「自動運転」銘柄まとめ 日本とアメリカ、株式上場している企業は?

上場ラッシュ続く自動運転スタートアップ



自動運転技術の実用化に伴い、LiDAR開発をはじめとした関連スタートアップの上場が相次いでいる。自動運転の市場化が本格化の兆しを見せ始めているのだ。







この記事では、自動車産業の主役として自動運転分野においても活躍が見込まれる主要メーカーをはじめ、関連技術を持つ企業や上場済みのLiDAR開発企業をピックアップし、各社の取り組みを解説していく。

■米国市場に上場している銘柄
GM(ティッカーシンボル:GM)
出典:Nasdaq(クリックorタップすると拡大できます)

1908年創業。長らく世界一の自動車販売台数を誇っていたが、サブプライムローン問題を契機とする金融危機のあおりを受け、2009年に連邦倒産法適用を申請し、米政府介入のもと一時国有化された。2010年にニューヨーク証券取引所に再上場を果たした。

自動運転分野においては、スタートアップCruiseを2016年3月に買収し、一気に開発を加速させている。開発陣営には2018年にホンダも加わり、2020年初頭にサービス専用自動運転車「Origin」を発表した。米国内や日本、ドバイなどでロボタクシーサービスの実施を計画している。

ADAS関連では、高速道路でハンズオフ運転を可能にする高度なレベル2「Super Cruise」の搭載車種拡大を図っている。対象道路は北米約32万キロに及ぶ。さらに、地方道路を含む320万キロをカバーする「Ultra Cruise」を2023年に実現する計画も発表している。

▼GM公式サイト
https://www.gm.com/

Ford(ティッカーシンボル:F)
出典:Nasdaq(クリックorタップすると拡大できます)

1903年創業。GM、クライスラーとともに米ビッグスリーとして長らく業界をけん引してきた。原油高や金融危機の影響でジャガー・ランドローバーやボルボ・カーズを手放すなど苦境に立たされたが、経営戦略「One Ford」のもと業績を立て直した。

自動運転関連では、2016年にコネクテッド技術や自動運転、MaaSの研究開発を手掛ける子会社「Ford Smart Mobility」、2018年には自動運転開発部門を分離し「Ford Autonomous Vehicles」をそれぞれ設立している。

また、2017年にスタートアップArgoAIに出資し、テクノロジーパートナーとしての関係を深めるほか、フォルクスワーゲンともパートナーシップを結び、自動運転開発を強化している。

現在、ピッツバーグ、パロアルト、マイアミ、ワシントンDC、デトロイト、オースティンで実証を進めており、2021年後半にマイアミ、2022年にオースティンでロボタクシーサービスをスタートさせる計画を発表している。

▼Ford公式サイト
https://www.ford.com/

Google / Alphabet(ティッカーシンボル:GOOG)
出典:Nasdaq(クリックorタップすると拡大できます)

1998年創業のグーグルは、検索エンジン・広告事業を主力に業績を伸ばす。事業の多角化に伴い、2015年に持ち株会社Alphabetを設立し組織再編を図っている。

グーグルの自動運転開発プロジェクトは2009年に始動したと言われており、米国防高等研究計画局(DARPA)主催の自動運転技術大会出場者ら優秀なエンジニアが多く在籍していた。Aurora Innovation創業者のChris Urmson氏やNuro創業者のDave Ferguson氏、ArgoAI創業者のBryanSalesky氏らが籍を置いていたことは有名で、レベルの高さがうかがえる。

2016年に開発部門をWaymoとして分社し、以後アリゾナ州で実証を続け、2018年にロボタクシー「Waymo One」をスタートした。翌年にはドライバーレスのサービスも導入したほか、物流サービスを手掛ける「Waymo Via」の実証も加速している。

OEM関係では、FCA(現ステランティス)をはじめ、ボルボ・カーズやダイムラートラックなどと提携し、自社開発した自動運転システム「Waymo Driver」を統合していく取り組みにも力を入れているようだ。

