テスラが上位に

最新の月次レポート(2025年11月28日現在)によると、組入上位10銘柄は以下となっている。

  • 1. WeRide(中国) 3.7%
  • 2. AEye(米) 3.7%
  • 3. Microvision(米) 3.7%
  • 4. テスラ(米) 3.6%
  • 5. Allegro MicroSystems(米) 3.6%
  • 6. Pony.ai(中国) 3.6%
  • 7. Aurora Innovation(米) 3.5%
  • 8. STMicroelectronics(オランダ) 3.5%
  • 9. Qualcomm(米) 3.4%
  • 10. Aeva Technologies(米) 3.4%

自動運転開発事業者はWeRide、テスラ、Pony.ai、Aurora Innovationの4社で、半導体関連3社、LiDAR関連3社が上位となっているようだ。

一方、2025年11月発行の投資信託説明書(交付目論見書)では、2025年8月29日時点の組入上位銘柄は以下のように掲載されている。

  • 1. Ouster(米) 10.0%
  • 2. Indie Semiconductor(米) 5.9%
  • 3. Nebius Group(米) 4.9%
  • 4. Aeva Technologies(米) 4.9%
  • 5. Allegro MicroSystems(米) 4.6%
  • 6. NIO (中国) 4.5%
  • 7. Hesai Group(中国) 4.4%
  • 8. NVIDIA(米) 4.1%
  • 9. Lumentum Holdings(米) 3.8%
  • 10. Ambarella(米) 3.7%

数カ月の間に上位が入れ替わっているが、LiDAR系企業が多く構成されているのが一つの特徴だ。

同年8月に発行された運用報告書(全体版)によると、このほかIntel、Ansys、ON Semiconductor.、Baidu(百度)、NXP Semiconductors、Aptiv、トヨタ自動車、Xpeng、Luminar Technologies、Li Auto、Innoviz Technologies、indie Semiconductor、Rivian Automotive、Lucid Group、Mobileye、ECARX 、Zeekrが名を連ねている。

Xpeng やZeekr、Li Auto 、Rivian 、Lucid といったBEVメーカーも多く組み入れられていることがわかる。単純に、BEV開発企業やLiDAR開発企業が比較的多く早期上場を果たしているため、組み入れられている……とも言えそうだ。

また、オールド自動車メーカーがあまり組み入れられてなさそうな印象だが、トヨタをしっかりと押さえている点も一つのポイントだろう。

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WeRideが躍進?

構成銘柄の中で注目したいのは、中国WeRideだ。米ナスダックと香港市場に重複上場している。主戦地は中国で、広州や北京などで自動運転タクシーサービスを展開するほか、自動運転バスや自動運転清掃車などラインアップの拡充にも力を入れている。

海外展開の観点では世界トップクラスで、現在11カ国40以上の都市で試験運用されているという。また、中国、UAE、シンガポール、フランス、サウジアラビア、ベルギー、スイス、米国の8つの市場で自動運転の走行ライセンスを取得している。

自動運転の性能比較は難しいところだが、グローバル展開の点ではWaymoを凌ぐ。日本でも同社製の自動運転バスが実証で導入され始めており、要注目の一社だ。

なお、ナスダック市場での株価は、2025年の年初は約14ドル、年末には約9ドルまで下がっている。

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Pony.aiもWeRideに追随

自動運転開発関連では、Pony.aiも着実に前に進んでいるようだ。WeRide同様同社も米ナスダックと香港市場に重複上場している。

自動運転タクシー台数は約1,000台に達し、深センや上海などで無人自動運転サービスを展開している。第7世代(Gen-7)の自動運転キットは、前世代と比較し70%の部品コスト削減を実現したといい、収益面でも重要なマイルストーンを達成したとしている。2026年末までにフリートを3,000台まで拡大する計画を発表している。

カタールやシンガポール、ルクセンブルク、韓国など8カ国で実証を重ねており、WeRideに負けじと海外進出を強化していくものと思われる。トヨタが出資している点も強化材料だ。

