GM傘下Cruise、自動運転の年表!ハンドルなしのポッド型「Origin」を発表

ホンダとタッグ、日本国内でも事業展開へ



出典:背景画像はGM Cruiseプレスリリース/公式ブログより

「自動車メーカー×自動運転開発」で世界をリードする米GM Cruise(クルーズ)。2021年6月、米カリフォルニア州初となるドライバーレスによる自動運転タクシーのサービス許可を取得したと発表するなど、勢いは止まるところを知らない。

Cruiseは、大手自動車メーカーGMに買収されながらもスタートアップ気質はそのまま生かされており、今後も世界の自動運転シーンを引っ張る存在であり続けるはずだ。この記事ではCruiseの軌跡を年代順にたどりつつ、今後の展望を考えてみる。







■2013年:Kyle Vogt氏らが創業

Cruiseは米カリフォルニア州サンフランシスコで創業した。創業者はKyle Vogt(カイル・ヴォグト)氏らだ。Cruise創業当初は自動運転技術をはじめ、後付けのADAS(先進運転支援システム)キットなどの開発を進めていた。

ヴォグト氏はマサチューセッツ工科大学在学時、米国防高等研究計画局(DARPA)主催のロボットカーレース「DARPA グランドチャレンジ」に参加していたことでも知られる。

■2016年3月:GMに10億ドルで買収される

2016年3月にGMに買収され、GM Cruiseと社名を変えた。買収額は10億ドル(約1,100億円)超と報じられている。

■2018年5月:ビジョン・ファンドから2,400億円を資金調達

GM Cruiseは2018年5月、ソフトバンクグループの投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」から、総額22億5,000万ドル(約2,500億円)の出資を受けた。この資金調達によって、自動運転技術を大規模に商用展開する計画を前進させるとしている。

■2018年10月:ホンダが850億円を出資、パートナーシップも

2018年10月、ホンダから7億5,000万ドル(約850億円)の出資を受けたほか、今後12年にわたって事業資金約20億ドル(約2,240億円)が投じられるパートナーシップが発表された。

ホンダ側から見たこの出資とパートナーシップの目的は、無人ライドシェアサービス用の自動運転車を開発するためだとされている。また、ホンダとGM、GM Cruiseの3社で、無人ライドシェアサービスを世界展開する計画も説明された。

■2018年11月:GMナンバー2がGM CruiseのCEOに

2018年11月、GM CruiseのCEO(最高経営責任者)として、GMナンバー2のダン・アマン氏が派遣されることが発表された。Cruiseの創業者であるカイル・ボークト氏は最高技術責任者(CTO)となった。

【参考】関連記事としては「GM、自動運転子会社にCEO派遣 クルーズ、企業価値1.6兆円に」も参照。

■2019年7月:自動運転タクシーサービスの開始延期を発表

GM Cruiseは、2019年内に予定していた自動運転タクシーのローンチを、安全を重視するために延長すると発表した。その際、延期後のローンチの目標時期には触れられなかった。

この時期、GM Cruiseは米サンフランシスコで自動運転のテスト車両を増やす計画を発表しており、先行するWaymoに負けじと商用サービスを早々にスタートするのでは、との期待感が高まっていた。

■2020年1月:オリジナル車両「Origin(オリジン)」を発表

GM Cruiseは2020年1月、自動運転モビリティサービス専用のオリジナル車両「Origin(オリジン)」を発表した。ハンドルやペダル類がなく、車内のシートは中心に向かい合って配置されている車両だ。

USB端子やモニターも備えているほか、鍵穴の代わりにナンバーを押す装置が装備されているという特徴も注目を集めた。

Originは完全電動化されており、GMが新たに建設するEV専用工場「Factory ZERO」で最初に生産される車両に選ばれたことが報じられている。

【参考】関連記事としては「GM Cruise、ハンドルなしオリジナル自動運転車を発表!」も参照。

■2021年1月:米Microsoftと戦略的提携、Azureを採用

2021年1月、米Microsoftとの戦略的提携が発表された。この提携によっては、GM CruiseはMicrosoftのクラウドサービス「Azure」を自動運転技術で活用していくことが明らかになった。