2020年に32億ドル(約3,500億円)、2021年に25億ドル(約2,700億円)の資金調達も行っており、事業拡大を本格化させる可能性も高そうだ。

▼Alphabet公式サイト
https://abc.xyz/

Intel(ティッカーシンボル:INTC)
出典:Nasdaq(クリックorタップすると拡大できます)

半導体世界大手のIntelは1968年創業。パソコン市場の拡大とともに成長を続けている。ナスダックに上場している。

自動運転分野においては、2016年にBMWグループとMobileyeと協力し、2021年までに自動運転車を実現する目標のもと共同開発を行っていくパートナーシップ戦略を発表した。翌年にはMobileye買収も合意に達し、公開買い付けによってMobileyeの発行済み株の84%を取得している。買収にかかった費用は約153億ドル(約1兆7500億円)とも言われている。

2020年には、イスラエルのMaaSプラットフォーマー・Moovit(モービット)の買収も行っており、「マルチモーダルXaaS戦略」のもと、ロボタクシーやシャトルサービスを世界展開する絵を描いているようだ。

一方、Mobileyeはシステムオンチップ「EyeQ」シリーズを武器にOEMやスタートアップとのビジネスを加速する一方、自動運転向けのマップ生成技術「REM(Road Experience Management)」をはじめ自動運転システム「Mobileye Drive」そのものの開発も進めており、ドイツやニューヨークなどで実証を行っている。

開発したMobileye AVは、2022年中にドイツ・ミュンヘンとイスラエル・テルアビブで運用を開始する予定としている。

日本でも、WILLERとのパートナーシップのもと2021年に実証に着手し、2023年にサービスインするとともにアジア展開を図っていく方針を発表している。

▼Intel公式サイト
https://www.intel.com/content/www/us/en/homepage.html

Baidu(ティッカーシンボル:BIDU)
出典:Nasdaq(クリックorタップすると拡大できます)

2000年創業の中国IT大手。2005年にナスダック市場に上場(米国預託証券/ADR)しているほか、2021年には香港証券取引所にも上場を果たしている。

自動運転分野では、オープンソフトウェアプラットフォームを活用した「Project Apollo(阿波羅)=アポロ計画」を展開しており、数多くの開発企業の参加のもと、自動運転システムや付随技術の開発を進めている。アポロのもと、金龍客車やNeolixなどの企業がすでに自動運転バスやロボットを製品化している。

百度自身も自動運転サービスの実用化を進めており、2020年に湖南省長沙市で一般客を対象としたロボタクシーサービス「ApolloGo Robotaxi」を開始している。

2020年末には北京市で無人走行ライセンスを取得し、2021年5月までにドライバーレスによる有料サービスもスタートしている。

計画では、2021年中にアポロのスマートドライビングエリアとして中国内20都市の都市道路と高速道路をカバーし、その後2023年までに100都市をカバーするとしている。

▼Baidu公式サイト
https://www.baidu.com/
▼Apollo公式サイト
https://apollo.auto/

Aeva Technologies(ティッカーシンボル:AEVA)
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2017年創業のLiDAR開発企業。2021年3月にニューヨーク証券取引所にSPAC上場を果たした。

FMCW(周波数連続変調)方式の4D-LiDARの開発を進めており、2021年1月にデンソーと次世代LiDARを共同開発していくことに合意したほか、同年8月にはニコンとFMCW技術に関する協業検討を進めていくことにも合意したと発表している。

同社のLiDARは、自動運転トラックの開発を手掛けるTuSimpleなどがすでに採用を決めている。

▼Aeva Technologies公式サイト
https://www.aeva.ai/

Innoviz Technologies(ティッカーシンボル:INVZ)
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2016年創業のイスラエルのLiDAR開発企業。2021年4月にナスダック市場にSPAC上場した。