ナスダック市場における株価は、2025年の年初は約15ドル、年末には約14ドルの値を付けている。

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今後の上場銘柄にも期待

自動運転開発企業の中には、WaymoやZooxなど未上場の企業も多い。アルファベット傘下のWaymoは、グーグルの自動運転開発プロジェクトを分社化したものだ。

今のところIPOのうわさはないが、遅かれ早かれ上場するものと思われる。自動運転業界を長らく牽引するWaymoの上場は、業界に対する投資家の印象を大きく変えるポテンシャルを有する。業界全体への資金の流れが一変すれば、各社の事業展開や社会受容性にも変化が生じるだろう。

Waymoはフェニックスやサンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタで自動運転タクシーを実用化しており、今後マイアミ、ワシントンD.C.、ダラスなどにも随時拡大していく計画だ。英ロンドンや東京への進出も予定している。

アマゾン傘下Zooxも今後の動向を注視したい。2025年にラスベガスでサービスインし、サンフランシスコなどに拡大していく計画を発表している。オリジナルモデルによる自動運転タクシーサービスでWaymoら先行勢と差別化を図ることができるか、要注目だ。

【参考】関連記事「Googleの自動運転タクシー、東京で来年展開か」も参照。

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Uber Technologiesが自動運転時代の勝者に?

銘柄に組み入れられているのかどうかは不明だが、配車サービス大手Uber Technologiesが特に熱いかもしれない。

自動運転開発各社とパートナーシップを結び、2026年末までに10余りの市場で自動運転タクシーサービスを展開する計画で、将来的には香港や日本も新たな展開候補地として睨んでいるようだ。

すでにWaymoやAvride、WeRide、Pony.ai、Baidu、Motionalなど20社超と手を組んでいることが報じられており、ライドシェアで築き上げたネットワークを活用し、世界各国で自社プラットフォーム上で自動運転タクシーサービスを展開する計画だ。

自動運転サービスがスタンダード化すると、利用者の注目は自動運転技術からUI・UXに移行する。移動サービスのノウハウと既存ネットワークを有するUber Technologiesは、今後自動運転関連企業としてさらなる成長を遂げるかもしれない。

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マイナス材料も……

構成銘柄には、マイナス材料もある。タイムリーなものでは、Luminar Technologiesだ。同社は2025年12月に米国破産法を申請し、ナスダック市場から撤退している。同社は安価なLiDAR開発を手掛けており、ボルボ・カーズやトヨタグループのTRI(トヨタリサーチインスティチュート)などとパートナーシップを結ぶなど事業は順調に思われていた。

しかし株価は低迷を続けており、2025年5月に若き創業者のオースティン・ラッセル氏が社長兼CEOおよび取締役会会長を辞任するなど、暗雲が立ち込めていた。報道によると、11月にボルボ・カーズから契約を打ち切られたことで資金繰りが悪化し、破産に至ったようだ。

LiDAR系企業の大半は株価が振るわず、株式市場では低迷している。自動運転車はもとより、レベル2+以上の自家用車への搭載が軌道に乗れば業績は大きく上向きそうだが、開発企業が乱立し過ぎた感も強い。今後、淘汰や買収が相次ぐ可能性も考えられるだろう。

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■【まとめ】投資の観点からは妙味?

マイナス材料にも触れたが、新興産業で淘汰が進むのは必然の流れでもある。Waymoらトップ集団の技術力は一定水準に達しており、本格的な拡大局面を迎えていることは間違いない。また、テスラに代表されるエンドツーエンド開発も加速しており、さらなる進化がうかがえる。

2026年は、自動運転の主戦場だった米国・中国以外でも自動運転タクシーなどの実用化が目に見える形で進展する一年となることが予想される。世界各地でプラットフォーマーのUber Technologiesが勢いを増すかもしれない。

収益面はまだ追い付いてこないかもしれないが、だからこそ投資の観点からは美味しい銘柄となり得る。将来の爆上がりを期待し、比較的低水準のうちに青田買いしておくのも面白いかもしれない。

【参考】関連記事としては「自動運転、米国株・日本株の関連銘柄一覧」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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