またMicrosoftは、すでにGM Cruiseに投資しているホンダとともに20億ドル(約2,100億円)以上の出資を行うことも発表している。この出資によってGM Cruiseの企業価値は約300億ドル(約3兆3,000億円)になるとされた。

■2021年1月:日本での事業展開へ、ホンダとの協業に合意

GMとGM Cruise、ホンダの3社が、日本における自動運転モビリティサービス事業に向け、協業することに合意したと発表した。

シボレー・ボルトをベースにしたGM Cruiseの自動運転車両を使い、2021年中に日本での技術実証を開始する予定で、将来的にはOriginを活用した事業展開を目指すとした。

■2021年3月:技術開発力の強化に向け、同業の米Voyageを買収

GM Cruiseはさらなる技術開発力の強化に向け、同業の米スタートアップ企業Voyage(ボヤージュ)の買収を発表した。

2017年カリフォルニアで設立したVoyageは、高齢者向けの自動運転移動サービスに特化して取り組みを進めてきた企業だ。買収によってVoyageの従業員60人のうち約半数が、GM Cruiseのメンバーに加わることになった。

■2021年4月:米Walmartが出資、無人宅配サービス実現に期待感

2021年4月、GM Cruiseが実施中の投資ラウンドに米小売大手Walmart(ウォルマート)が参加し、株式を取得する形で投資を行ったと発表した。両社による無人宅配サービスを実現に期待感が高まった。

ちなみに両社は2020年11月からパートナーシップを結んでおり、2021年に入ってから自動運転車を活用した非接触配達の実証プログラムをアリゾナ州スコッツデールで実施している。

【参考】関連記事としては「自動運転開発のGM Cruise、3兆円企業に!ウォルマートも出資」も参照。

■2021年4月:ドバイでの自動運転タクシーの独占的運行を発表

GM Cruiseは2021年4月、ドバイで自動運転タクシーを独占的に運行する契約をドバイ道路交通局と結び、2023年からドバイで自動運転タクシーの運行を開始すると発表した。

車両にはOriginを使い、緊急時であっても人間による対応を前提としない「自動運転レベル4」(高度運転自動化)以上の技術で運行するとした。当初は使用台数やエリアを限定するものの、2030年までに4,000台にまで運行規模を拡大し、サービスエリアも拡げる計画のようだ。

■2021年6月:米カリフォルニア州でドライバーレス許可を初取得

GM Cruiseは2021年6月、米カリフォルニア州からドライバーレスでの自動運転タクシーのサービス許可を取得したと発表した。この許可を取得したのはGM Cruiseが初めてだった。

自動運転タクシーでは米Waymo(ウェイモ)が「世界初」の称号を手にしているが、Waymoはアリゾナ州でサービス展開をしているもののカリフォルニア州ではまだで、カリフォルニア州ではGM CruiseがWaymoに先行してサービス展開を開始することになりそうだ。

■【まとめ】焦点は自動運転タクシーのローンチ時期

勢いに乗るGM Cruise。今後の注目点は、自動運転タクシーの商用サービスをいつローンチするかだろう。

またGM Cruiseがいつ上場するかにも注目が集まっている。親会社のGM次第ではあるが、GMはGM Cruiseの上場に含みを持たせており、早ければ2021年後半〜2022年の上場もあり得る。もし上場すれば、多くの投資家から関心を集めるIPO案件となりそうだ。

▼GM Cruise公式サイト
https://www.getcruise.com/

(初稿公開日:2021年7月11日/最終更新日:2021年7月31日)

【参考】関連記事としては「自動運転タクシーのフロンティア「Waymo」の年表」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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