自動運転レベル3〜5に対応する同社製品「InnovizOne」は早くにBMWが採用を決めている。また、2021年5月には、欧州の大手ティア1が2022年までに実用化を目指す自動運転シャトルのパートナー企業にInnovizが選ばれたことも発表されている。

▼Innoviz Technologies公式サイト
https://innoviz.tech/

Luminar Technologies(ティッカーシンボル:LAZR)
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Austin Russell氏が高校在学中の2012年に立ち上げたLiDAR開発企業。2020年末にナスダック市場にSPAC上場した。

2017年にトヨタ系開発企業TRIのジェームス・カフナー氏の目に留まり提携を結んだほか、ボルボ・カーズやフォルクスワーゲングループのソフトウェア開発企業、Daimler Trucks、など、パートナーシップを拡大している。

このほかにも、Mobileyeや上海汽車、Pony.aiなどすでに同社製品の採用を決めている企業も多く、2020年の受注額は10億ドルを突破したという。

▼Luminar Technologies公式サイト
https://www.luminartech.com/

【参考】Luminarについては「Luminarの年表!自動運転の目「LiDAR」を開発」も参照。

Ouster(ティッカーシンボル:OUST)
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2015年創業のLiDAR開発企業。2021年3月にニューヨーク証券取引所にSPAC上場した。

デリバリーロボットの開発を手掛けるPostmatesや自動運転トラック開発のPlus、自動運転バスの開発などを手掛けるQCraftが採用するほか、WestonRobotやXSENS、Soy Robotics、Seoul Roboticsなど、ロボット工学系企業の採用も多いようだ。

▼Ouster公式サイト
https://ouster.com/

Velodyne Lidar(ティッカーシンボル:VLDR)
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自動運転向けのLiDAR開発のパイオニアで、オーディオ開発・製造を手掛けるVelodyne AcousticsからLiDAR開発企業として2016年にスピンオフした。2020年9月にナスダック市場にSPAC上場した。

2016年にフォードと百度から計1億5,000万ドル(約160億円)の出資を受けている。2018年にはニコンからも出資を受けるとともに受託生産契約を結んでいる。

これまでにダイムラーやPostmates、Optimus Ride、NAVYAなどと契約を結んでいるほか、2021年に入ってからもFaraday FutureやGatik、AGM Systems、ThorDrive、Trunk.Tech、ANYbotics、Renu Roboticsなど、同社製品の採用は相次いでいるようだ。

▼Velodyne Lidar公式サイト
https://velodynelidar.com/

【参考】Velodyne Lidarについては「Velodyne Lidarの年表!「自動運転の目」ベンチャーの草分け」も参照。

■日本市場に上場している銘柄
トヨタ(証券コード:7203)
出典:日本取引所グループ(クリックorタップすると拡大できます)

1937年創業。1949年に東証1部に上場しており、デンソーや豊田通商などグループ各社も軒並み東証1部企業として名を馳せている。

人とクルマがパートナー関係を築く理念「Mobility Teammate Concept」のもと、「ガーディアン(高度安全運転支援システム)」や「ショーファー(自動運転システム)」といった自動運転技術の開発を進めている。最先端技術の開発は、主にウーブン・プラネット・ホールディングスや米国のTRI(トヨタリサーチインスティチュート)が担っている。

モビリティカンパニーへのモデルチェンジにも力を入れており、MaaS活用を前提とした自動運転車「e-Palette」の実用化にも熱を入れている。

また、実証都市「Woven City」の建設も2021年に着工しており、次世代における人やモノの移動をはじめ、都市の在り方を模索していく壮大なプロジェクトにも着手している。

【参考】トヨタについては「トヨタの自動運転戦略とは?「e-Pallete」が戦略の軸」も参照。

ホンダ(証券コード:7267)
出典:日本取引所グループ(クリックorタップすると拡大できます)

