自動運転トラック、高速道で「90分未介入」に成功!三井物産系ベンチャー

間もなく2025年度に事業開始予定



出典:T2プレスリリース

自動運転技術を活用した次世代物流システムの構築を進める株式会社T2(本社:東京都千代田区/代表取締役CEO:森本成城)は、新東名高速道路で「ドライバー未介入」での連続自動走行に成功したことを発表した。

ドライバーが車両を制御せずに自動運転走行を行ったことは、大きな成果となった。なお、自動運転レベルは「レベル2」となる。つまり、結果的には未介入ではあったが、人間による運転操作が必要な場合はすぐに対応できる状況で走行したという状況だ。


T2は、AI(人工知能)開発企業のPreferred Networksの技術提供を受け、三井物産により2022年8月に設立された企業だ。自動運転幹線輸送サービス提供に向け、着々と準備が進んでいるようだ。

■116キロを90分間ドライバー未介入で

T2は、新東名高速道路での公道実証実験を2024年5月29日に開始した。駿河湾沼津SA〜浜松SA間の約116キロにおいて、90分間ドライバー未介入での連続走行を果たした。合流やトンネル内での走行においても安定性が向上し、レベル4の自動運転に向けたマイルストーン達成に向け、着実な進捗を確認することができたという。

なおこの区間は、政府がデジタルライフライン全国総合整備計画にて自動運転車優先レーンとして位置付けている区間となっている。

今後は沼津〜浜松間の実証実験を重ねた後に段階的に走行区間を拡大し、2025年3月には綾瀬〜西宮の全区間約500キロにて実証実験を実施する計画だ。それと平行して、事業化に向け、遠隔監視と連携や積載状態での実証実験などを行うために事業パートナーと協力して取り組んでいくという。


■推進するのは「幹線輸送自動運転トラックサービス」

これまで、三井物産のもつ事業構想力をもとにして、Preferred Networksの深層学習などのAI技術を活用して実証を行ってきた。両社による支援を継続し、技術力やノウハウを集約するため設立されたのがT2となる。

2024年問題(労働時間の法的制限)やドライバーの高齢化、宅配需要の増加などにより、ドライバー不足は深刻な問題になっている。T2は「自動運転技術で次世代の物流を支える」をコンセプトに、レベル4の自動運転技術を活用した「幹線輸送自動運転トラックサービス」事業を推し進めている。有人によるトラック輸送において、高速道路の部分を無人運転に切り替えるという取り組みになる。

有人運転から無人運転への切り替えは、高速道路直結の物流施設または近くの切り替え拠点を利用する予定だ。これにより、出発地から目的地までドライバーが運転しなくても物流が可能になり、ドライバー不足という問題に貢献できるとされている。


また、幹線輸送自動運転トラックサービスがもたらすメリットとして、安定性・生産性・安全性の向上や環境へ配慮した取り組みが挙げられている。

■資金調達も順調なT2

出典:T2プレスリリース

T2の資金調達については、2023年6月にプレシリーズAラウンドで12.5億円、同年8月にシリーズAラウンドで35億円の資金調達を実施した。さらに同年10月には、シリーズA追加ラウンドにて7億円の資金調達を実施している。

また2024年2月には、シリーズ A 追加ラウンドにて日本貨物鉄道が資本参加したことを発表した。今後、貨物鉄道と自動運転トラックにおけるコンテナ規格統一化やシステム面での連携を推進し、日本の輸送キャパシティの維持・拡大及び安定的な輸送に貢献していくとしている。

同社は、2025年度に関東〜関西間で事業を開始し、それを2030年までに拡大、2050年までには日本の物流全体を支える「真のインフラ」とするということを計画している。事業開始まであと少し。今後の取り組み状況に引き続き注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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