1948年創業。1957年に東証1部に上場している。自動運転関連では、自家用車において世界に先駆けてレベル3システム「トラフィックジャムパイロット」を実装した。

レベル4関連では、GM・Cruiseと共同開発を進めており、日本国内で自動運転モビリティサービス事業を行っていく計画も明らかにしている。2021年中に技術実証を開始し、2022年には栃木県宇都宮市と芳賀町で公道実証を行う予定だ。なお、宇都宮市では2021年5月から予約・配車システムを用いたオンデマンドモビリティサービスの実証実験も進めている。

このほか、楽天グループとともに自動走行ロボットの開発・実用化に向けた取り組みにも着手している。

日産(証券コード:7201)
出典:日本取引所グループ(クリックorタップすると拡大できます)

1933年創業。1951年に東証1部に上場している。バブル崩壊後の販売不振で経営危機に陥り、1999年にルノーと資本提携を結んだ。2016年には三菱自動車再建に向け同社筆頭株主となり、今に続くルノー・日産・三菱アライアンスを形成した。

自動運転関連では、2017年にDeNAと手を組み、無人運転車両を活用した新しい交通サービスの共同開発に着手し、2018年2月に「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を行った。以後実証を重ね、2021年9月にはNTTドコモのAIオンデマンド交通システム「AI運行バス」を組み合わせたサービス実証も開始している。

【参考】日産については「日産の自動運転・ADAS技術を解説!Pro PILOTの強みは?」も参照。

アイサンテクノロジー(証券コード:4667)
出典:日本取引所グループ(クリックorタップすると拡大できます)

1970年創業。1997年に東証ジャスダックに上場している。高度な測量技術を武器に自動運転分野で活躍しており、特に高精度3次元地図の作製で力を発揮している。

オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発するティアフォーとともに活躍する場面が多く、MMS(モービルマッピングシステム)などを活用し、数々の実証で成果を上げている。

2019年にはティアフォー、Mobility Technologies、損害保険ジャパン、KDDIとともに自動運転タクシーの開発に乗り出し、翌2020年には東京都内で公道実証を行っている。

ソニー(証券コード:6758)
出典:日本取引所グループ(クリックorタップすると拡大できます)

1946年創業。日本初のテープレコーダーやトランジスタラジオをはじめ、ウォークマンやプレイステーションなど数々のヒットを飛ばしてきた。1958年に東証1部に上場しており、2021年10月14日付の株価は12,555円となっている。なお、2021年4月に組織再編し、旧来のソニーがソニーグループに商号を変更したほか、ソニーエレクトロニクスなど4社を統合した企業が新たなソニーとして存続している。

自動車・自動運転分野では高度なイメージセンサー技術で存在感を発揮するほか、LiDAR関連技術の開発にも乗り出しており、2021年9月に車載LiDAR向け積層型直接Time of Flight(dToF)方式のSPAD距離センサー「IMX459」の商品化を発表している。

また、2020年には、一から作り上げたオリジナルの試作車「VISION-S」を発表した。自動車の在り方を一から見つめ直すプロジェクトで、マグナ・シュタイヤーやボッシュ、コンチネンタル、ヴァレオ、ZFといった大手サプライヤーや、自動運転開発を手掛けるAImotiveなどが開発パートナーに名を連ね、車両走行性能テストや5G走行試験などを行っている。

■【まとめ】株式市場にも自動運転の波

スタートアップの上場はEVやLiDAR開発企業が先行しているが、自動運転トラックの開発を手掛けるTuSimpleのように自動運転システム開発企業の上場も始まった。

今後、Aurora Innovationなど有力スタートアップの上場も控えており、まだまだ上場ラッシュは続く見込みだ。業績が株価に反映されるのはまだ先の話となりそうだが、株式市場にも自動運転の波が確実に押し寄せているようだ。

※編注:この記事は特定の株式銘柄への投資を推奨するものではありません。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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